Live Reports

Huey Lewis & The News Japan Tour 2017

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Huey Lewis & The Newsの来日公演に行ってきた。4年前に見逃して悔しい思いをしたが、また来るとは思っていなかった。会場はオーチャードホールで、私の席は2階の最前列。観客は40~50代が多いようだった。行ったのは21日だったが、翌日の追加公演がグレイテストヒッツになると聞いていた。そっちへ行くべきだったかと思ったが、逆に現在進行形なバンドの姿を知ることが出来た。

場内暗転すると、ステージは赤く点滅する中、ダンダダンとR&Rの鼓動が鳴り響いてきた。次々とメンバーが登場し、始まったのはもちろん”Heart Of Rock & Roll”。歓声の中、最後にサングラスをかけたHueyがステージに登場しハーモニカを吹き鳴らした後にマイクを掴んだ。

懐かしいあのハスキーボイス、伸びやかな高音にシャウト。遠目だからか67歳という年齢ほど歳を取ったようには見えず、自慢のゴールデンボイスも健在だ。右手にいる若くて髪の長いイケメンギタリストがギターでクラクションの音を出している。左手はオリジナルメンバーのJohnny Colla。彼はギターを弾いていたと思ったら、今度はサックスに持ち替えて吹き鳴らす。1階席はすでにオールスタンディング。このオーチャードホールでオールスタンディングの光景を見るのは初めてだ。

最近の曲だろうか初めて聴く2曲目の後に、また聴き慣れた”I Want A New Drag”のイントロが流れ観客が反応する。Johnnyは3人のホーンセクションに並んでサックス。右手の若いギタリストがこの曲や”Jacob's Ladder”の中間部で長いギターソロを聴かせ新しい解釈を加えていた。彼の若さがこの親父バンドに活きの良さを持ち込んでいるのが見て取れた。

ここでHueyのMC。「ドモアリガト、トーキョー!今日は11月21日の水曜日だ。今夜を忘れられない夜にしようぜ。これは新曲だ」”Her Love Is Killing Me”とタイトルされたノリの良いR&R。最後Hueyはタイトル通りドラムセットに倒れ込む茶目っ気を見せる。昔の曲と新曲やカヴァー曲を上手く織り交ぜながらセットは進んでいく。Hueyはバンドマイクでステージを左へ右へ動き「Are you with me !?」と煽ったり、観客に歌わせたり、上手く場内を盛り上げる。

途中1人ずつバンド紹介。オリジナルメンバーのキーボードSean HopperやドラムBill Gibsonの時は一際大きな歓声が上がった。「続く2曲はアカペラだ。知ってれば歌って、知らなければ手を叩いてくれ」メンバー全員ステージフロントに出て来て横一列に並ぶ。楽器はギター1本とベース、スネアドラムとホーン。この編成で1曲歌った後は、5人だけになり今度は完全なアカペラで新曲”Looking For A Love”。これがまた見事で、Seanの低音が特に良い味を出していた。

ここでHueyが「Lets go back to the future !」と叫び”Back In Time”へと雪崩れ込む。ここからはヒット曲のオンパレードと行って欲しかったが、”Heart And Soul”の後はまたカヴァーがありつつ本編終了。

アンコールで歓声の中Hueyが1人でステージに戻った後、ホーンセクションの紹介。そして「何か聴きたいか知ってるよ。30年前にこの曲を書いて以来毎晩演ることになった。これは君達のためだ」と言って始まったのは”Power Of Love”。中間部でHueyが「Can you feel it?」と煽る。正直愛の力は感じないが、音楽の力は感じることが出来た。

クールダウンしてミドルテンポの”Stuck With Me”。幸福感溢れる歌詞と綺麗なコーラスに改めて良い曲だなというのと、西海岸のバンドだなというのを再認識する。
その後ドラムとハーモニカだけで盛り上げた後、アップテンポの”Working For Living”で駆け抜ける。最後は全員で飛び上がって最後の音を鳴らして終了。横一列で挨拶をした後、大歓声の中ステージを去って行った。90分という短い時間ではあったが素晴らしいステージだった。

残念だったのは自分の席位置。ステージは良く見えたが、結局最後まで立ち上がることが出来ずじまい。これは座って観るような音楽じゃないだろう。こんな最高のR&Rは。

1. The Heart Of Rock & Roll
2. Remind Me Why I Love You Again
3. Doing It All For My Baby
4. I Want A New Drug
5. Her Love Is Killing Me
6. Jacob's Ladder
7. Hip To Be Square
8. Um, Um, Um, Um, Um, Um, Um
9. Lookin' For A Love
10.While We're Young
11.Back In Time
12.Heart And Soul
13.But It's Alright
14.We're Not Here For A Long Time
encore
15.The Power Of Love
16.Stuck With You
17.Workin' For A Livin

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Dream Theater 「Images, Words and Beyond 25th Anniversary Tour」

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Dream Theaterの武道館公演に行ってきた。当日は仕事が定時には終わらず、20分ほど遅れて会場に到着。場内は満員で1階席も既にオールスタンディング。同じプログレでもYesやKing Crimsonとはやっぱり違うなと思った。30~50代男性が中心のよう。私は南西の1階で、なかなか見やすい席だった。

ステージにはフロント右手にギターJohn Petrucci、一回り大きくなった体格と仙人のような髭で昔とは別人のよう。一方左手のベースJohn Myungは昔と変わっていない。後方中央の大掛かりなドラムセットの後ろにMike Mangini、後ろ被りのベースボールキャップがPortnoyのよう。左手にキーボードJordan Rudessはスキンヘッドにグレーの顎髭が特徴的。その時演奏していたのはインストの”Hell's Kitchen”。恥ずかしながら私は初期のアルバムしか持ってはいないが、一応セットリストは予習してきてはいた。

曲が終わり右手のPAの影からボーカルJames Labrieが登場。曲は”The Gift Of Music”から”One New World”へ。Petrucciの時にヘヴィに時に流麗と変幻自在なギター、Myungの気持ち良い指弾きのベース音、Manginiの緩急自在なドラム、Jordanのキーボードはなんかさっきからグルグル回っている。素晴らしい演奏を聴かせるバンドをバックに、Jamesの歌唱力も見事。他のメンバーがあまり定位置から動かない中で、Jamesはステージの左右で場内を盛り上げるが、途中インストパートが長いとすぐPAの後ろに引っ込んでいた。

ここでJamesがMyungを紹介してMyungのソロタイム。曲は彼が多大な影響を受けたという名ジャズベーシストJaco Pastoriusの”Portrait Of Tracy”。6弦ベースで綺麗な高音ハーモニクスを静かに紡いでみせる。続いては思い切りヘヴィな”As I Am”。終盤にはMetallicaの”Enter Sandman”が違和感なく挿入されていた。”Breaking All Illusions”で第一部が終了して休憩に。

