Punk / Hardcore / Emo

Isis 「Oceanic」 (2002)

オーシャニック
アイシス
HOWLING BULL Entertainmen
2002-09-13


1. The Beginning And The End
2. The Other
3. False Light
4. Carry
5. Maritime
6. Weight
7. From Sinking
8. Hym 

先週のCave Inの所属するボストンのHydraheadは、ポストハードコアを語る上で重要なレーベルです。このHydraheadのオーナーがAaron Turnerであり、彼が率いたバンドが今週ご紹介するIsisです。

Isisの結成は1997年。1stフルアルバム「Celestial」とその後リリースされたミニアルバム「Sgnl>05」では整合感のあるスラッジコアという感じでした。勢いを重視するハードコアの中で、スラッジコアとはミドルテンポでヘヴィなリフを塗り重ねていくのが特徴で、このジャンルの先達であるNeurosisの影響が強く出ていました。

しかし2ndである今作ではそこから更に進化しています。最大の変化は動と静のコントラスト。動パートでのAaronの咆哮とともに激しいスラッジの一方で、各曲の冒頭や中間部ではポストロック的なクリーンでメロディアスな静パートが配されています。これにより動と静の両パートがそれぞれをより効果的に引き立てることに成功しています。イメージはタイトルやジャケットに現れているような暗い大海。ゆっくりとたゆたう海原が、次の瞬間に激しい荒波となりうねり出す。そのドラマティックなスケールの大きさが圧倒的です。

唯一難点を言うなら、ドラムの音でしょうか。これはプロデュースのせいなのかもしれませんが、重いヘヴィパートでもドラムの音が妙に軽いのが少し気になりました。

何度か来日もしましたが、結局見に行けないまま、2010年に解散してしまいました。再結成しないかな。

 

Cave In 「White Silence」 (2011)

White Silence
Cave in
Hydrahead Records
2011-05-24


1. White Silence
2. Serpents
3. Sing My Loves
4. Vicious Circles
5. Centered
6. Summit Fever
7. Heartbreaks, Earthquakes
8. Iron Decibels
9. Reanimation

今年の3月28日にCave Inのベーシスト・ボーカルCaleb Scofieldが交通事故のため亡くなりました。享年39歳でした。

Cave Inは1995年にボストンでSteve Brodskyを中心に結成。この時彼らはまだ高校生でした。98年にインディーのHydraheadから「Until Your Heart Stops」でデビュー。彼らの独創的なカオティックハードコアはシーンで注目を集めます。しかしSteveが喉を痛めたと同時に、本来持っていたメロディセンスも開花。2000年の「Jupiter」では全く異なるスペーシーロックを提示し新たなファンを獲得します。2003年にはRCAから「Antenna」でメジャーデビューするものの、音楽性にまで色々注文をつけられることに嫌気が差し、以降はまた古巣に戻りハードコアに原点回帰をしています。

この「White Silence」は遺作となった2011年の最新作ですが、ここではそれまでの様々な音楽性を融合した集大成となっています。前半はカオティックやオールドスクールなハードコアチューンで攻め立てる一方で、後半はスペーシーやアコースティックで聞かせます。これが散漫な印象を与えずに全てがCave In色となっているのは、それまでのキャリアの賜物でしょう。

私は2006年の来日時にクアトロ公演を観に行きましたが、高度なテクニックと勢いを見せつける熱いライブでした。ステージ中央のSteveがメロウなボーカルも聞かせる一方で、左手に立つCalebは正にザ・ハードコア。ムキムキの体躯、腕にビッシリの墨、迫力のある咆哮と重低音ベースが今でも印象に残っています。きっと彼なしでのバンド存続は難しいのではないでしょうか。

RIP

  

Neurosis 「Live At Roadburn 2007」 (2010)

