1970s

The Police Live Report 2008

police

懐かしくなったので以前の来日公演のレポートを引っ張り出してきたみた。早いものでもう9年前になる。

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2008.02.14 @ 東京ドーム

こんな日が来るとは思わなかった。まさか再結成するなんて、生きていればいい事があるものである。。
数年前にMaxeenというバンドのライブを見た時に、The Policeの影響を強く感じながらも、その本家のライブを見ることなどもう叶うはずがないと思っていた。無理もない。84年のツアーを最後に彼らは解散していた。StingとStewartの仲の悪さは有名であり、何時の世界的再結成ブームも彼らを動かすことはなかった。だから今回の気まぐれによる再結成は、願ってもいない出来事であった。

今回の公演にはプレミアム席という設定があり、発売当初からこれ以外考えていなかった。東京ドームの巨大さには既に幻滅しており、中途半端なスタンド席で何も見えずノリ切れずに、欲求不満の不完全燃焼で終わりたくはなかった。また来日する可能性があるアーチストならいざ知らず、今回はThe Policeである。次はまずない。しかしこのプレミアム席、何気に大人気で発売直後に完売。仕方なく慣れないヤフオクで漁り続たが、ある気の良い方からほぼ定価で譲って頂き、何とか公演前日にチケットを手にすることができた。

例によって仕事を早めに切り上げ、水道橋へと急ぐ。入場した時にはStingの息子の前座バンドFiction Planeの演奏が既に始まっていた。息子バンドはなかなか好演していた。顔も声も父親に似ていたが、10分近い大曲を演ったり独自性を出そうとしていた。日本語も上手かった。きっとこの来日で新規ファンをいくらか獲得できたことだろう。

私の席はアリーナB14ブロック。ステージ前から2ブロック目であった。プレミアム席ということで、ステージからは50メートル位の距離だった。アリーナの後方やスタンド席に比べれば格段に近い席である。オーディエンスは30~40代が多かったようだが、棒立ちしている者も多く、ノリはイマイチに感じられた。最も惜しむべくは私の前に立ちはだかっていた185はある外国人だった。私の視界のほとんどを終始遮っていてくれていたので、私は何とかスクリーンではなく彼らの生の姿を見ようと、右へ左へ体を動かしながらステージを追いかけた。

Stewartは白髪が交じりつつも、「Ghost In Machine」のタイトなTシャツで若々しい.印象を受けられた。さらに若々しいのはStingで、袖無し黒Tで依然ムキムキの上腕二頭筋を見せつけていた。Andyはちょっと親父臭い赤い柄シャツだったが、彼は今65歳。その年でワールドツアーを行っているだけでも驚異的である。今回のツアーはこの3人のみ。Synchronicityツアーの際はバックコーラスの女性シンガーなどがいたが、今回はサポートメンバーが一切いない。原点回帰の意味合いもあろうが、単純に自分たちのアンサンブルだけで勝負できるという自信の表れでもあろう。

Stingは今日も古いプレシジョンを持っていた。禿げて年季の入った木目のそれは、The Police現役時代からの愛用のものである。ベキベキいうベース音は全体のサウンドの中で強く主張していたし、時折聴かせる重低音は腹まで響き、個人的に非常に堪能させてもらった。またStingはキーをほとんど変えていなかった。原曲のキーをキープして圧倒的な声量で歌い続け、最後までオーディエンスを落胆させることはなかった。これは解散後もずっとソロとして第一線を走り続けてきた彼の強みだろう。"Don't Stand So Close To Me"を演奏し始める前に「私は昔教師だったんだよ。」と言っていたが、そんなことはここにいる皆が知っているだろう。

また今回個人的に感心させられたのはAndyである。Andyの黒テレキャスターもSting同様昔から愛用のものだ。後半は赤のストラトに持ち替えていたが。ステージアクションも少なくステージ右手か中央で黙々とプレイしていたが、その流麗な指さばきは見る者を魅了していた。特に"When The Wall Is Running Down"のアップテンポな中間アレンジパートでStingと絡みながらのプレイは圧倒的だった。

