Rock & Roll

Izzy Stradlin and the Ju Ju Hounds 「Izzy Stradlin and the Ju Ju Hounds」 (1992)

Izzy Stradlin & Ju Ju Hounds
Izzy Stradlin
Geffen UK
1992-10-13


① Somebody Knockin'
② Pressure Drop
③ Time Gone By
④ Shuffle It All
⑤ Bucket O' Trouble
⑥ How Much
⑦ Train Tracks
⑧ How Will It Go
⑨ Cuttin' The Rug
⑩ Take A Look At The Guy
⑪ Come On Now Inside

先週のKeithのソロアルバムを聴いて思い出したのが、Izzy Stradlin。ソロアルバムでレゲエを演っていたRock & Rollギタリストという共通項だ。

Izzyは言わずと知れたGuns N Rosesのギタリストだった。だが私はGunsが、というかAxl Roseが好きではなかった。平気でライブに何時間も遅刻するという、ファンを何とも思わない傍若無人ぶりが理解できなかったのだ。Izzyはこの前年にGunsを脱退しているのだが、そうしたことも脱退の理由だったようだ。そして何よりこの音楽の中に大きな理由があると思う。

まずここで一緒に演っているメンバーが興味深い。元Broken HomesのベースJimmy Ashhurstは、後にBlack Crowesに加入するMark Fordの旧友で、彼のBurning Treeにも在籍していた。またギターのRick Richardsは元Georgia Satelliteだ。

こうした系譜からも想像できるように、ここではアメリカの大地にしっかり足の着けたRock & Rollを鳴らしている。まずはご機嫌な縦ノリ①と⑦と⑨。特に⑦の弾きまくりのスライドが良い。また③のアコースティックスライド、⑧のペダルスティールも心地良い。このアルバムはとにかくギターサウンドが最高だ。そしてブルースあり、カントリーあり、最後の⑪は豪華なコーラス隊によるゴスペルと、あらゆるアメリカのルーツミュージックを見事に消化している。

②はMaytalsというレゲエバンドのカヴァー。また⑥は日本盤のボートラだが、これも自作のレゲエナンバー。「Rock & Rollとレゲエはシンプルなところが似ている」とIzzyも言っていたが、ボートラなのが勿体ないくらい堂に入っている。

ちなみに⑩はRon Woodのカヴァーなのだが、ここには何とRon本人がゲスト参加している。また実は今は亡きNicky HopkinsやFacesのIan Mclaganもピアノやオルガンでバックアップしているのだ。やはりこうした音楽は、キャリアが違っても類は友を呼ぶのだろう。

★★★★

 

Keith Richards 「Crosseyed Heart」 (2015)

クロスアイド・ハート
キース・リチャーズ
ユニバーサル ミュージック
2015-09-18


1. Crosseyed Heart
2. Heartstopper
3. Amnesia
4. Robbed Blind
5. Trouble
6. Love Overdue
7. Nothing on Me
8. Suspicious
9. Blues in the Morning
10.Something for Nothing
11.Illusion
12.Just a Gift
13.Goodnight Irene
14.Substantial Damage
15.Lover's Plea

リリース日に新作を買うなんて何年ぶりだろう。Keith Richardsの23年ぶりのソロアルバム。非常に良い顔で写る御大のジャケットを見れば、その充実っぷりが分かる。

M1はのっけからアコギ1本のどカントリーブルースで始まる。Robert Johnsonさながらの泥臭さがいい。そして間髪入れずにSteve JordanのドラムからハードなロックナンバーM2へと雪崩込む。今回プロデュース・コンポーズのほとんどをこのS. Jordanとの共同作業で行っている。彼のドラムも色んな他アーティストのところで聴くがタイトで好きだ。他にもWaddy WachtelやIvan Neville等のX-Pensive Winosの面々が再集結しているのも安心させられる。

M5は先行カットされたご機嫌なRock & Rollナンバー。後半聴けるスライドが最高。Keithのボーカルはバラード曲では枯れた渋い味わいがある一方で、Rock & Rollナンバーではまだまだ元気。またギター・ボーカル以外にもベースやピアノまで自分で弾いている。