Live at Roadburn 2007Live at Roadburn 2007
Neurosis

Neurot Recordings 2010-09-30
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1. Given to the Rising
2. Burn
3. A Season in the Sky
4. At the End of the Road
5. Crawl Back In
6. Distill
7. Water Is Not Enough
8. Left to Wander
9. The Doorway

先日久しぶりにオフィシャルサイトを覗いてみたところ、いつの間にかライブアルバムがリリースされていた。普段いくつかの音楽ニュースサイトをチェックしているにも関わらず、これはどこにも全く話題になっていなかった。まったく、マイナーなアーティストのファンは困る。以前にShrinebuilderのレビューでも書いたが、Neurosisは今私が唯一追っているヘヴィミュージックグループである。もっとこまめにオフィシャルをチェックしなければ。

このライブは2007年に9枚目となる最新作「Given to The Rising」をリリースした直後に出演したRoadburn Festivalの音源である。全9曲、75分という時間の中に彼らの暗黒の世界観が凝縮されている。彼らの最近のキャリアは、前作「Eye Of Every Storm」まで作品を追うごとに徐々にスラッジコアからエクスペリメンタルミュージック的なものへと、つまり動から静へと方向性を変えてきていたが、最新作では再びそのベクトルを動へと戻していた。きっと行くところまで行ったということの反動だったのだろう。今回のライブでは6th「Times Of Grace」から最新作までの4枚から選曲されているが、そうした音楽性の変遷を総括した最近のものとしてはほぼベスト的な選曲と言えるだろう。

Jason Roaderの叩き出す地響きのようなドラムを支柱に、Scott KellyとSteve Von Tillが雷鳴のような怒号とギターリフで幾重にも塗りかさね、轟音の巨壁がうず高くそびえ立ってゆく。その後波が引き静かな絶望の底にいたと思うと、いつしか空気中に充満していたガスに点火するかのように、一気に爆発する。緊張感と閉塞感、サイケデリックのようなカルタシス。CDで聴く巨大なスケール感を完全に再現させている彼らの圧倒的な演奏力に驚かされる。そしてM9のラストはもはや凄まじすぎて恐怖すら覚えた。これはYou Tubeでライブ映像を見てみると、ScottとSteveがかつてのJimi Hendrixのようにアンプの前に立ち反響を使ったフィードバック奏法を利用していたようだ。これを目の前で聴かせられた日には気がおかしくなりそうだ。

実際にはこれらの演奏は、バックスクリーンに写し出されるJosh Grahamのおどろおどろしい映像を背景にして繰り広げられる。是非次はDVDとして映像でライブを見せてほしいものだ。ちなみにJoshのアルバムジャケットも今回も素晴らしい出来栄えだった。一度でいいから来日してくれないだろうか。

★★★★☆


Shrinebuilder 「Shrinebuilder」

ShrinebuilderShrinebuilder
Shrinebuilder

Neurot Recordings 2009-10-20
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1. Solar Benediction
2. Pyramid of the Moon
3. Blind for All to See
4. Architect
5. Science of Anger

 20代の頃はヘヴィなロックもずいぶん好んで聴いていたのだが、30を超えてからは好みも変わり、ヘヴィものからも距離を置くようになってしまった。そんな中でNeurosisだけはまだ時々無性に聴きたくなることがある。イライラしている時なんかは特にそうかもしれない。サウンド的な重さではなく、精神的な重さと垣間見える芸術性がクセになるのだ。80年代末のハードコアに端を発し、作品を重ねるごとにスピードを殺しヘヴィネスの形を変えながら確立した、プログレッシブなスラッジコアとも呼べる壮大なスケールの世界観は、聴き手を選ぶが唯一無二のものである。

 そんなNeurosisのギター・ボーカルScott Kellyの別プロジェクトということでかねてから気になっていた。これまで彼のソロはNeurosisと同じダークな色彩に彩られながらも、アコースティックな作品が多かった。しかし今回はソロとは違い、バンドとしてのサウンドになっている。しかも一緒に組んでいるメンバーが強者揃いだ。Saint Vitus他のWino、MelvinsのDale Crover、Sleep・OMのAl Cisneros、といったドゥーム系の一級バンドのメンバーが名を連ねている。

