Heavy Metal

オリオン

orion

歳を取るにつれ寒い冬が苦手になりつつあるが、そんな冬にも楽しみはある。星空を眺めることはその1つで、澄んだ夜空を見上げるたびに冬の大三角や大六角をなぞっている。その中央にあるオリオン座は最も好きな星座である。

砂時計のような形の左上の赤いベテルギウスと右下の青白いリゲルは共に一等星だが、それぞれ異なる色を放ち主張し合う。対角線上の2つの星と、中央に横並びになる三つ星は二等星。さらにその下にはM42星雲。ここまで明るい星々が集まり均整の取れた配列をしている星座はなかなかない。

もっともパソコン仕事ばかりしているとどうにも目が悪くなり、最近は裸眼だと一等星しか見えなくなってしまった。しかもリゲルは見えるのに、ベテルギウスが見えないのは何故だろう。そう思っていたら、今冬のベテルギウスは過去100年で最も暗く、超新星爆発が近づいている前兆だということを知って驚いた。爆発すると半月の明るさが数ヶ月近く続いた後に消えてしまうという。

オリオンを見ると思い出すのが、Metallicaの"Orion"だ。今は亡きCliff Burtonが1986年に作曲したインストで、数あるHR/HMインストの中でも最もドラマティックな名曲である。ギターリフやツインリードも聴きものだが、特に印象的なのは静かな中間部で聴こえる知的で穏やかなベースの音色だ。彼が冬の夜空を見上げて作ったというこの曲の持つ寂寥感が胸に迫る。

永遠と思われた宇宙の時間の中で、ベテルギウスの終焉を見ることになるとは思わなかったが、もしCliffも生きていてこれを知ったらきっと驚くことだろう。


VIPER 「Theatre Of Fate」 (1989)

シアター・オヴ・フェイト
ヴァイパー
ビクターエンタテインメント
1991-07-21




1.Illusions
2.At Least a Chance
3.To Live Again
4.A Cry from the Edge
5.Living for the Night
6.Prelude to Oblivion
7.Theatre Of Fate
8.Moonlight

去る6月8日、ブラジルのHR/HMボーカリスト・ミュージシャンAndre Matosが急逝したということを音楽ニュースで知った。死因は心臓発作、享年47歳という若さだった。

Andre MatosといえばANGRA以降のキャリアに焦点が当たりがちだが、私にとって思い出深いのはVIPERである。1991年に日本盤でリリースされた2nd「Theatre Of Fate」がとにかく衝撃的で、こんな完成度の高いものが何故ブラジルから?と驚いた。Sepultraの「Arise」が出たのも同年だったので、ブラジルのHMシーンが一気に注目を集めた年だった。

フルートも交えた叙情的なインストで幕を開け、珠玉のファストチューンがずらりと並ぶ。適度にヘヴィでありながらもメロディアスで、テクニカルなギターソロも美麗。Andreの伸びやかなハイトーンも力強い。リズムチェンジし緩急織り交ぜたり、中間部で予想外の展開を見せるあたりはプログレっぽくもある。

本国の発表は1989年なので、Helloweenが「Keeper Of The Seven Keys Ⅱ」を出した翌年だ。その後ドイツで無数のHelloweenフォロワーが竹の子のように登場したが、そうした凡百のバンドが束になっても到達出来ない高みを既にブラジルで極めていたことに驚きを覚える。

マイナーキーの4曲が続いた後に、突き抜けるような高揚感のM6も素晴らしい。このアルバムは人生にもがく若者が自己を発見するというコンセプトアルバムにもなっているが、この歌詞も注目に値する。

そしてハイライトはAndre作曲のM8。ベートーヴェンのピアノ曲”月光”を大胆にアレンジしたこの曲は、クラシック素養のあるAndreの真骨頂。Andreの絶唱と、ラストのバイオリンが涙腺を刺激する名曲だった。

残念なことにその後VIPERはAndreが脱退したことで失速する。一方AndreはANGRAを結成し「Angels Cry」で華々しくデビュー。こちらは期待された方向性で人気を博したが、個人的には「Theatre Of Fate」を超えることは出来なかったと思った。VIPERとしては突然変異的に生まれた名盤だった。


