American Roots Rock

Keith Richards 「Crosseyed Heart」 (2015)

クロスアイド・ハート
キース・リチャーズ
ユニバーサル ミュージック
2015-09-18


1. Crosseyed Heart
2. Heartstopper
3. Amnesia
4. Robbed Blind
5. Trouble
6. Love Overdue
7. Nothing on Me
8. Suspicious
9. Blues in the Morning
10.Something for Nothing
11.Illusion
12.Just a Gift
13.Goodnight Irene
14.Substantial Damage
15.Lover's Plea

リリース日に新作を買うなんて何年ぶりだろう。Keith Richardsの23年ぶりのソロアルバム。非常に良い顔で写る御大のジャケットを見れば、その充実っぷりが分かる。

M1はのっけからアコギ1本のどカントリーブルースで始まる。Robert Johnsonさながらの泥臭さがいい。そして間髪入れずにSteve JordanのドラムからハードなロックナンバーM2へと雪崩込む。今回プロデュース・コンポーズのほとんどをこのS. Jordanとの共同作業で行っている。彼のドラムも色んな他アーティストのところで聴くがタイトで好きだ。他にもWaddy WachtelやIvan Neville等のX-Pensive Winosの面々が再集結しているのも安心させられる。

M5は先行カットされたご機嫌なRock & Rollナンバー。後半聴けるスライドが最高。Keithのボーカルはバラード曲では枯れた渋い味わいがある一方で、Rock & Rollナンバーではまだまだ元気。またギター・ボーカル以外にもベースやピアノまで自分で弾いている。

M6は心地良いレゲエナンバー。日本盤のボートラではLee Scratch Perryとの共演も聴ける。

今回のアルバムではM4やM12のバラードで聴けるようにカントリーも大きな要素になっている。ここでペダルスティールやフィドルを弾いているのがLarry Campbell。Levon Helmの良き右腕だった彼の参加は個人的に嬉しい。M11ではNorah Jonesともデュエット。M9では亡くなったBobby Keysのサックスまで聴けて泣ける。。

このようにとにかく聴き所の多いアルバム。全編Rock & Rollを求める向きには物足りないかもしれないが、アメリカンルーツロック好きには最高の1枚である。来年には本体Stonesでも新作を作るらしいし。このレジェンドは一体どこまで転がり続けるんだろう。

★★★★☆

 

Buena Vista Social Club 「At Carnegie Hall」 (2008)





Disc 1
1. Chan Chan 
2. De Camino a la Vereda 
3. El Cuarto de Tula 
4. La Engañadora 
5. Buena Vista Social Club 
6. Dos Gardenias 
7. Quizás, Quizás 
8. Veinte Años 

Disc two
1. Orgullecida 
2. ¿Y Tú Qué Has Hecho? 
3. Siboney 
4. Mandinga 
5. Almendra 
6. El Carretero 
7. Candela 
8. Silencio

先日のハイチと同じカリブ海に浮かぶ美しい島キューバ。今年はこのキューバとアメリカの国交正常化交渉が話題になっており、先日遂にキューバのアメリカ大使館も再開したらしい。かつてのキューバ危機から続く冷戦時代の負の遺産を清算することができれば偉業である。

キューバには昔から固有の素晴らしい音楽がある。それを世界に紹介してくれたのが97年の「Buena Vista Social Club」だった。Ry Cooderが急遽集めたキューバの古参ミュージシャン達による至宝のような音楽は、後にWim Wenders監督の同名映画によって、ワールドミュージック史上空前の大ヒットとなった。

ここに参加していた面子はとにかく皆老練揃いだった。99年の映画が撮られた時点で、ボーカルのIbrahim Ferrerは72歳、ピアノのRuben Gonzalezは80歳、ギターのCompay Segundoに至っては何と92歳!そんな彼らが熟練の演奏を聴かせる。

