1980s

Phil Collins「Serious Hits Live」(1990)

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Phil Collins

Rhino / Wea 2003-11-11
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Disc One:
1. Hand In Hand
2. Hang In Long Enough
3. Against all Odds (Take A Look At Me Now)
4. Don't Lose My Number
5. Inside Out
6. Do You Remember?
7. Who Said I Would
8. Another Day In Paradise
9. Separate Lives
10. Saturday Night and Sunday Morning
11. The West Side
12. That's Just The Way It Is
13. Something Happened On The Way To Heaven

Disc Two:
1. Doesn't Anyone Stay Together Anymore
2. One More Night
3. Colors
4. In The Air Tonight
5. You Can't Hurry Love
6. Two Hearts
7. Sussudio
8. A Groovy Kind Of Love
9. Easy Lover
10. Always
11. Take Me Home

 先週触れたPhil Collinsの全盛期の姿が見たくなり、大ヒットとなったアルバム「…But Seriously」に伴う1990年の「Serious Tour」におけるドイツはベルリンでのライブを改めて見てみた。回転木馬に模したステージで幕が上がりスタートするが、これは最高の一夜となる。

 まずPhilが元気だ。そして最初は失礼ながら単なるハゲた愛嬌のあるおっさんだと思ったものだが、ここで人は見た目ではないということを痛切に思い知らされる。まず一つは抜群に歌唱力がある。コーラスの女性とデュエットで歌う"Separate Lives"などは絶品である。また曲によってはピアノの前にも座りしっとりと弾き語り聞かせてくれる。さらにはこの人はもともとGenesis・Brand Xの敏腕ドラマーだった人である。時に後ろのドラムセットにも座り、もう一人のドラマーとドラムバトルまで演じてくれたりもする。本当に多才な人である。

 また決してこのようなPhil一人だけが脚光を浴びるのではなく、バック陣の果たしている役割も大きい。ギターにClaptonぽいDaryl Stuermer、特徴的なルックスのベースLeland Sklar、4人のブラス隊Phenix Horns、3人の黒人コーラス隊など、合計11人のバック陣のキャラが立っている。中国系のトランペットLui Luiが特に頑張っているのが印象的である。また全員が場面々々でコミカルな動きをしてくれる見せ場があり、全員が非常に楽しんで演奏をしているのがよい。もちろん全員抜群に巧い。

 そして何よりもこのライブで素晴らしいのはオーディエンスである。冒頭から凄まじい盛り上がりを見せる。1万人以上が一体となり歓声を上げ、ハンズクラップし、歌う。特に"Two Hearts"で手の空いたブラス隊がやっていたウェイヴに合わせ、1万人全員がウェイヴを見せる光景は感動的ですらある。演者としてこれほど一緒に演って楽しい聴き手はいないだろう。この夜が素晴らしいのは、このオーディエンスによるところも大きい。

 これはポップ、ロック、R&B、ジャズなど様々なジャンルの音楽を渾然一体に提示してくれるスケールの大きなミュージックショーである。そして何よりもMCをほとんど全てドイツ語で語りかけるPhil Collinsの、観客を楽しませたいという心意気が観客に届いた結果、より素晴らしいものとなっている。まさに総合エンターテインメントの一夜である。

★★★★☆


Phil Collins「Going Back」(2010)

Going BackGoing Back
Phil Collins

Atlantic / Wea 2010-09-28
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1. Girl (Why You Wanna Make Me Blue) (The Temptations)
2. (Love Is Like A) Heatwave (Martha & The Vandellas)
3. Uptight (Everything's Alright) (Stevie Wonder)
4. Some Of Your Lovin' (Dusty Springfield)
5. In My Lonely Room (Martha & The Vandellas)
6. Take Me In Your Arms (Rock Me For A Little While) (Kim Weston)
7. Blame It On The Sun (Stevie Wonder)
8. Papa Was A Rolling Stone (The Temptations)
9. Never Dreamed You'd Leave In Summer (Stevie Wonder)
10. Standing In The Shadows Of Love (The Four Tops)
11. Do I Love You (The Ronettes)
12. Jimmy Mack (Martha & The Vandellas)
13. Something About You (The Four Tops)
14. Love Is Here And Now You're Gone (The Supremes)
15. Loving You Is Sweeter Than Ever (The Four Tops)
16. Going To A Go-Go (Smokey Robinson & The Miracles)
17. Talkin About My Baby (Curtis Mayfield & The Impressions)
18. Going Back  (Dusty Springfield)

