Progressive Rock

Steve Vai 「Passion And Warfare」 (1990)

PASSION AND WARFARE
スティーヴ・ヴァイ
ソニー・ミュージックレコーズ
1990-05-31


1. Liberty 
2. Erotic Nightmares 
3. The Animal 
4. Answers 
5. The Riddle 
6. Ballerina 
7. For The love Of God 
8. The Audience Is Listening 
9. I Would Love To 
10. Blue Powder 
11. Greasy Kid's Stuff 
12. Alien Water Kiss 
13. Sisters 
14. Love Secrets

先日25周年アニバーサリー版がリリースされていました。ボートラやもう1枚のアルバムもなかなか良かったのですが、やっぱり思い出深いこっちの本編の方について書きたいと思います。

80年代のHR/HMには沢山のギターの達人がいましたが、その中でも彼のプレイは好きでした。AlcatrazzもYngwie Malmsteenのいた1stよりも2ndの方が好きだったし、Whitesnakeも「サーペンスアルバス」と同じ位に「Slip Of The Tongue」が好きでした。批判をされたのも分かりますが、参加する大物バンドのアルバムを自分色に染め上げてしまう位に強烈な個性の持ち主でした。

そんな彼の1990年のセカンドソロアルバム。当時もメタルギターのインストアルバムはほとんど聴かなかったのですが、これだけは例外でした。厳かな①で始まり、軽快な②④、ヘヴィな③、少しブルージーな⑦⑩、可愛らしい⑥、寸劇の楽しい⑧、F1のような王道⑨、摩訶不思議な⑫、穏やかな⑬、ハイパーな⑭と、驚くほど楽曲の幅が広い上に各曲の完成度も非常に高い。これだけ飽きさせないインストアルバムも珍しいでしょう。

彼のギターはテクニカルな早弾きをしつつ、非常にカラフルでメロディアスなのが特徴だと思います。またそれだけではなく、③のようにヘヴィなリフで攻め立てたり、⑦では見事な泣きも披露、⑧の冒頭では人の話し声のようなトリッキーなプレイも聴かせます。また各曲中でも次から次へとまるで万華鏡のように異なる弾き方、フレーズ、音色を繰り出し、ある種極めてプログレッシヴとも言えます。

実は私自身当時ギターを弾き始めたばかりにも関わらず、クラスの友人がこのアルバムのスコアを持っていたため無謀にも試しに借りて弾いてみたのですが、当然ながら全く歯が立たず速攻で挫折した記憶があります。そんな意味でも思い出深いアルバムでした。


Keith Emerson 自殺

keith

昨日3月11日、Keith Emersonが亡くなりました。拳銃による自殺だったそうです。享年71歳でした。

言わずと知れたプログレ界を代表するキーボーディスト。この人のプレイやパフォーマンスは本当に驚異的でした。宙釣りになったり、日本刀を突き刺したり。真にロックなキーボーディストだったと思います。

実はこの人は、5年前の東日本大震災のあった日に日本のためにピアノで鎮魂曲を書いてくれていました。しかしその後、後退性神経疾患のために右指が動かなくなり鬱病になっていたそうです。来月は来日公演も決まっていたのですが、それもプレッシャーになっていたのでしょうか。震災の日というのも、あえてこの日を選んだような気がしてなりません。

Thank you Keith. May you rest in peace

 

Tai Phong 「Tai Phong」 (1975)

恐るべき静寂 <7インチ・サイズ紙ジャケット&リマスター>
タイ・フォン
ワーナーミュージック・ジャパン
2014-09-10


1. Goin' Away
2. Sister Jane
3. Crest
4. For Years and Years (Cathy)
5. Fields of Gold
6. Out of the Night

毎年冬になると聴きたくなるのがこの作品。フランスのプログレバンドTai Phongによる1975年のデビューアルバムだ。

中心になっていたのはカーンとタイのベトナム人移民の兄弟。70年代に3枚のアルバムのみ残して解散したが、中でも日本のサムライが印象的に描かれた1stと2ndは知る人ぞ知る名盤だった。

本国でシングルヒットした②に象徴されるように全体的に叙情的でメロディアスな作風となっているが、要所々々で転調してテクニカルな展開を魅せるところがプログレッシブロックとしての魅力でもある。少年のような澄んだハイトーンボーカルとそれに重なるコーラス、ピアノやバイオリンの調べ、泣きのギター、叙景的な歌詞と、とにかく全てがただただ美しい。これを聴いているといつも静かに降り積もる白い雪景色を想起させられる。

