Festival

『leave them all behind 2019』

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ハードコアの祭典「leave them all behind」に参戦してきた。今回は10周年記念ということでConvergeとNeurosisのダブルヘッドライナーという豪華なラインナップである。

会場の代官山Unitに16時の開場と同時に入り、自分としては珍しく物販でNeurosisのTシャツを購入する。しかし体力に自信がないため国内の2バンドは見ずに、飯を食べに一旦外へ出て、19時前に再度戻る。この日はSold Outなので場内は満員状態。このクラスのバンドを呼ぶにはあまりにも狭い会場なのが残念だが、近くで見られるのはありがたいことではある。9割以上男性だが、中には女性もいたことに驚いた。

ステージには青いJane Doeのバックドロップ。Thin LizzyやThe Cureなど意外なSEの後、19:10頃にConvergeが登場した。右手からギターKurt Ballow、ボーカルJacob Bannon、ベースNate Newton、後方にドラム。Kirtが”First Light”の静かなギターリフを奏で、一気に激しい”Last Light”へと雪崩れ込む。この日はアルバム「You Fail Me」の再現ということだが、中でもこの冒頭の緩急の流れが最高だ。

その勢いはそのまま”Black Cloud”, ”Drop Out”へと続く。ステージ前は大暴れ状態で、クラウドサーフやステージダイブが繰り広げられている。そんな観客にJacobはマイクを向けて叫ばせていた。

両腕から首まで細身の身体にタトゥーびっしりのJacobは、何かが乗り移ったようにシャウトをし続け、ステージ中央で凄い存在感を放っていた。両脇のKurtとNateの2人も凄腕を魅せながら咆哮を聞かせていた。今回ドラムのBen Kollerが不在なのが残念だったが、数日で30曲以上を覚えてきたという代役のUrian Hackneyも、Benに負けない位の凄まじいドラミングを聴かせてくれていた。

ミドルテンポの”You Fail Me”とスローな”In Her Shadow”でじっくり聴かせた後は最後まで駆け抜ける。アンコールは5曲。最後は”Concubineで大団円。1時間ほどのステージが終了。Jacobは何度もThank youと繰り返していた。

1. First Light
2. Last Light
3. Black Cloud
4. Drop Out
5. Hope Street
6. Heartless
7. You Fail Me
8. In Her Shadow
9. Eagles Become Vultures
10.Death King
11.In Her Blood
12.Hanging Moon
encore:
13.Reptilian
14.Dark Horse
15.Under Duress
16.I Can Tell You About Pain
17.Concubine




次はいよいよNeurosis。30分のセッティングとサウンドチェック。ローディーに混じってSteveとNoahも入念にセッティングしていた。その後開演までの間も、ステージ右手に緑色の頭をしたDaveがずっと立っていた。そして20:40にNeurosisのメンバーが揃って登場した。右手からベースDave Edwardson、ギターScott Kelly、ギターSteve Von Till、キーボードNoah Landis、後方にドラムJason Roader。

そして始まったのは何と”Through Silver In Blood”だった。JasonとSteveが2人で呪術的なリズムを叩く上に、ScottとDaveが邪悪なリフを刻む。2曲目の新曲”Bending Light”の後に続いたのも”The Doorway”。てっきりこの日は一昨年のセットリストで来ると思っていたのが、予想もしなかった展開に1人狂喜した。

過去の名曲には完全に意識を持って行かれてしまうのだが、新曲の間は比較的冷静にステージを見ることができた。Scottはメインボーカルとして一番前に立ち、シャウトしながらレスポールで轟音のリフを掻き鳴らしている。もう1人のフロントマンSteveも咆哮以外で、”Broken Ground”などでは低音でしっかり歌っていた。またボーカルを取らない間は終始後方のスピーカー前で凄まじいフィードバックを聞かせていた。Daveも指弾きで低音ベースを聞かせながら、時折咆哮を上げている。

個人的に最も楽しみにしていたのはJasonのドラムだったが、実際にその破壊力・手数・正確さ・グルーヴ感を目の当たりにして、やはり最高のドラマーだと痛感した。Noahに関しては正直その役どころがあまり分かっていなかったが、キーボード・シンセサイザー・サンプラーなど様々な楽器を駆使した彼のパフォーマンスを見ることで、この音を出していたのは彼だったのかという発見が沢山あった。

元々ここにビジュアル担当のJosh Grahamがいて、バックに映像が流れていたはずだったが、数年前に脱退してしまっていた。しかし演奏自体が凄すぎて何も不足感はなかった。

曲間にはまるで強風のようなSEが常に唸り声を上げていて、Thank youのようなMCも一切なし。先ほどのConvergeは観客とのコミュニケーションもあり、ある種スポーティーな印象だったのと比べると、Neurosisはストイックなまでの完璧主義で彼らの世界観を構築している。ハードコアの2大巨匠のステージは全く対照的だった。

