Rock & Roll

The Black Crowes Live Report 2022

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昨日The Black Crowesの来日公演を観に立川へ行ってきた。デビュー30周年を記念したこのツアーは2020年に発表されたが、コロナのために延期となっており、今年からようやく開始されていた。しかしまさか日本にまで来てくれるとは全く予想していなかった。彼らの来日は17年振りだが、私にとっては念願の初公演である、

そもそもバンドは兄弟の不仲により2013年から活動を停止していた。その原因はChris側がバンドメンバーに正当なギャラを払わなかったというもの。これは当時マネージャーをしていたChrisの妻が噛んでいたらしい。しかしRichの最新インタビューによると、既にChrisは離婚しており、今回の復縁はそれとも関係ないらしい。要するに時間が解決したということなのだろう。

さて気になったバンドメンバーだが、兄弟以外でかつてのメンバーはベースのSven Pipienのみであり、それ以外は友人やオーディションによるサポートという扱いのようだ。出来れば往年のメンバーで集まって欲しかったのだが、またギャラで揉めるのを避けたのかもしれない。

会場の立川ステージガーデンに入ると、3階席まであり思っていたよりも大きなハコだった。私の席は1階席の12列目の中央で、予想外に良席だった。年齢層は30〜50代といったところか。ヒッピーぽい人や女性も少なくなかった。

17:35にオープニングアクトとして日本のリフの惑星というバンドが登場した。エモっぽかったりThe Black Crowesとは少し毛色が違ったが、"Helter Skelter"をカヴァーしていたりなかなか好演だった

どんでん中に2羽のカラスのバックドロップが現れると場内に拍手が沸き撮影する人が多かった。18:30にThe Black Crowesのメンバーが右袖から登場すると、場内は大歓声にて早くもオールスタンディングとなる。そして始まったのは"Twice As Hard"。ゆったりとしたギターリフからボトムの効いたバンドサウンドが重なった後に、Chrisが高らかに歌い始めた。

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ステージの中央にボーカルChris Robinson、右手にギターRich Robinson、左手にはベースのSven Pipienともう1人のギターIsaih Mitchell。後ろには右からキーボードErik Deutsch、ドラムBrian Griffin、そしてバックコーラスの女性が2人。計8人の大所帯だ。

Chrisは青いジャケットに羽の付いた黒のシルクハットが良く似合っている。初めてその姿を拝んだが、重ねた歳が渋みを増しており、手を振り上げたり、マイクスタンドを回したり等、一挙手一投足がサマになる。観客の煽り方も非常に上手く、やはり彼のカリスマ性に納得。

Richは3年前のMagpie Saluteで見たが、さらに貫禄が出たかな。髪型もChrisと同じようで、こうして見るとやっぱり兄弟だなと感じる。SvenもMagpieで見たが、この人は以前から老け顔だったせいか一番変わってない。終始にこやかで楽しそうにベースを弾いていた。

「ありがとうトーキョー。The Black Crowesショーへようこそ」とChrisのMC。そして2曲目はピアノがご機嫌なR&Rナンバー"Jealous Again"に、思わず身体が揺れ動く。一度だけ中央のマイクでChrisとRichが顔を近づけて歌う場面を見て、あぁ今The Black Crowesを観ているのだと実感した。3曲目のスローナンバー"Sister Luck"ではChrisの伸びやかな歌い上げを堪能した。

今回は1stアルバム「Shake Your Money Maker」全曲演奏ということなのだか、正直私の中ではこのアルバムにはそれほど強い思い入れがなかった。他のアルバムから先に聴いていたので、後追いになってしまったからだ。しかしこうして聴いていると、やはり素晴らしい曲ばかりの名盤だと痛感させられた。

他のメンバーは名前も分からなかったが、一番強く印象に残ったのが、もう1人のギターIsiah。オールマンのような渋い風貌をしていたが、リードギター担当ということもあり、鋭いギターソロやスライドなどのプレイには何度も目を奪われた。

「次はゴスペル曲を演ろうか」と言って始まった"Seeing Things"では特に女性コーラスが良かった。2人とも若くてセクシーな美女揃いで、曲に合わせて踊りながら綺麗な歌声を重ねていた。また「ジョージアはOtis Reddingが作ったんだ」と言って演奏したのが"Hard To Handle"。アメリカ南部を強く感じさせるステージだ。