再び暗転した後にSEが流れ始める。Pearl JamやNirvanaなど1992年にヒットした曲がラジオの電波に乗って次々と聴こえる。最後にDJがトップ10ヒットとして”Pull Me Under”を紹介し、ギターのイントロからヘヴィなリフが聴こえると場内大歓声とともに無数の腕を突き上がる。サビは大合唱。ここからがアルバム「Images And Words」、続くのは美しい”Another Day”。Jamesはサビの一番高いパートは音を下げていたが、それ以外の歌唱力は流石だった。

ここでJamesのMC。「1992年11月に俺達は初めて日本に来て以来何度も来てここでDVDも収録したけど、この特別な関係こそが俺達が得た最高ものだ」”Take The Time”はバンド演奏力の見せ所。繰り返されるリズムチェンジとブレイクがピッタリ合っているのは流石。最後はそのまま終わらずにギターソロが加えられていた。”Surrounded”を生で聴けたのも感動。やっぱりJamesの高音部は出ていなかったが。
”Metropolis - Part 1”の中間部ではドラムソロも。ツーバスを踏みながらドラムセットを全て使い切るようなパワフルなソロだった。

”Under A Glass Moon”が終わった後、メンバーがはけて暗くなった中央に置かれた椅子にJamesが1人で座る。「彼は非常に才能のある男で、俺達はもう結婚して17年になるけど、いや結婚じゃないか、でもまぁ一緒にやるというのは結婚みたいものだな」という前振りからJordanを紹介。キーボードに座ったJordanは厳かなピアノの音色を弾き始め、そのまま”Wait For Sleep”へ。Jamesの情感溢れる歌声と相まり美しい一時だった。

メンバーが戻り最後に”Learning To Live”。目まぐるしく展開する見事な演奏を聴かせ、大歓声のうちに本編が終了した。アンコールは”A Change Of Season”。これはまた20分以上もあるザ・プログレッシヴな一曲。静と動、各人の見せ場などを絡めながら進んでいく。若干聴いているこちらが疲れてしまったが、これを演り続ける集中力に感嘆。

10時前に終演。Myungがさっさと左袖に引っ込んでしまったのが気になったが、再度現れて全員で肩を組んだり写真撮影をしていてホッとした。

冒頭を見逃してしまったが、計3時間にわたる圧巻のステージだった。後日WOWOWで放映されるということなので、これも楽しみにしよう。

1 The Dark Eternal Night
2 The Bigger Picture
3 Hell’s Kitchen
4 The Gift of Music
5 Our New World
6 Portrait of Tracy 
7 As I Am
8 Breaking All Illusions
<break>
9 Pull Me Under
10 Another Day
11 Take the Time
12 Surrounded
13 Metropolis Pt.1
14 Under a Glass Moon
15 Wait for Sleep
16 Learning to Live
<encore>
17 A Change of Seasons

Generation Axe 2017 Live Report

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先日Generation Axeを観に行ってきた。これはSteve Vaiが主催してHR/HMのギターヒーローを集めたイベントで、昨年の北米に続いて日本でも開催されたもの。4月頭は仕事がトップシーズンで無理やり定時に終わらせてZeppに向かったが、会場に着いた頃には既に開演してしまっていた。ステージには左から、Nuno Bettencourt、Zakk Wylde、Steve Vai、Yngwie Malmsteen、Tosin Abasi。錚々たる5人のメンツが並んでBostonの”Foreplay”をプレイしていた。バックバンドはベース、ドラム、キーボードの3人。会場は満員御礼。

終わるとTosinが1人ステージに残る。他のギタリスト達と比べると知名度は低いかもしれないが、個人的には結構観るのを楽しみにしていたギタリスト。Steveが声掛けをしたと聞き、最初変態系のファンキーなタイプかと思ったが、全然違った。8弦のギターをタッピングやスラッピングで弾いていて、ギターというよりもスティックを弾いている感覚。音楽性もフュージョンの入ったプログレメタルという感じで面白かった。

3曲弾いた後にTosinが「ヌーノサーン」と呼ぶと、左手からNunoが登場して歓声が上がる。昔と変わらぬイケメンぶり。2人並んでTosinの曲”Web”を一緒をプレイした後にTosinは退場すると、Nunoが「Tosinの後にプレイするのは怖いんだよね。でも俺はシンプルに演らせてもらうよ。俺はシンプルガイだからね」と笑いを誘う。最初の曲は”Get The Funk Out”。ボーカルまで取りグルーヴィーにプレイすると、会場のボルテージが一気に上がる。続いてアコギを持って中央の椅子に座る。”More Than Words”のイントロを弾き始めたが、「いや、これは今夜は演らないよ」と途中で止め、”Midnight Express”へ。これがまた見事だった。最後は”Extreme Medley”。ドラム台に登ったりしながら弾きまくり会場を盛り上げてくれた。終始気さくなMCも含め、彼は本当に華のあるギタリストだった。

ここでZakkが登場する。Nunoのボーカルで2人が演奏したのはCitizen Copeの”Sideways”。最初随分地味な選曲だなと思ったのだが、途中から2人して泣きのギターを聴かせまくるブルージーなアレンジで納得。ここからはZakkの独演。演奏したのはBlack Sabbathの”NIB”、Jimi Hendrixの”Little Wing”、Allman Brothers Bandの”Whipping Post”と、どれもカヴァーだが非常にZakkらしい選曲。どの曲も途中までは雰囲気たっぷりにボーカルを取りながら演奏するのだが、後半はとにかく弾きまくり。あまり最近の彼には早弾きのイメージはなかったのだが、この日は弾き倒していた。プロレスラーの呼び込みのようにメンバー紹介した以外はあまりMCもなかったが、何度も客席まで降りて来たり、ゴリラのように胸を叩いたり、背中で弾いてみせたり、色々なパフォーマンスで楽しませてくれた。Nunoとは対照的な漢っぷりだった。

続いて登場したのはSteve Vai。昨年の北米ツアーではSteveがトリだったのだが、今回は順番を入れ替えたようだ。フレットが光るギターで思い切りヘヴィな曲でスタート。その後も残念ながら知っている曲はなかったが、曲毎にギターを替えながら、時に流麗に時に泣きをきかせ、色々と多彩なプレイを披露していた。昔と違い髪は短くなり後頭部も寂しくなってしまったが、相変わらずの奇才ぶりだった。

そして最後トリYngwieが登場。この時だけステージは赤いライトを浴びて一面のスモークに覆われた。会場の大歓声を聞くと、やはり彼が一番人気があるようで、Steveも気を使ってトリを譲ったのだろうか。初日は機材トラブルの関係ですこぶる機嫌が悪かったらしいが、今日はステップを踏んだり機嫌良さげ。冒頭からとにかくストラトを弾きまくっていて、途中いくつかクラシック曲も弾いていたが、何だか早過ぎて良く分からなかった。上手いのだけど、とにかく早引きばかりで正直ちょっと疲れてしまった。最後にアコースティックから始まって、Steveと並んでツインリードを聴かせた”Black Star”は良かった。