Helloween 「Pumpkins United World Tour 2018 in Japan」

united

Helloweenのライブに行って来た。会場のZepp Tokyo。アリーナ中央の右手から入ると、ソールドアウトの場内は開演前からスゴい熱気だった。

SEの最後に”Let Me Entertain You”が流れると大歓声。幕が降りてメンバー登場。右手からWeikie、Kai Hansen、Markus Grosskopf、Sascha Gerstner、後ろのドラムセットにはDani Loble。オープニングはいきなり長尺の”Halloween”。そして歓声の中ボーカルの2人Andi DerisとMichael Kiskeもマイクを持って登場。これだけ豪華なメンバーがステージに並んでいることが信じ難い。

ボーカルの2人は花道で掛け合いをしたり肩を組んだり仲良さそう。かつては美青年だった2人も随分丸くなってしまったが (Kiskeに至っては頭部も見事に別人)、声は昔から変わらない。

ギタリスト達も交互に花道に出てきてくれるのだが、3人もいるとツインリードを弾いている時も後ろにもう1人リズムギターがいるわけで、やっぱり音の厚みが違う。さらにはトリプルリードなんてものまで見せてくれる豪華さ。

”Dr. Stein”の後にAndiのMC。「Good evening Tokyo。戻って来られて嬉しいよ。ちょっとまだ喉の調子が悪いから皆歌うのを手伝ってくれよな。日本人はアニメは好きかい?」「好きだと思うよ」とKiske。「SethとDocを紹介しよう」。バックスクリーンに2人のカボチャのアニメキャラクターが登場する。これはスペインのファンが作ったものらしいが、普通にどこかの大手プロダクションが作ったみたいによく出来ていた。ただこの後毎曲終わるごとに登場してくるのは、ちょっと閉口したが。

”I'm Alive”の後は、”If I Could”、”Are You Metal”と2曲続けてAndiボーカル。調子悪いと言っていたが、それでも高音も出ていたし、かなり頑張っていたと思う。一方で昨年はずっと調子を壊していたというMichaelは絶好調で、深みのある低音から伸びる高音まで流石だった。

AndiとKaiがシルクハットを被って演奏された”Perfect Gentleman”の後は、いよいよKaiの見せ所。中央のスタンドマイクに立ち「80年代のオールドスクールメタルの準備はいいか?」と煽り、”Happy Halloween”のアニメーションの後に強烈なスクリームから怒涛の勢いで”Starlight”に雪崩れ込む。場内はヘッドバンキングの嵐。その勢いのままメドレーで”Ride The Sky”, ”Judas”, ”Heavy Metal”と駆け抜けていく。ここはこの日のハイライトの1つだった。

それにしても場内凄まじい暑さ。まるでサウナにいるような熱気で、Tシャツも汗びっしょり。ステージで革ジャンを着たままのKiskeやSaschaが信じられない。たまに開くドアの外からの冷気だけが救いだった。

Kiske「この曲は俺がHelloweenに加入して初めてレコーディングした曲だよ」と言って始まったのは”A Tale That Wasn't Right”。この日初めてのバラード。紫のライティングの中しっとりとKiskeが歌い上げた。

新曲”Pumpkins United”に続いてはDaniのドラムソロ。するとスクリーンにビデオテープをセットする映像が流れて、在りし日のIngoが現れた。感傷を誘うIngoのドラムプレイが流れた後に、Daniがそれに合わせて同じリズムを叩き始めた。この演出は事前に知っていてもグッと来るものがあった。

その後も新旧織り交ぜて盛り上げた後にAndi「次は最後の曲だ。本編のね(笑)。この曲は俺が初めて聴いたHelloweenの曲だった。その時に俺はこう思ったんだ。なんでこの曲を書いたのが俺じゃないんだろうって」そう言って始まったのは”How Many Tears”。ボーカルの3人が交互に歌いながら疾風の如く駆け抜ける。Andiがそう感じたのもよく分かる名曲だ。最後静かにアルペジオを奏でながらメンバーが1人ずつ退場していき、最後にSashaだけが残った。

