Punk / Hardcore / Emo

leave them all behind 2020 - Cave In

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ドラムとギターのサウンドチェックが聴こえてきた。恐らく先ほど出演していなかったJRとAdamと思われた。そして最後のトリとしてCave Inが登場した。右手にStephen、中央にNate、左手にAdamが並び、後方のドラムセットにJRが座っている。前回の来日で観たのが2006年だから、もう14年振りになる。

SEとして"Sonata Brodsky"が聴こえた後に、綺麗な高音のトレモロと高速のスネアのイントロの"Luminance"からスタートした。スペーシーサウンドが強めのエコーで広がっていく。さっきまでOld Man Gloomのステージを繰り広げていたばかりのStephenとNateには全く疲れが見られないのは流石だ。咆哮ではなく、ちゃんと歌っているStephenは先ほどとは全く別モードだ。

3曲目の"Off To Ruin"では、グルーヴィなリズムに乗って中央のNateが咆哮する。先ほどのOld Man GloomではStephenが中央に立っていたが、このCave InのステージではNateが中央に立っている。その意味を考えてハッとする。2人とも今は亡きCalebを中央に立たせているのだった。そして実はNateが弾いているのはCalebの白いフェンダーベース。彼らのそうした心遣いに泣けた。

今回一番観たかったのがJRのドラムだった。黒いキャップの彼はさっき観客フロアで見かけていたが、それがJRだとは気付かなかった。前回の来日時に彼は怪我のため来られず、ConvergeのBen Kollerが代役を務めていたので、彼のドラムを観るのは初。手数足数が多くて正確かつ力強いドラミングは、観ていて爽快だった。

4曲目に初期カオティックハードコアナンバー"Moral Eclipse"のイントロが流れた途端、荒くれ者達は待ってましたとばかりにフロアにモッシュピットを作って暴れ出す。やっぱりこれがないと。本当はここに"Jaggernaut"もあったはずなんだが。

この日Calebの遺作となった新作「Final Transmission」の直筆サインCDが物販で残り1枚となっていたので購入していた。ここからは計4曲が披露されていたが、どれもスロー~ミドルテンポだったので少し盛り上がりに欠けた感は否めなかった。"Night Crawler"や"Led To The Wolves"といったCalebらしい曲を聴きたかった。

「Antenna」アルバムからも"Joy Opposite"と"Youth Overrided"が演奏された。個人的にはここで"Woodwork"が聞きたかった。特にメロディアスなこのアルバムは彼らの音楽性の幅広さを物語る。Stephenが「It's commercial ~なんとか」とか言っていたようで気になったが。

色んな時代のアルバムを順番にまんべんなく演ってくれて、スペーシーアルバム「Jupiter」からはタイトルナンバーと"Big Riff"。どのアルバムも作り上げたサウンドが異なるため、曲間のSEが流れている間に、メンバー皆ギターとベースのチューニングに忙しい。途中StephenとAdamが2人向き合って何度も一緒にギターを振り上げていて楽しそうだった。

本編最後は"Trepanning"。いかにもCalebらしいアッパーな曲で、Nateが咆哮する。やっぱりこの曲は盛り上がる。

アンコールで戻ってきて、NateがMCする。Calebのベースを高く持ち上げて紹介した後に、「これは俺が一番好きなCalebのナンバーだ」と言って始まったのは"Inflatable Dream"。前半アッパーだが後半はメロディアスで非常に良い曲なのだが、かなりレア曲で入手が困難なのが勿体ない。

ラストは"Sing My Loves"。StephenはこれがCalebの曲で一番好きだと言っていた。重戦車のような重低音ミドルテンポで突き進んだ後に、幾重にも重なるギターフレーズが浮遊していく名曲。最後はフロント3人とベースとギターを天にいるCalebへ向けて高々と掲げて、大歓声のうちに終幕した。

この日のステージを観て痛感したのは、Calebの遺した功績の大きさ、そして彼がいかに皆に愛されていたかということだった。しかし同時に彼の意志を継いで前に進んでいることも確認できた。こちらも変わらず応援していきたい。

1. Luminance
2. Dark Driving
3. Off to Ruin
4. Moral Eclipse
5. Lanterna
6. Winter Window
7. Joy Opposites
8. Youth Overrided
9. Jupiter
10.All Illusion
11.Shake My Blood
12.Big Riff
13.Trepanning
encore:
14.Inflatable Dream
15.Sing My Loves

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leave them all behind 2020 - Old Man Gloom