この後、Yngwie以外の4人が揃ってEdgar Winterの”Frankenstein”。NunoとZakkとSteveの3人が並んで一緒にネックを振り上げたり、仲良く楽しそうにプレイしていたのが印象的。途中Nunoはドラムまで叩いて、もう1人と掛け合いをしてみせていた。

そして最後はYngwieも再登場し、Deep Purpleの”Highway Star”。ボーカルはYngwieだったが、彼のIan Gillanはなかなか悪くなかった。途中1人1人順番にソロ回しもしていたが、個性の強いそれぞれのギタリストの特徴が良く現れていた。本来なら最後にSteveから他のメンバーに対してコメントがあるはずなのだが、会場が3時間と決まっている上に、この日は開演が遅れたこともありカットされてしまっていた。終演後並んで挨拶した後もあまり名残惜しむ暇もなかったようだが、NunoとZakkだけステージ下まで降りて握手に応じていた。
1週間ピークシーズンの仕事で疲れた末に3時間強のスタンディングとは中年には体力的にかなり厳しかったが、結果的になかなか楽しませてもらった一夜だった。


1. Foreplay (N, Z, V, Y, T)
2. Tempting Time (T)
3. Air Chrysalis (T)
4. The Woven Web (T)
5. Physical Education (T, N)
6. Get the Funk Out (N)
7. Midnight Express (N)
8. Extreme Medley (N)
9. Sideways (N, Z)
10.N.I.B. (Z)
11.Whipping Post (Z)
12.Little Wing (Z)
13.Bad Horsie (V)
14.Racing The World (V)
15.Tender Surrender (V)
16.Gravity Storm (V)
17.Spellbound (Y)
18.Into Valhalla (Y)
20.Overture (Y)
21.From Thousand Cuts / Arpeggios from Hell (Y)
22.Adagio (Y)
23.Far Beyond the Sun (Y)
24.Trilogy Suite Op:5 / Fugue / Echo (Y)
25.Black Star (V, Y)
26.Frankenstein (N, Z, V, T)
27.Highway Star (N, Z, V, Y, T)


The Police Live Report 2008

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懐かしくなったので以前の来日公演のレポートを引っ張り出してきたみた。早いものでもう9年前になる。

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2008.02.14 @ 東京ドーム

こんな日が来るとは思わなかった。まさか再結成するなんて、生きていればいい事があるものである。。
数年前にMaxeenというバンドのライブを見た時に、The Policeの影響を強く感じながらも、その本家のライブを見ることなどもう叶うはずがないと思っていた。無理もない。84年のツアーを最後に彼らは解散していた。StingとStewartの仲の悪さは有名であり、何時の世界的再結成ブームも彼らを動かすことはなかった。だから今回の気まぐれによる再結成は、願ってもいない出来事であった。

今回の公演にはプレミアム席という設定があり、発売当初からこれ以外考えていなかった。東京ドームの巨大さには既に幻滅しており、中途半端なスタンド席で何も見えずノリ切れずに、欲求不満の不完全燃焼で終わりたくはなかった。また来日する可能性があるアーチストならいざ知らず、今回はThe Policeである。次はまずない。しかしこのプレミアム席、何気に大人気で発売直後に完売。仕方なく慣れないヤフオクで漁り続たが、ある気の良い方からほぼ定価で譲って頂き、何とか公演前日にチケットを手にすることができた。

例によって仕事を早めに切り上げ、水道橋へと急ぐ。入場した時にはStingの息子の前座バンドFiction Planeの演奏が既に始まっていた。息子バンドはなかなか好演していた。顔も声も父親に似ていたが、10分近い大曲を演ったり独自性を出そうとしていた。日本語も上手かった。きっとこの来日で新規ファンをいくらか獲得できたことだろう。

私の席はアリーナB14ブロック。ステージ前から2ブロック目であった。プレミアム席ということで、ステージからは50メートル位の距離だった。アリーナの後方やスタンド席に比べれば格段に近い席である。オーディエンスは30~40代が多かったようだが、棒立ちしている者も多く、ノリはイマイチに感じられた。最も惜しむべくは私の前に立ちはだかっていた185はある外国人だった。私の視界のほとんどを終始遮っていてくれていたので、私は何とかスクリーンではなく彼らの生の姿を見ようと、右へ左へ体を動かしながらステージを追いかけた。

Stewartは白髪が交じりつつも、「Ghost In Machine」のタイトなTシャツで若々しい.印象を受けられた。さらに若々しいのはStingで、袖無し黒Tで依然ムキムキの上腕二頭筋を見せつけていた。Andyはちょっと親父臭い赤い柄シャツだったが、彼は今65歳。その年でワールドツアーを行っているだけでも驚異的である。今回のツアーはこの3人のみ。Synchronicityツアーの際はバックコーラスの女性シンガーなどがいたが、今回はサポートメンバーが一切いない。原点回帰の意味合いもあろうが、単純に自分たちのアンサンブルだけで勝負できるという自信の表れでもあろう。

Stingは今日も古いプレシジョンを持っていた。禿げて年季の入った木目のそれは、The Police現役時代からの愛用のものである。ベキベキいうベース音は全体のサウンドの中で強く主張していたし、時折聴かせる重低音は腹まで響き、個人的に非常に堪能させてもらった。またStingはキーをほとんど変えていなかった。原曲のキーをキープして圧倒的な声量で歌い続け、最後までオーディエンスを落胆させることはなかった。これは解散後もずっとソロとして第一線を走り続けてきた彼の強みだろう。"Don't Stand So Close To Me"を演奏し始める前に「私は昔教師だったんだよ。」と言っていたが、そんなことはここにいる皆が知っているだろう。

また今回個人的に感心させられたのはAndyである。Andyの黒テレキャスターもSting同様昔から愛用のものだ。後半は赤のストラトに持ち替えていたが。ステージアクションも少なくステージ右手か中央で黙々とプレイしていたが、その流麗な指さばきは見る者を魅了していた。特に"When The Wall Is Running Down"のアップテンポな中間アレンジパートでStingと絡みながらのプレイは圧倒的だった。

ヒット曲の多い彼らのライブはまさにグレイテストヒッツだった。しかし慣れ親しんでいたはずの楽曲群は、迫力ある演奏とアレンジにより、どの曲も原曲より遥かにカッコよかった。特に"Driven To Tears"などは新しい発見があったし、"Every Thing She Does Is Magic"は名曲であるということを今回改めて知ることとなった。"Walking In Your Footstep"は大阪でもやらなかった曲だったが、この日は演ってくれていた。"Wrapped Around Your Finger"同様Stewartがパーカッションをせわしなく操り、アレンジを変え、バックには迫力ある恐竜の映像が流れ、予想以上にカッコよかった。

唯一ガッカリしたのは"Reggata De Blanc"でのコールレスポンスがなかったことである。これを楽しみにしていたのだが、Stingが一人でワンコーラス歌ったのみで"Can't Stand Losing You"に戻ってしまっていた。大阪と東京初日で反応が薄かったせいだろうか。レパートリー中全体的にもC&Rはやはり少なかったが、これは残念だった。