 Phil Collinsを初めて聴いたのは私が中学生の頃。ちょうどアルバム「...But Seriously」から、"Another Day In Papadise"や"Something Happened On The Way To Heaven "など切られるシングルが次々とBillboardのチャートの上位へ駆け上がって行っていた頃だった。失礼ながら見た目は単なるハゲたおっさんだと思ったが、素晴らしい楽曲と歌声がそれ以上に印象に残ったものだった。

 そして彼が実はその昔GenesisやWeather Reportといったプログレ・フュージョンバンドに在籍した超絶ドラマーだったり、俳優として映画に主演したり、というマルチな才能の持ち主であったことは、それからしばらくしてから知った。

 そんな彼に悲劇が襲った。右耳の聴力の低下、さらに脊髄の手術によりもうドラムも叩けなくなってしまったのである。そして失意のうちに音楽業界から引退表明。かつての全盛期を知っていた分、これは悲しかった。しかしここへ来て突然の新譜リリースのニュース。もう彼の新作が出ることがないだろうと諦めていただけに、これは嬉しいニュースだった。

 今回は彼のルーツである60~70年代のMotownのカバー集ということだが、過去に"You Can`t Hurry Love"をカバーした経緯もあり、全く違和感はなく聞くことができる。Stevie WonderやSupremesなど有名どころばかりで、基本的には原曲通りの完コピである。通常なら、どうせカバーするならアレンジを変えてなんてことを言いたくなるところだが、もう彼の場合はリハビリとしての復帰作ということで、温かく迎えたいと思う。むしろ完全版に収録されている25曲もよくレコーディングしたものだと感心してしまった。

バックの演奏陣には、Motownの伝説的な無名バンドFunk Brothersのリズム隊が参加している。そのフロントで、まだ歌うことができるのだとあくまでも前向きにマイクを持って歌っているPhilの姿が頼もしい。さらに彼は今回握力のない手にスティックをテーピングし数曲でドラム叩いているというから恐れ入る。

 このアルバムはイギリスでNo.1に輝いたらしい。彼の復帰がどれだけ多くの人に待たれていたかの証だろう。私としては、とにかく彼が体に無理しない範囲で今後も活動してくれていれば、それで満足である。

★★★☆



Belinda Carlisle 「Runaway Horses」

Runaway HorsesRunaway Horses
Belinda Carlisle

Virgin Int'l 2000-01-01
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1. Leave a Light On
2. Runaway Horses
3. Vision of You
4. Summer Rain
5. La Luna
6. (We Want) The Same Thing
7. Deep Deep Ocean
8. Valentine
9. Whatever It Takes
10. Shades of Michaelangelo

 今月から新たな会社で仕事を始めた。都心までの通勤、ボロ雑巾のようになりながら何度も乗換え、片道2時間弱かかるのには、うんざりさせられる。いくつか行き方はあるのだがどれも微妙で、未だに定期も買えていない。朝も早いし。ただその分早く帰れるのはありがたい。

 そんな中、先週5/7~11にBillboard LiveでBelinda Carlisleが来日してコンサートが行っていた。先日のSusanna Hoffsといい、Billboard Liveさんは80年代の懐かしどころを呼んでくれる。しかし私は残念ながら参加できず。今回はどうやらアコースティックのセットだったようだが、なかなか盛り上がったようだ。

 さてBelinda CarlisleはSusanna Hoffsとともに私の青春であった。中学生の頃大好きで、そのいわゆるお姉さん系のルックスがタイプだった。同系統として、女優のJody Fosterや南野陽子あたりも好きだったものだ。さすがに今はもうみんな歳を取ったが。

 Belindaはもともと4人組のガールズグループThe Go-Go’sのリードボーカルとして81年にデビューしている。当時は短髪でボーイッシュなイメージだったが、その後グループが解散し86年にソロデビューしてからは、大人の女性としてイメージチェンジしている。

 彼女の最大のヒットシングルは87年の"Heaven Is A Place On Earth"だろうが、アルバムとして1枚選ぶなら89年の「Runaway Horses」だろう。何しろM1~M6までシングルヒットした、まさにグレイテストヒッツ的な内容だ。今回のライブでもM1~M5まで5曲も取り上げて歌っていたようだ。特に爽やかなM1とスパニッシュな新境地のM5は名曲。またシングルカットされた曲以外でも、M1とM7ではGeorge Harrison、M6ではTotoのSteve Lukather、M9ではBrian Adamsと豪華なゲストが参加したりしている。爽やかで甘酸っぱい楽曲の数々に、低音から高音までよく伸びるBelindaの艶のあるボーカルが乗り、みずみずしい当時の雰囲気を伝えてくれる。私をいつでも青春時代に連れ戻してくれる、80年代ポップスの一つの完成形である。

★★★★


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