私はもうここで熱さに堪らず飛び出してドリンクを取りに行った。マシかと思って後方から再度中に入ったが熱さは変わらなかった。

アンコールは”Invitation”から”Eagle Fly Free”。ちゃんとイントロ付きでこの名曲を聴けるのが嬉しい。そしてここで大曲”Keeper of the Seven Keys”。2度目のアンコールは”Future World”に”I Want Out”。これでもかという名曲が立て続けで、最後は沢山のオレンジの大きな風船が降ってきて、このお祭りのフィナーレを飾った。今までZeppは何度も来ていたが、こんなに場内が熱かったことはないと思う。

1. Halloween
2. Dr. Stein
3. March of Time
4. If I Could Fly
5. Are You Metal?
6. Rise and Fall
7. Perfect Gentleman
8. Starlight / Ride the Sky / Judas / Heavy Metal
9. A Tale That Wasn't Right
10.I'm Alive
11.Pumpkins United
12.Drum Solo
13.Livin' Ain't No Crime / A Little Time
14.Why?
15.Power
16.How Many Tears
encore1
17.Invitation / Eagle Fly Free
18.Keeper of the Seven Keys
encore2
19.Future World
20.I Want Out


Riot 「Thundersteel 30th Special In Japan」

riot

Riotの来日公演に行って来た。会場の川崎クラブチッタは10数年ぶり。クラブチッタは最近独自でHR/HMバンドの招致やイベント開催に力を入れているらしく、こうした呼び屋を介さずハコ独自の招致は頼もしい。

18:00場内暗転し歓声が上がる中、演奏が始まると幕が降りた。現れたメンバーは全員黒に赤いラインの入った衣装を着ている。後ろにはメンバーが大きく描かれたバックドロップ。オープニングは来月リリース予定という新作からの新曲”Armor Of Light'。早くてRiotらしい曲。2曲目もそのまま畳み掛けるように”Ride Hard Live Free”。

ボーカルのTodd Michael Hallは噂に違わずスゴかった。確かにTony Mooreに声が似てるが、声の伸びや力強さはTony以上なんじゃないかとすら思った。しかもなかなかのイケメンでムキムキ。

3-4曲目は”On Your Knees”と”Metal Soldiers”と2曲続けてアルバム「The Privilege Of Power」から披露し、オールドファンを喜ばす。ここでToddのMC。「ドモアリガト。今日は寝れたし移動もないから良い日だった。今日は沢山提供するものがあるよ。投げるピックも沢山あるしね。次は”Fall From The Sky”。」

正直最近の曲はあまり予習もせずに今回参戦したのだが、どの曲もファストでカッコ良い曲ばかりで、特に”Angel Eyes”が印象的だった。またどれだけ早くても余裕を見せながら終始息のピッタリ合った演奏を魅せるバンドの演奏力も流石だった。

オールドメンバーのベースDon Van Stavernはステージ右手の定位置をあまり動かなかったが、終始嬉しそうな笑顔。彼作の”Land Of The Rising Sun”はタイトル通り日本愛に溢れる曲で、最後に指でハートマークを作ってみせていた。

左手のギターMike Flyntzもオールドメンバー。この日はMark Realeと同じような黒のレスポールを持って見事なソロを弾いていた。

見ていて面白かったのは一番右手のギターNick Lee。若いこともあり一番元気で、飛び跳ねたりステージを所狭しと走り回ったり。Mikeと並んでのツインリードも見所だった。

15分の休憩を挟み、ここからは第2部として「Thundersteel」の完全再現。白幕に映し出された雷と戦士の映像をバックに詩が朗読された後、タイトル曲のリフが聴こえ大歓声の中幕が降りた。ステージ左右にはアルバムジャケットのバックドロップが追加されていた。

ここからはお祭り状態。場内腕を突き上げ、ヘッドバンキングと大合唱。メンバーも皆楽しそうに笑顔で演奏していた。個人的なハイライトは名曲”Flight Of The Warrior”と”Johnny's Back”。また”Bloodstreet”でのMark Realeの泣きのギターソロを、Mikeが同じ黒のレスポで情感たっぷりと弾いていたところは感動的だった。唯一残念だったのは、”Buried Alive”前半のインストパートが暗転したまま録音音源だったこと。出来ればここも演奏してほしかった。