ヒット曲の多い彼らのライブはまさにグレイテストヒッツだった。しかし慣れ親しんでいたはずの楽曲群は、迫力ある演奏とアレンジにより、どの曲も原曲より遥かにカッコよかった。特に"Driven To Tears"などは新しい発見があったし、"Every Thing She Does Is Magic"は名曲であるということを今回改めて知ることとなった。"Walking In Your Footstep"は大阪でもやらなかった曲だったが、この日は演ってくれていた。"Wrapped Around Your Finger"同様Stewartがパーカッションをせわしなく操り、アレンジを変え、バックには迫力ある恐竜の映像が流れ、予想以上にカッコよかった。

唯一ガッカリしたのは"Reggata De Blanc"でのコールレスポンスがなかったことである。これを楽しみにしていたのだが、Stingが一人でワンコーラス歌ったのみで"Can't Stand Losing You"に戻ってしまっていた。大阪と東京初日で反応が薄かったせいだろうか。レパートリー中全体的にもC&Rはやはり少なかったが、これは残念だった。

初期の名曲"Roxanne"で最高潮に盛り上がり本編終了。アンコールは名曲が続く。後期の"King Of Pain"の次は最初期のアップテンポな"So Lonely"。"Welcome to Andy Summers show ~♪"と変えていたが、反応は少なかった。そして"Every Breath You Take"。これは私が彼らを知った名曲。ストーカーソングとして有名であるが、私にとっては永遠のラブソングである。シンプルなバンド編成は、この曲が持つメロディの良さを引き立たせていた。ここで泣いている人も多かった。

アンコールが終わるとステージに一人残ったAndyが、おどけて笑いを誘う。そして人差し指を立てて、もう一曲だよとアピールすると客席は歓喜に包まれた。そしてこれも最初期の"Next To You"で大団円は終了した。

セットリストに関しては、ここまでグレイテストヒッツなライブだとあまり文句もない。欲を言えば"Be My Girl - Sally"、"Omegaman"、"Spirits In A Material World"、"Synchronicity Ⅰ"あたりも聞いてみたかった気もする。いずれにせよ今回の来日公演、その年齢を全く感じさせない熱の入ったものであり、往年と比較しても遜色のない、またはそれ以上の素晴らしいものであったと思えた。

Setlist
1. Message in a Bottle 
2. Synchronicity II 
3. Walking On The Moon 
4. Voices Inside My Head 
5. When The World Is Running Down 
6. Don't Stand So Close To Me 
7. Driven To Tears 
8. Hole In My Life 
9. Every Little Thing She Does Is Magic 
10. Wrapped Around Your Finger 
11. De Do Do Do De Da Da Da 
12. Invisible Sun 
13. Walking In Your Footstep
14. Can't Stand Losing You  ~Reggata De Blanc
15. Roxanne 
~Encore 1~
16. King Of Pain 
17. So Lonely 
18. Every Breath You Take 
~Encore 2~
19. Next To You 

 

The Police 「Outlandos d'Amour」 (1978)

アウトランドス・ダムール
ポリス
ユニバーサル ミュージック
2014-11-26


1. Next To You
2. So Lonely
3. Roxanne
4. Hole In My Life
5. Peanuts
6. Can't Stand Losing You
7. Truth Hits Everybody
8. Born In The 50's
9. Be My Girl - Sally
10. Masoko Tanga

Stingが一番ロックしている頃を聴きたくなって、最近はこのアルバムをよく聴いている。The Policeの1978年のデビューアルバム。

私が初めてThe Policeを聞いたのは解散後の80年代後半。TVKで放送していたBillboard Top40のYester Hitsで”Every Breath You Take”が流れていて、AndyのギターフレーズとStingのウッドベースが強く印象に残った。その後遡って聴いていき、最終的にこのデビューアルバムに辿り着いた。