M6は心地良いレゲエナンバー。日本盤のボートラではLee Scratch Perryとの共演も聴ける。

今回のアルバムではM4やM12のバラードで聴けるようにカントリーも大きな要素になっている。ここでペダルスティールやフィドルを弾いているのがLarry Campbell。Levon Helmの良き右腕だった彼の参加は個人的に嬉しい。M11ではNorah Jonesともデュエット。M9では亡くなったBobby Keysのサックスまで聴けて泣ける。。

このようにとにかく聴き所の多いアルバム。全編Rock & Rollを求める向きには物足りないかもしれないが、アメリカンルーツロック好きには最高の1枚である。来年には本体Stonesでも新作を作るらしいし。このレジェンドは一体どこまで転がり続けるんだろう。

★★★★☆

 

The Black Crowes 「Cabin Fever」 (2009)

Cabin Fever [DVD] [Import]
Black Crowes
Megaforce
2009-11-16


1. Aimless Peacock
2. Good Morning Captain
3. Shady Grove
4. Oh Sweet Nothin
5. Garden Gate
6. Roll Old Jeremiah
7. Apaloosa
8. Little Lizzie Mae
9. What Is Home
10.Been A Long Time
11.Shine Along

The Black Crowesが解散したらしい。Rich Robinsonが先日Facebookで明らかにした。理由として、バンド内の配分、特にオリジナルメンバーであるドラムのSteve Gormanに対する配分で、兄ChrisとRichの間でモメたようだった。一昨年の活動再開以降、新作を作るというニュースがないまま、またそれぞれソロ活動に戻ってしまっていたので怪しいとは思ってはいたが、こういう結末は予想していなかっただけに残念だ。

バンドの良き日を振り返るためにDVDを引っ張り出してきた。これは最終作となった2009年の「Before The Frost」と「Until The Freeze」の製作風景を収めたものである。この作品は故Levon Helmのスタジオでレコーディングされており、ウッドストックの森に囲まれた木の匂いのするスタジオでリラックスしながら製作している。ChrisがLevonと楽しそうに話している様子も見られる。

「Before The Frost」と「Until The Freeze」は楽曲や演奏も素晴らしかったのだが、オーディエンスの前でライブレコーディングしたというところも斬新だった。これは余程自分達の演奏に自信がなければ出来ないことだと思うが、実際に観客を前に軽妙なトークで笑いを取りながらも完璧にライブレコーディングしている様子は流石である。

シタールを弾くRich、スライドを決めるLuther Dickinson、ゲストとして参加しているLarry Campbellもバンジョーやフィドル、ペダルスティールまで披露している。外の雪景色とは対象的に、スタジオの中ではアメリカンルーツロックの暖かく味わい深い演奏と音楽に溢れている。

M3ではRichのアコギ1本で、兄弟が見事なボーカルハーモニーを聴かせていた。長い人生の中で兄弟喧嘩は当然あるだろう。しかしいつかきっとまた修復できるだけの絆が彼らにはあるはずだと信じたい。

 

Bobby Keys 急逝

bobbykeys

毎年年末になると訃報が多くなるのはなぜだろう。私にとって一番悲しかったのがこの人。サックス奏者のBobby Keys。享年70歳。今年の3月のRolling Stonesの来日公演で熱演を見たばかりだったので、この訃報は寝耳に水だった。

ただ色んな報道を見ていて、どこでもRolling Stonesのサックス奏者としか記載されていなかったのが気になった。確かにStonesとの活動が一番長く有名なので仕方ないのだが、彼のキャリアはそれだけではないのだ。

アメリカのテキサス出身で、10代でBuddy Hollyのツアーに帯同している。その後Leon RussellとのつながりからDelaney & Bonnie & Friendsに参加。この本場スワンプロックに惚れ込んだEric Claptonの招致によりイギリス・ヨーロッパをツアー。これで一気に注目を集め、George Harrison、John Lennon、Joe Cocker、多くのトップアーティスト達のアルバムやツアーに引っ張りだことなる。Stonesへの参加はこの延長にあるわけだ。

このようにLeon RussellやDelaney & Bonnieらが火を付け大西洋両岸で席巻したスワンプロックだったが、そのサウンドの鍵を握っていたのがアメリカ南部フィーリング溢れるBobby Keysのサックスプレイだったと思っている。