アンコールは「今度はずっと戻って79年の曲だよ」と”Road Racin”からスタート。続いてToddが「今日ここにMarkにいて欲しかった」と初めてMarkに言及。Donのテキーラを皆で天に捧げて回し飲みしてから”Sword and Tequila”を演奏した。

最後は”Warrior”かと思ったら、ここで「マサヨシを呼ぼう」と何とLoudnessの山下昌良氏が登場した。さらにはステージ両脇からアザラシの被り物をした人達が大勢現れてからスタートした。大名曲でのラストで大合唱ではあったが、正直アザラシ達はいらなかったなと思った。

この日は11台のビデオカメラが入り撮影しており、後日映像作品として発表される予定とのこと。終了は20:30頃だったので約2時間半、純度100%のパワフルなヘヴィメタルの一夜だった。

1. Armor of Light
2. Ride Hard Live Free
3. On Your Knees
4. Metal Soldiers
5. Fall From the Sky
6. Wings Are for Angels
7. Land of the Rising Sun
8. Take Me Back
9. Messiah
10.Angel Eyes
11.Metal Warrior
12.Thundersteel
13.Fight or Fall
14.Sign of the Crimson Storm
15.Flight of the Warrior
16.On Wings of Eagles
17.Johnny's Back
18.Bloodstreets
19.Run for Your Life
20.Buried Alive
encore
21.Road Racin'
22.Swords and Tequila
23.Warrior

 

正統派ヘヴィメタル名盤10選

Riotの来日を記念して、今日は正統派ヘヴィメタルの名盤を選んでみました。
正統派HMとは、言ってしまえば最もオーソドックスなへヴィメタルのこと。適度なヘヴィさとメロディを兼ね揃えながら、英国的(欧州的)な哀愁を漂わせているというのが一般的な定義です。80年代のアメリカでHR/HMが市民権を得る中、LAメタルやらスラッシュやらへヴィメタルが多様化していく一方で、本来のオーソドックスなスタイルが衰退し、それを憂う向きが懐古的に名付けたものと思われます。
90年代以降は欧米にならいパワーメタルと呼ばれるようになりましたが、それによって定義の枠が広くなったような気がします。なのでここではあくまでも懐古的にかつて正統派と呼ばれた名盤を選出してみました。
 
Judas Priest「Defenders of the Faith」 '84
defenders
鋼鉄神の黄金時代の名盤。ヘヴィでアグレッシブな中でもKKとGlenのツインリードが美しい。

Iron Maiden 「Number of the Beast」 '82
beast
初期も好きなのだが、正統派ならこっち。新ボーカルBruceの表現力が楽曲の幅を広げました。

Accept 「Metal Heart」 '84
heart
ジャーマンメタルのパイオニア。Udoの金切り声、重金属リフ、野太いコーラス、これぞヘヴィメタル。

Manowar 「Sign of the Hummer」 '85
mano
失笑もねじ伏せるほどの説得力のあるテクニックと名曲と本気度で魅せる漢のマッチョメタル。

Riot 「Thundersteel」 '88
riot
劇的にパワーアップした復活作。Tony MooreのハイトーンボーカルとMark Realeのギターが圧巻。

Pretty Maids 「Red, Hot and Heavy」 '84
maids
北欧勢の中でも珍しく正統派。骨太なRonnie AtkinsのハスキーボーカルとKen Hammerのギターが○。

Dio 「Holy Driver」 '83
dio
故Ronnie James Dioの名唱が光るデビュー作。オーソドックスなHMだがそこが良かった。

Vicious Rumors 「Degital Dictator」 '88
vicious
故Carl Albertの歌唱が光る初期の傑作。当て馬など不要だとのGeoffの意地が感じられます。

Crimson Glory 「Transcendence」 '88
crimson
マスクが少し色もの的だったが、Midnightの金属ハイトーンボーカル含め高い音楽性を誇っていました。

Leatherwolf 「Leatherwolf」 '87
leatherwolf 
トリプルリードギターと分厚いコーラスがなかなかゴージャス。LAのバンドらしからぬ正統派。