初期の名曲"Roxanne"で最高潮に盛り上がり本編終了。アンコールは名曲が続く。後期の"King Of Pain"の次は最初期のアップテンポな"So Lonely"。"Welcome to Andy Summers show ~♪"と変えていたが、反応は少なかった。そして"Every Breath You Take"。これは私が彼らを知った名曲。ストーカーソングとして有名であるが、私にとっては永遠のラブソングである。シンプルなバンド編成は、この曲が持つメロディの良さを引き立たせていた。ここで泣いている人も多かった。

アンコールが終わるとステージに一人残ったAndyが、おどけて笑いを誘う。そして人差し指を立てて、もう一曲だよとアピールすると客席は歓喜に包まれた。そしてこれも最初期の"Next To You"で大団円は終了した。

セットリストに関しては、ここまでグレイテストヒッツなライブだとあまり文句もない。欲を言えば"Be My Girl - Sally"、"Omegaman"、"Spirits In A Material World"、"Synchronicity Ⅰ"あたりも聞いてみたかった気もする。いずれにせよ今回の来日公演、その年齢を全く感じさせない熱の入ったものであり、往年と比較しても遜色のない、またはそれ以上の素晴らしいものであったと思えた。

Setlist
1. Message in a Bottle 
2. Synchronicity II 
3. Walking On The Moon 
4. Voices Inside My Head 
5. When The World Is Running Down 
6. Don't Stand So Close To Me 
7. Driven To Tears 
8. Hole In My Life 
9. Every Little Thing She Does Is Magic 
10. Wrapped Around Your Finger 
11. De Do Do Do De Da Da Da 
12. Invisible Sun 
13. Walking In Your Footstep
14. Can't Stand Losing You  ~Reggata De Blanc
15. Roxanne 
~Encore 1~
16. King Of Pain 
17. So Lonely 
18. Every Breath You Take 
~Encore 2~
19. Next To You 

 

Hiromi The Trio Project 「Spark Japan Tour 2016」

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先日上原ひろみさんのHiromi The Trio Project 「Spark Japan Tour 2016」のコンサートを観に行ってきた。

会場は東京国際フォーラムのAホール。ロック畑の人間にはこれまで縁のなかった会場だ。中に入ると予想以上に広い上に高低差がスゴい。私の席は2階席の後ろの方だったが、実際には7階の高さから3階のステージを見下ろしている形になる。場内は20~60代まで男女ともに幅広い世代で満席だった。

7時を過ぎて暗転し大歓声の中3人が登場。下手の黒いグランドピアノに赤いチェックのワンピースを着たひろみさん、中央の椅子にはベースのHadrien Feraud、上手のドラムセットにはSimon Phillipsが座った。

オープニングは最新作タイトルトラック”Spark”。静かなピアノのイントロから始まり、ピアノの上に置いてある赤いシンセサイザーを弾いた後に一気にテンポアップしたところにドラムとベースが重ね合わされる。CDで聴いていたよりも格段に迫力のある演奏に一気に引き込まれる。しかも音響が素晴らしい。もうこの最初だけで来て良かったと思わされた。

ひろみさんのピアノはとにかく凄まじかった。とてつもなく早い運指から流麗でメロディアスな旋律を紡いでいたかと思えば、急にパーカッシブに低音を弾き鳴らして攻撃的な音の壁を積み上げる。次々と展開し続けるその驚異的なプレイにこちらは唖然となっているのに、本人は本当に楽しそうに弾いている。腕を振り上げたり、頭を振り回したり、立ち上がったりしながら、表情も本当に豊か。この人ほど楽しそうにピアノを弾く人を私は見たことがなかった。小学生の娘を連れて来ている人を何人も見かけたが、その気持ちも良く分かる。

実際あそこまで弾けたら本当に楽しいだろうと思う。それも最高のリズムセクションとプレイしていたら尚更だ。Simonはひろみさんとそれほど背も変わらない位で意外と小柄なんだなと思ったが、パワフルな上に手数が多い。何拍子なんだか良く分からない複雑なリズムを軽々と叩いていて、ひろみさんのピアノと息もピッタリ。先週も書いたが、この人はこんなに巧い人だとは知らなかった。また通常ジャズドラマーはレギュラーグリップが多いと思うが、ロック上がりだからかマッチドグリップなところが彼らしいなと思った。

Hadrienは6弦ベースの指弾き。6弦だけあって音域が広く、重低音を響かせてリズム楽器として鳴らしたり、ソロの時などはメロディ楽器として高音域を高速で弾いたり、幅広い役割を果たしていた。特にロックと違って邪魔なギターがない分、ベースが自由に動ける空間があり、ベース好きとして充分に堪能させてもらった。彼は元々若いイケメンイメージだったと思ったが、髭を生やしたせいでまるで別人のようにダンディだった。でもどこかでAnthonyのプレイも観たかった気もした。

2曲目に”Player”を弾いた後に、ひろみさんがマイクを持ってMC。「今回は世界中5大陸を回る、とてもマイルのたまるツアーになりました」に場内笑い。メンバーの紹介でHadrienは日本の寿司ざんまいが好きだと紹介すると、Hadrienが寿司ざんまいの社長のポーズで挨拶。Simonはビール好きで、日本に来たらいつも生中と頼むのだそう。

セットリストは基本的には最新作からがメイン。3曲目に比較的静かな”Take Me Away”、続いて少しオールドタイムな雰囲気の”Indulgence”、そして各人弾きまくりの”Dilemma”。聴いていて思ったのは、各曲中間部は結構オリジナルとはアレンジを変えてきているということ。メインリフでスタートとし、中間部にはインプロなソロを入れて見せ場を作り、最終的に再度メインリフに戻ってくるという構成。そんな自由なところがジャズの楽しさなのだと知った。

ここまで1時間15分ほど演奏したところで15分休憩。トイレと喫煙所はスゴい混みようだった。後半はまずSimonが1人だけで登場してきて叩き始めた。そして他の2人も出てきて”What Will Be, Will Be”。ひろみさんは今度は白いワンピースに着替えている。この曲はまたシンセサイザーが登場しアクセントになっている。Simonの音階ドラムが歌うような”Wonderland”が演奏された後、SimonとHadrienが下手へと引っ込む。

1人になったひろみさんがマイクを手にして、ソロ曲”Wake Up And Dream”の曲紹介。6歳でピアノを弾き始め、子供の頃から人前で演奏することを夢見てきたエピソードを話し、「夢を叶えてくれた皆様に感謝致します」と深く頭を下げた。そんな彼女の誠実さに感動したが、実際にその夢を実現は彼女の自身の努力と才能による必然的な結果であると思わずにはいられなかった。そうして始まったこの曲のプレイは、それまで聴いたことのなかったような静かなタッチで、優しさと繊細さに溢れていた。しかし面白かったのは、てっきりクラシックだと思っていたこの曲ですら、中間部はアレンジをしてきており、やはりこの人はジャズなんだなと感じた。