Neurosisは轟音だけではなく、静パートも聴きものである。”Burn”や”Given To The Rising”の中間部での、たゆたうような残響の中での耽美的なパートから、導火線に着火するように一気に動パートへと転換するカルタシスは、他のバンドでは得難いものだった。

最後は”Stones From The Sky”。Steveが静かに歌い出し、徐々に盛り上がりクライマックスへと突き進む。ここでの主役はNoah。キーボードを壊さんばかりに揺り動かして、恐ろしいほどの音響効果を出していた。

22:00頃終了。アンコールはなく、MCも結局最後までなかった。恐らく他のバンドだと不満に感じたかもしれないが、Neurosisのステージにはそれが相応しいと思った。轟音の芸術とも言える唯一無二の世界観に圧倒された一夜だった。もうこれで思い残すことはないな。

1. Through Silver in Blood
2. Bending Light
3. The Doorway
4. A Shadow Memory
5. Locust Star
6. Burn
7. Broken Ground
8. Given to the Rising
9. Stones from the Sky


Summer Sonic 2014 pt.2 - Queen

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最後は今回目当てのQueenを見るために再度Marine Stageへ。今度はアリーナもスタンドも完全に埋まっていた。じっくり観たかったので1階スタンド席に座るが、周りはあまりQueenのことを良く知らないような若い女の子達ばかりだった。

19:40
頃、ステージに下からトレードマークをあしらった暗幕が上がってきてステージを隠した。イントロの”Procession”が流れてきて大歓声が上がる。そして”Now I'm Here”が始まり、Adam Lambertの”I'm justa !”で幕が落ちるとメンバーがそこに並んでいた。グラサンをかけたAdam、髪が白くなったが髪型は昔のままのBrian May、Roger Taylorもグラサンをかけてドラムセットにいる。バックにあるスクリーンは巨大なQの形をあしらっていた。その後怒涛の勢いの”Stone Cold Crazy”へ。この流れはこの秋にリリースされる74年の「Live At Rainbow」と同じだ。

Another One Bites And Dust”と”Fat Bottomed Girls”の中期の曲が続く。グラサンを外したAdamは非常に女性受けしそうな色男だったが、見た目だけでなく歌唱力も抜群。力強く高音も伸び、危惧していたようなQueenのボーカルとしての違和感はあまり感じなかった。Brianもレッドスペシャルで力強いリフとソロを聴かせる。Rogerのドラムもタイトだ。

この後また初期の曲を続けて演ってくれた。”
In The Lap Of The Gods Revisited”で合唱し、”Seven Seas Of Rhye”、そしてメドレー形式で”Killer Queen”へ。ここも「Rainbow」の再現であり、個人的に最初のクライマックスだった。Adamはステージに置かれたソファーに横たわって金の扇子を扇ぎながらかつてのFreddieをそのまま演じてくれた。

メンバーが全員下がり
Brian1人ステージに残る。アコギを手にして座るとMC。「日本に初めて来たのは1974年だった。その時の素晴らしい日本のファンのためにこの曲を書いたんだ。一緒に歌ってくれたら嬉しいな」と言って歌い始めたのは”Teo Toriatte”。これは予想外だったが、日本のためだけの選曲だろう。続いて「Freddieのために歌おうか」と”Love Of My Life”。途中でスクリーンにFreddieが写し出され、そのままFreddieの歌声がBrianのギターに合わさったのは感動的だった。ただこの後にあるはずだった”39”がカットされたのは痛かったが。

続いてマイクを握ったのは
Roger。前に出てきて”These Are The Days Of My Lives”。バックにはかつてのメンバー達の映像が流れる。”Under Pressure”はドラムセットに戻ったRogerAdamがデュエットした。

その後
Adamが歌ったのは”Born To Love You”。これも日本のための選曲だ。あまりQueenのことを良く知らなかった周囲の若い女の子達もこれには大喜びしていた。ここからはもう有名曲が並ぶ。”Radio Ga Ga”、”Crazy Little Thing Called Love”、そしてトドメは”Bohemian Rhapsody”。若い子も含めスタンドも総立ちに。

コール後メンバーが戻ってくる。
Adamは上下キラキラの衣装に頭には女王のような冠を被っている。曲は”We Will Rock You”、そして”We Are The Champions”へ。見渡す限り場内手を上げて大合唱。最後はメンバー並んで挨拶をし、バックには”God Save The Queen”が流れる。スタジアムの後方では大きな打ち上げ花火が上がり、涼しい夏の夜を鮮やかに彩っていた。