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今年もハードコアの祭典leave them all behindに参戦してきた。2月1日の会場は下北沢Garden。この日は前に日本人のバンド3組も出演していたのだが、申し訳ないけど体力が持たないので見合わせて、途中から会場入りさせてもらった。

19:30頃しばらくサウンドチェックの音が聴こえた後に幕が開き、そこにOld Man Gloomの一同が並んでいた。右手に元IsisのAaron Turner、中央にCave InのStephen Brodsky、左手にConvergeのNate Newton、後方にZozobraのSantos Montano。改めて凄い面子が並んでいることに感心する。

曲は"Shoulder Meat"からスタート。しばらく嵐のようなSEが流れた後に、凄まじい迫力の轟音が鳴り響く。このバンドは各自のバンドにはないhave funの精神が特徴的だが、ステージングは至ってシリアスだ。

Aaronは巨漢で髪も髭も長くまるで海賊のようで、見た目の迫力から凄い。その髪を振り乱しながら、凄まじい咆哮とギターの轟音を響かせている。Isisのライブも観たことがなく、ハードコアレーベルHydraheadの統帥にして、ボストンハードコア界の中心的存在である彼のステージを観ることができたことは感慨深かった。

StephenはCalebの代役として中央に立ち、弾いているのもギターではなくベースだった。髪を丸刈りにし、体格も一回り大きくなったようで、少しCalebに似て見えた。仁王立ちでのっしのっしと貫禄が出ていた。

Nateは昨年のConvergeのステージを観て以来1年振りで髪も伸びたようだ。Convergeではベースだが、ここではギター。皆よく色々弾けるものだ。

ボーカルはずっとAaronが担当していたので、StephenとNateは次のCave Inのステージまで温存するのかと思ったら、4曲目の"Simia Dei"でStephenが、5曲目の"A Hideous Nightmare"でNateも咆哮していた。

曲間はアルバムにもあった不穏なSEで全て繋がっていたが、不気味な笑い声の部分だけはなぜか執拗に繰り返されて、フロアからは失笑が漏れていた。

"Sleeping With Snakes"や"Skullstorm"など後半に行くにつれて、アップテンポの曲が演奏され、ほとんど半狂乱のような轟音で場内を圧倒していった。

Old Man Gloomと昨年のNeurosisは、ジャンルとしては同じスラッジコアに属すると思うが、Neurosisの音楽は精神的な闇の世界に引き摺り込まれる感じだった。それに対してOld Man Gloomはもっと直情的というか、真っ赤な激情を叩きつけられた感がある。いずれにせよ凄いものを目撃することが出来た。

1. Shoulder Meat
2. Common Species
3. Burden
4. Simia Dei
5. A Hideous Nightmare Lies Upon the World
6. Gift
7. new song
8. Sleeping With Snakes
9. Skullstorm
10.To Carry the Flame

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leave them all behind 2020

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今年も開催されるハードコアの祭典「leave  them all behind 2020」。昨年はNeurosisとConvergeのダブルヘッドライナーという豪華な陣営だったが、今年はCave Inが出演するというニュースを昨年知り、いち早くチケットを確保した。

Cave Inは2006年の来日時にクラブクアトロで観たことがある。しかし一昨年にベースのCaleb Scofieldが交通事故のため他界してしまい、存続が危ぶまれていた。それが代役を入れながら新作も発表し、こうして戻って来てくれたわけで、もう一度彼らのステージを観ることができるのは感慨深い。

さらに今回注目すべきもう1組、Calebが参加していた別プロジェクトOld Man Gloomもやって来ることになっている。ここにはConvergeのNate Newton、そして元IsisのAaron Turnerもいる。Nateは昨年のConvergeのステージで拝んだが、Isisは未見のまま解散してしまったのでAaronに会えるのは嬉しい。

両バンドともCalebの遺志を引き継ぐようなパフォーマンスをみせてくれることを期待している。


『leave them all behind 2019』

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ハードコアの祭典「leave them all behind」に参戦してきた。今回は10周年記念ということでConvergeとNeurosisのダブルヘッドライナーという豪華なラインナップである。

会場の代官山Unitに16時の開場と同時に入り、自分としては珍しく物販でNeurosisのTシャツを購入する。しかし体力に自信がないため国内の2バンドは見ずに、飯を食べに一旦外へ出て、19時前に再度戻る。この日はSold Outなので場内は満員状態。このクラスのバンドを呼ぶにはあまりにも狭い会場なのが残念だが、近くで見られるのはありがたいことではある。9割以上男性だが、中には女性もいたことに驚いた。