 5曲しかないのだが、収録時間は40分近くはある。つまり長尺の曲が多いのだが、曲中幾度となく転調するのはNeurosisにも通じるが、それよりももう少し聴きやすい。ボーカルもメンバーそれぞれが交代で取っていることも、曲に様々な表情をつけることとなっている。ワイルドなドゥームやストーナーロックなパート、壮大なスラッジコアなパート、美しい叙情的なパートなど、集まったメンバーそれぞれの本家バンドの持つ様々なカラーが、幾重にも重なり溶け合っているようである。1回きりのプロジェクトで終わってしまうには惜しいグループである。

★★★☆



Jimmy Eat World 「Clarity Live」



1. Table For Glasses
2. Lucky Denver Mint
3. Your New Aesthetic
4. Believe In What You Want
5. A Sunday
6. Crush
7. 12.23.95
8. Ten
9. Just Watch the Fireworks
10. For Me This Is Heaven
11. Blister
12. Clarity
13. Goodbye Sky Harbor
14.What I Would Say To You Now
15.No Sensitivity

 1996年にデビューし、00年代に活況を呈するいわゆるエモと呼ばれるジャンルのシーンを牽引した立役者。以前は私も好きで、05年の渋谷公演の際は見に行ったものだったが、その後すっかり気持ちが離れてしまっていた。去年久し振りにオフィシャルを覗いたら、初期の名盤「Clarity」の10周年を記念して、このアルバムを完全再現するツアーを行っていたということを知った。しかもその音源をオフィシャルサイト限定で販売するという。きっといずれCDとしてリリースされるだろうと思って待っていたが、一向のその気配はない。仕方ないのでオフィシャルからMP3音源を購入し、ダウンロードすることにした。

 静かなM1からしっとりと始まり、名曲M2へとなだれ込む。その後アップテンポなM3とM4で畳みかけた後、ボーカルJim AtkinsのMC。「ここまでの4曲を演奏して、既にこれは僕のお気に入りのショーだよ。10年前にClarityのリリースパーティーをしたのが懐かしいね。次の曲は…」と紹介したあと、感動的なM5につながっていく。

 思えばエモというものは、パンクやハードコアを通過したオルタナティブな感触を持ちながら、感情の吐露をそのままに表現したエモーショナルなロックということで、00年代に一気に市民権を得たジャンルだったが、定義が良く分からないまま、いつしか下火になっていったようだ。そんな中JEW自身はあまりそうしたシーンに関心を持たず、ただ単に良い曲だけを書いていた。

 この99年の「Clarity」は20代の頃に何度聴いたか分からないほどよく聴いた。彼らの知名度を上げた2ndアルバムだが、特に1曲1曲の出来が秀逸で、アップテンポな曲やミドルテンポの曲、メロウな曲のコントラストも非常に効果的だった。その後のアルバムでは洗練されていくサウンドも、ここではシンプルな音作りがなされており、楽器一つ一つの音がダイレクトに捉えられているのが魅力だった。このショーでは基本的にそんなサウンドをアルバム通りに再現していた。原曲ではループで16分も続くM13も、忠実に10分くらいまで再現していた。これはできれば映像で見たいところだ。さらにできればこれで来日をしてほしかったが。

★★★★



Angels & Airwaves 「Love」



1. Et Ducit Mundum Per Luce
2. The Flight of Apollo
3. Young London
4. Shove
5. Epic Holiday
6. Hallucinations
7. The Moon-Atomic (…Fragments and Fictions)
8. Clever Love
9. Soul Survivor (…2012)
10. Letters to God, Part II
11. Some Origins of Fire

