1980s

Huey Lewis & The News 「Fore!」(1986)

FORE!
ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース
ユニバーサル ミュージック
2015-11-04


① Jacob's Ladder
② Stuck With You
③ Whole Lotta Lovin'
④ Doing It (All For My Baby)
⑤ Hip To Be Square
⑥ I Know What I Like
⑦ I Never Walk Alone
⑧ The Power Of Love
⑨ Forest For The Trees
⑩ Naturally
⑪ Simple As That

先月は妙に映画「Back To The Future」に関するニュースが多く流れていたので気になっていた。何でもPart 2でタイムスリップした未来が2015年10月21日だったらしい。当時のこの映画で描かれていた未来のタブレットやウェアラブルPCなどほとんどの物が実現しており、時代の流れを改めて感じた。

個人的にこの映画で思い出すのは主題歌”Power Of Love”を歌っていたHuey Lewis & The Newsだ。洋楽を聴き始めたばかりの中学生だった私にとって、Billboard Top 40で見た彼らのPVは非常にカッコ良く、アメリカのイメージを鮮烈に植え付けられたものだった。

彼らのデビューは1980年。最初は鳴かず飛ばずだったが、2ndアルバムからシングルヒットが出て、1983年の「Sport」で遂に全米No.1を獲得する。それに続くこの4ndアルバム「Fore!」、シングル①②⑧も全てNo.1となり、当時の彼らの絶頂ぶりが分かる。

Hueyのハスキーなボーカルとハーモニカと、飛び跳ねながら演奏するバックバンドThe Newsの一体感。弾けるようなポップさはいかにも80年代西海岸らしいが、その実はR&Bやブルースなどアメリカ伝統音楽に根差したしっかり地に足の着いたRock & Rollだった。Tower Of Powerの参加やBruce Hornsbyのカヴァーも光っている。

ちなみにHueyは70年代には結構下積みが長く、後にDoobie Brothersに加入するJohn McFeeと一緒にカントリーロックバンドで活動していた。またイギリスで活動中にはPhil Lynottとも意気投合しており、Thin Lizzyのライブやソロでもハーモニカで客演していたこともある。

2013年に突然来日した際には、他の来日ラッシュのため残念ながら行くことができなかったのだが、今でも非常に心残りである。

★★★★

 

Phil Collins 復帰

Both Sides
Phil Collins
Rhino
2016-01-29


このニュースを待っていた。引退していたPhil Collinsがようやく復帰したのだ。しかもツアーや新アルバムの計画についても明らかにした上で、「オーストラリアや極東でのスタジアムで演奏したい」と言ってくれたのだ。

そもそも今回の引退は不可解なものだった。「成功してすみません。」「もう誰も私のことを求めてはいない。」 2011年にそう言って突如引退を表明し表舞台から姿を消してしまったのだから。

しかし実はこれを裏付ける告白が前年Rolling Stone誌のインタビューで語られていた。それによるとある時期からOというバンドの兄弟が突然Phil のことを攻撃するようになったのだという。「Phil Collinsのことを嫌うべきだ。彼が最低なアルバムを作って成功した理由が分からない」 などと執拗に中傷し続けた。やがてこれに便乗したOの盲信的なファンたちが「I Hate Phil Collins」というサイトまで立ち上げ、イギリス中にPhil に対するバッシングの風潮が広がった。このためPhil はノイローゼになり自殺まで考えるようになる。最終的にPhil は人目を避けるようにイギリスから逃亡し、ひっそりと息子達とスイスに移住したのである。そこへ彼らは、「2度と奴がイギリスに帰って来られないようにしよう」とさらに追い打ちをかけたという。

成功しているのは自分達も同じだろう。自分と価値観が違うだけで人を平気で傷つける愚かさ。そしてそれに同調しそうした行為を格好良いと勘違いする人の多さ。脊髄損傷からも復帰したPhilが再度引退に追いこまれたこの事実に、強い憤りと深い悲しみを感じずにはいられなかった。