今年11月にパリでISによる同時多発テロで100人近くの人が亡くなるという惨劇が起きた。特に被害が大きかったのがロックのライブ会場だった。かつてのフランスへの移民が奏でたこの美しい曲と歌詞をもって静かに祈りを捧げたい。

"Fields of Gold"
Waiting in the fields of gold
She lies amongst the flowers
Deep into her mind
The sun keeps striking in the sky
And the beauty of her face
You all like to embrace
Hearing singing birds she told
She wished she had the powers
Fly off, leave behind
And see the world from very high
In her eyes, color of the sea
Dance the waves leading to the sea
Oh rejoice, now the time is near
The truth will soon appear
Move with us towards the rising sea
Where music is the queen

Then you'll find your freedom
Then you'll find your peace

 

King Crimson Live Report 2015

kc04

2015.12.09 @ Bunkamuraオーチャードホール

King Crimsonの来日公演に行ってきた。Crimsonとしての来日は12年振りの6度目らしいが、私は今回が初参戦。最近は色々なプロジェクトでの来日があったが、やっぱりRobert Frippがいる面子で最初は観たいと思っていたので念願が叶った形だ。しかしきっとこれは最初で最後になるだろうと思われる。

今回のジャパンツアーは高松まで含んだかなり長い日程が組まれているが、この日は3日目。会場は渋谷Bunkamuraのオーチャードホール。映画を観に来たことはあったが、ライブとしては初めてだ。場内には仕事帰りの40〜60代男性サラリーマンが圧倒的に多かった。私の席は1階席のほぼ最後尾だが、ホールは後ろに行くにつれて高くなっているので、ステージは観やすい。

撮影に関しては厳重に禁止されていた。以前演奏中にフラッシュ撮影した観客がいた際にはRobertが怒って演奏を止めてしまったこともあるという。しかし開演前に「終演時にTonyがカメラを取り出した際には撮影しても構いません」とアナウンスが流れると場内爆笑で沸いた。

歓声の中メンバーが登場。前例にはドラムセットが3つ並んでおり、右からGavin Harrison、Bill Rieflin、Pat Mastelotto。後列に右からRobert Fripp、ボーカル・ギターのJakko Jakszyk、ベースTony Levin、サックス・フルートのMel Collins。全員スーツにネクタイ姿。開演前から流れていた厳かなSEにそのままMelのフルートとTonyの弓弾きアップライトベースの音色が乗る。

やがてSEが止むとアカペラでJakkoが”Peace”を歌い出した。そして”Pictures Of City”でバンド演奏がスタートする。今日のセットリストも前2日とは変わっているようだ。3曲目には”Epitaph”。最も好きな曲の1つが早くも演奏され一気に持って行かれる。

演奏されるバンドサウンドの中で一番前に来るのはやっぱりトリプルドラムだ。正直当初はその必要性が果たしてあるのか疑問があった。単にRobertによるダブルトリオに続く目新しさの追求か、Adrian Belewへの対抗意識なのかとも思っていた。しかし実際に目の当たりにしてその疑いは消し飛んだ。彼らが叩き出すビートは圧巻で、3人が同じリズムを叩く時は揃った動きも見物だった。また違うリズムを叩く時はそれぞれコミュニケーションを取るように見事に呼応しており、事前にお互いのリズムを入念に練り上げて来ているのが分かる。

左側のPatは「Thrak」以来メンバーで、この日は”Easy Money”で色んな小道具を忙しく鳴らすなどJamie Muir役もやっていた。右側のGavinはPorcupine Treeというプログレバンド出身で、手数の多いソロなどで魅せてくれた。中央のBillは元Ministryらしいが、ドラムセットは両端の2人に比べると格段にシンプル、手数も比較的少なめで補完的な役割に見えた一方で、初期曲ではキーボードなども担当していた。

Robertは後ろに座って黙々とギターを弾いていた。見た目はもうお爺ちゃんみたいになってしまったが、そのギタープレイは衰えておらず、時にヘヴィでメタリック、時にメロウで滑らかなサウンドを聴かせてくれた。1曲だけキーボードも弾いていた。

ボーカルが変わると全体の印象が大きく変わるのが常だが、Jakkoのボーカルは予想外に違和感なく、声量も伸びも申し分なかった。また彼は1stアルバムのジャケットが描かれたギターを持ち、Robertともうまく弾き分けていた。あと”The Letters”の冒頭ではフルートを取り出してMelとダブルフルートでハモっていた。