Richはテレキャスターやファルコンなど曲が変わる度に毎回ギターを変えていたが、一度だけアコギを持って弾き始めたのが"She Talks To Angel"。Chrisの歌声との重なりが綺麗だった。

私がこの日驚いたのは、ステージ上もさることながら、観客のノリの良さだ。冒頭から曲に合わせて全員が思い思いに踊っていて、あまり日本では見られない光景に、思わずここはアメリカかと思ってしまった。またここ最近のコロナ禍のライブでは、観客は声を出すことが禁止されていたが、この日は皆歌ったり歓声を上げていた。さらに撮影もOKらしい。私も終始歌い踊り撮影し、これ以上ない居心地の良さを感じていた。

"Struttin' Blues", "Stare It Cold"と立て続けにノリの良いR&Rで盛り上がり「Money Maker」アルバムは終了した。ここからは何を演るかは分からない。始まったのは"Sometimes Salvation"。沈み込むようなリフが腹に響く。

軽快な"Soul Singing"の後は"Wiser Time" 。最も聴きたかった内の1曲だ。静かに始まり徐々に盛り上がっていき、終盤ではIsiahがソロを弾いた後に今度はRichもソロを弾き、最後は2人でツインリードを聴かせてくれて酔いしれた。

"Thorn In My Pride"ではChrisがハーモニカを吹き出し、Richのギターとの掛け合いで楽しませてくれた。最後はぶっといグルーヴの"Remedy"で首を痛くした。

本編終了しメンバーは一度退場するも、止まぬ拍手に再登場してくれた。「最後にR&R曲を1曲演ろう」と言って始まったのはRolling Stonesの"Rocks Off"。先日リリースしたカヴァーEPの冒頭曲である。そして20時過ぎに大歓声の中で全公演が終了した。

今思えば少し短かったかなとか、あんな曲も聴きたかったなどないこともないが、とにかく楽しく大満足なR&Rライブだった。もう思い残すことはない。

01 Twice As Hard
02 Jealous Again
03 Sister Luck
04 Could I've Been So Blind
05 Seeing Things
06 Hard To Handle
07 Thick N' Thin
08 She Talks To Angels
09 Struttin' Blues
10 Stare It Cold
11 Sometimes Salvation
12 Soul Singing
13 Wiser Time
14 Thorn In My Pride
15 Remedy
<encore>
16 Rocks Off

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チャーリー・ワッツ他界

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これはもっと早く上げたかったのだが遅くなってしまった。去る8月24日にローリングストーンズのチャーリー・ワッツ(Charlie Watts, 1941-2021)が他界してしまった。享年80歳だった。

かつてロックは若者の音楽だった。セックス・ドラッグ・ロックンロールで生きていれば早死にするのが当たり前だった。そんなロックが歴史を重ねていく中で、一体ロックスターは何歳まで現役でいられるのかという議論が酒の肴になると、決まって誰かがこう言った。「ストーンズのチャーリーを見ろよ。還暦を超えてもまだ現役なんだぞ」と。思えばそれももう20年も前の話だ。

ロックが誕生してから半世紀を超え、還暦を過ぎてもロックし続けることが当たり前になった。そんな中でもチャーリーはやっぱり特別だった。私が最初で最後に観たストーンズ公演は2014年の東京ドーム。若々しい赤いTシャツを着てジャズスタイルで正確でタイトなリズムを刻み、紹介の時には背中を押されて照れながら花道を少しだけ歩いてきてくれた。

皆に愛されたチャーリー。同業アーティストからの追悼メッセージも膨大な数だった。

RIP


The Black Crowes 再結成

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10月のある日、アメリカはニュージャージーの道路脇に突如カラスの看板が現れた。翌月にはペンシルベニア駅にポスターが掲示された。これによりThe Black Crowesが5年振りに再結成が明らかになった。デビュー30周年となる来年2020年に、ファーストアルバム「Shake Your Money Maker」再現の全米ツアーをするという。

これを聞き喜ぶと同時に疑問に思った。何しろRichのバンドMagpie Saluteは先日セカンドアルバムを発表したばかり。本来ならそのツアーが組まれるはずだった。恐らく今回の再結成はプロモーターLive Nationが企画し兄弟に持ちかけたのだろう。