しかし今回こうして復帰してくれた。「もうリタイヤはない」とも言い切っている。先日アルバム「Face Value」と「Both Sides」のデラックスエディションもリリースされたばかり。もし来年本当に来日してくれた時には、沢山のファンで温かく迎えたいものだ。


Billy Joel 「A Matter Of Trust – The Bridge To Russia」 (2014)



1. Prelude/Angry Young Man
2. Allentown
3. Goodnight Saigon
4. Big Man On Mulberry Street
5. Baby Grand
6. An Innocent Man 
7. Honesty 
8. The Longest Time 
9. A Matter Of Trust
10. Only The Good Die Young
11. It's Still Rock And Roll To Me 
12. Sometimes A Fantasy 
13. You May Be Right 
14. Uptown Girl
15. Big Shot
16. Back In The U.S.S.R.
17. Pressure

先日のMoscow Music Peace Festivalは1989年だったが、これに先駆けて1987年に単独公演として初めてソ連に渡ったのがBilly Joelである。

この公演の音源は当時「KOHUEPT」というタイトルでリリースされており、私も昔からよく聴いていた。今年はその音源が未発表曲含めてフルセットの2枚組CDとなってリイシューされた。またビデオだったライブ映像も初DVD化され、さらには今回「Bridge To Russia」というドキュメンタリー映像まで合わせて収録されている。

このドキュメンタリーを観て今まで知り得なかった事実を多く知ることが出来た。Billyは大任を任され大きなプレッシャーに駆られていたこと。音響の悪い会場のために喉を壊していたこと。最初は微動だにしない観客に動揺したこと。客席に降りて後方から熱狂的な観客をステージ前まで連れてきたことで、会場のボルテージを上げたこと。会場を照らして観客を動揺させた照明係に対して演奏中にブチ切れたこと、等々。

最も印象的だったのはBillyのメッセージを伝えんとする姿勢であった。幼少から敵国だと教え込まれたソ連国民の熱烈な歓迎と、彼らの自由もなく困窮した生活を目の当たりにし、時代が変わる中で自由を謳歌することの素晴らしさを伝えようとした。そしてそれは数々のインタビューや街中での交流、ステージでの通訳、何よりも彼の熱いパフォーマンスを通して確かにソ連国民に伝わったのだった。

この時のソ連ツアーの費用は自腹を切ったとBillyは語っていたが、伝記本によるとその金額は300万ドルとなったらしい。彼がこれだけの熱意を注いだこのイベントは、結果的にBillyのキャリアの頂点となっただけでなく、ソ連の歴史の中でも大きな意義を残したのだった。

昨今ウクライナ問題によってまた冷戦時代に戻りつつある中で、未来に夢を持っていたあの頃が懐かしいものである。


Bon Jovi 「New Jersey (Super Deluxe Edition)」 (2014)

New Jersey -CD+DVD/Ltd-
Bon Jovi
Island
2014-07-01






<Disc 1>
1. Lay Your Hands On Me
2. Bad Medicine
3. Born To Be My Baby
4. Living In Sin
5. Blood On Blood
6. Homebound Train
7. Wild Is The Wind
8. Ride Cowboy Ride
9. Stick To Your Guns
10.I'll Be There For You
11.99 In The Shade
12.Love For Sale
13.The Boys Are Back In Town
14.Love Is War
15.Born To Be My Baby (acoustic version) 

前回ハードロック名盤10選にも取り上げたBon Joviの「New Jersey」。今夏サマソニに出演したRichie Samboraもここから何曲か演奏していたが、ちょうどこれが再発されていたので買ってしまった。もちろん2CD+DVDのスーパーデラックスエディション。

前回も書いたが、このアルバムは私にとってハードロックの入口となった思い出深いものである。当時よく観ていたのが中村真里さんのTVK「Billboard Top 40」で、そこで流れていたのがM3だった。それまではBanglesやPhil Collinsといったポップスしか聴いてなかったので、その曲のカッコ良さに当時中学2年だった私はしびれたものだった。