Tonyのベースプレイは個人的には一度生で観たいと思っていた。重低音を響かせながら黄色い5弦ベースを指弾きしていたのも良かったが、”Level Five”ではチャップマンスティック、”●”(忘れました…)ではファンクフィンガー、”The Letters”では再びアップライトと、様々な弾き方や楽器を披露してくれて、個人的には彼を観てるだけでも終始飽きなかった。ただスティックやファンクフィンガーの音は他楽器に埋もれてあまり聴こえなかったのが残念だった。

今回特に参加してくれたことに感謝したいのがMel Collins。彼がいることで封印されていた70年代の名曲の数々が復活することになった。ジャジーで力強いサックスは楽曲の中心的存在として、美しいフルートは添えられた華のように楽曲を彩っていた。

プログレのコンサートによくある風景だが、観客は皆微動だにせずステージを凝視し、曲が終わると拍手。またMCも全くなし。そして多分Robertからの指示なのだろうか、曲中は入退場は禁止でするなら曲間で、というのもまるでクラシックを観ている感覚だった。

この日一番のサプライズは”Red”。メタリックなギターリフが始まると場内大歓声が上がった。ただトリプルドラムは叩き分けたトライバルな感じのリズムだったり、Melがサビでフルートを入れていたりと興味深いアレンジがされており、単に懐メロにしないところがこのバンドらしかった。

この後は名曲が続き、”Lark's Tongues Ⅱ”の後にはアンコールに演ると思っていた”The Court Of The Crimson King”と”21st Century Schizoid Man”がここで披露された。特に奇天烈な”Schizoid Man”を完璧にプレイする演奏力に圧倒されると同時に、こんな曲が半世紀も前に作られたという事実に改めて感嘆させられた。終わるとここで初めてスタンディングオベーション。Tonyがカメラを取り出したのを確認して、場内は一斉に撮影大会となったが、退場した後まで撮っていた人は五月蝿く注意されていた。

アンコールはまたトリプルドラムによるドラムソロがあった後に、本編で演らなかった”Starless”がここに来た。壮大なこの曲は締めに相応しい。迫力のあるドラムと重いベースの上に乗るメタリックなギターリフとJakkoの熱唱とMelのフルートを最後まで堪能した。再度大歓声のスタンディングオベーションの中で最後まで残ったRobertが、登場時と同じように1人深々とお辞儀をしていたのが印象的だった。

今思うと、先にリリースされていたライブアルバム「Live At The Orpheum」はこのツアーの魅力のほんの断片だけでしかなかった。私は今回初めて生でCrimsonを拝めただけでなく、封印されていたこうした名曲の数々が惜しげも無く披露されるのを聴くことができた。素晴らしいショーを魅せてくれたRobertにただただ深謝。

kc02

1. Peace – An End
2. Pictures Of A City
3. Epitaph
4. Radical Action Ⅰ
5. Meltdown
6. Radical Action Ⅱ
7. Level Five
8. A Scarcity Of Miracles
9. Hell Hounds Of Krim
10. Easy Money
11. Red
12.The Letters
13.Lark's Tongues In Aspic, Part Two
14.The Court Of The Crimson King
15.21st Century Schizoid Man
encore
16.Devil Dogs Of Tessellation Row
17.Starless


「クリムゾン・キングの宮殿 - 風に語りて」 シド・スミス著

クリムゾン・キングの宮殿―風に語りて
シド・スミス
ストレンジ・デイズ
2007-07-27


第1章 どこでもないどこかへ
第2章 世界征服
第3章 勝利の始まりの終わり
第4章 スローリー・アップ、スローリー・ダウン
第5章 インサイド・ザ・サーカス
第6章 沈黙を破って
第7章 マジカル・アクト
第8章 フライング・ハイ
第9章 レッド・ゾーン
第10章 再始動
第11章 再び解体へ
第12章 後ろ向きで進む未来
第13章 未来に見えるもの

来日公演も間近に迫るKing Crimson。1969年のデビュー以来、断続的ながらも長いその歴史の中で、常にメンバーを変えながら音楽を進化させてきたため、奥が深くとっつき辛い印象もある。私も結構好きでアルバムも色々聴いてきたが抜けは多いため、予習にと以前出版されていた本書を改めて読んでみた。当時買って途中まで読んだまま放置してしまっていた。押入れにはそんな本が結構多い。。