今日取り上げたいのは、彼らが98年にニューヨークのカーネギーホールに出演した時の伝説のライブアルバム。これは2008年にようやくリリースされたものだが、何故10年もお蔵入りさせていたのか不思議な位素晴らしいものだった。ソンやグァヒーラ・ボレロなどの伝統音楽が、スタジオアルバム以上に生き生きとした演奏で繰り広げられる。特に女王Omaraの歌うM6の高揚感は感動的だし、M5で感極まって流す彼女の涙を拭うIbrahimの姿も思い出させる。愛すべき老演者達が強いお互いの絆から紡ぎ出す至宝のような音楽だ。

このように彼らがアメリカに入国することができたのは、当時比較的自由なクリントン政権だったからであった。しかし後のブッシュ政権になってからは両国間の往来は禁止され、このプロジェクトは頓挫を余儀無くされる。そしてそうしている間、悲しいことに2003〜2005年に主要メンバーが皆他界してしまうのである。

ちなみに今年の3月には未発表音源集「Lost & Found」がリリースされたが、これもまた素晴らしかった。毎年夏になると、こうした南国の音楽が心地良い。

★★★★★ 


Bob Dylan 「30th Anniversary Concert Celebration」



1.Like a Rolling Stone - John Mellencamp
2.Blowin' in the Wind - Stevie Wonder
3.Foot of Pride - Lou Reed
4.Masters of War - Eddie Vedder & Mike McCready
5.The Times They Are a-Changin' - Tracy Chapman
6.It Ain't Me Babe - June Carter Cash & Johnny Cash
7.What Was It You Wanted - Willie Nelson
8.I'll Be Your Baby Tonight - Kris Kristofferson
9.Highway 61 Revisited - Johnny Winter
10.Seven Days - Ron Wood
11.Just Like a Woman - Richie Havens
12.When the Ship Comes In - The Clancy Brothers and Robbie O Connell with special guest Tommy Makem
13.War - Sinead O'Connor
14.Just Like Tom Thumb s Blues - Neil Young
15.All Along the Watchtower - Neil Young
16.I Shall Be Released - Chrissie Hynde
17.Love Minus Zero/No Limit - Eric Clapton
18.Don't Think Twice, It s All Right - Eric Clapton
19.Emotionally Yours - The O Jays
20.When I Paint My Masterpiece - The Band
21.You Ain't Goin Nowhere - Mary-Chapin Carpenter, Rosanne Cash & Shawn Colvin
22.Absolutely Sweet Marie - George Harrison
23.License to Kill - Tom Petty & the Heartbreakers
24.Rainy Day Women #12 & 35 - Tom Petty & the Heartbreakers
25.Mr. Tambourine Man - Roger McGuinn
26.It's Alright, Ma (I m Only Bleeding) - Bob Dylan
27.My Back Pages - Bob Dylan, Roger McGuinn, Tom Petty, Neil Young, Eric Clapton & George Harrison
28.Knockin' on Heaven's Door - Everyone
29.Girl of the North Country - Bob Dylan

今年ようやくBlueray/DVDでリリースされた1992年の「Bob Dylan 30周年記念コンサート」。これが先日WOWOWで放送されていたのを初めて見たのでちょっと感想を一言。

まず思うのはやはりその出演陣の豪華さ。これでもかというくらいにトップアーティストが勢揃いしていて呆れてしまうほど。しかし、George HarrisonやLevon Helmをはじめ、Johnny Cash, Johnny Winter, Lou Reed, Rick Dankoなど今はもう亡くなってしまった人も多く、時間の経過を感じさせる。
見所は多いのだが、特に個人的に印象に残ったところをいくつか挙げてみた。やはりどうにもロックよりもフォーク趣向になってしまったが。

① Bob Dylan 
Dylanがアコギの弾き語りをしている姿というのは、今となっては見られなくなってしまったために貴重である。もちろん”My Back Pages”を豪華メンバーと一緒に演っているのも良かったが、主役のDylanがほとんど後ろに引っ込んでいるだけだったのがもの足りなかった。