そしてアルバムを聴いてさらにハマった。力強いオープニングのM1、ハードポップなM2、そして先ほどのM3と、まず冒頭の3曲が強力だ。またM10を始めM4やM9といったパワーバラッドも感動的。古ラジオ的なアコースティックの小曲M8もいい。最も好きだったのはM5で、疾走感のある曲調に男同士の友情を唄った歌詞が特に少年の心に刺さった。また歌詞で言えばcowboyやgunといった単語に彼らの西部指向が強く表われている。それはM13でカヴァーしているThin Lizzyとも重なるが、それが私にアメリカというイメージを植え付けたのだった。

前作の3rd「Slippery When Wet」は全世界で2800万枚というモンスターヒットだったが、今作も結果的に1800万枚のセールスを叩き出している。3rdの成功のプレッシャーは相当なものだったろうと思っていたが、実際彼らは2ダースもの曲をレコーディングし2枚組にしようと思っていたとのことで、当時どれだけ波に乗っていたかが思い知らされる。結局これはレコード会社に反対され1枚に絞られたわけだが、今回の再発にはその幻の2枚目が収録されている。当初これは「The Sons Of Beaches」というタイトルになるはずだったらしいが、正直そのタイトルにならなくて良かったと思った。

Disc 3のDVDは「Access All Area」という当時のツアードキュメンタリー。勢いに乗って頂点に立とうとする若い彼らの様子が堪能できるが、最も印象的だったのはMoscow Music Peace Festivalだ。1989年にJonはマネージャーと企画し、当時の多くのトップバンド達とソ連でロックフェスを催行した。映像で見るこの時の彼の行動や言動には、あくまでも等身大ながらも、壁が崩れつつあった当時の東西世界の橋渡し役を担っているという自負が見られた。


 

Belinda Carlisle Live Report 2013



Belinda Carlisle @ Billboard Live Tokyo, 30 Nov 2013

Belinda Carlisleの来日公演がBillboard Liveで開催された。彼女が3年半前にアコースティックセットで来日した時は見逃したのだが、今回はエレクトリックバンドで再来日ということで期待していた。私がBillboardに来るのは2010年のSusanna Hoffs以来2度目。食事込みのチケットだと高いので、食事なしのチケットにしたら、一番上の方の席になってしまった。1夜で2公演あるうちの1stステージ。

19:00に暗転しバンドが先に登場。左手からキーボード、エレアコ、ドラム、ベース、パーカッションの5人。演奏が始まってから、最後にBelindaが登場。勢いよく"Runaway Horses"でスタート。やっぱりエレクトリックバンドは盛り上がる。2曲目は"Get Weak"。ここで"The Same Thing"が聴けなかったのは少し残念。

私のかつてのアイドルももう50過ぎ。流石に顔にはシワもあるし、黒の上下を着た体型も少しふくよかになった。しかしそれも遠目で見ればそれほど分からず、昔の美人オーラはそのままだった。何よりも張りのある歌声は全く衰えていなかった。またリズムに乗って踊るのも昔のまま。

"Too Much Water"の前に彼女が譜面台を動かした際にカンニングペーパーが落ちた。「この曲をここで歌うのは初めてね。歌詞は覚えてるけど念のためよ。でもそっちからは見えないでしょ」とのMCに場内笑いが起きていた。

"Circle In The Sand"と"Vision Of You"でしっとり聴かせた後に"La Luna"と"Summer Rain"で盛り上がる。やっぱり名曲だと実感する。

「77年当時、私達5人は座って話していて、バンドをやろうという話になったの。それぞれ何の楽器をやるって話していたら、残ったのはドラムとボーカルで、私はドラムをやるにはtoo lazyだから、ボーカルにしたの。そうしてGo-Go'sができたのよ」と昔話をしてくれた後に、Go-Go'sの"Vacation"と"Our Lips Are Sealed"を歌った。やっぱりGo-Go'sの楽曲はノリがいい。そしてその勢いのまま"Leave A Light On"へ。