Crimsonの歴史には多くの名ミュージシャンが携わっている。発表されてきたアルバムはほぼ毎回違うメンバーで制作されており、つまり毎回誰かが入って誰かが脱退しているわけだ。デビュー当時こそ誰がリーダーというわけではなかったようだが、以降はRobert Frippが絶対君主である。過去のメンバー達は皆彼に対して一定の評価をする一方で否定的なコメントもしているが、それに対するRobertの意図や捉え方というのは全く異なっているのが面白い。Robertは一緒に仕事をするには難しい相手なのだろうとは思うが、それでも彼が牽引し続けたからこそ今のCrimsonがあるのだと思う。

90年代にはオリジナルメンバーで再結成する可能性があったという。結局この話は流れているが、あまりRobert自身同窓会的なものに興味がないようだ。加えてどうにもRobertとGreg Lakeとの不仲も原因のようで、RobertはGregの代わりにJohn Wettonを入れる計画まで立てていたらしい。オリジナル再結成は夢のような話だが、今後も期待できないだろう。

文中でGordon Haskellが当時加入を躊躇っていた理由として「Kings Crimsonの音楽は冷た過ぎて自分には合わないと思った」と言っていた。実際彼らの曲の中には”Cadence And Cascade”のような穏やかな曲や、”Cat Food”のようなコミカル曲もあるものの、このコメントも分からないでもない。ただ単に冷たいとか温かいというものではなく、もっと壮大で革新的な音楽だと思う。だからこそいつまでも根強いファンがいるのだと思う。

私はCrimsonはもっと世界的に成功したバンドだと思っていたが、それほどでもないようで、レコーディング前に資金を調達するためにコンサートを打ったりもしていたらしい。そんな中で日本というマーケットは彼らにとっても大きいようで、今回のジャパンツアーも長い日程が組まれている。恐らく今回が最後の来日だと思うので愉しみたい。

 

Gordian Knot 「Emergent」 (2002)

エマージェント
ゴーディアン・ノット
マーキー・インコーポレイティド
2002-12-18


1. Arsis
2. Muttersprache
3. A Shaman's Whisper
4. Fischer's Gambit
5. Grace (Live)
6. Some Brighter Thing
7. The Brook the Ocean
8. Singing Deep Mountain
9. Surround Me (Japan Bonus Track)

解散のゴタゴタで何だかライブ後の後味が悪くなってしまったCynic。ライブではPaulやSean Reinartも巧かったが、個人的にはSean Maloneが観られたのが1番良かった。今日は彼に焦点を当ててみたいと思う。

Malone先生がCynicに加入したのは93年。それまでのテクニカルデスだったCynicがジャズ・フュージョンを導入して大胆に音楽性を変えたのは、彼の影響が大きかったのではないかと思う。Cynic解散後の96年に初ソロ作「Cortlandt」を発表したが、ここにはメタル色はなく、ほとんどジャズ・フュージョンの世界だった。

一方で彼は博士号を取得し、オレゴン大学で助教授として音楽理論について教鞭を執っている。Jaco Pastorius関連などベースに関する著書も4本執筆・発表している。こうした学術的なキャリアが先生と呼ばれる所以である。

やがて彼はGordian Knotというプロジェクトを主導する。98年と02年にこれまで2枚のアルバムをリリースしているが、Sean以外にもReinartやJasonも参加しており、ほとんどCynicの別動隊のようなプロジェクトだった。

さらにここに参加しているゲスト陣がスゴい。1stではKing CrimsonのTrey Gun、Dream TheaterのJohn Myung、WatchtowerのRon Jarzombek、2ndでもGenesisのSteve HacketやKing Crimson・Yes他のBill Bruford、といったプログレ界のそうそうたるメンツが顔を揃えていた。

そうした豪華なゲストのプレイもさることながら、やはり要はMalone先生。彼はベース以外にスティックという弦楽器を操るのだが、これは10本の弦を両手でタッピングで弾くものである。そのため通常のベースよりもより多彩で複雑なメロディを紡ぐことができ、弦楽器というより鍵盤楽器に近い。こうしたメロディ感覚が彼のベースプレイにも表れている。さらに彼はギター、キーボード、作曲・アレンジなど、あらゆることを手掛けている。