参加するメンバーもChrisとRichの兄弟以外は全員新規メンバーばかり。前回の解散の理由がオリジナルドラマーSteve Gormanへの報酬額を巡る兄弟の諍いだったことを考えると、余計なトラブルを避けてとりあえずこのツアーだけこなすという意図が見て取れる。何より写真やステージでの2人の固い表情が全てを物語っている。

確かに30周年というのは大きな節目だ。また2人にも家族があり、稼がなければいけないという理由もあるだろう。このライブもファンとしては当然観たい。

でもね、私が本当に観たいのは、こんなビジネスライクなライブじゃないのだよ。かつてのメンバーが全員集まって、お互い笑顔で楽しそうに演奏するライブが観たいのだ。そんな日が来るのはもう少し先なんだろうな。


ローリングストーンズ展

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TOC五反田メッセで開催されていたローリングストーンズ展(Exhibitionism)に行って来た。実はここは勤め先に近いのだが、平日は忙しくて仕事帰りには行けず、結局休みの日に行った。

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最初に大部屋で迫力のある映像を見た後に再現されていたのが、彼らがデビュー前に共同生活をしていたロンドンのアパート。散らかったビール瓶やタバコやレコードだけでなく、汚いキッチンまで完全再現されていて笑った。

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続いてはデビュー時の資料。直筆のアンケートや契約書の他にキースの日記まであり「1963年1月16日、リハーサル。ステュとビルが来なかった」と書いてあってまた笑った。

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レコーディングスタジオまで再現されていた。実際に使用した楽器にコンソール、録音テープまで展示されていた。

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キースやロニーらのギターもずらりと並んでいた。

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楽曲をいじれるデジタルコンソールもあった。ミックには悪いがボーカルは消して各楽器音を堪能した。

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ここからは彼らのデザイン関連の展示で、ベロマーク、ツアーポスター、アルバムジャケット、ステージセット、映像作品まで様々。アンディ・ウォーホルの油彩や鉛筆の肖像画も見ることが出来た。

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ステージ衣装もデビュー時から最近のものまで50着以上。さらにはバックステージの再現や3D映像、ロニーの絵心のあるリハーサルリストなどまで。気付いたら3時間も経っていた。

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行く前は3500円は高いなと思っていたが、Stonesの全軌跡を辿れる展示内容にむしろ安いと思った。Stonesファンなら是非。

The Magpie Salute Live Report 2019

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The Magpie Saluteのライブに行って来た。会場は恵比寿ガーデンホール。時間前に間に合ったが、既にロッカーが空いておらず、仕方なく上着と鞄を抱えたまま、前方右手のRich側に滑り込む。

間も無く開演時間になり、歓声の中メンバーが登場した。スタートは”Walk On Water”。ステージ前方右からギターのRich Robinson、ボーカルJohn Hogg、ギターMark Ford。後方は右からキーボードMatt Slocum、ドラムJoe Magistro、ベースSven Pipien。Richは昔に比べてかなり貫禄が出て、最初Warren Hanesかと思った。Johnはアコギを弾きながら歌っているが、なかなか雰囲気もあり良い声をしている。Markは髪を短くしていたが、やっぱりカッコ良い。バンドの演奏もきっちりまとまっていて、思わず身体が動く。途中のソロはMarkがスライドを決めていた。

続いての”Take It All”ではJohnがハンドマイクで歌い出す。今度のソロではRichがスライドを披露。2人ともスライドを弾けるというのはやはり強みだ。3曲目は特にお気に入りの”For The Wind”。2本のギターがツインリードで重なり合うところは、まるでEric ClaptonとDuane Allmanによる”Layla”を観ているようだった。個人的にはここが早くも1つ目のハイライト。

自分達の曲を披露した後はカヴァータイム。Johnが「俺はRod Stewartみたいにセクシーかい?」と軽く笑いを誘った後にRodの”Every Picture Tells A Story”。彼の声は確かにRodに似ている。そして次は本当にClaptonのBlind Faithだった。

ここでMarkタイム。自らボーカルを取り、自身のソロ曲”The Vulture”をブルージーに聴かせる。すると今度はRichがボーカルを取り、ソロ曲ではなくLou Reedの”Oh Sweet Nuthin”。これも良い曲で、温かみのあるRichの声も良い。RichとMarkは曲毎にレスポール・ファルコン・ストラトなど次々とギターを交換しており忙しそうだった。