② Richie Havens
ウッドストックのオープニングを急遽務めたことで一躍有名になったフォークシンガー。アコギ1本だが、聴き手の胸を掻きむしるような鋭いカッティングと、低く温かい歌声が感涙もので、観客の歓声も一際大きなものだった。昨年惜しくも他界してしまったのが悔やまれる。

③ The Clancy Brothers & Tommy Makem
若きフォーク時代のDylanに影響を与えたトラッド・アイリッシュ・フォークグループ。この名曲も元々彼らの影響のある曲で、ここでは本家が見事にアイリッシュスタイルにアレンジしており、その素朴ながら力強いコーラスが素晴らしかった。彼らももう皆他界してしまっている。

④ Sinead O’ Connor
直前に出演したSaturday Night Liveで彼女がローマ法王の写真を破ったということで、この日観客から大ブーイングを浴び、結局予定していた曲を歌えなかった。昔も今もDylanファンというのはやはり保守的な人が多いのだと実感させる事件であった。ちなみにこれはDVDではカットされているらしい。

⑤ G.E. Smith
実はこの日の一番の功労賞はこの人だと思った。音楽監督だったというのもあるが、終始ステージに立ち続け、誰がフロントマンだとうと、どんなアレンジだろうと、どんなジャンルだろうと、それぞれに合ったベストなギターサウンドで彩っていたのは見事だった。


Last Waltz

LastWaltz


土曜の夜の横浜。待ち合わせまでに空いた1時間。せっかくだから、以前から行きたかったバーをちょっと探してみようかと東口へ。ようやく見つけたのがこの店、Last Waltz70年代のアメリカンロック好きにとっては堪らない場所である。

雰囲気のあるこじんまりした店内には、EaglesThe BandAllman Brothers BandJohnny Winterなど、当時のカントリーロックやサザンロックバンドのポスターが所狭しと貼られていて、思わずニンマリしてしまう。

店内を流れていたのは良い感じのウエストコーストサウンド。マスターに伺うと、往年のEaglesのメンバーが全面的に参加しているJeffrey Comanorというアーティストの1976年の作品とのこと。初耳だ。

また店内に貼られていたポスターで特に気になったのが、70年代のLevon Helm & The RCO Allstarsのライブ告知ポスター。これはマスターがテキサスに行かれた際に仕入れてきたものらしいが、非常に貴重な代物である。そしてかけて頂いたのがThe Bandの”The Night They Drove Old Dixie Down”。ハイネケンを呑みながら至福の時。

まだ早い時間だったため他に客がいないのをいいことに色々話をさせて頂く。マスターがRobbieのいないThe Bandは観るべきではないという友人に従ったことで、80年代の来日を見逃したことを後悔されていること。この手のロック好きには80年代の音作りには違和感を感じたこと。近年音楽をアルバムの曲順でスピーカーから聴くということ行為すら失われつつあること、等々。

このお店のオープンは1997年で丸16年になるとのこと。私も昔こんな店をやってみたいと思っていたものだが、実際にそれをやり続けることはきっと想像以上に難しいことだろうと推察する。これからちょこちょこお邪魔したいので、是非永く続けて頂きたいものだ。


 

Bob Dylan 10 Folk Songs

dylan


さて流れで今週はBob Dylan。ちょうど先月も来日していたばかりだ。ただ私は前回2010年の来日時は観に行ったのだが、今回は行かなかった。前回と同じスタイルのステージならもういいかなと思ってしまった。

最近私はDylanはフォーク期ばかり聴いている。恐らく一般的には彼のロック期の方が人気があるのだろう。実際キャリアのほとんどがロックなのだから当然ではあるし、私も勿論好きだ。しかしフォーク期の楽曲は彼だけのシンプルな生ギターの演奏と歌声が堪能でき味わい深い。また詩に紡がれたメッセージがその印象をさらに強いものにしている。