結果的にやっぱり80年代の作品ばかりになってしまいました。上記以外で好きだったのは、TankとかArmored Saintとか、Metal Church、Savatage、Heathen、Powermad、Artch、などなど。意外とアメリカのバンドが多かった。良い時代でしたね。

Riot 「Thundersteel」 (1988)

サンダースティール
ライオット
SMJ
2009-10-07


01. Thundersteel
02. Fight or Fall
03. Sign of the Crimson Storm
04. Flight of the Warrior
05. On Wings of Eagles
06. Johnny's Back
07. Bloodstreets
08. Run for Your Life
09. Buried Alive (Tell Tale Heart)

今月はメタル系の来日が相次ぎ、Riotも来日します。

2012年に創始者であるギタリストMark Realeが亡くなったため、以降バンドはRiot Vと改名し活動を存続していますが、今回の来日では1988年の名盤「Thundersteel」を完全再現してくれるそうです。

実は彼らは秋のLoud Parkへの来日も決まっており、そこでも「Thundersteel」の完全再現をすることになっています。しかもそちらでは当時のボーカルTony MooreとドラムBobby Jarzombekも参加予定とのこと。本来ならそちらの方を観るべきなのかもしれませんが、先だしどうなるか分からないのと、単独の方が長いセットリストを期待できるはずということで、今回参戦することにしました。

「Thundersteel」は言わずもがな80年代正統派HMの名盤です。もっともこれは彼らにとって4年振りの復帰作であり、HR然としたそれまでの作風からは劇的な変化を遂げています。冒頭M1でいきなりMarkの高速ギターリフが切りこんできて、疾走感のあるリズム隊とともに加速し、さらにTonyの強力なハイトーンボーカルが扇情する。どこを切ってもメタル然としていながらメロディアス。このタイトル曲が全てを物語っていますが、以降も最後までテンションが落ちません。全曲素晴らしいですが特にM4、M6は名曲で、M7の湿り気のある哀愁も堪りません。

完全無欠な名盤ですが唯一惜しいのはこのジャケット。Riotは本当にジャケットに恵まれないバンドでしたが、この安っぽいアメコミジャケットもずっと残念に思っていました。もう今となっては愛着がありますが。


Helloween 「Keeper of the Seven Keys Part Ⅱ」 (1988)

2. Eagle Fly Free
3. You Always Walk Alone
4. Rise And Fall
5. Dr. Stein
6. We Got The Right
7. March Of Time
8. I Want Out
9. Keeper Of The Seven Keys
10.Save Us
 
来月Helloweenが来日します。今回は往年のメンバーKai HansenとMichael Kiskeが加わりPumpkins United Tourとしてやって来ます。

お約束ですが一番好きなアルバムは初めて聴いた1988年の「Keeper Of The Seven Keys Ⅱ」。荘厳なインストM1から飛翔感のあるM2への流れがまず理想的。M4とM5もコミカルな中に社会風刺が効いている名曲。そして極めつけはM9。静かなアルペジオから始まり、緩急のめくるめく展開を聴かせ、高揚感溢れるサビへとつながる大作です。他にも名曲揃いですが、Kai Hansen主導だった硬質な前作と比べ、今作はメンバーそれぞれが作曲に関わりバラエティに富んでいるのが特徴的です。個人的には特にメロディアスなMichael Waikathの楽曲が好きでした。

Michael Kiskeの伸びやかなハイトーンと表現力、KaiとWaikathのメロディアスなツインリードギター、MarkusとIngoの疾走感溢れるリズム隊。ここに強力な楽曲群が備わり不朽の名作となりました。

こうしたメロディとスピードというスタイルはドイツ国内で数多の後続バンドに継承され、ジャーマンメタルという潮流を生み出しました。以降はドイツ国外への影響からメロスピと呼ばれるようになったようです。


『Dark Star - H.R.ギーガーの世界』

darkstar

最後にもう1人取り上げたいのがH.R.ギーガー(Hans Rudolf Giger, 1940-2014)。ジャケットの他に映画「エイリアン」などでも有名なスイスのデザイナーです。その彼のドキュメンタリー「Dark Star - H.R.ギーガーの世界」が東京都写真美術館で上映されていたので観てきました。