ステージには青いJane Doeのバックドロップ。Thin LizzyやThe Cureなど意外なSEの後、19:10頃にConvergeが登場した。右手からギターKurt Ballow、ボーカルJacob Bannon、ベースNate Newton、後方にドラム。Kirtが”First Light”の静かなギターリフを奏で、一気に激しい”Last Light”へと雪崩れ込む。この日はアルバム「You Fail Me」の再現ということだが、中でもこの冒頭の緩急の流れが最高だ。

その勢いはそのまま”Black Cloud”, ”Drop Out”へと続く。ステージ前は大暴れ状態で、クラウドサーフやステージダイブが繰り広げられている。そんな観客にJacobはマイクを向けて叫ばせていた。

両腕から首まで細身の身体にタトゥーびっしりのJacobは、何かが乗り移ったようにシャウトをし続け、ステージ中央で凄い存在感を放っていた。両脇のKurtとNateの2人も凄腕を魅せながら咆哮を聞かせていた。今回ドラムのBen Kollerが不在なのが残念だったが、数日で30曲以上を覚えてきたという代役のUrian Hackneyも、Benに負けない位の凄まじいドラミングを聴かせてくれていた。

ミドルテンポの”You Fail Me”とスローな”In Her Shadow”でじっくり聴かせた後は最後まで駆け抜ける。アンコールは5曲。最後は”Concubineで大団円。1時間ほどのステージが終了。Jacobは何度もThank youと繰り返していた。

1. First Light
2. Last Light
3. Black Cloud
4. Drop Out
5. Hope Street
6. Heartless
7. You Fail Me
8. In Her Shadow
9. Eagles Become Vultures
10.Death King
11.In Her Blood
12.Hanging Moon
encore:
13.Reptilian
14.Dark Horse
15.Under Duress
16.I Can Tell You About Pain
17.Concubine




次はいよいよNeurosis。30分のセッティングとサウンドチェック。ローディーに混じってSteveとNoahも入念にセッティングしていた。その後開演までの間も、ステージ右手に緑色の頭をしたDaveがずっと立っていた。そして20:40にNeurosisのメンバーが揃って登場した。右手からベースDave Edwardson、ギターScott Kelly、ギターSteve Von Till、キーボードNoah Landis、後方にドラムJason Roader。

そして始まったのは何と”Through Silver In Blood”だった。JasonとSteveが2人で呪術的なリズムを叩く上に、ScottとDaveが邪悪なリフを刻む。2曲目の新曲”Bending Light”の後に続いたのも”The Doorway”。てっきりこの日は一昨年のセットリストで来ると思っていたのが、予想もしなかった展開に1人狂喜した。

過去の名曲には完全に意識を持って行かれてしまうのだが、新曲の間は比較的冷静にステージを見ることができた。Scottはメインボーカルとして一番前に立ち、シャウトしながらレスポールで轟音のリフを掻き鳴らしている。もう1人のフロントマンSteveも咆哮以外で、”Broken Ground”などでは低音でしっかり歌っていた。またボーカルを取らない間は終始後方のスピーカー前で凄まじいフィードバックを聞かせていた。Daveも指弾きで低音ベースを聞かせながら、時折咆哮を上げている。

個人的に最も楽しみにしていたのはJasonのドラムだったが、実際にその破壊力・手数・正確さ・グルーヴ感を目の当たりにして、やはり最高のドラマーだと痛感した。Noahに関しては正直その役どころがあまり分かっていなかったが、キーボード・シンセサイザー・サンプラーなど様々な楽器を駆使した彼のパフォーマンスを見ることで、この音を出していたのは彼だったのかという発見が沢山あった。

元々ここにビジュアル担当のJosh Grahamがいて、バックに映像が流れていたはずだったが、数年前に脱退してしまっていた。しかし演奏自体が凄すぎて何も不足感はなかった。

曲間にはまるで強風のようなSEが常に唸り声を上げていて、Thank youのようなMCも一切なし。先ほどのConvergeは観客とのコミュニケーションもあり、ある種スポーティーな印象だったのと比べると、Neurosisはストイックなまでの完璧主義で彼らの世界観を構築している。ハードコアの2大巨匠のステージは全く対照的だった。

Neurosisは轟音だけではなく、静パートも聴きものである。”Burn”や”Given To The Rising”の中間部での、たゆたうような残響の中での耽美的なパートから、導火線に着火するように一気に動パートへと転換するカルタシスは、他のバンドでは得難いものだった。