かなり長めのSimonのドラムソロをフィーチャーした”In Trance”では改めて各人の超絶プレイを披露して、大歓声のうちに本編終了。観客の拍手が見事に揃ったアンコールに応えて3人が再登場。Simonとひろみさんがピアノを叩いて”All’s Well”イントロクラップのリズムを鳴らす。アンコールの手拍子からつながりやすかったはずだが、リズムが難しいため場内なかなか揃わないのはご愛敬。最後の曲はリラックスした雰囲気の中で楽しげに演奏されて、全てのセットが終了した。最後は大歓声の中3人肩を組んで挨拶。この日初めて観たジャズの公演だったが、自分にとって新しい世界が開かれた気がした。そんな機会をくれたひろみさんに感謝。

1. Spark
2. Player 
3. Take Me Away
4. Indulgence
5. Dilemma
~break
6. What Will Be, Will Be
7. Wonderland
8. Labyrinth
9. Wake Up And Dream
10.In A Trance
~encore~
11. All's Well

 

Francis Dunnery Live Report 2016

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Francis Dunnery(フランシス・ダナリー)の来日公演に行ってきた。彼は80年代に活躍したイギリスのプログレバンドIt Bitesのオリジナルフロントマン。バンド脱退後、再結成にも絡んでいないので、彼の来日は89年の初来日以来となる。

会場は渋谷O-West。場内は一杯で、やはり30~50代の男性が多かった。暗転し歓声の中4人のメンバーが登場し、最後にFrancisが現れた。そしてオープニングは1stの1曲目”I Got You Eating Out Of My Hand”。

ハンチング帽を被って少し丸くなったFrancisは、かつての爽やかなロングヘアだった頃のイメージとは別人のようで、どこか少し前のPhil Collinsに似ていた。しかしハスキーがかった張りのある声と、高い位置で黒いストラトを抱えて弾く滑らかなギタープレイは間違いなく彼だった。

「25年振りだね。僕の髪もなくなっちゃったし、おっぱいも大きくなっちゃったよ。次に来る時はまた25年後だから、その時は杖をついているかもしれないね。まぁそれは君達も同じだけどね」と楽しいMCで場内を笑いを包む。”Yellow Christian”の後「一緒に歌ってよ。歌ってくれないと演奏やめちゃうからね」と言いながら、今度は”Underneath Your Pillow”へ。

今回は彼のデビュー30周年ということで、It Bitesの楽曲ばかりを演奏することになっており、長年親しんだ楽曲が次々と披露されていく。基本的にどれもポップで歌いやすいのだが、動と静のコントラストや、さりげないテクニカルプレイなど各楽曲の魅力を再発見することができた。

1曲だけ聴いたことがない曲が演奏されていた。”Feels Like Summertime”という曲で、当時未発表だった曲らしい。ソフトな感じだったが、後半でのFrancisのライトハンドプレイが凄かった。それは他の曲でもそうなのだが、とにかくFrancisのギタープレイは素晴らしいの一言。あれを弾きながら歌っているのだから、やはり彼は稀代のフロントマンであると痛感する。

またバックバンドも良かった。メンバーは皆Francisと同年代位のベテランさん達。往年のIt Bitesと比べると1人多いのだが、5人目のGregはフロントの右手に立ち、コーラス、ギター、キーボード、パソコン操作と何役もこなし、このステージでのキーマンだった。特にFrancisと一緒に弾くツインリードと、漫才の相方役が良い味を出していた。後ろにいるベースとドラムのリズム隊も、一聴単純なようで実はかなり複雑なリズムをきっちりと刻んでいる。左手のキーボードも良かったのだが、やはりここにJon Beckがいたらなぁと感じた。

長くドラマティックな”Old Man And The Angel”を演奏し終え、FrancisのMC。「今の曲は男性向きの曲だよね。そして次の曲は女性向けだな」と言って始まったのは”Still Too Young To Remember”。天まで伸びるようなイントロのギタートーンを聴いた瞬間、この名曲を生で聴けることに深い感慨を覚えた。

アップテンポな”Screaming On The Beaches”で最後を盛り上げて本編終了し、一旦下がる。アンコールで再登場し、始まったのは”Once Around The World”。この15分もある大作は以前の来日時にも演らなかった待望のセット。静かに始まり、徐々に盛り上がりストーリーが進んでいく。コーラスの後も次々と曲調とリズムが展開していき、プログレッシヴロックバンドIt Bitesの正に真骨頂という感じだった。

正直ライブを観るまでは少し懸念があった。過去のリメイクアルバムにも疑問を感じてしまったし。しかし実際にこれだけのものを見せてくれたら、彼が今のIt Bitesに無理に復帰する必要性を感じないのもよく分かった。でもいつか再びオリジナルメンバーが揃う日が来ればいいのにとも思う。

1. I Got You Eating Out Of My Hand
2. Yellow Christian
3. Underneath Your Pillow
4. Ice Melts Into Water
5. Feels Like Summertime
6. Vampires
7. Calling All The Heroes
8. You Never Go To Heaven
9. Old Man And The Angel
10. Still Too Young To Remember
11. Screaming On The Beaches
encore
12. Once Around The World

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Dirkschneider Live Report 2016

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元AcceptのボーカリストUdo Dirkschneiderの来日公演に行って来た。当初仕事が終わってから駆けつけるつもりだったのだが、当日風邪のために仕事を休んでいた。なのでライブも無理かと思っていたが、夕方には多少良くなったので何とか会場に辿り着いた。

今回は彼がAcceptの楽曲を歌う最後のツアーだという。オールドファンとしては往年の名曲を彼の声で聴きたいと願っていたわけだが、本来はAcceptとしてがベストだった。しかし今のAcceptは新しいボーカルを入れて成功を収めているので、それが望めないならこれが最後のチャンスだと思って参戦した。

会場は品川ステラボール。以前ここでStompを観た時は座席があったが、今日はオールスタンディングになっている。場内は700人程度と少なめだが、盛り上がりはスゴかった。

暗転して大歓声の中メンバー登場。右手からギターのAndrei、ベースのFitty、ギターのKasperi。この3人は今のU.D.O.のメンバー。ドラムのSvenはラストネームが同じなので、恐らくUdoの息子なのだろう。短髪でどことなく父親に似ていた。そしてUdoがマイクを持って登場し初期の”Starlight”から勢い良くスタート。

「ドモアリガトー!戻って来られて嬉しいよ」とUdoのMC。昔と同じ迷彩柄のシャツを着たUdoは、基本的に昔と同じ体型だが、太ったこともありかなり巨体に見える。MCでは結構普通に低い声だが、歌うと昔と変わらないあの金属質のハスキーボイス。あんな歌い方で長年歌ってよく喉が潰れないなと不思議に思う。やっぱりこの人の声に替わるものはない。