RIP


The Rolling Stones Top 10 songs



先日の来日公演から興奮さめやらぬRolling Stones。先週も余韻に浸りながら、彼らの曲を聴いていた。なので今回は私が個人的に最も好きな彼らの曲トップ10を並べてみた。とにかく曲が多いので絞るのが大変。まだ聴いていない曲も多いので、今後も変わり得ると思うが、あくまでも今の気分として。

① Paint It Black
② Sweet Virginia
③ Street Fighting Man
④ Honky Tonk Woman
⑤ Satisfaction
⑥ Before They Make Me Run
⑦ Dead Flowers
⑧ I'd Much Rather Be With The Boys
⑨ Mixed Emotions
⑩ Don't Stop

この中で今回のライブで演奏されていたのは①④⑤⑥の4曲。①と⑤は60年代の彼らの代表曲で、あの時代にこれだけ反体制な反骨精神を表現した楽曲が与えた影響の大きさは計り知れない。Keithの曲で最も好きな⑥もライブでは私の中でハイライトの1つだった。③も代表曲なのだが、今回のライブで聴けなかったのが悔やまれる。

で、彼らの曲で個人的に好きなのが②や⑦のようなカントリーソング。④のカントリーバージョンの“Country Honk”なんかもいい。⑧は初期の曲でコーラスワークが効いたあまり彼ららしくない曲だが印象深い。⑨や⑩は比較的最近の曲だが、歳を重ねてもこういうRock & Rollがポンと出てくるところがスゴいところだと思う。


The Rolling Stones Live Report 2014



The Rolling Stonesの来日公演に行ってきた。前回から8年振りの6回目となる。私は25年ほど前から彼らの楽曲には親しんではいたが、実際ちゃんと聴くようになったのは実はここ10年位。なので今回が初参戦だが、手遅れにならなくて良かったと思っていた。今回は東京が3回のみ。その間もかなり日が空いていたが、大阪などの他地域は結局決まらなかったようだ。

最終日の東京ドーム。私の席は3塁側1階席の2列目。下手なアリーナ席よりもよほど良く見える良席だった。場内は満席。年齢層は20代から60代までと幅広く、いかにこのバンドが新しいファンを巻き込みながら転がり続けてきたかを物語っていた。ちなみにこの日は安倍首相も観に来ていたらしい。

開演30分押しの19時頃に暗転。スクリーンが赤く染まり、激しいトライバルビートが鳴り響く。それが鳴り止んだ時にメンバーはステージにいた。ステージ中央には青いYシャツに黒光りするジャケットを着たMick Jagger、右手には青いスカジャンのKeith Richards、左手には赤いTシャツに黒いジャケットのRonnie Wood、バックには赤いTシャツのCharlie Watts。みんなお洒落だ。ベースのDarryl JonesとキーボードのChuck Leavellも左右にいる。

そして始まったのは何とJampin' Jack Flash。これは予想外だったが、最高のオープニングである。その後You Got Me Rocking、It's Only Rock‘n’ Rollと立て続けに勢いのある曲が続く。Mickが花道の先端まで来て歌うと、KeithとRonnieはステージの両端へ行きギターを掻き鳴らす。Ronnieがスライドを弾いているのも見えた。場内は見渡す限り既に総立ち。観客の年齢層が比較的若いこともあるのだろうが、この年代のアーティストでオープニングからこの光景は初めて見た。やはりStonesのファンは他とは違うようだ。

「カエッテキタゾ、トウキョウ!」に大歓声。これ以外にもかなりの日本語MCを話してくれていた。これまで色んなアーティストを観てきたがここまで日本語を話せる人は見たことがなかった。またMickのパワフルな声量、終始ステージで踊り走り煽り続けるスタミナも、70という歳を考えると驚異的であり、もはや常識レベルを超越したモンスターだ。

4曲目のTumbling DiceでLisa FischerとBernard Fowlerのコーラス隊と、Bobby KeysとTim Riesのホーンセクションも登場。ChuckはHonky Tonk Womanのピアノソロでは足まで使って弾いてみせていた。「ツギハシンキョク」と言ってMickがKeithと同じような黄色のテレキャスを抱えながらDoom & Gloomも披露。