高校教師をしながらジャズバンドでベースを弾いていたSting。Animalsなどに在籍し60年代からシーンで活躍していたギタリストAndy Summers。プログレバンドCurved Airでドラムを叩いていたStewart Copeland。この3人が出会いトリオバンドを結成するのだが、これが結果的に最小にして最強の組み合わせとなる。

時代はパンクムーブメントの真っ只中。このアルバムでもM1やM5、M7のように荒削りでパンキッシュな勢いのある曲もある。ただある意味これは彼らにとっては注目を集めるための戦略的なものだった。実際彼らは音楽キャリアも長く、演奏力も他のパンクバンドとは段違いだった。また彼らがここで追求していたのはレゲエであり、M3やM6のリズムに顕著に現れている他、M2のコード進行もBob Marleyの”No Woman No Cry”に由来していた。

この後彼らは世界的な大成功を収める一方で、短い期間の中で急速に音楽性を拡散させていった末、トリオとしての臨界点に至った84年に解散してしまう。その後はそれぞれソロ活動を始める。

特にStingとStewartの不仲は有名だったので再結成はあり得ないと思っていたのだが、2007年にワールドツアーが組まれた時は狂喜した。もう10年ほど前になるが、未だにドームであの3人の熱演を観たことが信じられないでいる。

 

Sting 「57th & 9th」 (2016)

ニューヨーク9番街57丁目
スティング
ユニバーサル ミュージック
2016-11-11


1. I Can’t Stop Thinking About You
2. 50,000
3. Down, Down, Down
4. One Fine Day
5. Pretty Young Soldier
6. Petrol Head
7. Heading South On The Great North Road
8. If You Can’t Love Me
9. Inshallah
10. The Empty Chair
 
昨年末プロモーションのために来日をしていたらしく、色々音楽番組に出演しているのを目にした。彼も今や65歳、先日は初孫も産まれておじいちゃんになったらしいのだが、未だにムキムキしていて若々しいのには驚いた。

そんな彼の新作、元々気にしていなかったのだが、これが17年振りのロックアルバムだというので、思わず買ってしまった。これが思いの外良かった。まず冒頭M1の小気味良いロックサウンドに「おぉ」となる。近作のクラシックやトラディショナルな作風も嫌いではなかったが、やっぱりこうした彼のロックは嬉しい。ハードに攻めるM6や、シリアスな焦燥感が堪らないM8も出色の出来だ。一方で優しげなM4や、アコースティック弾き語りのM7やM10もあったり、曲質の高いバラエティのある楽曲が揃っているが、全体的にはやはりロックアルバムという聴後感が残る。

ボートラでは収録曲の別バージョンと一緒にThe Policeの最初期曲”Next To You”のライブも聴けた。2007-08年のThe Police再結成ツアーの後、ロックから遠ざかっていた彼がまた再びロックモードになっている。6月には来日公演も決まっているらしい。

 

Thin Lizzy 「Jailbreak」 (1976)

脱獄
シン・リジィ
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
1997-09-26


A1. Jailbreak
A2. Angel From the Coast
A3. Running Back
A4. Romeo and the Lonely Girl
A5. Warrior
B1. The Boys Are Back in Town
B2. Fight or Fall
B3. Cowboy Song
B4. Emerald

ゴールデンウイークが終わってしまいますね。今年は芝桜でも見せたいと思っていたんですが、娘がずっと高熱を出していたおかげで外に出られませんでした。。

代わりにGW中ずっと聴いていたのがThin Lizzy。私が最も愛するハードロックバンドの1つです。最初に彼らを知ったきっかけはツインリードギターで、先日のIron MaidenやJudas Priestから遡っていったら辿り着き、結果的にPhil Lynottの魅力にハマりました。