「次の曲はみんなも一緒に歌ってね。歌詞も知っているでしょ。私は知ってるわ」とのMCにまた笑ってしまった。そして最大のヒット曲"Heaven Is A Place On Earth"。最初アコースティックバージョンでしっとり始まったと思ったら、ドラムから勢いよく本来のイントロにつながり場内大盛り上がりとなった。

本編終了し一度退場した後すぐに再登場。Belindaはいつの間にか裸足になっていた。踊るのが好きな彼女のお約束だ。アンコール1曲目"Emotional Highway"は意外だった。2曲目の"Live Your Life Be Free"ではまた盛り上がる。「次の曲は85年、もう大昔ね。これも初めての曲よ」とデビューアルバムの"Since You've Gone"。ピアノとアコギのみをバックにしっとりと歌う彼女の歌声に聞き惚れていると、途中いきなり、「間違えちゃった。ヴァースから演り直す?生だからこそこういうことがあるのよ」 といって演奏を中断した後に歌い直していた。そして悔しそうな様子でそのままステージを降りて行ってしまい20:30にセットが終了。

正直最後はどこか尻切れトンボになってしまった感が否めなかった。この日の2ndステージ以降はラス曲が"We Got The Beat"に変更になったようだが、そっちの方がきっと良い締めになったことだろう。しかしそこだけ抜かせば非常に良いライブだった。

1.Runaway Horses
2.I Get Weak
3.In Too Deep
4.California
5.Too Much Water
6.Circle In The Sand
7.Vision Of You
8.La Luna
9.Summer Rain
10.Vacation
11.Our Lips Are Sealed
12.Leave A Light On
13.Heaven Is A Place On Earth
encore
14.Emotional Highway
15.Live Your Life Be Free
16.Since You've Gone


Belinda Carlisle 「Heaven On Earth (Deluxe Edition)」 (2013)

ヘヴン・オン・アース~デラックス・エディションヘヴン・オン・アース~デラックス・エディション
ベリンダ・カーライル

ミュージック・シーン 2013-09-25
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Disc:1
1. Heaven Is A Place On Earth
2. Circle In The Sand
3. I Feel Free
4. Should I Let You In?
5. World Without You
6. I Get Weak
7. We Can Change
8. Fool For Love
9. Nobody Owns Me
10. Love Never Dies
11. Heaven Is A Place On Earth (Promo 7” Edit)
12. I Get Weak (7”)
13. Circle In The Sand (7”)
14. World Without You (7” remix)
15. I Feel Free (7”)
16. Love Never Dies (7”)

Disc:2
1. Heaven Is A Place On Earth (Heavenly Version)
2. I Feel Free (Extended Version)
3. Circle In The Sand (Beach Party Mix)
4. World Without You (Extended Worldwide Mix)
5. I Get Weak (12″ Version)
6. Heaven Is A Place On Earth (Down To Earth Dub)
7. Circle In The Sand (Seaside Mood Groove Mix)
8. World Without You (Panavision Mix)
9. Circle In The Sand (Sandblast Multi  Mix)
10. I Get Weak (Romantic Mix)
11. Heaven Is A Place On Earth (Acappella)