さて今回観る前からずっと思っていたのは、前回の
Paul Rodgersとのライブと果たしてどちらが良かっただろうかということ。Paulはキャリアもあるため、あえてFreddieのことは意識せず、自分らしく歌ったことで成功した。しかし今回のAdamPaulのようにキャリアがあるわけではなかったが、一方で若さがあった。そうした状況の中で彼らが選択したのが初期の再現だった。後期のマッチョイズムとは違い、初期の中性的な美を再現するのは、当時のFreddieと同じ様に若いAdamだからこそ実現できることだった。当初は風格が足りないのではと懸念されたが、場数を踏むにつれ非常に堂々としてきた。私もQueenを観に行ったわけだが、結果的に公演中はずっとAdamを目で追っていたのだ。

Adam
は今回のツアー中に右腕に大きなQueenのロゴのタトゥーを入れていた。またステージ上では堂々としているが、どこでも他の2人を常に立てようとしていた。そんな彼のQueenに対する愛情と謙虚さも彼のことを好きになった理由でもある。今回AdamはPaulとのツアーとは完全に差別化を図ることに成功した。そして初期を愛する私にとっては、Adamのツアーこそが観たかったものだったと言える。もし改めて単独来日があるならば、今度は「Queen Ⅱ」の完全再現とか演ってくれたら最高だ。

1. Now I'm Here
2. Stone Cold Crazy
3. Another One Bites The Dust
4. Fat Bottomed Girls
5. In The Lap Of The God... Revisited
6. Seven Seas Of Rhye
7. Killer Queen
8. I Want It All
9. Teo Torriatte
10.Love Of My Life
11.These Are The Days Of Our Lives
12.Under Pressure
13.I Was Born To Love You
14.Radio Ga Ga
15.Crazy Little Thing Called Love
16.Bohemian Rhapsody
enc
17.We Will Rock You
18.We Are The Champions
 

 

Summer Sonic 2014 pt.1

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先週はSummer Sonicに行ってきた。目当てはQueen。
しかしかなり直前まで迷っていた。Adam Lambertという若いシンガーのことを良く知らなかったためだ。しかし前回のPaul Rodgersの時も見に行かなかったことを後で後悔したのだから、きっと今回もそうなると思い、高いチケットを購入した。本当はフェスではなく単独公演を観たかったのだが、恐らく単独でも同じ位の金額だったかもしれない。あまり他のミュージシャンのことは考えていなかったのだが、適当に観て回ろうと思っていた。

当日午後早めの時間に幕張メッセに到着。普段あまりこういうフェスには行かないのだが、以前に比べると子連れが多いことに気づく。きっとかつてのロックキッズがそのまま大人になったのだろう。子供を遊ばせるキッズスペースなどもあって感心してしまった。Sonic Stageに行くと、きゃりーぱみゅぱみゅが歌っていた。邦楽はよく分からないのだが、何曲か知っている曲を歌っており、満員の会場も非常に盛り上がっていた。

次にRichie Samboraを観にマリンスタジアムのMarine Stageへ。ステージ前以外はまだ結構人はまばらだった。私がBon Joviを好きだったのははるか昔の「New Jersey」まで。彼が何故Bon Joviを脱退したのかは知らないが、かつての好青年もチョイ悪親父になっていた。冒頭ピアノをバックにLeon Russellの”A Song For You”をしっとりと歌ってから”Lay Your Hands On Me”へ。Richieは元々ギターだけでなくボーカルも上手い。また右手にはゲストとしてOrianthiもおり、彼女もギターやボーカルで活躍していた。Bon Joviの曲は”I'll Be There For You”や”Wanted Dead Or Alive”など好きだった昔の曲ばかり演ってくれていた。途中Richieはジャイアンツのユニフォームを着て登場した。東京ということでなのだろうが、ここはロッテの千葉マリンスタジアムなのだが。

Marine Stageはこの後Avril Lavigneが登場する予定だったが、それは見ずにGarden Stageへ移動。以前少し聴いていたEgo Wrappinを観るためだ。芝生に囲まれたステージが夕暮れの海岸線をバックに綺麗に映える。風も気持ち良く最高のシチュエーション。そんな中でEgo Wrappin'の演奏が始まる。中納良恵さんがドスの効いた歌声と関西弁で観客を煽り、サックス・ピアノ・ギター・ベース・ドラムが息の合った演奏で盛り上げる。彼女らのスウィングジャズ色の強い演奏がまたこの雰囲気に合っていて、思わず私はスミノフを買ってきて一杯引っ掛けた。想定していなかったフェスの醍醐味を味わうことができた。


ss

(来週に続く)

Ozzfest Japan 2013 pt.2



最後のBlack Sabbathに備え右のステージ前に移動したが、そこの混雑は凄まじかった。全く身動きも取れないほどにすし詰め状態で、Sabbathのメンバーが登場してもステージも全く見えない。周囲も汗臭く、隣に密着する人も汗でびっちょり。こういうライブも久しぶりだが、流石にもう年齢的にもこれに耐えられる体力はないので少し後ろに退散する。セキュリティに助け出されている人も多くいた。