初期から後期まで全て好きなのですが、あえて選ぶなら中期のこのアルバム「Jailbreak」。76年に発表され大成功した彼らの6枚目にあたります。

とにかく名曲だらけ。まずは”The Boys Are Back In Town”。勢いと男らしさに溢れ、中間部のScott GorhamとBrian Robertsonのツインリードも最高です。アメリカでも大ヒットし、Huey Lewis & The News、Bon Jovi、Everclearなど様々なバンドにカヴァーされ愛されています。

また”Cowboy Song”も大名曲。Philの西部志向が最高の形で結実した作品で、乾いた米西部を駆けるカウボーイのロマンティシズムに溢れています。やはりライブ版の"Cowgirl Song"ではなくフルで聴きたいもの。これはAnthraxがカヴァーしてましたね。

そしてラストの”Emerald”。中世ゲール人の闘いをケルト音階のリフでハードに表現した名曲です。Philは常に祖国アイルランドへの想いを強く抱いていましたが、これについては長くなるのでまたの機会に。

冒頭”Jailbreak”も代表曲で、抑圧から自由への脱走というのはこのアルバムのテーマにもなっています。

こうしたハードな曲ばかりが注目されがちですが、"Running Back"や"Fight or Fall"のような穏やかな曲も忘れてはいけません。Philのボーカルは非常に温かみと哀愁に溢れた低音が魅力的です。また他のハードロックボーカリストと違いハードな曲でも決して高音シャウトをしませんでした。声域のせいもあるのでしょうが、そんな彼のスタイルも好きでした。

もう1つこのバンドサウンドの魅力はリズム隊にもあります。このアルバムでは希薄ですが、Brian Downeyのドラムは本来非常にファンキーで、それがPhilのベースと重なった時のリズム感覚はとても個性的でした。

一度でいいから生で見たかったものです。



 

Queen 「Live at Rainbow 1974」

raibow
1. Procession
2. Now I'm Here
3. Ogre Battle
4. White Queen
5. In the Lap of the Gods
6. Killer Queen
7. The March of the Black Queen
8. Bring Back That Leroy Brown
9. Son and Daughter
10. Father To Son
11. Keep Yourself Alive
12. Liar
13. Son and Daughter (Reprise)
14. Stone Cold Crazy
15. In the Lap of the Gods. . . Revisited
16. Jailhouse Rock
17. God Save the Queen
18. Killer Queen (BBC Top Of The Pops part 1)
19. Keep Yourself Alive (Studio Promo)
20. Liar (Studio Promo)
21. Killer Queen (BBC Top Of The Pops part 2)

出るらしいという噂は昨年から聞いていたのだが、その後一向に正式アナウンスが流れて来ないので、もうなくなったのかなと思っていた。Queenの1974年のRainbow Theaterでのライブのオフィシャルリリース。ようやく正式に決まったようだ。

今までQueenのライブDVDというと、「Wembley」や「At The Bowl」、「Montreal」など80年代の物ばかりだった。勿論それらも悪くないのだが、私が最も好きなQueenは70年代。特に初期の頃を愛してやまないので、今回の74年のオフィシャルリリースは正に待望である。

実は私は元々上の11月20日のRainbow公演をブートのDVDで持っている。この頃は「Sheer Heart Attack」リリース後で、Freddieの髪も長い。今回のオフィシャル物の曲目を見るとどうやら曲数が多いようなので、恐らく複数公演日から収録しているのだろう。元々画質もあまり良くなかったのでそこも期待。

さらに嬉しいのは今回は同年3月の公演のフルセット音源もリリースするらしいこと。3月というと名盤「Queen Ⅱ」の頃。“Fairy Feller’s Master-Stroke”のような曲目が聴けるのは貴重だ。できればこちらのフルセット映像が見たかったものだが、恐らく存在しないか、オフィシャルで出せるほどのクオリティではないのだろう。

大人の事情か音源と映像で国内の販路が異なるらしいが、とにかく色んなパッケージがあるようなので楽しみに迷うとしよう。来月のサマソニも少し行きたくなってきた。

 