Disc:3
1. Heaven Is A Place On Earth (DVD Promo Video)
2. I Get Weak (DVD Promo Video)
3. Circle In The Sand (DVD Promo Video)
4. World Without You (DVD Promo Video)
5. I Feel Free (DVD Promo Video)
6. Love Never Dies (DVD Promo Video)
7. I Feel Free (DVD Bonus Feature “Belinda Live! 1988”)
8. Mad About You (DVD Bonus Feature “Belinda Live! 1988”)
9. Lust For Love (DVD Bonus Feature “Belinda Live! 1988”)
10. I Get Weak (DVD Bonus Feature “Belinda Live! 1988”)
11. Fool For Love (DVD Bonus Feature “Belinda Live! 1988”)
12. Circle In The Sand (DVD Bonus Feature “Belinda Live! 1988”)
13. World Without You (DVD Bonus Feature “Belinda Live! 1988”)
14. Nobody Owns Me (DVD Bonus Feature “Belinda Live! 1988”)
15. Our Lips Are Sealed (DVD Bonus Feature “Belinda Live! 1988”)
16. Vacation (DVD Bonus Feature “Belinda Live! 1988”)
17. Heaven Is A Place On Earth (DVD Bonus Feature “Belinda Live! 1988”)
18. Love Never Dies (DVD Bonus Feature “Belinda Live! 1988”)
19. Head Over Heels (DVD Bonus Feature “Belinda Live! 1988”)
20. We Got The Beat (DVD Bonus Feature “Belinda Live! 1988”)
21. Bonus Interview (DVD Belinda interviewed about the album)

今月末にBelinda Carlisleが来日する。3年前にも来日していたが、その時は始めたばかりの仕事で都合がつかず悔しい思いをしたため、今回の想定外の再来日に喜んだ。前回はアコースティックセットだったのだが、今回はエレクトリックバンドを従えてやって来るというのも嬉しい。

ここ数年彼女は精力的に活動をしているようで、今度新作もリリースする予定だという。また反応の良いツアーによる自信からか、先日はライブCD/DVDもリリースしている。それと同じタイミングで、往年のアルバムも一斉にデラックスエディション化してくれた。その中から今回は彼女の1987年の大ヒット作「Heaven On Earth」を取り上げる。

このアルバムは彼女がソロとして初めて大成功を収めたものである。The Go-Go'sが下り坂になり脱退・解散、彼女はドラッグなどに溺れたが、心機一転ソロとしてスタートし、1stではまずまずの成功を収めた。今作ではプロデューサーRick NowellsとEllen Shipleyという作曲チームと組み制作にあたり、世界中でNo.1を獲得したM1をはじめ素晴らしい楽曲を揃えた。キラキラしたメロディと勢いのある楽曲群に80年代の良き時代が凝縮されているようである。ここから6曲のシングルが切られ、アルバムも300万枚を売り上げている。

で、このデラックスエディションの目玉は1988年のライブを収めたDVDである。当時活躍していたMadonnaやCyndi Lauperなど他の女性スターシンガーに比べると、彼女はそんなにアクの強いタイプではない。ステージ衣装も黒のジャケットに黒のスパッツとはっきり言って地味。でもそんな近所のお姉さん的立ち位置に親近感があった。ステージで楽しそうに躍りながら歌う彼女の歌声と楽曲の魅力と、そして何よりもこの頃の彼女は本当に美しかった。もちろん今は当時とは違うだろうが、そんな彼女の楽しそうに歌う姿が見たいものだ。

★★★★


Bangles 「Everything」 (1988)

エブリシング(紙ジャケット仕様)エブリシング(紙ジャケット仕様)
バングルス

SMJ 2009-07-22
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1. In Your Room
2. Complicated Girl
3. Bell Jar
4. Something To Believe In
5. Eternal Flame
6. Be With You
7. Glitter Years
8. I'll Set You Free
9. Watching The Sky
10. Some Dreams Come True
11. Make A Play For Her Now
12. Waiting For You
13. Crash And Burn

次は私の青春のアイドルBangles。昨年末にリリースされた最新作を先日取り上げたが、今日は私の生涯の名盤である3rdアルバムを。

彼女らは80年代に一斉を風靡していた。Susannaを気に入ったかのPrinceが楽曲提供をした゛Manic Monday゛や、コミカルなPVが話題になった゛Walk Like A Egyptian゛などが大ヒットし、2nd「Different Light」で念願の成功を手にしていた。それに続くのが88年リリースのこの「Everything」。しかしこのアルバムは彼女らにとってラストアルバムとなってしまう。