Udoはステージ中央でほとんど動かずに歌っていたが、貫禄たっぷりに観客を扇動した。対して他のメンバーはよく動いていた。バース部では下がって2人や3人で並んでギター・ベースを揃って振り上げ、サビにはフロントマイクに走って戻り野太いコーラスを聞かせる。ツインリードでは中央で2人が背中合わせで弾いてみせたりと色々なパフォーマンスで魅せてくれた。

Acceptの楽曲はミドルテンポのものが多いのだが、ザクザクと刻まれる重いギターリフを聴くと、これこそがヘヴィメタルだと痛感させられる。そしてその中に織り交ぜられる”Breaker”や”Wrong Is Right”のようなファストチューンが良く映える。

Udoの声が基本的に一本調子なので分かり辛いかもしれないが、実は”Son Of A Bitch”のようなハードな曲から”Midnight Highway”のようなキャッチーな曲まで楽曲の幅は非常に広い。ボーカル以上にギターがメロディアスに歌っているというのもある。今回とにかく往年の楽曲を次から次へと惜し気なく披露してくれ、バラード”Winter Dreams”なんかもしっとりと聴かせてくれた。

個人的なハイライトは前半に演った名曲”Prinecess Of The Dawn”。観客はどの曲も一緒に歌っていたが、この曲では特に大きくオーラスのような盛り上がりだった。

後半は「Staying A Life」にもなかった”TV War”や”Losers And Winners”で駆け抜けて終了。その後のアンコールでは名曲”Metal Heart”でスタート。「次の曲のオープニングはこう始まるんだ」と歌い出したドイツ民謡を皆で合唱した後に、ファストチューン”Fast As A Shark”でヘッドバンキングの嵐。「大昔の曲だよ」と”I'm A Rebel”。そして「この曲をここで演るのも最後になるんだな」と言って始まった”Balls To The Wall”。一瞬静まった観客も最後とばかりに盛り上がり、”Burning”で2時間の公演は終了した。

先日のIron Maiden公演と比べると規模も非常に小さいものではあったが、セットリストや一体感という面では文句なく満足できた公演だった。

1. Starlight 
2. Living After Midnight
3. Flash Rockin' Man 
4. London Leatherboys 
5. Midnight Mover 
6. Breaker 
7. Head Over Heels 
8. Princess Of The Dawn
9. Winterdreams 
10.Restless 
11.Son Of A Bitch 
12.Up To The Limit 
13.Wrong Is Right 
14.Midnight Highway 
15.Screamin' 
16.Monsterman 
17.TV War 
18.Losers And Winners
encore
19.Metal Heart 
20.I'm A Rebel 
21.Fast As A Shark 
22.Balls To The Wall 
23.Burning 


Iron Maiden Live Report 2016

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2016.4.21 (Thu) @ 両国国技館

Iron Maidenのライブに行ってきました。ただ当日多く集まったメタラーの方々に比べたら、私はただのオールドファンで今回も初参戦。私が聴いていたのは92年の「Fear Of The Dark」までで、その後メタル自体から離れてしまっていましたが、最近のメタル復興とMaiden人気の再燃を見て、やっぱり一度は見ておきたいなと思いチケットを入手、久々に新作も聴いて予習もしました。

IMG_1082

会場は両国国技館。いつか一度は娘と相撲を見に行ってみたいとは思っていましたが、実際に中に入るのは初。国技館であることに何か特別な意味があるのかと思いましたが、単純に他の大きな会場に空きがなかったからみたいですね。到着するとまず場外には「アイアンメイデン」とカタカナでのぼりが。場内に入ると周囲には歴代優勝力士の大きな額縁がずらり。土俵があるはずの中央に設置されたステージとのミスマッチがなかなか新鮮でした。広さは広すぎず狭すぎずでちょうど良かったが、LAフォーラムなどの海外の会場と比べるとMaidenでこのサイズはかなりレアだと思います。私の席は西側2回席のほぼ最後列。ステージを完全に右から観る位置になってしまいました。

まず前座はThe Raven AgeというSteve Harrisの息子のバンドが登場。メタルコアと言うのでしょうか今風なサウンドで、息子はベースではなくギターを弾いていたが、なかなか上手かったでした。

19時を過ぎてUFOの”Doctor Doctor”が流れると始まりの合図。場内は早くもオールスタンディングに。両端のスクリーンにジャングルからエドフォースワンが飛び立つアニメーションが流れた後、Bruceが1人で登場。後ろに古代遺跡を模したステージセットの上に立ち、アカペラで新曲”If Eternity Should Fail”を歌い出した後に、他のメンバーが飛び出してきて演奏がスタートしました。

Bruceは驚くほどエネルギッシュ。2曲目からフロントに降りてきたが、フットライトを飛び越え、マイクスタンドを振り回し、高音を張り上げる。とても癌を患っていたとは思えないし、移動のエドフォースワンを操縦する余力がどこにあるのか不思議でした。

Steveは昔と全然変わらず。短パンを履いて走り回り、あんな大きな息子がいるようには見えない。指弾きベースもベキベキと良い音を響かせていたが、若干ギターに埋もれてしまっていたのが残念。3人もギターがいれば無理もないか。”The Red And The Black”のオープニングでのソロが特に良かったでした。

3人のギターの中で一番動いていたのはJanick。走り回りスキップし、ギターを背中にグルグル回し、この人は一瞬たりともじっとしていません。Daveは随分と丸くなっていて最初は誰だか分かりませんでした。逆にAdrianは以前よりも細くなった気が。3人でかわりばんこでソロやツインリードを聴かせ楽しませてくれました。

唯一Nickoだけはドラムセットの両脇が壁になっていたために、私の位置からはほとんど見えず。しかし彼のパワフルなドラムサウンドは充分に堪能させてもらいました。

BruceのMC。「前回日本に来た時は地震のためにショーが出来なかった。今回も武道館とかもっと大きな会場でやりたかったし、東京以外のところでもやりたかったけど、でもこうして大勢集まってくれて感謝してるよ」などとかなり色々話してくれていました。

予習で新作は聴いていたが、実際ライブで聴くとなかなか良かったし盛り上がっていました。ただやっぱり昔の名曲のイントロが聴こえた瞬間は格別で、特に”The Trooper”のバックドロップが出され、Bruceが赤い軍服を着ながらユニオンジャック旗を振りかざしたのを見た時は感慨深いものがありました。

”The Book Of Soul”ではエディが登場。あの背の高いエディの中の人はどうやって歩いてるんだろうと感心して見ていると、Janickとじゃれ合った後に、Bruceに心臓をえぐり取られ、すごすごと帰って行きました(笑)。またBruceは黒いプロレスラーマスクやチョンマゲの被り物などを曲毎に被っていたし、曲によってうず高くパイロも上がり、数々のエンターテイニングな仕掛けが用意されていました。

”Hallowed Be Thy Name”からは名曲のオンパレード。”Fear Of The Dark”では大合唱。”Iron Maiden”ではヘッドバンキングの嵐。Bruceの「Scream for me, Tokyo!」に大歓声。バックには巨大エディも登場したが、横から観ているとセットの後ろでスタッフが後で風船エディを急いで畳んでる様子が見えて微妙でした(笑)