「ランナウェイズ (The Runaways)」

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"Cherry Bomb"の一発屋として有名な女性ロックバンドThe Runawaysのドキュメンタリー映画。ようやくTSUTAYAで見つけたので借りてみた。

まずボーカルCherryを演じるDakota Fanning。「I Am Sam」でのあの可愛らしい少女がいつの間にかこんなビッチーになってしまったのね。と少し淋しくなったが、実際見たらハマり役だし熱演だった。この映画自体がCherryの伝記本「Neon Angel」を基にして製作されていることから、やはり彼女視点で描かれている。

またもう一人の主役Joan Jettを演じたKristen Stewartもソックリ。Joanのパンクな男っぷりも印象的で見ていて清々しい。しかし途中描かれていたCherryとのレズシーンや、言い争いをしたトリのバンドのギターに小便をひっかけたりなどの真偽は果たしてどうなのだろうか。

一方解散後に成功したもう一人のギタリストLita Fordについてはほとんど描写がない。彼女のハードロックとJoanのパンクによる趣向の不一致が、最終的なバンド解散の要因になった点なども見たかった気がした。

さてバンドはここ日本では爆発的な人気を得て、来日公演も熱狂的に迎えられるのだが、当時の日本の様子も巧く描かれていた。ただ逆に言うと、日本以外では売れなかったわけで、この映画自体も興業的には成功しなかったようだ。これだけ話題性も実力もあったグループが注目をされなかったのは、当時のアメリカはそれだけ保守的だったということなのだろうか。


Simon & Garfunkel 「Bridge Over Troubled Water (40th Anniversary Edition)」 (2011)

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Disc 1: Bridge Over Troubled Water
01. Bridge Over Troubled Water
02. El Condor Pasa (If I Could)
03. Cecilia
04. Keep The Customer Satisfied
05. So Long, Frank Lloyd Wright
06. The Boxer
07. Baby Driver
08. The Only Living Boy In New York
09. Why Don’t You Write Me
10. Bye Bye Love
11. Song For The Asking

Disc 2: Live 1969
01. Homeward Bound
02. At The Zoo
03. The 59th Street Bridge Song (Feelin’ Groovy)
04. Song For The Asking
05. For Emily, Whenever I May Find Her
06. Scarborough Fair / Canticle
07. Mrs. Robinson (From The Motion Picture “The Graduate”)
08. The Boxer
09. Why Don’t You Write Me
10. So Long, Frank Lloyd Wright
11. That Silver-Haired Daddy Of Mine
12. Bridge Over Troubled Water
13. The Sound Of Silence
14. I Am A Rock
15. Old Friends / Bookends Theme
16. Leaves That Are Green
17. Kathy’s Song

Disc 3: DVD
1. Songs Of America
2. The Harmony Game : The Making Of "Bridge Over Troubled Water"

2年前の東京ドームで素晴らしいステージを魅せてくれたSimon & Garfunkel。彼らの1970年のラストアルバム「Bridge Over Troubled Water」の40周年記念盤がリリースされた。2001年リマスターのオリジナルアルバムと、2009年の来日時にリリースされた「Live 1969」、そしてドキュメンタリーを収録したDVDの3枚組である。

まずオリジナルアルバム。物心ついた頃からずっと聴いてきたが、改めて名盤であると再認識する。M1のタイトル曲には、私がまだ高校英語教員だった頃に、授業でも使わせてもらった思い出がある。荒れる河にかかる橋のようにあなたを助けようという熱い友情を歌った歌詞の内容は、ちょうど今の東日本大震災による津波被災地への応援歌としても注目を集めている。最大の聴き所はArtの歌声であり、単に綺麗なだけではない、力強い熱唱が心に迫る。最近の若者にも今一度知ってほしい名曲だ。