そんなフォーク期Dylanのお気に入りの10曲を挙げてみた。

① Blowin' In The Wind
② Boots Of Spanish Leather
③ When The Ship Comes In
④ My Back Pages
⑤ The Times They Are A-Changin'
⑥ A Hard Rain's A-Gonna Fall
⑦ Only A Pawn In Their Game
⑧ Masters Of War
⑨ Chimes Of Freedom
⑩ Talkin' New York

①は時代を象徴する名曲。Joan BaezやPPMらとの共演もまた違った魅力があった。②はストーリー描写と情感溢れる歌唱が見事な名曲。③も情景描写と力強い歌唱が見事な名曲。④はバンドサウンドのカヴァーよりオリジナルの方が味わい深いと思う。⑤~⑧はどれも代表的なプロテストソングだが、特に⑧の糾弾っぷりは痛快だった。⑩はWoody Guthrieの影響が色濃い原点的なトーキングブルース。他にも挙げたい曲は沢山ある。

1965年のニューポート・フォークフェスは、ロック界では新しい時代の幕開けとなる事件として捉えられている。しかしフォーク界からの視点で捉えればあのブーイングも十分理解することができるだろう。叶わない望みだろうが、もう一度いつか単独の弾き語りライブを観てみたいものだ。

 

Eric Clapton Live Report 2014



2014. 2. 23 @ 横浜アリーナ

Eric Claptonの来日公演に行ってきた。今回の来日は初来日から40年の20回目となるが、来月には70歳となる彼はワールドツアーからの引退を表明している。つい数年前まではカッコ良いおじさんだったのが、最近の写真を見ると急に老け込んでお爺さんという風情になってしまっていることに驚いていた。なので引退の話も真実味が帯びていた。

横浜アリーナは初めてだったが、東京ドームあたりに比べると小さめだった。会場は満席で、50~60代の人が一番多かった気がする。私の席はS席だったが、実際はステージ左手の2階席のようなところだった。

日曜なので開演は早めの17:00。10分過ぎ頃にメンバー登場。スタートはPretending。Ericはブルージーンズと紺のYシャツに黒のベスト。髪はまたバッサリと短くしていた。彼は短い方が似合うし若く見える。右手にはベースのNathan EastとピアノのChris Stainton、中央奥はドラムのSteve Gadd、左手はオルガンのPaul Carrack、左奥はコーラスの女性2人MichelleとSharon。強力な布陣だ。

続いてKey To The HighwayとTell The Truthのアルバム「Layla」から2連発。毎曲の終盤には必ずEricのソロタイムがあり、彼の黒のストラトが突き刺すような鋭い音色を奏でている。今回のツアーにはセカンドギタリストがいないため、彼のギターがよく聴こえる。想像していたよりもかなり弾きまくっている印象。曲の最後にネックを振り下ろすのもお約束だ。4曲目はMuddy WatersのHoochie Coochie Man。Muddyほどではないが、なかなかドスの効いた歌声を聴かせてくれた。続くHonest ManはPaulのボーカルだった。

その後Ericがストロークで少し弾いた後にWonderful Tonightの優しげなフレーズを弾き始めると大きな歓声が上がった。原曲よりも少しアップテンポだったが、照明の演出も含めロマンチックな一時だった。さらに嬉しかったのは、この後レゲエのリズムに乗って始まったI Shot The Sherrif。途中Ericに一条の光が当たり、緩やかに始まったソロが徐々に高まりクライマックスへと上り詰める様は圧巻だった。

周囲の照明が落ち、Ericが椅子に腰掛ける。青いマーチンを手渡され、アコースティックタイムに入る。指弾きでDrifting Bluesなどを渋く弾き語る。Nobody Knows Youではピアノとの軽快な絡みに場内も手拍子。Nathanはボディのないタイプのアップライトベースを弾いている。イントロをつけてから始まったLaylaには歓声が上がったが、個人的にはこれはエレキで聴きたかったので残念だった。Tears In Heavenは少し軽快なレゲエなリズムを付けて演奏され、本来の感傷的な雰囲気はなかった。ペダルスティールのような音色が聴こえ、一瞬Greg Leizeがいるのかと思ったが、これはChrisがキーボードで弾いていたようだ。