彼の世界観は独特です。ある種グロテスクな彼の作品は観る者を選びます。大抵は忌み嫌うでしょうが、闇を愛する人はそこに美を見出します。このドキュメンタリーはそんな彼の世界観を見事に描き出しています。

スイスの彼の屋敷は街中にあるにも関わらず、まるで外界から隔離されています。鬱蒼と茂る森や暗い屋敷の中には、異形の作品が無数に立ち並んでいます。これもお化け屋敷のようですが、好きな人には堪らない博物館でしょう。

子供の頃に父親から貰った頭蓋骨、博物館で見たミイラ、戦争、恋人の自殺、etc。それらが彼を闇の世界へと誘いました。ただ、彼は闇を描き出すことによって恐怖をコントロールし癒しになると語っていたのが興味深かったです。

色々な家族や関係者も証言している中で、驚いたのがCeltic FrostのボーカルTom G. Warrior。同郷のCeltic Frostはジャケットのデザイン提供を受けていたのは有名ですが、Tomが敬愛するあまり秘書まで務めていたとは知りませんでした。

撮影当時ギーガーは73歳。足も悪くして絞り出すように全てを語っていたのが印象的でした。この撮影直後に彼は他界してしまいました。



ちなみに以下は私の好きなH.R.ギーガーの作品5選です。

elp
Emerson Lake & Palmer 「Brain Salad Surgery」 (1973)

celtic
Celtic Frost 「To Mega Therion」 (1985)

steve
Steve Stevens Atomic Playboy 「Steve Stevens Atomic Playboy」 (1989)

bloodbath
Bloodbath 「Traumatic Memories」 (1992)

carcass
Carcass 「Heartwork」 (1993)

Dream Theater 「Images And Words」 (1992)

イメージズ・アンド・ワーズ
ドリーム・シアター
イーストウエスト・ジャパン
1997-12-15


01. Pull Me Under
02. Another Day
03. Take The Time
04. Surrounded
05. Metropolis Pt.I
06. Under A Glass Moon
07. Wait For Sleep
08. Learning To Live

ここのところ美術展や山関連のことばかり書いていたので、そろそろブログ名に添って音楽(ロック)のことでも書かないと。

ちょうど今Dream Theaterが来日している。今回のツアーでは往年の名盤「Images & Words」を完全再現するということで話題になっているようだ。このアルバムは彼らが1992年に発表した2ndで、日本でも大旋風を巻き起こしたプログレッシヴメタルの金字塔である。

当時伊藤正則氏がラジオ番組「Power Rock Today」でプッシュしていて、毎週このアルバムからM1, M2, M3, M5など1曲ずつ流していた。これがどの曲も名曲揃いで、急いでCDを買いに行ったのを覚えている。

それまでのプログレッシヴメタルとしてはQueensrycheがいたが、あちらはコンセプトこそプログレなれどサウンドはむしろ正統派。一方Dream Theaterはとにかく複雑な曲展開はプログレそのもので、加えてバックはMetallica譲りのメタリック。これが新鮮だった。

バークレー音楽院卒の凄腕達による超絶テクニックと、それに基づいた複雑な曲展開。これだけでも美味しいのだが、さらにそこに極上のメロディも共存していたことがこのアルバムの名盤たる所以だろう。特にM4は比類ない名曲。これは新加入のボーカルJames Labrieの豊かな表現力によるところも大きく、前任のCharlie Dominiciでは恐らく成し得なかった部分だと思う。

94年の次作「Awake」は時流を意識したダークな色合いになってはいたが、こちらもなかなかの傑作だった。しかしここで好きだったキーボードのKevin Mooreが脱退し落胆した。

私が聴いていたのはここまでだったが、その後ドラムのMike Portnoyの脱退などもありながらも、様々な挑戦を続け高い評価と人気を保っていたことを最近知り、近作も聴いてみようかなと思った。



Dirkschneider Live Report 2016

dirk

元AcceptのボーカリストUdo Dirkschneiderの来日公演に行って来た。当初仕事が終わってから駆けつけるつもりだったのだが、当日風邪のために仕事を休んでいた。なのでライブも無理かと思っていたが、夕方には多少良くなったので何とか会場に辿り着いた。