彼女らは60年代、特に初級~中期のBeatlesの影響が顕著である。楽曲自体の影響ももちろんだが、それ以外にも多くの影響が見てとれる。4人全員が歌うことができ、そのためボーカルハーモニーが素晴らしいこと。そのボーカルハーモニーを活かしたメロディアスな曲作りが特徴であること。メンバー全員が曲を書くことができ、それぞれが自分の書いてきた曲でリードボーカルを取っていること、などなど。

実際このアルバムのクレジットは4人平等だ。まずSusannaの曲は、最大のヒットとなったM5。これは聴く度に幸福感に満たされる絶世の名バラード。またM1を歌うSusannaにも当時の少年達は大いにドキドキさせられたものだった。またMicheal Steele(B)も名曲を書いている。古き良き70年代に思いを馳せるM7はノスタルジーに溢れ、M4の静かなマイナーコードには胸が締め付けられる。Vicki(G)とDebbi(Ds)の姉妹も良い曲を書いており、特に綺麗なハーモニーに包まれつつ流れるような疾走感のあるM3とM6は素晴らしい。全編を通して捨て曲がないどころか傑作揃いで、前作までと比べて曲質が格段に飛躍している。また特徴的なのは、アップテンポな曲からスローな曲までどれもどこか明るくなりきれない切なさや哀愁に満ちている点である。無邪気な明るさに溢れていた前作までとはカラーが異なり、成長した大人の雰囲気が漂っている。ちょうどこれからの秋空にピッタリなアルバムである。

しかしこのアルバムからシングルカットされヒットしたのは、ほとんどがSusannaの曲だった。確かに彼女の甘い歌声は個性的であり、魅力的である。またそのルックスとも相まって、世の男性の心を鷲掴みにした。私もその中の1人である。しかしそうした露出と脚光の不公平感がバンドに不必要な緊張をもたらし、解散への道を辿ることになってしまったのだった。だが前述の通りこのバンドは決してSusanna1人のバンドではない。このアルバムを聴けばよく分かる。繰り返しになるが、またバンドとしての来日を期待したい。

★★★★★


Cyndi Lauper 「A Night To Remember」 (1989)

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シンディ・ローパー

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 2008-06-18
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1. Intro
2. I Drove All Night
3. Primitive
4. My First Night Without You
5. Like A Cat
6. Heading West
7. A Night To Remember
8. Unconditional Love
9. Insecurious
10. Dancing With A Stranger
11. I Don't Want To Be Your Friend
12. Kindred Spirit
13. Hole In My Heart (Bonus Track)

今なお現役で活躍している80年代の女性シンガーとして、次に取り上げたいのがCyndi Lauperだ。

彼女は80年代シーンの象徴的な存在だった。レインボーヴォイスと言われた彼女の歌声は、一聴して彼女と分かる強烈な個性を持っていた。Madonnaのライバルとも目され、世界的に数々のヒットを放った。ただ90年代以降は現役を続けるものの、常にシーンのトップに君臨したMadonnaと比べるとだいぶ水を空けられた印象があった。しかし2010年に発表した「Memphis Blues」で彼女は再び名声を取り戻す。自身のルーツであるブルースを唄ったのが、グラミーを始め各方面から絶賛を浴びたのだった。

彼女のアルバムで一番好きなのは、1989年の本作である。前2作に比べるとそれほど大きなヒット曲がないので、多少地味な印象が持たれがちだが、私にはこれがリアムタイムだったので一番想い出深い。前年に米歌手代表として参加した米ソ・ソングライターサミットに刺激を受けたCyndiが、制作途中だったのを一から作り直したのがこのアルバムらしい。これまでで初めて全曲ラブソングとなっており、楽曲も傑作揃いだ。