エレキに戻りまたPaulのボーカルでHow Long。この曲は初耳だったが、良い曲だったし、Paulのボーカルも良かった。ここから後は一気に駆け抜けて行った。毎曲後半はChrisのピアノ、Paulのオルガン、Ericのギターがそれぞれ見事なソロを回して魅せてくれた。Steveのドラムも派手さこそないが、堅実なドラミングを聴かせてくれた。MichelleとSharonの力強いコーラスも終始サウンドを彩っていた。

個人的に残念だったのが、Nathanのベースが終始他の楽器の音に埋れてあまり聞こえなかったこと。彼は世界最高峰のベーシストだと思うし、先日も初のソロアルバムを出したばかりだが、今回は彼の見せ場は全くなく、バックスクリーンにもほとんど映されなかった。ただ時折Ericの方を向いて白い歯を見せて笑っていたことと、Cocaineのサビで客席に腕を突き上げてみせていたのが印象的だった。

メンバーは一度引っ込み、アンコールに再登場した。曲はJoe CockerのHigh Time We Went。ボーカルはまたもやPaulで、Ericはギターとコーラスに徹していた。そしてこれが終わると、他の曲と同じようにThank You!とだけ言うと、並んで挨拶することもなく、手を振るNathanを引っ張るようにして足早にステージを去って行ってしまった。最初これはSunshine Of Your LoveあたりのCreamの曲で再アンコールがあるのだと思ったが、無情にもすぐに客電がつきアナウンスが流れ、2時間弱のセットは終了した。これには非常にガッカリさせられた。結局MCもないし、メンバー紹介もなかったわけで、尻切れトンボの感が否めなかった。まぁこの最後だけ除けば、素晴らしいステージだったと思うが。

SETLIST
1. Pretending
2. Tell the Truth
3. Key to the Highway
4. Hoochie Coochie Man
5. Honest Man
6. Wonderful Tonight
7. I Shot The Seriff
8. Driftin’ Blues
9. Nobody Knows You When You’re Down and Out
10. Alabama Woman Blues
11. Layla
12. Tsars in Heaven
13. How Long?
14. Before You Accused Me
15. Cross Road Blues
16. Little Queen of Spades
17. Cocaine
encore
18 High Time We Went


エリック・クラプトン 自伝 (2008)

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Eric Claptonが来日している。チケットまで買っておきながら正直に言うと、私はそれほど熱心な彼のファンではなかった。それでもCreamからDerek & The Dominos、ソロまでの彼の代表的なアルバムは20枚弱ほど持っているし、彼の紆余曲折の人生とそれらが反映された名曲の数々はよく知るところではあった。今回は予習の意味で、かねてから気になっていた彼の自伝を読んでみた。

祖母を母親だと信じていた少年期、親友George Harrisonの妻Pattiへの恋心、事故で他界した愛息など、彼の稀有な悲劇の数々を知ってはいたが、実際に彼自身の言葉で読むと、それがどれほど辛い経験か良く分かる。

音楽的なエピソードも盛り沢山。常に業界の中心にいたため、登場人物もビッグネームばかり。デビュー当時のStonesとは気が合ったが、The Beatlesのことは気に入らなかったとか、親友のJimi Hendrixに左利き用ギターをプレゼントしようとNew Yorkに行った日にJimiが死んだという話等々。

しかし音楽的な成功とは裏腹に、本書のずっと重いテーマとなっているのが彼のアルコール依存症である。それによる人間関係の崩壊や繰り返す入退院などについて赤裸々に吐露されている。だからこそ最終的に依存症を克服しただけでなく、自らリハビリセンターも設立し、幸せな家庭を築くに至るというハッピーエンドが読み手に良い読後感を与えてくれる。