ここでRichが「少しアコースティックで弾こうか」。RichとJohnとMarkのフロント3人だけがステージに残り、中央のスタンドマイクに寄り添う。RichとMarkの2本のアコギを両脇に、Johnがしっとりと”You Found Me”を歌い上げる。続いてはRichのボーカルでBob Dylanの”Girl From The North Country”。タメの効いたアレンジと美しいアコギの調べに酔いしれ、ここが2つ目のハイライト。3曲目はようやくここでBlack Crowesナンバー”Lay It All On Me”。Richが低音、Johnが高音で綺麗にボーカルを重ね合わせ、そこにMarkがアコースティックスライドと、これも絶妙。そんな後ろでバックの3人がこっそりステージに戻り、途中からそのままバンド演奏に突入。この演出がまたカッコ良い。

この後はジャムタイム。”High Water”の後半はアレンジを変えて、バンドは長尺の演奏を続ける。続くAllmanの”Dreams”も正にジャム曲。RichとMarkのソロの間に、Mattのオルガンソロも披露された。出来ればピアノが聴きたかった。

”Can You See”の後に最後のBlack Crowesタイム。”Horsehead”のイントロが聴こえると大歓声。思い切りタメの効いたグルーヴに思わず身体が動く。続く”Good Morning Captain”も大好きな曲。ノリながら一緒に口ずさむ。

Rich「今日はありがとう。いちいちステージを降りて戻って来たりはしないから、ここからはアンコールになるよ。もう2曲ほど演奏するよ。君達が望むならね」。この英語が少し分かり辛かったからか、拍手が少なめだったのに対して「それだけ?」とRich。メンバー紹介には大歓声が上がった。

ということでアンコール?は初期の”Thorn In My Pride”。続いて”Send Me An Omen”が聴こえてきた時は、これで終わってしまうのかと寂しくなった。終了後並ぶこともなく、皆さっさと退場して行ったので、本当のアンコールがあるのかと期待してみたが、客電が付いてしまった。終わりが呆気なくて少し残念だったが、とても南部土臭さたっぷりの素晴らしいステージだった。

さて200曲もあるというレパートリーの多さから、彼らのセットリストは毎晩全く変わり、何が飛び出すか分からない楽しさがある。欲を言えば、前日に演った'The Bandの”Lookout Cleveland”や、大阪で演ったZeppelinも聴いてみたかった。またRichのソロとか、Black Crowesの曲を言い出したらキリがない。Richが「また会おう」と言っていたから、次のアルバムを出したらきっとまた来てくれるだろう。

1. Walk on Water
2. Take It All
3. For the Wind
4. Open Up
5. Every Picture Tells a Story (Rod Stewart)
6. Had to Cry Today (Blind Faith)
7. The Vulture (Marc Ford & The Neptune Blues Club)
8. Oh! Sweet Nuthin' (The Velvet Underground)
9. You Found Me
10.Girl From the North Country (Bob Dylan)
11. Lay It All on Me
12. High Water
13. Dreams (The Allman Brothers Band)
14. Horsehead
15. Good Morning Captain
16. Thorn in My Pride
17. Send Me an Omen

 

The Magpie Salute 「High WaterⅠ」 (2018)

ハイ・ウォーター・ワン
ザ・マグパイ・サルート
SMJ
2018-08-10


1. Mary The Gypsy
2. High Water
3. Send Me An Omen
4. For The Wind
5. Sister Moon
6. Color Blind
7. Take It All
8. Walk On Water
9. Hand In Hand
10. You Found Me
11. Can You See
12. Open Up
13. Omission (Bonus Truck) 

The Magpie Saluteがやって来る。これは元The Black Crowesの弟Rich Robinsonが結成したバンドで、昨年来日が発表された直後にチケットを確保した。

今回このバンドは、これまでのRichのソロとは全く違う。何しろBlack CrowesにいたギターのMark FordとベースのSven Pipienも参加しているのだ。本当はキーボードのEddie Harschもいたのだが、2016年に他界してしまった。これまでBlack Crowesのライブを観ることが叶わなかったので、当初はそれを期待してチケットを取っていた。