M2はペルー・フォルクローレの伝承曲に歌詞をつけた楽曲で、オカリナが奏でる寂寥感が印象的。Paulが解散後のソロで追い求めていくことになるワールドミュージックの原型がここにある。M3は跳ねるような軽快なリズムが楽しく、こうしたエスニックなリズム感もPaulの後のソロ活動ではよく多用された。M6も忘れてはいけない、そのスケール感はタイトル曲に匹敵し、歌詞が綴る若いボクサーのストーリーも秀逸である。どれも歴史的な名曲ばかりだ。

他の楽曲も素晴らしい曲ばかりであり、Paulのコンポーズ能力が遺憾なく発揮されている。ピアノ、オーケストレーション、ホーンセクションなど様々なサウンド作りがなされており、その飛躍的に拡散した音楽性に圧倒される。単なるフォークデュオとしてスタートした彼らのキャリアが、遂にここまで来たかという最終形である。

Disc2は既発のものであり、当初未発表曲が追加されるという話だったが、結局既発のもののままだったのは残念。ただ内容・録音ともに素晴らしいライブアルバムであるのは間違いない。バンドを率いての最初のツアーだったようで、適所にふさわしい演奏を聴かせてくれるが、むしろ2人のアコースティックな味わいの方が強い。そして曲中静かに聴き入り曲後大歓声をあげる(特にタイトル曲)観客の反応が印象深い。ぜひこれも映像で見たいものだ。

そして今回の最大の目玉は、Disc 3のDVD である。あまり当時の映像がない彼らなので、これは貴重だ。当時のTVドキュメンタリー「Songs of America」と本作のメイキング「The Harmony Game」の二本立てで、アルバム制作やコンサートの様子、2人および関係者へのインタヴューなど盛り沢山。 後半で先のサウンドメイキングの様子を垣間見て感心させられたが、むしろ前半を見て考えさせられた。これを見て感じたのは、この作品はかなり当時のアメリカの時代背景を反映しているということであり、ベトナム戦争や公民権運動、偉人たちの暗殺など緊張した社会情勢の中で、アーティストとして何ができるのかということが追及されていた。それは今の日本の情勢にも通ずるものであり、だからこそこの作品が余計に聴く者の心に響くのだろう。時代を超える名盤の由縁である。

★★★★★


The Knack の Doug Fieger 他界

Get the KnackGet the Knack
Knack

Capitol 2002-04-13
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 先日2月14日にまたある悲報が流れていた。The KnackのフロントマンだったDoug Fiegerが癌のために57歳で亡くなったという。(上のジャケットの左から2番目) The Knackと言えば1979年のアルバム「Get The Knack」からのシングルヒット“My Sharona”。当時で知らない人はいないほどの名曲である。しかし逆に彼らの曲でこの曲以外はまったく知られていない。つまり偉大なる一発屋であった。
 
 この曲を聴くと、1989年にクリスマス特番でテレビで放映されていた、UnicornとJun Sky Walkersのジョイントでのカバーも思い出す。阿部Bがサビのところで、”お前の尻は、尻は、日本車じゃ乗れない、ガイシャローナ~♪”と歌っていて、思わず笑ってしまったのを今でもよく覚えている。

 そしてその時一緒に演奏していたのが、RCサクセションの”雨上がりの夜空に”だった。当時中学生だった私は、この2つの名曲でロックの楽しさを叩き込まれたものだった。RCサクセションの忌野清志郎氏も一昨年惜しくも亡くなられたが、この2バンドの両氏が相次いで亡くなったのも、一つの時代が終わったかのような、何か象徴的なものを感じずにはいられない。


来日情報

 来年年明けてから、気になるアーチストたちが続々と日本にやって来るらしい。また次すぐ来るだろうというアーチストならいいが、これを逃したらもうお目にかかることはできないんじゃないかというアーチストも多い。果たしてどれだけスケジュールを合わせて見に行くことができるだろう。