今回は彼がAcceptの楽曲を歌う最後のツアーだという。オールドファンとしては往年の名曲を彼の声で聴きたいと願っていたわけだが、本来はAcceptとしてがベストだった。しかし今のAcceptは新しいボーカルを入れて成功を収めているので、それが望めないならこれが最後のチャンスだと思って参戦した。

会場は品川ステラボール。以前ここでStompを観た時は座席があったが、今日はオールスタンディングになっている。場内は700人程度と少なめだが、盛り上がりはスゴかった。

暗転して大歓声の中メンバー登場。右手からギターのAndrei、ベースのFitty、ギターのKasperi。この3人は今のU.D.O.のメンバー。ドラムのSvenはラストネームが同じなので、恐らくUdoの息子なのだろう。短髪でどことなく父親に似ていた。そしてUdoがマイクを持って登場し初期の”Starlight”から勢い良くスタート。

「ドモアリガトー!戻って来られて嬉しいよ」とUdoのMC。昔と同じ迷彩柄のシャツを着たUdoは、基本的に昔と同じ体型だが、太ったこともありかなり巨体に見える。MCでは結構普通に低い声だが、歌うと昔と変わらないあの金属質のハスキーボイス。あんな歌い方で長年歌ってよく喉が潰れないなと不思議に思う。やっぱりこの人の声に替わるものはない。

Udoはステージ中央でほとんど動かずに歌っていたが、貫禄たっぷりに観客を扇動した。対して他のメンバーはよく動いていた。バース部では下がって2人や3人で並んでギター・ベースを揃って振り上げ、サビにはフロントマイクに走って戻り野太いコーラスを聞かせる。ツインリードでは中央で2人が背中合わせで弾いてみせたりと色々なパフォーマンスで魅せてくれた。

Acceptの楽曲はミドルテンポのものが多いのだが、ザクザクと刻まれる重いギターリフを聴くと、これこそがヘヴィメタルだと痛感させられる。そしてその中に織り交ぜられる”Breaker”や”Wrong Is Right”のようなファストチューンが良く映える。

Udoの声が基本的に一本調子なので分かり辛いかもしれないが、実は”Son Of A Bitch”のようなハードな曲から”Midnight Highway”のようなキャッチーな曲まで楽曲の幅は非常に広い。ボーカル以上にギターがメロディアスに歌っているというのもある。今回とにかく往年の楽曲を次から次へと惜し気なく披露してくれ、バラード”Winter Dreams”なんかもしっとりと聴かせてくれた。

個人的なハイライトは前半に演った名曲”Prinecess Of The Dawn”。観客はどの曲も一緒に歌っていたが、この曲では特に大きくオーラスのような盛り上がりだった。

後半は「Staying A Life」にもなかった”TV War”や”Losers And Winners”で駆け抜けて終了。その後のアンコールでは名曲”Metal Heart”でスタート。「次の曲のオープニングはこう始まるんだ」と歌い出したドイツ民謡を皆で合唱した後に、ファストチューン”Fast As A Shark”でヘッドバンキングの嵐。「大昔の曲だよ」と”I'm A Rebel”。そして「この曲をここで演るのも最後になるんだな」と言って始まった”Balls To The Wall”。一瞬静まった観客も最後とばかりに盛り上がり、”Burning”で2時間の公演は終了した。

先日のIron Maiden公演と比べると規模も非常に小さいものではあったが、セットリストや一体感という面では文句なく満足できた公演だった。

1. Starlight 
2. Living After Midnight
3. Flash Rockin' Man 
4. London Leatherboys 
5. Midnight Mover 
6. Breaker 
7. Head Over Heels 
8. Princess Of The Dawn
9. Winterdreams 
10.Restless 
11.Son Of A Bitch 
12.Up To The Limit 
13.Wrong Is Right 
14.Midnight Highway 
15.Screamin' 
16.Monsterman 
17.TV War 
18.Losers And Winners
encore
19.Metal Heart 
20.I'm A Rebel 
21.Fast As A Shark 
22.Balls To The Wall 
23.Burning 


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