まず冒頭に、古いラジオから聴こえてくるかのように雑音混じりで歌声が聴こえてくる。古い伝承歌かと思っていたが、彼女の自作だったようだ。これは本編ラストのM12にもリプライズとして再度流れ、このアルバムを統一感のあるものとしている。そして名曲M2に雪崩れ込む。この曲の高揚感は特別で、若かりし私をいつも深夜の暴走へといざなってくれたものだ。M12から続くM13も同様のアッパーなナンバーで、この2曲がアルバムをロックな印象にしている。ただM13はもともとボーナストラックで、彼女が主演した映画「バイブス秘宝の謎」の主題歌である。

中盤はじっくりと聴かせる名曲が並んでいる。特にバラッドM4はサビの歌い上げの絶唱が素晴らしい。M6やM7も思わず聴き惚れる傑作。M8もSusanna Hoffsをはじめ多く歌い手がカヴァーしている。全体的に硬質でシリアスな雰囲気があり、それまで2作にあったポップでファンなイメージとは少し方向性が異なるかもしれない。しかし彼女が真剣にソングライティングに取り組んだ本気度の感じられる力作だと私は思う。

昨年今年と震災後に来日して日本を勇気づけてくれたことも記憶に新しい。また一昨年にはアルゼンチンの空港で、フライト欠航になり騒然となったところを、「Girl Just Wanna Have Fun」を歌い事態を収束させたというニュースもあった。彼女の歌声は本当に人の心に訴えるものがあると思う。いつまでも歌い続けて世界の人々に笑顔を届けていってほしい。

★★★★


Belinda Carlisle 「Runaway Live」 (1990)

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Duncan Smith

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1 Runaway Horses
2 Summer Rain
3 (We Want) The Same Thing
4 Whatever It Takes
5 Mad About You
6 Circle In The Sand
7 Nobody Owns Me
8 I Get Weak
9 Valentine
10 La Luna
11 Vision Of You
12 Leave A Light On
13 Heaven Is A Place On Earth
14 Our Lips Are Sealed
15 We Got The Beat
16 World Without You
17 Shades Of Michaelangelo

先日のWilson Phillipsからの流れで、またしても懐メロモードに突入。ということで、私の青春のアイドルBelinda Carlisleのこのアイテム。

「Heaven On Earth」の再発で当時のライブDVDが収録されていたが、どうせなら一番好きなアルバム「Runaway Horses」の頃のライブが見たかった。そこで見つけたのがこのタイトルだ。既に絶版となっているのだが、Amazonでギリギリ在庫が残っていた。クレジットがないので正確な日にちや会場が分からないのだが、1990年のライブらしいのでBelindaの髪もバッサリと短い。

バンド編成はギター、ベース、ドラム、キーボードに、チェロ、女性コーラス隊、というラインナップ。Belindaは最初上下白のパンツスーツで登場。綺麗なお姉さんというイメージそのまま。ただアップになるとこの頃すでに30過ぎということあり、流石に顔のシワは見てとれた。歌唱では綺麗な高音と、ロックな曲ではドスのきいたシャウトなどで聴かせてくれた。逆に低音が少し弱いかなと感じたが。

M6からは胸元の広く開いた黒のワンピースに着替えてきた。大人っぽい衣装だったが、足元は裸足でより躍り回っていた。M10からM11ではフラメンコギターを交えながら、しっとりと聴かせる。その後大ヒット曲M12とM13で大盛り上がりで本編終了。1度目のアンコールはGo-Go'sの曲を2曲。2度目のアンコールでは、キラキラのワンピースに、今度はヒールをちゃんと履いて登場。最後は自身の曲M17でしっとりと聴かせて締めた。

「Runaway Horses」発表後ということで、セットリストはそこからが中心となり9曲も入れていたが、M13などの前作までのヒット曲も全て網羅していた。観客も終始盛り上がっており、全盛期の勢いを感じられるライブだった。