最後は”Stones From The Sky”。Steveが静かに歌い出し、徐々に盛り上がりクライマックスへと突き進む。ここでの主役はNoah。キーボードを壊さんばかりに揺り動かして、恐ろしいほどの音響効果を出していた。

22:00頃終了。アンコールはなく、MCも結局最後までなかった。恐らく他のバンドだと不満に感じたかもしれないが、Neurosisのステージにはそれが相応しいと思った。轟音の芸術とも言える唯一無二の世界観に圧倒された一夜だった。もうこれで思い残すことはないな。

1. Through Silver in Blood
2. Bending Light
3. The Doorway
4. A Shadow Memory
5. Locust Star
6. Burn
7. Broken Ground
8. Given to the Rising
9. Stones from the Sky


Neurosis 来日

FIRES WITHIN FIRES (ファイアーズ・ウィズイン・ファイアーズ)
NEUROSIS (ニューロシス)
Daymare Recordings
2016-09-21


先週からNeurosisが来日している。私は今夜の最終公演に参戦予定だ。まさかこんな日が来るとは思っていなかった。

実に19年振りの来日である。前回は2000年の「Times Of Grace」のツアー時、日本で初めて注目されだした頃。私が彼らを知ったのはこの初来日後なので、約18年間待ち続けていたわけだ。

今回は「leave them all behind」という轟音イベントによる招致で、Convergeとのダブルヘッドライナー。今夜Convergeは「You Fail Me」の全曲セットを披露するらしい。これも楽しみだ。

Neurosisも最終日には別セットを用意するという。昨日までのセットリストは昨年のツアーのものなので、今日のセットは恐らく一昨年のセットなのではないかと思われる。ちなみに私の理想のNeurosisセットリストは以下の通り。

1.Suspended In Light ~ The Doorway
2.Under The Surface
3.Purify
4.The Eye Of Every Storm
5.Given To The Rising
6.To Crawl Under One's Skin
7.Stones From The Sky
8.Aeon
9.Water Is Not Enough
10.Through Silver In Blood


Neurosis 「Through Silver In Blood」 (1996)

スルー・シルバー・イン・ブラッド
ニューロシス
HOWLING BULL Entertainmen
2000-05-03




1. Through Silver in Blood 
2. Rehumanize 
3. Eye 
4. Purify
5. Locust Star
6. Strength of Fates 
7. Become the Ocean 
8. Aeon 
9. Enclosure in Flame

今月は流れでポストハードコアを特集していますが、最後はやっぱりこのバンドNeurosisで締めたいと思います。

デビューは1987年。初期は荒削りなハードコアパンクでしたが、1992年の3rd「Souls At Zero」以降サウンドは大きく深化を遂げていきます。ギターリフは重くメタリックになり、キーボード/サンプラーやヴィジュアル担当のメンバーも加わります。さらには弦楽器や管楽器、バグパイプなども毎回参加するようになり、サウンドは破格のスケールアップをしました。

90年代の彼らは作品を重ねる毎に常に前作を上回る作品を作り続けていただけに1枚を選ぶのは難しいですが、最も知名度があり入門的なのは1999年の6thの「Times Of Grace」でしょう。名エンジニアSteve Albiniとタッグを組み始めたのもここからで、別動隊Tribes Of Neurotのアンビエント音楽作品とのコラボレーションという離れ技まで披露していました。

しかし今回はあえて彼らの最も暗黒な世界をご紹介したいと思います。1996年の5th「Through Silver In Blood」。先週のIsisの音楽には一条の光が差していましたが、ここには一切の光はなく、ひたすら死と向き合うような暗闇と絶望の世界が広がっています。

不穏な音とJason Roederらの呪術的なトライバルリズムで導かれるM1では、やがてScott Kelly (G)、Steve Von Till (G)、Dave Edwardson (B)の3人が巨壁のようなリフを響かせながら、代わる代わるボーカルを取り咆哮する。12分もの間じわじわと展開していく中で激しい情念を叩きつけられ続け、神経を病むこと請け合いです。

またM4とM8を聴けば彼らの音楽がただダーク&ヘヴィなだけではないことが分かるでしょう。嵐の前のように静かなアルペジオやピアノで幕を開け、続く暴風雨のような轟音に晒され、最後には全く想像しなかったような壮大なスケールのクライマックスが待っています。それはまるで人類の力も及ぶべくもない大自然の恐怖に対峙したかのような感覚です。