リクエスト曲で私はLive With Meに投票していたが、この日決まったのはRespectableだった。そしてMickが「キョウノスペシャルゲストハ、ホテイ!」と言うと登場してきたのはなんと布袋寅泰。場内驚きのどよめきと歓声。布袋さんがRonnieやKeithと並んでソロを回したり、Mickと1本マイクで歌っている姿は全くの予想外だった。これは布袋さんのロンドン公演を見たStones関係者がオファーを出して実現したものらしかった。

その後Mickがメンバー紹介をした。一旦後ろに下がったメンバーが1人1人紹介され前に出てくる。Charlieは背中を押されて少し花道を歩かされていた。最後に紹介されたKeithが笑顔でマイクに立ち、Mick Taylorを呼ぶ。Mick Taylorはかつてに比べるとだいぶ丸くなっていた。KeithのボーカルでSlipping AwayとBefore They Make Me Runを演ってくれた。

Midnight RamblerとMiss Youでは、Mickが花道の先端で観客とコール&レスポンスをして盛り上がる。MickのハーモニカとTaylorのギターの掛け合いや、Darrylのベースソロも良かった。私の最も好きなPaint It Blackはもうカッコいいの一言。

Gimme ShelterはLisaの出番。サビでLisaが歌いながら花道を先端まで歩いてきて、驚異的な声量を見せつける。そこへ後ろからMickが合流し、2人で掛け合い。ふくよかなLisaな細いMickが対照的。

トライバルビートが聴こえてくると、スクリーンには真っ赤に燃え盛る森の映像が映し出される。悪魔のような赤いマントをまとったMickがマイクに立ち、Sympathy For The Devilを歌った。

アンコールでは、まず日本人の合唱隊がステージ左右に立つ。そして美しい合唱を聞かせると、You Can't Always Get What You Wantへ。Timのホルンが荘厳な雰囲気に華を添えている。

最後はテンポアップし、その勢いのままラストのSatisfactionへ。Taylorも最後に再登場しアコギを弾いている。私が中学生の時に初めて聴いた彼らの曲。この反抗心溢れる名曲は、半世紀の間時代を超えてRock & Rollの精神を伝え続けてきた。半世紀前と同じ勢いで駆け抜けていくように演奏している彼らを、私は感慨深く観て聴いていた。

メンバー全員が並んで挨拶。その後Taylorを入れた5人だけで再度挨拶し、ステージを後にした。これでこの日のセットが終了した。約2時間、めぼしい曲はほとんど聴けたと思う。欲を言えばStreet Fighting ManとWild Horsesも聴いてみたかったが。今回彼らは最後などということは一言も言っておらず、Mickは「マタアオウ」とさえ言っていた。本当にまた来てくれそうな気がする。

01.Jumpin' Jack Flash
02.You Got Me Rockin'
03.It's Only Rock'n' Roll
04.Tumbling Dice
05.Ruby Tuesday
06.Doom And Gloom
07.Respectable
08.Honky Tonk Women
09.Slipping Away
10.Before They Make Me Run
11.Midnight Rambler
12.Miss You
13.Paint It Black
14.Gimme Shelter
15.Start Me Up
16.Sympathy For The Devil
17.Brown Sugar
encore
18.You Can't Always Get What You Want
19.Satisfaction


The Rolling Stones 来日決定



Rolling Stonesの来日が決定した。来年2月末から3月頭の東京ドーム3日間が発表されている。間が空いているが、きっとそこにまだ調整中の大阪などが入ってくるのだろう。8万円のゴールデンサークルという席もスゴいが、流石にそこまでは出せない。ひとまず私は最終日公演のS席の抽選に急いで申し込んだ。結果発表を待っている。

今回の来日は8年振りの6度目になるが、私は初だ。昨年末に放映されていた50周年のライブで現役感バリバリの演奏を見て、実際にそれをこの目で見られる日を待っていた。平均年齢69歳だというが、彼らにはそんなことは関係ない。あの公演と同じようにMick Taylorもやって来るというので、Keith、Ron、Mickのトリプルギターも見られるわけだ。

それにしても最近の大物の来日ラッシュはどうしたことか。Paul McCartneyにEric Clapton、トドメがこのStones。しかもClaptonとはほぼ同時期の来日。もう少し間を開けてほしかった気もするが。とにかく先日リリースされていたハイドパークのライブでも聴いて準備をしておくとしよう。ってまだチケット取れてないか。


