昨日The Black Crowesの来日公演を観に立川へ行ってきた。デビュー30周年を記念したこのツアーは2020年に発表されたが、コロナのために延期となっており、今年からようやく開始されていた。しかしまさか日本にまで来てくれるとは全く予想していなかった。彼らの来日は17年振りだが、私にとっては念願の初公演である、
そもそもバンドは兄弟の不仲により2013年から活動を停止していた。その原因はChris側がバンドメンバーに正当なギャラを払わなかったというもの。これは当時マネージャーをしていたChrisの妻が噛んでいたらしい。しかしRichの最新インタビューによると、既にChrisは離婚しており、今回の復縁はそれとも関係ないらしい。要するに時間が解決したということなのだろう。
さて気になったバンドメンバーだが、兄弟以外でかつてのメンバーはベースのSven Pipienのみであり、それ以外は友人やオーディションによるサポートという扱いのようだ。出来れば往年のメンバーで集まって欲しかったのだが、またギャラで揉めるのを避けたのかもしれない。
会場の立川ステージガーデンに入ると、3階席まであり思っていたよりも大きなハコだった。私の席は1階席の12列目の中央で、予想外に良席だった。年齢層は30〜50代といったところか。ヒッピーぽい人や女性も少なくなかった。
17:35にオープニングアクトとして日本のリフの惑星というバンドが登場した。エモっぽかったりThe Black Crowesとは少し毛色が違ったが、"Helter Skelter"をカヴァーしていたりなかなか好演だった
どんでん中に2羽のカラスのバックドロップが現れると場内に拍手が沸き撮影する人が多かった。18:30にThe Black Crowesのメンバーが右袖から登場すると、場内は大歓声にて早くもオールスタンディングとなる。そして始まったのは"Twice As Hard"。ゆったりとしたギターリフからボトムの効いたバンドサウンドが重なった後に、Chrisが高らかに歌い始めた。
ステージの中央にボーカルChris Robinson、右手にギターRich Robinson、左手にはベースのSven Pipienともう1人のギターIsaih Mitchell。後ろには右からキーボードErik Deutsch、ドラムBrian Griffin、そしてバックコーラスの女性が2人。計8人の大所帯だ。
Chrisは青いジャケットに羽の付いた黒のシルクハットが良く似合っている。初めてその姿を拝んだが、重ねた歳が渋みを増しており、手を振り上げたり、マイクスタンドを回したり等、一挙手一投足がサマになる。観客の煽り方も非常に上手く、やはり彼のカリスマ性に納得。
Richは3年前のMagpie Saluteで見たが、さらに貫禄が出たかな。髪型もChrisと同じようで、こうして見るとやっぱり兄弟だなと感じる。SvenもMagpieで見たが、この人は以前から老け顔だったせいか一番変わってない。終始にこやかで楽しそうにベースを弾いていた。
「ありがとうトーキョー。The Black Crowesショーへようこそ」とChrisのMC。そして2曲目はピアノがご機嫌なR&Rナンバー"Jealous Again"に、思わず身体が揺れ動く。一度だけ中央のマイクでChrisとRichが顔を近づけて歌う場面を見て、あぁ今The Black Crowesを観ているのだと実感した。3曲目のスローナンバー"Sister Luck"ではChrisの伸びやかな歌い上げを堪能した。
今回は1stアルバム「Shake Your Money Maker」全曲演奏ということなのだか、正直私の中ではこのアルバムにはそれほど強い思い入れがなかった。他のアルバムから先に聴いていたので、後追いになってしまったからだ。しかしこうして聴いていると、やはり素晴らしい曲ばかりの名盤だと痛感させられた。
他のメンバーは名前も分からなかったが、一番強く印象に残ったのが、もう1人のギターIsiah。オールマンのような渋い風貌をしていたが、リードギター担当ということもあり、鋭いギターソロやスライドなどのプレイには何度も目を奪われた。
「次はゴスペル曲を演ろうか」と言って始まった"Seeing Things"では特に女性コーラスが良かった。2人とも若くてセクシーな美女揃いで、曲に合わせて踊りながら綺麗な歌声を重ねていた。また「ジョージアはOtis Reddingが作ったんだ」と言って演奏したのが"Hard To Handle"。アメリカ南部を強く感じさせるステージだ。
Richはテレキャスターやファルコンなど曲が変わる度に毎回ギターを変えていたが、一度だけアコギを持って弾き始めたのが"She Talks To Angel"。Chrisの歌声との重なりが綺麗だった。
私がこの日驚いたのは、ステージ上もさることながら、観客のノリの良さだ。冒頭から曲に合わせて全員が思い思いに踊っていて、あまり日本では見られない光景に、思わずここはアメリカかと思ってしまった。またここ最近のコロナ禍のライブでは、観客は声を出すことが禁止されていたが、この日は皆歌ったり歓声を上げていた。さらに撮影もOKらしい。私も終始歌い踊り撮影し、これ以上ない居心地の良さを感じていた。
"Struttin' Blues", "Stare It Cold"と立て続けにノリの良いR&Rで盛り上がり「Money Maker」アルバムは終了した。ここからは何を演るかは分からない。始まったのは"Sometimes Salvation"。沈み込むようなリフが腹に響く。
軽快な"Soul Singing"の後は"Wiser Time" 。最も聴きたかった内の1曲だ。静かに始まり徐々に盛り上がっていき、終盤ではIsiahがソロを弾いた後に今度はRichもソロを弾き、最後は2人でツインリードを聴かせてくれて酔いしれた。
"Thorn In My Pride"ではChrisがハーモニカを吹き出し、Richのギターとの掛け合いで楽しませてくれた。最後はぶっといグルーヴの"Remedy"で首を痛くした。
本編終了しメンバーは一度退場するも、止まぬ拍手に再登場してくれた。「最後にR&R曲を1曲演ろう」と言って始まったのはRolling Stonesの"Rocks Off"。先日リリースしたカヴァーEPの冒頭曲である。そして20時過ぎに大歓声の中で全公演が終了した。
今思えば少し短かったかなとか、あんな曲も聴きたかったなどないこともないが、とにかく楽しく大満足なR&Rライブだった。もう思い残すことはない。
01 Twice As Hard
02 Jealous Again
03 Sister Luck
04 Could I've Been So Blind
05 Seeing Things
06 Hard To Handle
07 Thick N' Thin
08 She Talks To Angels
09 Struttin' Blues
10 Stare It Cold
11 Sometimes Salvation
02 Jealous Again
03 Sister Luck
04 Could I've Been So Blind
05 Seeing Things
06 Hard To Handle
07 Thick N' Thin
08 She Talks To Angels
09 Struttin' Blues
10 Stare It Cold
11 Sometimes Salvation
12 Soul Singing
13 Wiser Time
14 Thorn In My Pride
15 Remedy
<encore>
16 Rocks Off