闇の帝王、もしくはヘヴィミュージック界の裏ボス。何かと大仰な表現になってしまいがちな彼らの音楽ですが、きっと聴けば分かってもらえるのではないかと思います。ただ決して万人にお勧めできる音楽ではないので、精神力と免疫のある人に限ります。あと危険ですので老人・子供には聴かせないようにして下さい。


Isis 「Oceanic」 (2002)

オーシャニック
アイシス
HOWLING BULL Entertainmen
2002-09-13




1. The Beginning And The End
2. The Other
3. False Light
4. Carry
5. Maritime
6. Weight
7. From Sinking
8. Hym 

先週のCave Inの所属するボストンのHydraheadは、ポストハードコアを語る上で重要なレーベルです。このHydraheadのオーナーがAaron Turnerであり、彼が率いたバンドが今週ご紹介するIsisです。

Isisの結成は1997年。1stフルアルバム「Celestial」とその後リリースされたミニアルバム「Sgnl>05」では整合感のあるスラッジコアという感じでした。勢いを重視するハードコアの中で、スラッジコアとはミドルテンポでヘヴィなリフを塗り重ねていくのが特徴で、このジャンルの先達であるNeurosisの影響が強く出ていました。

しかし2ndである今作ではそこから更に進化しています。最大の変化は動と静のコントラスト。動パートでのAaronの咆哮とともに激しいスラッジの一方で、各曲の冒頭や中間部ではポストロック的なクリーンでメロディアスな静パートが配されています。これにより動と静の両パートがそれぞれをより効果的に引き立てることに成功しています。イメージはタイトルやジャケットに現れているような暗い大海。ゆっくりとたゆたう海原が、次の瞬間に激しい荒波となりうねり出す。そのドラマティックなスケールの大きさが圧倒的です。

唯一難点を言うなら、ドラムの音でしょうか。これはプロデュースのせいなのかもしれませんが、重いヘヴィパートでもドラムの音が妙に軽いのが少し気になりました。

何度か来日もしましたが、結局見に行けないまま、2010年に解散してしまいました。再結成しないかな。

 

Cave In 「White Silence」 (2011)

White Silence
Cave in
Hydrahead Records
2011-05-24




1. White Silence
2. Serpents
3. Sing My Loves
4. Vicious Circles
5. Centered
6. Summit Fever
7. Heartbreaks, Earthquakes
8. Iron Decibels
9. Reanimation

今年の3月28日にCave Inのベーシスト・ボーカルCaleb Scofieldが交通事故のため亡くなりました。享年39歳でした。

Cave Inは1995年にボストンでSteve Brodskyを中心に結成。この時彼らはまだ高校生でした。98年にインディーのHydraheadから「Until Your Heart Stops」でデビュー。彼らの独創的なカオティックハードコアはシーンで注目を集めます。しかしSteveが喉を痛めたと同時に、本来持っていたメロディセンスも開花。2000年の「Jupiter」では全く異なるスペーシーロックを提示し新たなファンを獲得します。2003年にはRCAから「Antenna」でメジャーデビューするものの、音楽性にまで色々注文をつけられることに嫌気が差し、以降はまた古巣に戻りハードコアに原点回帰をしています。

この「White Silence」は遺作となった2011年の最新作ですが、ここではそれまでの様々な音楽性を融合した集大成となっています。前半はカオティックやオールドスクールなハードコアチューンで攻め立てる一方で、後半はスペーシーやアコースティックで聞かせます。これが散漫な印象を与えずに全てがCave In色となっているのは、それまでのキャリアの賜物でしょう。

私は2006年の来日時にクアトロ公演を観に行きましたが、高度なテクニックと勢いを見せつける熱いライブでした。ステージ中央のSteveがメロウなボーカルも聞かせる一方で、左手に立つCalebは正にザ・ハードコア。ムキムキの体躯、腕にビッシリの墨、迫力のある咆哮と重低音ベースが今でも印象に残っています。きっと彼なしでのバンド存続は難しいのではないでしょうか。

RIP

  

Neurosis 「Live At Roadburn 2007」 (2010)

Live at Roadburn 2007Live at Roadburn 2007
Neurosis

Neurot Recordings 2010-09-30
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1. Given to the Rising
2. Burn
3. A Season in the Sky
4. At the End of the Road
5. Crawl Back In
6. Distill
7. Water Is Not Enough
8. Left to Wander
9. The Doorway