 新しい仕事にもなんとなく慣れてきた今日この頃。若い人が多い職場でやりづらさもあるのだが、残業もあまりなく休みもしっかり取れるのは良いところ。まぁ片道2時間の通勤には閉口するが。

 さてこちらはTom Delongeの新しい仕事Angels & Airwaves。Blink182の解散以降もひそかに彼の動向は追っていた。先日Blink182も再結成したらしいが、それよりもむしろこちらのプロジェクト(ではなくバンドか)が存続することの方がホッとしたものだ。世の中のBlinkのファンの中には、後期のシリアス路線よりも往年のおバカ路線を求めている人も多いようで、さらには未だにPVやライブで彼らが脱ぐことを期待している人も少なくないらしい。シリアス路線は歳を重ねた趣向の変化によるところが大きかったと思われるが、脱いだことはいわば両刃の剣であり、結果的に自分たちの首を絞めてしまったようである。AV AでやりたいことがやれているTomにとって、Blinkをやることのメリットは今はあまり感じられない。

 さて今作は早くも3rdになるが、今回はWeb上での無料配信し、任意で好きな金額を寄付という形で支払うのだという。これは以前Radioheadも行っていた手法であり、違法ダウンロードが横行する中で革新的な方法だとは思うが、いかんせんファン層が違うためどの程度バックがあるのかは不明。一応私はある程度寄付しておいたが。

 そして今作は同時に制作された同タイトルの映画とのコラボレーションになっているそうだ。このバンドの結成以来のイメージとなっている宇宙を舞台にした愛をテーマとした作品とのこと。あまりに直球すぎるタイトルだが、Box Car Racer以来描いてきた戦争や世紀末観などを通して、やはり最終的にこれが彼の一番言いたいことなのだろう。バレンタインデーにリリースというのはいかがなものかと思ったが。

 楽曲はこれまで通りとてもキャッチーでよく出来た曲が並んでおり、優れたソングライターであることを今回も示している。透明感と広がりがあり流れるような楽曲は、適度なエレクトロニクスとも相まり、スペーシーな雰囲気を醸し出している。しかしこれまでと全く同じカラーとなってしまっているため、どこかにアクセントとなる新しさが欲しかった。M10はBox Car Racerの同名曲の続編。

★★★


Cave In 「Planets Of Old」

Planets of Old [12 inch Analog]Planets of Old [12 inch Analog]
Cave In

Hydrahead 2009-08-24
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1. Cayman's Tongue
2. Retina Sees Rewind
3. The Red Trail
4. Air Escapes

今週はまたこれまでと全く音楽性が異なります。全く絡みづらいブログだこと…。
 音楽雑誌の新譜情報を何気なく立ち読んでいたら、Cave Inがひそかに復活していたとの情報を発見した。前作「Perfect Pitch Black」が2005年だから、もう既に4年ぶりか。

 ボストンハードコアの雄としてデビューしたのが1998年。その後ポップ性を開花させ、急速に音楽性を変化させていった。2006年の来日時に渋谷のクアトロに見に行った時には、その両面の音楽性をブレンドした熱いライブを見せてくれた。しかしその後なぜか活動を休止。その間ボーカルのStephen Brodskyは色々ソロ活動をしているようだったが、ようやくバンドとしての復活を果たしたようだ。

 ひとまず4曲入りの12inchアナログが、例のHydraheadレーベルからリリースされている。M2とM4はロック路線、M3はカオティックハードコア、そしてM1はスペーシーな雰囲気を持ちながらロック路線とハードコア路線の両者をまた巧くブレンドしている。相変わらずこの2つの路線は並行していくようだが、この微妙な立ち位置が今の彼らの個性となっていると言える。

★★★

http://www.planetsofold.com/  (全曲試聴可)


Gallery
  • Isis 「Oceanic」 (2002)
  • Cave In 「White Silence」 (2011)
  • 「Re 又造 MATAZO KAYAMA」展
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