彼はギターの天才である。それだけでなく、絶世の色男であり、大金持ちだ。そんな全てを持っているように見える男が、反面様々なものを失う悲劇の数々に遭い苦悩する。そしてそれらが元になり彼のブルース音楽が生まれてきたわけである。

最後に、非常にベタだけど私がライブで特に聴きたいと思っている楽曲ベスト10を挙げておきつつ、今日の横浜アリーナに向かいます。

1. Layla (electric version)
2. White Room
3. Bell Bottom Blues
4. Tears In Heaven
5. Sunshine Of Your Love
6. Let It Grow
7. Badge
8. River Of Tears
9. Wonderful Tonight
10.Running On Faith (acoustic version)


Sheryl Crow 「Feels Like Home」 (2013)

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Sheryl Crowのニューアルバム「Feels Like Home」がリリースされた。前作「100 Miles From Memphis」から3年振りとなる。

前作は60-70年代ソウルへのオマージュ志向の強い作品だった。あれも興味深い作品ではあったが、どこかに少し違和感もあった。今回は居住だけでなくレーベルもレコーディングも全てナッシュビルにしたということで当然のようにカントリーアルバムが出来上がった。だが元々ずっとカントリーロックを演ってきた彼女には、やっぱりこちらの方がしっくりくる。

今作はタイトル通り全編に渡り非常にリラックスした雰囲気になっている。ミドルテンポからバラッドを中心に、穏やかでメロディアスな楽曲が並ぶ。ペダルスティールやアコーディオン、ハーモニカなどの楽器が牧歌的なカントリーテイストを加味し、アットホームな暖かみを増している。そしてどれも非常に曲質が高い。Brad PaisleyやVince Gillといった有名なカントリーシンガー達も作曲やコーラスで参加している。

ただそんな中でM1やM10のようなパンチのある曲をもう少し期待してしまったのも事実。やはり彼女にはメロウな曲や純粋なカントリーだけではなくカントリーロックをガツンと演ってほしいと思ってしまうわけで、ジャケットのような女性らしい服装ではなくバリッとジーンズで決めてもらいたいのだ。全くわがままなファン心理ではあるが。

★★★☆


秋の夜長に (アメリカ編)

めっきり風が冷たくなり、秋めいてきた。この季節生まれの人間には、この寂寥感も嫌いではない。普段は仕事から遅く帰ってきて、夕飯と風呂を済ますと、疲れて早々と寝てしまうことが多いのだが、こんな秋の夜長はそれではもったいないと思ってしまう。そんな時は部屋の明かりを少しだけ暗くし、部屋に隅に置いてある安ワインと冷蔵庫にあるチーズを持って来る。そしてそれらをちまちまやりながら耳を傾けたくなるのはこんな曲である。いずれも愛してやまない名曲の数々で、静かな男の哀愁が疲れた心に染み入る。


Bob Dylan "Spanish Leather Boots" (1963)
最近はロック期よりむしろフォーク期のDylanの方が味わい深くて好きだ。プロテストだけではない、彼のストーリーテラーとしての才華が発揮された初期の隠れた名曲。



Ry Cooder "Boomer’s Story " (1972)
とぼけた中にも男の哀愁とロマンが溢れる一曲。この頃のJim Dickinsonをプロデューサーにしたシンプルな音作りが一番心地よい。



The Band "Twilight (Early Alternate Version)" (1975)
The Bandの数ある名曲の中で最も好きな曲の1つ。特にこのEarly Alternate Versionがいい。Richardのピアノと3人のコーラスがどこまでも美しい。



The Black Crowes "The Last Place That Love Lives" (2009)
希代のRock & Rollバンドの近年の名曲。哀愁溢れる調べと、Chris Robinsonのボーカルが染みる。



Levon Helm "Growin Trade" (2009)
2012年に惜しまれながら他界したLevonが最後に遺してくれた名曲。これを聴きながら、今夜も彼に逢いに行くとしよう。動画はMarley’s Ghostのカヴァー。