先日久しぶりにオフィシャルサイトを覗いてみたところ、いつの間にかライブアルバムがリリースされていた。普段いくつかの音楽ニュースサイトをチェックしているにも関わらず、これはどこにも全く話題になっていなかった。まったく、マイナーなアーティストのファンは困る。以前にShrinebuilderのレビューでも書いたが、Neurosisは今私が唯一追っているヘヴィミュージックグループである。もっとこまめにオフィシャルをチェックしなければ。

このライブは2007年に9枚目となる最新作「Given to The Rising」をリリースした直後に出演したRoadburn Festivalの音源である。全9曲、75分という時間の中に彼らの暗黒の世界観が凝縮されている。彼らの最近のキャリアは、前作「Eye Of Every Storm」まで作品を追うごとに徐々にスラッジコアからエクスペリメンタルミュージック的なものへと、つまり動から静へと方向性を変えてきていたが、最新作では再びそのベクトルを動へと戻していた。きっと行くところまで行ったということの反動だったのだろう。今回のライブでは6th「Times Of Grace」から最新作までの4枚から選曲されているが、そうした音楽性の変遷を総括した最近のものとしてはほぼベスト的な選曲と言えるだろう。

Jason Roaderの叩き出す地響きのようなドラムを支柱に、Scott KellyとSteve Von Tillが雷鳴のような怒号とギターリフで幾重にも塗りかさね、轟音の巨壁がうず高くそびえ立ってゆく。その後波が引き静かな絶望の底にいたと思うと、いつしか空気中に充満していたガスに点火するかのように、一気に爆発する。緊張感と閉塞感、サイケデリックのようなカルタシス。CDで聴く巨大なスケール感を完全に再現させている彼らの圧倒的な演奏力に驚かされる。そしてM9のラストはもはや凄まじすぎて恐怖すら覚えた。これはYou Tubeでライブ映像を見てみると、ScottとSteveがかつてのJimi Hendrixのようにアンプの前に立ち反響を使ったフィードバック奏法を利用していたようだ。これを目の前で聴かせられた日には気がおかしくなりそうだ。

実際にはこれらの演奏は、バックスクリーンに写し出されるJosh Grahamのおどろおどろしい映像を背景にして繰り広げられる。是非次はDVDとして映像でライブを見せてほしいものだ。ちなみにJoshのアルバムジャケットも今回も素晴らしい出来栄えだった。一度でいいから来日してくれないだろうか。

★★★★☆


Shrinebuilder 「Shrinebuilder」

ShrinebuilderShrinebuilder
Shrinebuilder

Neurot Recordings 2009-10-20
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1. Solar Benediction
2. Pyramid of the Moon
3. Blind for All to See
4. Architect
5. Science of Anger

 20代の頃はヘヴィなロックもずいぶん好んで聴いていたのだが、30を超えてからは好みも変わり、ヘヴィものからも距離を置くようになってしまった。そんな中でNeurosisだけはまだ時々無性に聴きたくなることがある。イライラしている時なんかは特にそうかもしれない。サウンド的な重さではなく、精神的な重さと垣間見える芸術性がクセになるのだ。80年代末のハードコアに端を発し、作品を重ねるごとにスピードを殺しヘヴィネスの形を変えながら確立した、プログレッシブなスラッジコアとも呼べる壮大なスケールの世界観は、聴き手を選ぶが唯一無二のものである。

 そんなNeurosisのギター・ボーカルScott Kellyの別プロジェクトということでかねてから気になっていた。これまで彼のソロはNeurosisと同じダークな色彩に彩られながらも、アコースティックな作品が多かった。しかし今回はソロとは違い、バンドとしてのサウンドになっている。しかも一緒に組んでいるメンバーが強者揃いだ。Saint Vitus他のWino、MelvinsのDale Crover、Sleep・OMのAl Cisneros、といったドゥーム系の一級バンドのメンバーが名を連ねている。

 5曲しかないのだが、収録時間は40分近くはある。つまり長尺の曲が多いのだが、曲中幾度となく転調するのはNeurosisにも通じるが、それよりももう少し聴きやすい。ボーカルもメンバーそれぞれが交代で取っていることも、曲に様々な表情をつけることとなっている。ワイルドなドゥームやストーナーロックなパート、壮大なスラッジコアなパート、美しい叙情的なパートなど、集まったメンバーそれぞれの本家バンドの持つ様々なカラーが、幾重にも重なり溶け合っているようである。1回きりのプロジェクトで終わってしまうには惜しいグループである。

★★★☆



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