Faces 「Ooh La La」 (1973)

ウー・ラ・ラウー・ラ・ラ
フェイセズ

ワーナーミュージック・ジャパン 2013-07-23
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1. Silicone Grown
2. Cindy Incidentally
3. Flags And Banners
4. My Fault
5. Borstal Boys
6. Fly In The Ointment
7. If I'm On The Late Side
8. Glad & Sorry
9. Just Another Honky
10. Ooh La La

さて今月は1990年周辺のルーツ系Rock & Rollバンドたちを特集してきたわけだが、締めはこれにしようと思う。当時のこうした若いバンドたちが皆こぞってお手本にしていたのが、The Rolling Stonesと、このFacesである。

ボーカルRod StewartとギターRon Woodという二枚看板を要し、最高にカッコいいRock & Rollバンド。元々2人は60年代末期にはJeff Beck Groupにいたのたが、Steve Mariottを失ったRonnie LaneがSmall Facesの立て直しに2人を誘ったことがきっかけ。そうしてFacesが誕生する。

このバンドの魅力は沢山あるのだが、そのうちの1つにはやはりRodのボーカルが挙げられる。華のあるハスキーボイスに豊かな表現力、加えてあの甘いルックスである。文句ないそのスター性をもって並行していたソロが大成功するのも納得である。

しかしこの当時Rodはバンドよりも完全にソロとしての活動の方が中心となっていた。そのためRodは今作のレコーディングにも、自分の歌入れの時しか顔を出さなかったらしい。M8ではRonnieが、M10ではRonがボーカルを取っていることや、M6がインスト、M3が中途半端で終わってしまっていることも、恐らくこうした状況が影響しているのだろうと思われる。

では今作は駄作かというと、それが全く逆なのがスゴいところだ。まず前半は彼らの得意とするゴキゲンなRock & Rollが展開される。Ronの絶妙なギター、Ian McLaganの弾むようなピアノなど、バンドが渾然一体となった演奏がグルーヴしている。こんな聴く者を踊りたくさせるようなR&Rは最高の証だ。

そして後半は、前述の結果非常にバラエティ豊かな展開を見せるのだが、ここでの主役は影のリーダーRonnieである。彼は本来持っていたアメリカ南部趣向を全面に打ち出し、カントリー/フォーク色が強く出ている。これがまた牧歌的で暖かみがありつつも、どこかもの寂しさも漂い心を打つ。とにかくアルバム全編素晴らしいのだが、最も好きなのはM2とM9である。

しかしリリース直後にRonnieはツアー生活に対する嫌気から、遂にバンドを脱退してしまい本場のアメリカ南部へ渡ってしまう。Facesはその後間もなく解散。Rodはソロに専念し、RonはRolling Stonesに加入する。こうして「Ooh La La」は彼らのラストアルバムとなるのだが、それはまるでThe Beatlesの「Abbey Road」のように末期のバンドが生んだ奇跡の名盤だったと思っている。

★★★★★


The Black Crowes 「Amorica」 (1994)

AmoricaAmorica
Black Crowes

Warner Bros / Wea 1994-11-01
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1. Gone
2. A Conspiracy
3. High Head Blues
4. Cursed Diamond
5. Nonfiction
6. She Gave Good Sunflower
7. P.25 London
8. Ballad In Urgency
9. Wiser Time
10. Downtown Money Waster
11. Descending

1990年にデビューしたRock & Rollバンドと言えば、忘れてはいけないのが我が愛するThe Black Crowesである。当時こうしたルーツ回帰を目指すRock & Rollバンドがこぞって同時期に現れているが、これは決して偶然ではなく、恐らく当時の飽和したハードロックに対するカウンターパーツとしてある種必然だったのだろうと思われる。

The Black CrowesはChrisとRichのRobinson兄弟によって、アメリカ南部の本場ジョージア州アトランタにて結成されている。Chrisは何千枚というレコードコレクターだったらしいが、その中でも70年代Rock & Rollのさらに先にある、Robert JohnsonやMuddy Waters、Otis Reddingなどのクラシックブルースやソウルに強い影響を受けたという。客演したAllman Brothers BandのChuckに「こういうRock & Rollを演るのに君たちは恐ろしく若いな」と感嘆させたそうだが、彼らにしてみれば当然の結果だったのだろう。