Counting Crows 「Underwater Sunshine (Or What We Did On Our Summer Vacation)」 (2012)

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Counting Crows

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01. Untitled (Love Song) – The Romany Rye
02. Start Again – Teenage Fanclub
03. Hospital – Coby Brown
04. Mercy – Tender Mercies
05. Meet On The Ledge – Fairport Convention
06. Like Teenage Gravity – Kasey Anderson & The Honkies
07. Amie – Pure Prairie League
08. Coming Around – Travis
09. Ooh La La – The Faces
10. All My Failures – Dawes
11. Return of the Grievous Angel – Gram Parsons
12. Four White Stallions – Tender Mercies
13. Jumping Jesus – Sordid Humor
14. You Ain’t Going Nowhere – Bob Dylan
15. The Ballad of El Goodo – Big Star

Counting Crowsは今年デビュー20周年を迎えた。私はデビュー直後から追っているが、時間が経つのは早いものだ。今まで来日したこともなく、2003年に決まった時も喜んだのも束の間、直前に急遽中止になり涙を飲んだものだった。あの時理由は発表されなかったが、恐らくチケットが売れなかったのだろう。日本ではとにかく知名度が低い。一方で本国での人気は高かった。アメリカのサンフランシスコからデビューしたのは1993年。デビュー作「August Everything & After」は800万枚の大成功を収めていた。

当時このようなアメリカンルーツに根差した大陸的なスケールのロックを標榜するバンドが多く出てきた時代だった。Hootie & The BlowfishやDave Matthews Bandらが出てきたのも同時期で、皆おしなべて驚異的なセールスを上げていた。背景として、混沌としたグランジ・オルタナティブの時代が終わりを告げ、その反動として再び自らのルーツへと回帰したと考えられる。これは60年代後期のサイケデリックムーブメントの終焉後、カントリーロックやシンガーソングライターブームとなったことと全く同じ流れだったと言える。

しかし近年はかつての人気にも陰りが出ているようだ。そんな中で出された2008年の前作「Saturday Nights & Sunday Mornings」は、かつてないほどにハードに攻め立て、歯を食いしばるような意地を見せつけたアルバムだった。今回また4年ぶりに新作「Underwater Sunshine」がリリースされたわけだが、今度は振り子が戻ったかのように、穏やかな作風になっている。

今回はカヴァー集だということだが、元々彼らはライブでもいつも何かしらカヴァーを取り上げており、そのレパートリーは膨大にある。それにしても多彩な選曲になっている。Bob DylanやThe Faces、Gram Personsといったあたりはいかにも彼ららしいルーツ。Fairport ConventionやTeenage Funclubも分かる。意外なのが最近のアーティストが多く取り上げられていること。Travisをはじめ、聞いたことがないアーティストも多い。インナーにAdam Duritzが経緯などを詳細に書いてくれているが、新しいアーティストも色々チェックしているようだ。レコーディングには苦労したようだが、最終的にはどれも立派なCrowsの曲として成り立っている。ちなみにTender MerciesはギターDan Vickreyのサイドプロジェクト。M2、M11、M14は「Hard Candy」のボーナストラックとして収録されていたが、よく聴き比べるとこれらも新録のようだ。

で、やはり実感するのはAdam Duritzのボーカルの素晴らしさだ。デビューの頃からそうだったが、彼は歌声の魅力やストーリーテラーとしての表現力に溢れており、私にとって最も好きなボーカリストの1人である。またバンドの演奏力も非常に安定している。いつの間にかドラムとベースも交替していたようだが、安定感は変わっていない。

それにしても、いつからか新作では国内盤も出なくなってしまったので、もはや来日を期待することもできなくなってしまって久しい。もう単独は無理なので、フジロックあたりが呼んでくれれば、若い人にもアピールできると思うのだが。

★★★☆


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