アンコールは”The Number Of The Beast”でスタート。バックには今度は巨大なビースト(何て呼ぶんだろう?)も登場。BruceがMCで「スイスやブラジルなど色んな国から見慣れた顔が来てくれているのが見えるな。世界中のファンは皆血の繋がった兄弟だ」と語り”Blood Brothers”へ。そして最後はAdrianの”Wasted Year”で締めくくりました。

今回のツアーは全公演完全に固定のセットリストらしいが、サプライズを期待する向きには少し残念ではありました。私は今回初参戦だったので他にも聴きたかった曲は山ほどありましたが、それはまた次回に期待するべきなんだと思います。エネルギッシュなステージ、豪華なステージセット、名曲の数々、そして世界中沢山の熱狂的なファン。前にも書きましたがそれらが揃った彼らはヘヴィメタルの理想形なのだと思うし、それを目の当たりにできた夜でした。

1. If Eternity Should Fail
2. Speed of Light
3. Children of the Damned
4. Tears of a Clown
5. The Red and The Black
6. The Trooper
7. Powerslave
8. Death or Glory
9. The Book of Souls
10.Hallowed Be Thy Name
11.Fear of The Dark
12.Iron Maiden
Encore:
13.The Number of The Beast
14.Blood Brothers
15.Wasted Years 

 

Buena Vista Social Club Live Report 2016

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2016.3.18 @ 豊洲Pit

先日Buena Vista Social Clubがアディオスツアーで来日し、最後の日本公演を行った。元々高齢だったオリジナルメンバーの多くは既に他界しており、実際新しいメンバーの多い今のグループはOrquesta Buena Vista Social Clubという名前で活動していたが、それも今回が最後になるという。

会場は豊洲Pit。年齢層は幅広かった。私はステージ左端の2列目を確保する。ずっと色々なキューバ音楽がSEで流れていたが、開演の19:00を5分ほど過ぎた頃に、歓声の中ピアノのRolandoが登場した。そして1人で静かに鍵盤を弾き始める。曲は”Como Siento Yo”。Ruben Gonzalesのソロ曲だ。美しくも力強い調べと、バックスクリーンには在りし日のRubenの映像が流れ感傷を誘う。

終わるとバンドが登場し”Bodas De Oro”で演奏がスタートした。編成は前列左手からピアノRolando、ウッドベースPedro、ラウーBarbarito、ギターSwami、トランペットはLuisとGuajiritoとGuajiroの3人。後列はコンガAndreas、ボンゴArberto、ティンバレスPhilibertoのパーカッション3人。曲途中からCarlosとIdaniaの男女ボーカルも登場して華を添える。

オリジナルメンバーのBarbarito Torresはとても元気だった。彼が弾いているのはラウーという弦楽器。小ぶりな三角のボディに12本の弦があるキューバ独特のもの。最初は座って弾いていたが、曲中に何度も立ち上がり前に出てきて、ステップを踏みながら、ソロを決めて魅せた。

右端にいたGuajiro Mirabalは印象的なトランペットを聴かせてくれたが、立ち上がって演奏することはなかった。またいるはずだったトロンボーンのJesus “Aguaje” Ramosの姿は残念ながら見当たらなかった。

亡くなったメンバー達もそれぞれのソロ曲が演奏される際に次々とスクリーンに登場した。4曲目のインストTambaoではCachaito Lopezの、”Bruca Manigua”ではIbrahim Ferrerの映像が流されていた。そしてそうした故人の遺志を継ぐように、Pedroはウッドベースで見事な指さばきを魅せ、ハンチングを被ったCarlosは高らかに歌い上げていた。

「キューバの伝説のディーバ!」という紹介でOmara Portuondoが大歓声の中で出てきて”Lagrimas Negras”を歌う。彼女の年齢はもう85歳になるはず。登場するなりピアノの前に置いてある椅子に腰掛けながら歌っていたのでやはり歳かなと思ったが、途中からは立ち上がり、その後ほとんど最後まで座ることはなかった。そして何より依然張りと伸びのある歌声が見事だった。曲が終わると「ドウモアリガトゴザイマシタ!」と滑らかな日本語で深々とお辞儀をしていた。

バンドが全員下がり、ピアノだけをバックにした”20 Anos”での歌い上げは思わず聞き惚れた。続いてラウーとギターだけをバックにして歌い出したのはスタンダード”Besame Mucho”。彼女は客をノせるのが本当に上手く観客も大合唱。スカートをたくし上げてのっしのっしと踊ったり、”Quizás, Quizás”ではフロアから若い日本人男性を舞台に上げて一緒に踊ってみせたり、彼女は本当にエンターテイナーだった。

ここでOmaraは一旦退場。バンドだけでインストの”Black Chicken”。3人のリズム隊が1人ずつソロを決める。そのパーカッシブなリズムと力強い演奏が、たとえOmaraがいなくても観客のテンションを決して下げさせない。

この後は名曲のオンパレードだ。”Chan Chan”が始まると大歓声。バックには御大Compay Segundoの映像。続いて最も好きな”Candera”は私のハイライト。終始アップテンポな高揚感。途中Barbaritoが弾いている時にCarlosが歌って邪魔をしたということで、Barbaritoが怒ったふりをしてCarlosにラウーを弾いてみろと迫る。するとCarlosが見事に弾いてみせて歓声。その後Barbaritoがこれに負けじとCarlosにラウーを持たせ、後ろ手でソロを決める。映画のカーネギーホールで披露していたこの技に観客は大歓声を送った。途中からまたOmaraも再登場。そしてスタンダードナンバー”Guantanamera”で盛り上がって本編終了。

アンコールでは、まずOmaraとCarlosが登場。ラウーとギターだけをバックに"Dos Gardenias"を歌う。親子ほどの年齢の違う2人だが、寄り添いながら非常に熱いデュエットを披露してくれた。そして締めは名曲"El Cuarto De Tula"。最後はフロントのメンバー達が皆前に並んでラインダンスをしてみせていた。終わってから場内「キューバ!キューバ!」の大歓声。キューバ音楽の素晴らしさと、日本での人気の高さを実感した一夜だった。

1. Como Siento Yo  (Rubén González cover)
2. Bodas De Oro
3. Rincón Caliente
4. Tumbao  (Orlando "Cachaito" López cover)
5. Bruca Maniguá  (Orquesta Casino de la Playa cover)
6. Lágrimas Negras  (Trío Matamoros cover)
7. 20 Anos
8. Besame Mucho
9. Amor De Mi Bohio
10.No Me Llores Más  (Arsenio Rodríguez cover)
11.Quizás, Quizás  (Osvaldo Farrés cover)
12.Black Chicken 37
13.Marieta
14.Chan Chan  (Compay Segundo cover)
15.Candela
16.Guantanamera
Encore:
17.Dos Gardenias  (Isolina Carrillo cover)
18.El Cuarto De Tula  (Luis Marquetti cover)