彼らのアルバムは傑作揃いなのだが、1枚選ぶなら3rd「Amorica」だろう。まずはこのジャケットのインパクトがスゴい。このせいでこのアルバムが買い辛かったという人も多くいた。このタイトルに星条旗、そして恐らく肌の色からこの少女は黒人だろうと思われるが、アメリカ南部の土着性を担うという彼らの並々ならぬ自信が表れている。

実際中身の方もかなり濃い内容になっている。デビュー当時は比較的ストレートなRock & Rollだったが、ここでの彼らは南部の泥沼にどっぷりと浸かっている。冒頭ゲストEric Boboのパーカッションを交えた太いグルーヴが渾然一体となってうねる。アルバム前半部はそのまま貫禄のあるR&Rが展開し、Chrisのソウルフルなボーカルや、前作から加入したギタリストMark Fordのソロが冴え渡る。また後半はそれまでの動に対して静のサイドで、スライドやマンドリン、ペダルスティールなどの味わい深い調べが響く。とにかく1曲1曲が素晴らしい。

しかし400万枚売れた1stやNo.1を獲った2ndに比べると、このアルバムは100万枚のみとあまり売れなかった。ストレートなRock & Rollに比べると、より泥臭いものは大衆的ではなかったのかもしれない。また最初にあまりにも売れ過ぎてしまった感もある。しかし彼らはこの作品をもって、現代に継承する南部の王者に君臨したと私は思っている。

★★★★★


Quireboys 「A Bit Of What You Fancy」 (1990)

Bit of What You FancyBit of What You Fancy
Quireboys

EMI Import 2011-02-20
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1. 7 O'Clock
2. Man On The Loose
3. Whippin' Boy
4. Sex Party
5. Sweet Mary Ann
6. I Don't Love You Anymore
7. Hey You (Live)
8. Misled
9. Long Time Comin'
10. Roses & Rings
11. There She Goes Again
12. Take Me Home

先週のCinderellaの「Heartbreak Station」がリリースされたのは1990年だった。この同じ年に同じ音楽性を持ったバンドがイギリスのロンドンからデビューしていた。それがQuireboysである。

この通好みなRock & Rollバンドを、当時HR/HM評論家の伊藤正則氏は「大英帝国の伝統を継承する、誇りと気品を持った救世主」というように褒め称えていた。確かにこのバンドはイギリスのバンドであることに拘りを持っていたし、Rolling StonesやFacesといったイギリスのバンドをルーツにしていた。正則氏の鼻息の荒さもあって、StonesやFacesもほとんど聴いたことがない当時のHR/HMファンは、この渋さが英国の伝統なのかと勘違いをしていた。私もその1人だった。

しかし今考えてみると、それらのバンドや当時のイギリスのパブロックバンドが目指していたのはアメリカ南部だった。彼らが演っていたブルースやカントリー、スワンプやR&Bやゴスペルといった要素は、全てアメリカ南部へのオマージュだったわけである。なので、それを掴まえて英国の伝統とするのは、おかしな話なのである。

そこを正しく認識した上で改めて聴くと、これは本当にゴキゲンなRock & Rollアルバムである。当時ヒットしたM1に代表されるように、バックで縦横無尽に転がるホンキートンクピアノが非常に心地良く、サウンドの要となっている。またハスキーなSpikeのボーカルはRod StewartにソックリだからどうしてもFacesを思わずにはいられない。カントリー曲やゴスペルコーラスのバラードなどもあり、奏でている音楽性は明らかにアメリカンなのだが、ファッションはきっちりドレスアップして胸に赤いバラの花なんて差しちゃうところなんかは、やはり英国人らしいなぁと思う。

ちなみに当初在籍していたギタリストGingerは脱退し自身のThe Wildheartsを結成する。こちらはもっとハードでひねくれたRock & Rollを展開していった。

Quireboysは2ndまでリリースしたが結局大きな成功を収めることはできずに解散する。しかし2000年には再結成し、その後はコンスタントに活動を継続している。一時期同名バンドがいたため、バンド名をLondon Quireboysと改名していたが、今はまた元に戻している。

★★★★


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