Sheryl Crow & Jackson Browne
3/2(火)、3/11(木) @ 東京国際フォーラム
 2006年のJames Taylorのトリビュートコンサートで共演したことがあるらしいけど、多分それ以来なんではないだろうか。どちらもアメリカを代表するシンガーソングライターだけあって、なかなか見ごたえある共演だろう。ただ正直Sheryl Crowはまだ生で見たことがないため、まずは単独を見たかった気もする。






Carole King & James Taylor
4/14(水)、4/16(金) @ 日本武道館
 で、そのJames TaylorもCarole Kingと一緒に来日するようだ。こちらの2人も70年代アメリカのシンガーソングライタームーブメントの火付け役であるが、お互いに結構仲がいいようだ。ウドーさんは最近こうしたビッグネームを共演させるのが、マイブームなようである。






Ry Cooder & Nick Lowe
11/9(月)、11/10(火)、11/11(水) @ Bunkamuraオーチャードホール
 これはもう終わってしまったものだが、見に行きたかったものの一つ。これもウドーさんだった。シンプルなステージで味のあるプレイが堪能できたようだ。ちなみにドラムはBuena Vistaにも出ていたRyさんの息子のJoachim Cooderだった。


Matthew Sweet & Susanna Hoffs 「Under The Covers Vol.2」

Under the Covers, Vol. 2Under the Covers, Vol. 2

Shout! Factory 2009-07-21
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1.「Sugar Magnolia」  Grateful Dead
2.「Go All the Way」  Raspberries
3.「Second Hand News」  Fleetwood Mac
4.「Bell Bottom Blues」  Derek and the Dominos
5.「All the Young Dudes」  Mott the Hoople
6.「You're So Vain」  Carly Simon
7.「Here Comes My Girl」  Tom Petty and the Heartbreakers
8.「I've Seen All Good People: Your Move/All Good People」  Yes
9.「Hello It's Me」  Todd Rundgren
10.「Willin'」  Little Feat
11.「Back of a Car」  Big Star
12.「Couldn't I Just Tell You」  Todd Rundgren
13.「Gimme Some Truth」  John Lennon
14.「Maggie May」  Rod Stewart
15.「Everything I Own」  Bread
16.「Beware of Darkness」  George Harrison

 Susanna Hoffsという名前を聞くと、条件反射的に胸キュンしてしまうのは、30代以上である証拠かもしれない。80年代に活躍したガールズグループBanglesのメンバーである彼女は、小柄でキュートな外見のみならず、鼻にかかった甘い歌声が非常に特徴的であった。その歌声にノックアウトされていた当時の10代男子は数多く、メンバー全員が歌えるBanglesの中で、”Eternal Flame”をはじめ、彼女がリードを取っていた楽曲は、特に人気が高かったものである。

 そんなBanglesも再結成し2003年に新作「Doll Revolution」をリリースした後、またしばらく音沙汰がなかったが、ここへ来てSusannaは別プロジェクトで動いている。あの90年代パワーポップの雄Matthew Sweetと組んでの、往年の名曲のカバー集だという。2006年にリリースされた「Vol.1」は、Banglesも強く影響を受けたと公言するThe Beatlesをはじめとする60年代特集であり、その煌びやかなポップさに非常に楽しませてもらっていた。

 今回続編の「Vol.2」は70年代だという。前作と同様に、有名どころばかりが選曲されており、あまり奇をてらうことなく、ほぼ完コピしている。そもそもSusannaが歌う名曲の数々が悪いはずがない。またウェストコースト系の楽曲でスティールギターが雰囲気良く奏でられているのも印象的。M3ではLindsey Buckingham、M8ではSteve Howeといったオリジナルメンバーが、そしてM16ではGeorgeの息子が参加していたりとゲストも豪華。こんな楽しいプロジェクト、演ってる本人が一番楽しいことだろう。果たして80年代の「Vol. 3」はあるのだろうか。

★★★★



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