King Crimson Live Report 2015

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2015.12.09 @ Bunkamuraオーチャードホール

King Crimsonの来日公演に行ってきた。Crimsonとしての来日は12年振りの6度目らしいが、私は今回が初参戦。最近は色々なプロジェクトでの来日があったが、やっぱりRobert Frippがいる面子で最初は観たいと思っていたので念願が叶った形だ。しかしきっとこれは最初で最後になるだろうと思われる。

今回のジャパンツアーは高松まで含んだかなり長い日程が組まれているが、この日は3日目。会場は渋谷Bunkamuraのオーチャードホール。映画を観に来たことはあったが、ライブとしては初めてだ。場内には仕事帰りの40〜60代男性サラリーマンが圧倒的に多かった。私の席は1階席のほぼ最後尾だが、ホールは後ろに行くにつれて高くなっているので、ステージは観やすい。

撮影に関しては厳重に禁止されていた。以前演奏中にフラッシュ撮影した観客がいた際にはRobertが怒って演奏を止めてしまったこともあるという。しかし開演前に「終演時にTonyがカメラを取り出した際には撮影しても構いません」とアナウンスが流れると場内爆笑で沸いた。

歓声の中メンバーが登場。前例にはドラムセットが3つ並んでおり、右からGavin Harrison、Bill Rieflin、Pat Mastelotto。後列に右からRobert Fripp、ボーカル・ギターのJakko Jakszyk、ベースTony Levin、サックス・フルートのMel Collins。全員スーツにネクタイ姿。開演前から流れていた厳かなSEにそのままMelのフルートとTonyの弓弾きアップライトベースの音色が乗る。

やがてSEが止むとアカペラでJakkoが”Peace”を歌い出した。そして”Pictures Of City”でバンド演奏がスタートする。今日のセットリストも前2日とは変わっているようだ。3曲目には”Epitaph”。最も好きな曲の1つが早くも演奏され一気に持って行かれる。

演奏されるバンドサウンドの中で一番前に来るのはやっぱりトリプルドラムだ。正直当初はその必要性が果たしてあるのか疑問があった。単にRobertによるダブルトリオに続く目新しさの追求か、Adrian Belewへの対抗意識なのかとも思っていた。しかし実際に目の当たりにしてその疑いは消し飛んだ。彼らが叩き出すビートは圧巻で、3人が同じリズムを叩く時は揃った動きも見物だった。また違うリズムを叩く時はそれぞれコミュニケーションを取るように見事に呼応しており、事前にお互いのリズムを入念に練り上げて来ているのが分かる。

左側のPatは「Thrak」以来メンバーで、この日は”Easy Money”で色んな小道具を忙しく鳴らすなどJamie Muir役もやっていた。右側のGavinはPorcupine Treeというプログレバンド出身で、手数の多いソロなどで魅せてくれた。中央のBillは元Ministryらしいが、ドラムセットは両端の2人に比べると格段にシンプル、手数も比較的少なめで補完的な役割に見えた一方で、初期曲ではキーボードなども担当していた。

Robertは後ろに座って黙々とギターを弾いていた。見た目はもうお爺ちゃんみたいになってしまったが、そのギタープレイは衰えておらず、時にヘヴィでメタリック、時にメロウで滑らかなサウンドを聴かせてくれた。1曲だけキーボードも弾いていた。

ボーカルが変わると全体の印象が大きく変わるのが常だが、Jakkoのボーカルは予想外に違和感なく、声量も伸びも申し分なかった。また彼は1stアルバムのジャケットが描かれたギターを持ち、Robertともうまく弾き分けていた。あと”The Letters”の冒頭ではフルートを取り出してMelとダブルフルートでハモっていた。

Tonyのベースプレイは個人的には一度生で観たいと思っていた。重低音を響かせながら黄色い5弦ベースを指弾きしていたのも良かったが、”Level Five”ではチャップマンスティック、”●”(忘れました…)ではファンクフィンガー、”The Letters”では再びアップライトと、様々な弾き方や楽器を披露してくれて、個人的には彼を観てるだけでも終始飽きなかった。ただスティックやファンクフィンガーの音は他楽器に埋もれてあまり聴こえなかったのが残念だった。

今回特に参加してくれたことに感謝したいのがMel Collins。彼がいることで封印されていた70年代の名曲の数々が復活することになった。ジャジーで力強いサックスは楽曲の中心的存在として、美しいフルートは添えられた華のように楽曲を彩っていた。

プログレのコンサートによくある風景だが、観客は皆微動だにせずステージを凝視し、曲が終わると拍手。またMCも全くなし。そして多分Robertからの指示なのだろうか、曲中は入退場は禁止でするなら曲間で、というのもまるでクラシックを観ている感覚だった。

この日一番のサプライズは”Red”。メタリックなギターリフが始まると場内大歓声が上がった。ただトリプルドラムは叩き分けたトライバルな感じのリズムだったり、Melがサビでフルートを入れていたりと興味深いアレンジがされており、単に懐メロにしないところがこのバンドらしかった。

この後は名曲が続き、”Lark's Tongues Ⅱ”の後にはアンコールに演ると思っていた”The Court Of The Crimson King”と”21st Century Schizoid Man”がここで披露された。特に奇天烈な”Schizoid Man”を完璧にプレイする演奏力に圧倒されると同時に、こんな曲が半世紀も前に作られたという事実に改めて感嘆させられた。終わるとここで初めてスタンディングオベーション。Tonyがカメラを取り出したのを確認して、場内は一斉に撮影大会となったが、退場した後まで撮っていた人は五月蝿く注意されていた。

アンコールはまたトリプルドラムによるドラムソロがあった後に、本編で演らなかった”Starless”がここに来た。壮大なこの曲は締めに相応しい。迫力のあるドラムと重いベースの上に乗るメタリックなギターリフとJakkoの熱唱とMelのフルートを最後まで堪能した。再度大歓声のスタンディングオベーションの中で最後まで残ったRobertが、登場時と同じように1人深々とお辞儀をしていたのが印象的だった。

今思うと、先にリリースされていたライブアルバム「Live At The Orpheum」はこのツアーの魅力のほんの断片だけでしかなかった。私は今回初めて生でCrimsonを拝めただけでなく、封印されていたこうした名曲の数々が惜しげも無く披露されるのを聴くことができた。素晴らしいショーを魅せてくれたRobertにただただ深謝。

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1. Peace – An End
2. Pictures Of A City
3. Epitaph
4. Radical Action Ⅰ
5. Meltdown
6. Radical Action Ⅱ
7. Level Five
8. A Scarcity Of Miracles
9. Hell Hounds Of Krim
10. Easy Money
11. Red
12.The Letters
13.Lark's Tongues In Aspic, Part Two
14.The Court Of The Crimson King
15.21st Century Schizoid Man
encore
16.Devil Dogs Of Tessellation Row
17.Starless


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