あれから20年余り経つが、未だに現役で頑張っているのが頼もしい。一昨年Billboard Liveに来日していた時に見にいけなかったのを改めて悔やんだ。


Don Henley 「The End Of The Innocence」 (1989)

エンド・オブ・ジ・イノセンス(紙ジャケット仕様)エンド・オブ・ジ・イノセンス(紙ジャケット仕様)
ドン・ヘンリー

USMジャパン 2011-02-23
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1. The End Of The Innocence
2. How Bad Do You Want It?
3. I Will Not Go Quietly
4. Last Worthless Evening
5. New York Minute
6. Shangri-La
7. Little Tin God
8. Gimme What You Got
9. If Dirt Were Dollars
10. The Heart Of The Matter

 Eaglesの来日公演まであと1週間となった。ここのところ、レココレ、Rolling Stone、Crossbeatなど色んな洋楽誌で特集が組まれているが、彼らが表紙になっている雑誌を見るたびに、思わず手に取って買ってしまう今日この頃である。さて今日は先日紙ジャケで再発もされた、1989年のDon Henleyのソロアルバムを取り上げてみたいと思う。

 1989年というのは私にとって洋楽にハマるようになった最初の年であり、この頃にラジオから流れていた曲は私の洋楽の入り口だった。今でもこの頃の曲を聴くと懐かしく思える、私にとってのエバーグリーンである。Don Henleyのこのアルバムもそうしたものの一つだ。しかしかつてEaglesの顔として名声を馳せた彼のことを、当時の私は実はよく知らなかった。Eaglesのことを知っていたかどうかすら定かではなく、私は彼を一人のシンガーソングライターというくらいの認識しかしていなかったと思う。

 Eagles初期において、彼は単なるドラマーだった。たまにマイクを前にすると隠し持っているハスキーな素晴らしい歌声を聴かせることのできる、ある種Eaglesの秘密兵器的な存在であったようだ。しかしやがてバンドのメインボーカルとしてその存在感を現わしていくことになる。

 また彼はリリックを書く才能にも恵まれていた。大学で英文学を専攻していたエリートだったこともあり、彼は非常に巧みに言葉を紡ぐことができる。社会に対する深い洞察と機知、鮮やかな情景描写、そしてストーリーテリングを織り交ぜながら、“Hotel California”に代表されるような芸術品を作り上げるのである。

 さらにプロデューサーとしての一面もあった。完璧主義者である彼は、最高のものを作るために、非常に細かい一音一音にまで神経を尖らせていた。バンドの頃はそれが他のメンバーにもうとましく思われることも少なくなかったようだ。しかし結果的にその完璧主義がアルバムのビッグヒットにつながったのである。

 こうした持っている才覚を発揮し、バンド解散後も彼はソロとして大成功を収めることとなった。この5年ぶり3枚目となった今作においても、グラミーでベスト・ロック・ヴォーカル賞を受賞している。M3のようにGuns ‘N RosesのAxl Roseと一緒にハードにロックしている曲もあるが、彼の真骨頂はやはり味わい深いボーカルをミドル~スローテンポでじっくりと聴かせる楽曲だろう。特にM4、M10、そしてWayne ShorterのサックスとBruce Hornsbyのピアノが素晴らしいM1は聴くたびに郷愁を誘う名曲である。またDavid Paichと故Jeff PorcaroのToto組が参加しているジャジーなM5も佳曲だ。他にも多くの多彩なゲストを迎えており、プロデューサーにDanny Kortchmar、ドラムにSteve Jordan、ベースにPino Palladino、バックボーカルにはTake6、J.D.Souther、まだ無名だった頃のSheryl Crowも名を連ねている。大人になって聴くと改めてその曲と歌詞が響く良いアルバムだと思う。

 彼のソロとしては最近は"Boys Of The Summer"しか演奏されていないが、是非ともこのアルバムから1曲、できればM1かM10を聴かせてほしいものだ。

★★★☆


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