そしてここで聴ける音楽は本当に深遠で、オールインストながら全く飽きさせない。ソロ作の反動かここではメタル色が戻り、ジャズ・フュージョンを消化したプログレッシブメタルという作風。ベクトルは2作とも同じだが、1stは少し難解で後期King Crimsonに近い印象だった。それが2ndではメロディアスになり、より調和を重視した作風になっている。動と静のコントラストが明確になり、表情豊かなギターとスティックのソロが美しくドラマティックな世界を構築している。特にM2, M6, M8は名曲。これもライブを観たかったものだ。

先日の公演後に写真撮影や握手をさせてもらった際に軽く聞いてみたのだが、誰とやるかは分からないが、またGordian Knotの次作は作りたいと言っていた。その言葉を信じて楽しみに待つとしよう。 

★★★★

 

Cynic 解散?

cynicpix

先日のライブの余韻をかき消すような悲報が突然流れた。ReinartがFacebookで解散を発表したのだ。しかし直後にPaulがCynicはReinart抜きで存続すると表明。つい先週22年目の初来日で素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれたばかりなのに、その1週間後にこれとは信じ難い話である。

とにかくPaulとReinartの2人の関係が悪化したということなのだろう。思えばライブ中も皆笑顔はなく、終演後もReinartはMaloneとは談笑していたが、Paulとは互いに距離を置いていた。恐らくツアー前から決まっていたことだったのだろう。だとすれば間にMaloneがいてこそ成り立っていたライブだったのかもしれない。

日本公演の後に予定されていた中国公演が中止されたのは、これが原因ではないと書いていたが、それはきっとBon Joviと同様に政治的な理由なのだと思う。いずれにせよ、結果的に日本公演が彼らの最後となったわけで、それを観られた私達は幸運だったと言う他ない。

もっともこの22年の間の14年間は一度解散していたわけだから、また別々の道を行くのは全く不思議なことではない。また14年後に3人で再々結成してくれることを期待して気長に待つとしよう。

 

Cynic Live Report 2015

cyniclive

昨日Cynicのライブに行ってきた。93年のデビュー以来、22年目にしての初来日。一度解散した段階で再結成も来日も予想していなかった。これはこの日前座で登場するCyclamenという日本のバンドのボーカルHayatoさんが呼んでくれたものらしい。感謝々々。

会場は代官山Unit。代官山は昔はよく行っていたのだが本当に久しぶり。私がまだお洒落だった学生の頃だから約20年ぶり。ちょうど「Focus」が出た頃位か。

冒頭に登場したのはオーストラリア出身のPlini。聞いたことがなかったが、これがスゴかった。ジャズ・フュージョン色もあるプログレッシブなポストロックと言えばいいのだろうか。若いなかなかイケメンな4人組は緩急織り交ぜながら超絶技巧を魅せてくれた。

2番手がCyclamen。メタル、スクリーモ、デスなど色々混ざった感じで、途中女性ボーカルも登場していた。Hayatoさんはスタート時にも前説をしたり色々気さくにオーガナイズしてくれていたが、実際マイクを持つと凄まじい咆哮を聞かせ別人のようだった。

セッティングの後に、遂に大歓声の中Cynicが登場。右手からギターボーカルPaul、ベースSean Malone、左手奥にドラムSean Reinart。オープニングに2ndから”Evolutionary Sleeper”が始まると皆ステージへと押し寄せる。続いて1stから待望の”Veil Of Maya”が始まるとフロアのボルテージは一気に最高潮に。

Paulはトレードマークのヘッドのないギターを持ち、涼しい顔でテクニカルなリフやフレーズを聴かせる。本来はもう1人いるはずのギターが今日はいないため物足りないかと思ったが、実際それほど気にならず、むしろよりPaulのギターを堪能することが出来た。ヴォコーダーを通したボーカルもアルバム通り高いトーンで浮遊感がある。デスボイスは残念ながらテープと言うかデータ音源だった。Maloneは5弦ベースの指弾き。無表情だが、プレイは激しいパートでは重くスピーディー、静パートではメロディアスにと能弁だ。スティックを演奏しているところも見たかったものだ。Reinartは大柄で両肩には派手なタトゥーが入れており、手数が多いリズムも重くて正確。最強のトリオである。

中盤で印象的だったのはアコースティックでの”Integral”。MCの少ないPaulがここで「アルバムではいつも必ず地球のことを歌っているんだ。人間がこの惑星を破壊していることは非常に悲しいことだね」と熱く語っていた。この後に聴かせてくれた美しいボーカルとSeanの幽玄なベースにも聞き惚れた。