しかしやはりそれでは勿体無いと、後でちゃんとCDを買って聴いてみた (もはや今の時代にCDなど少数派なのかもしれないが、ジャケットが綺麗なのだ)。

冒頭ファンファーレから勢いよくスタートする。小気味良いギターリフとドラムがアップテンポで駆け抜けるご機嫌なRock & Roll。以前Richと組んだこともあるボーカルのJohn Hoggは、兄のChrisほどクセのあるタイプではないが、どんな曲でも歌いこなせるだけの高い力量を持っている。

コンポーザーはRich、Mark、Johnの3人。楽曲はノリの良いR&Rから、おおらかなミドルテンポ、しっとりとしたバラード、アコースティックまで幅広いが、どの曲も非常に完成度は高い。後期Black Crowesの枯れた味わいからは一転し、溢れるような若々しさが印象的だ。随所で聴けるスライドやピアノの音も気持ち良い。特にM4とM5を是非ライブで聴いてみたいが、きっとどの曲でも楽しめそうだ。

なるほどRichがソロではなくバンドとしてやりたいと思っただけのことはあるのが良く分かる。Black CrowesではなくMagpie Saluteを観たい。そう思わせるだけのものがここにある。


Huey Lewis & The News Japan Tour 2017

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Huey Lewis & The Newsの来日公演に行ってきた。4年前に見逃して悔しい思いをしたが、また来るとは思っていなかった。会場はオーチャードホールで、私の席は2階の最前列。観客は40~50代が多いようだった。行ったのは21日だったが、翌日の追加公演がグレイテストヒッツになると聞いていた。そっちへ行くべきだったかと思ったが、逆に現在進行形なバンドの姿を知ることが出来た。

場内暗転すると、ステージは赤く点滅する中、ダンダダンとR&Rの鼓動が鳴り響いてきた。次々とメンバーが登場し、始まったのはもちろん”Heart Of Rock & Roll”。歓声の中、最後にサングラスをかけたHueyがステージに登場しハーモニカを吹き鳴らした後にマイクを掴んだ。

懐かしいあのハスキーボイス、伸びやかな高音にシャウト。遠目だからか67歳という年齢ほど歳を取ったようには見えず、自慢のゴールデンボイスも健在だ。右手にいる若くて髪の長いイケメンギタリストがギターでクラクションの音を出している。左手はオリジナルメンバーのJohnny Colla。彼はギターを弾いていたと思ったら、今度はサックスに持ち替えて吹き鳴らす。1階席はすでにオールスタンディング。このオーチャードホールでオールスタンディングの光景を見るのは初めてだ。

最近の曲だろうか初めて聴く2曲目の後に、また聴き慣れた”I Want A New Drag”のイントロが流れ観客が反応する。Johnnyは3人のホーンセクションに並んでサックス。右手の若いギタリストがこの曲や”Jacob's Ladder”の中間部で長いギターソロを聴かせ新しい解釈を加えていた。彼の若さがこの親父バンドに活きの良さを持ち込んでいるのが見て取れた。

ここでHueyのMC。「ドモアリガト、トーキョー!今日は11月21日の水曜日だ。今夜を忘れられない夜にしようぜ。これは新曲だ」”Her Love Is Killing Me”とタイトルされたノリの良いR&R。最後Hueyはタイトル通りドラムセットに倒れ込む茶目っ気を見せる。昔の曲と新曲やカヴァー曲を上手く織り交ぜながらセットは進んでいく。Hueyはバンドマイクでステージを左へ右へ動き「Are you with me !?」と煽ったり、観客に歌わせたり、上手く場内を盛り上げる。

途中1人ずつバンド紹介。オリジナルメンバーのキーボードSean HopperやドラムBill Gibsonの時は一際大きな歓声が上がった。「続く2曲はアカペラだ。知ってれば歌って、知らなければ手を叩いてくれ」メンバー全員ステージフロントに出て来て横一列に並ぶ。楽器はギター1本とベース、スネアドラムとホーン。この編成で1曲歌った後は、5人だけになり今度は完全なアカペラで新曲”Looking For A Love”。これがまた見事で、Seanの低音が特に良い味を出していた。

ここでHueyが「Lets go back to the future !」と叫び”Back In Time”へと雪崩れ込む。ここからはヒット曲のオンパレードと行って欲しかったが、”Heart And Soul”の後はまたカヴァーがありつつ本編終了。

アンコールで歓声の中Hueyが1人でステージに戻った後、ホーンセクションの紹介。そして「何か聴きたいか知ってるよ。30年前にこの曲を書いて以来毎晩演ることになった。これは君達のためだ」と言って始まったのは”Power Of Love”。中間部でHueyが「Can you feel it?」と煽る。正直愛の力は感じないが、音楽の力は感じることが出来た。

クールダウンしてミドルテンポの”Stuck With Me”。幸福感溢れる歌詞と綺麗なコーラスに改めて良い曲だなというのと、西海岸のバンドだなというのを再認識する。
その後ドラムとハーモニカだけで盛り上げた後、アップテンポの”Working For Living”で駆け抜ける。最後は全員で飛び上がって最後の音を鳴らして終了。横一列で挨拶をした後、大歓声の中ステージを去って行った。90分という短い時間ではあったが素晴らしいステージだった。

残念だったのは自分の席位置。ステージは良く見えたが、結局最後まで立ち上がることが出来ずじまい。これは座って観るような音楽じゃないだろう。こんな最高のR&Rは。

1. The Heart Of Rock & Roll
2. Remind Me Why I Love You Again
3. Doing It All For My Baby
4. I Want A New Drug
5. Her Love Is Killing Me
6. Jacob's Ladder
7. Hip To Be Square
8. Um, Um, Um, Um, Um, Um, Um
9. Lookin' For A Love
10.While We're Young
11.Back In Time
12.Heart And Soul
13.But It's Alright
14.We're Not Here For A Long Time
encore
15.The Power Of Love
16.Stuck With You
17.Workin' For A Livin

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L.A. Metal Summit 公演中止

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L.A. Metal Summitの公演が中止になった。これは来月幕張メッセでの開催するはずだった80年代アメリカンハードロックのフェスで、以下のバンド・ミュージシャンが出演予定だった。

<5/13>
Vince Neil of Mötley Crüe
Cinderella's Tom Keifer
L.A. GUNS  (Featuring Phil Lewis<Vo>, Tracii Guns<G>)
Faster Pussycat
Hair-King
Li-sa-X

<5/14>
RATT  (featuring Stephen Pearcy<Vo>, Warren DeMartini<G>, Juan Croucier<B>, Carlos Cavazo<G>)
Sebastian Bach
Slaughter 
Enuff Z'nuff 
Hair-King
Li-sa-X

チケットが売れてなかったからなのかと思ったが、どうやらそれだけではないらしい。個人的にもこのLA Metalという呼称には違和感はあり、そもそもCinderellaもSkid RowもLAではなく東海岸出身である。大阪のバンドをつかまえてTokyo Metalと呼んでいるようなものだ。また開催発表が2ヶ月前というのもあまりに遅過ぎだったろう。

最近話題のLi-sa-Xも気になっていたが、私が一番目当てだったのはTom Keifer。Cinderellaが好きだったのだがチャンスがなく、数年前にTomがソロアルバムをリリースして復活して以来観られる日を楽しみにしていた。今後また機会があるとは到底思えない。。

Chuck Berry 他界

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Chuck Berryが亡くなりました。享年90歳でした。

彼こそはFather of Rock & Roll。同時代にKing of Rock & RollことElvis Presleyがいたわけですが、あちらはカントリー畑出身だったのに対して、Chuckはブルース畑出身。またElvisが女性の熱狂を集めたのに対し、Chuckは男性の絶大な支持を受けました。それは曲も歌い方も良いけどやっぱり彼のギタープレイによるところが大きくて、彼のプレイやパフォーマンスを観て聴いて、俺もあんな風にエレキギターを弾きたいと思ったわけです。それが後のJohn Lennonであり、Keith Richardsであり、Robbie Robertsonであり、等他無数。彼がいなければ、なんてことは言っていてはキリがないほど。でも今観ても最高にカッコ良いし楽しい。

RIP


Eddie Harsch 急逝

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元The Black Crowes のキーボーディストEddie Harsch(エディー・ハーシュ)が11月4日に亡くなりました。享年59歳でした。

Eddieは1991年から2006年まで全盛期のThe Black Crowesに在籍していました。ご機嫌なRock & Rollに陽気さを、メロウなバラードに美しさを彩る彼のピアノが大好きでした。

今年はRich Robinsonが始動したThe Magpie SaluteにギターのMark Fordと共に参加しており、来日も期待していたのですが。。残念です。

RIP

 
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