Reinartのタムロールが見事な”Carbon-Based Anatomy”から、最新作のメロディアスな”The Lion's Roar”へ。最後にPaulがファンとスタッフとHayatoさんにお礼を述べる。ここでデビュー時に手紙を送っていたというYumikoさんという女性に特別に感謝の意を述べていた。

そしてラストも最新作のタイトルトラック。正直最後は1stの”How Could I”で締めて欲しかった。結局1stから”Veil Of Maya”の1曲だけだったのは寂しい。この日は3バンドも出演していたのでセットは短く、アンコールも粘ったが会場もこの後予定があるということでなしだった。と若干の心残りはあるが、それでも素晴らしいショーだったのは間違いない。

終演後Paulはフロアに降りてきてファンの握手に応じてくれていた。Reinartは携帯でフロアをバックに自撮り。撤収中だったMalone先生にも無理言ってポーズを取ってもらった。感謝。

1. Evolutionary Sleeper
2. Veil Of Maya
3. Adam’s Murmur
4. The Hallucination Speak
5. Elves Beam Out
6. Moon Heart Sun Head
7. The Space For This
8. Integral
9. Carbon-Based Anatomy
10.The Lion’s Roar
11.Kindly Bent To Free Us

cynic_live01 image

Cynic 「Focus」 (1993)

フォーカス
シニック
ロードランナー・ジャパン
2002-12-18





1. Veil of Maya
2. Celestial Voyage
3. Eagle Nature
4. Sentiment
5. I'm But a Wave to...
6. Uroboric Forms
7. Textures
8. How Could I

いよいよ来週末に迫ったCynicの初来日公演。最近のヘビロは当然彼らの名盤1st「Focus」である。初めてこれを聴いた時は衝撃的だった。以来幾度となく聴いたが、今でも聴く度に感嘆させられる。

彼らは87年にPaul Masvidal (Vo, G)とSean Reinert (D) によってフロリダで結成された。その後メンバーが入れ替わりながら数々のデモを制作し続けたが、DeathやAtheistなど各メンバーの課外活動のために実際にデビューに至るまで長い時間を要した。Jason Gobel (G) とSean Malone (B) が加入しメンバーが固まりようやくデビューしたのが93年のことだ。

この作品の中には、全く異なる2つの世界観が共存している。1つはテクニカルデスの世界、もう1つはジャズ・フュージョンの世界だ。前者ではデスボイスが咆哮するバックで超絶テクニックのギターとリズムセクションが駆け抜ける。後者では一切のディストーションを排したクリーンなギターとスティックのサウンドが幽玄な調べを奏でる。毎曲中この両者の間で幾度となく転調を繰り返し、時には完全融合するのだが、そのあまりの違和感のなさが驚異的なほどにプログレッシブなのである。Paulのボーカルも常にヴォコーダーを通して高く歪ませていて、これも不思議な浮遊感を生んでいる。

91年のデモも聴いたが、そこでは単なるテクニカルデスでジャズ・フュージョン色はまだどこにもなかった。この2年の間の変化は大きい。今作ではデスボーカルはゲストメンバーであり、以降の作品でもデスメタルの要素は急速に減少していく。結局彼らにとってのデスメタルとはあくまでも一過性の表現方法だったようだ。

しかし今作ではこのあまりにもかけ離れた両者の間の振幅が、それぞれの効果を最大限に爆発させており、それが強烈な個性となっていた。当時これを聴いてしまったお陰で、以降変態と銘打った作品は全て物足りなくなってしまった。ここまで奇天烈で美しく完成度の高い作品は他に類を見ず、この1枚であっけなく解散したという事実も彼らの孤高性を高めたと思う。

★★★★★


Chris Squire (Yes) 急逝

chris

去る6月28日、YesのChris Squireが白血病のため亡くなった。享年67歳。

昨年11月の来日公演で元気にプレイしていたのを観たばかりだったので、未だに信じられない。あの巨体でリッケンバッカーのベースを持って、楽しそうにJonとステップを踏みながらプレイしている姿を今でも良く覚えている。あの後に体調を悪くし、ツアーから離脱していたのは知っていたが、またすぐに復帰するものとばかり思っていた。どうやらあの夜が彼の最期のステージだったようだ。

Yesの創設者にして、全アルバム制作に携わった唯一のメンバー。75年のソロアルバムが大好きだったが、彼のボーカル含めまんまYesワールドだっただけに、彼こそがYesサウンドの根幹だと思っていた。彼の超絶プレイとサウンドは正にプログレッシブロックそのものだったと思う。

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