さて改めてステージを見ると中央にOzzy、右手にTony、左手にGeezerが見えた。Ozzyは猫背で歩き方も少しヨタヨタとしており大丈夫かなと思ったが、声量は文句なく出ていた。あと海外のライブとは観客の煽り方を少し変えていて、"War Pigs"の最初も観客に歌わせず全部自分で歌っていたし、口癖のようにいつも言っている「I can't fucking hear you !」という乱暴な煽りも、"fucking"は最後まで口にしなかった。

Tonyはガンの治療中は抗がん剤の副作用で頭髪も抜けてしまっていたようでベースボールキャップを被っていたが、今はもうだいぶ髪も元通りになっていた。弾いているワインレッドのSGのギターには、トレードマークの十字架がフレットにあしらってあるのも見える。そのフレットを押さえる彼の右手の指先には確かにサックがはめてあった。そんな指先で器用にチョーキングや早弾きする姿を実際に見て改めて感心させられた。

またGeezerはステージ左であまり動きもせず黙々とプレイしていたが、指弾きでベベベンととても良い重低音を鳴らしており、特にお気に入りの"NIB"のベースソロは最高だった。

さて、後ろのドラムセットに座っているのがBillでないのはやはり残念だったが、こればかりは仕方ない。ただ代役で叩いていたドラマーは若くて非常に上手いドラマーで、"Symptom Of The Universe"の後でツーバスを駆使した圧倒的なドラムソロを披露していた。今回感じたバンド全体の予想以上の現役感は、彼のドラムによるところも大きかったと思う。

セットリストはほぼベストと呼べるもの。中でも印象的だったのは"Black Sabbath"。鐘のイントロから始まるおどろおどろしさは今聴いてもホラー映画さながらの緊張感があり、こんな曲を40年以上前に書いた彼らがいかに当時異端な存在だったかを実感させた。また6月にリリースされることになっているニューアルバム「13」から新曲"God Is Dead"も披露。スローに始まり途中でスピードアップする、初期の彼らのドゥームスタイルを踏襲した佳曲だった。

「もう1曲演ろう」と言って始まったのは私が最も好きな"Children Of The Grave"。Ozzyは低かったが例の蛙跳びも披露してくれた。一度退場しコールの後に戻って来る。"Sabbath Bloody Sabbath"のイントロだけ流れたが、本当はこれはフルで聴きたかった。「みんなクレイジーになるんだ!」という煽りで"Paranoid"が疾走し、大団円のうちに幕を閉じた。

さて1つ確認しておきたいことは、アンコールの時にOzzyは「Are you guys having good time tonight ?」の後で、「Shall we come back next year ?」と確かに言っていたのを聞いた。今回がオリジナルSabbathの最初で最後だと思っていたので全く予想外だった。これが本当に実現するなら、恐らく単独公演ということになるのだろう。正式発表を待ちたい。

1. War Pigs
2. Into the Void
3. Under the Sun
4. Snowblind
5. Black Sabbath
6. Behind the Wall of Sleep
7. N.I.B.
8. Fairies Wear Boots
9. Symptom of the Universe
10. Drum Solo
11. Iron Man
12. God Is Dead?
13. Children of the Grave
Encore
14. Paranoid


Ozzfest Japan 2013 pt.1



先日Ozzfestに行ってきた。当初Black Sabbathの単独来日を期待していただけに、1日券でも14000円という金額は高く感じたが、以前好きだったToolやDeftonesも来るということで逆にお得感が増した。もっともDeftonesは違う日になってしまったが。初日は他にSlipknotやSlashなどに加え、何故かももクロというアイドルグループまでが出演しソールドアウトになっていた。一方で2日目は主役登場の日だというのに、結局ソールドアウトにはならなかったらしい。しかし会場の幕張メッセに3時過ぎに到着した時には、グッズはこの段階でほとんど残っていなかった。

基本的にSabbathとTool以外のバンドは全く知らなかった。着いた時にちょうど演っていたのはSteel Panther。懐かしい感じのハードロックで今時こういうバンドがまた頑張っているんだなぁと思った。次が人間椅子。日本のバンドで結構キャリアがあり、名前くらいは知っていたが、思っていたよりもヘヴィで個性的だった。その次のStonesourはかなり盛り上がっていて、これに気を良くしたボーカルは非常に熱演を繰り広げていた。申し訳ないがDir En Greyという日本のバンドの間は休憩をさせてもらい、最後の2バンドに備えさせてもらった。

終わる頃にステージ近くまで進んで行くと、周囲はいかつい外国人が多くいた。18時ちょうどにToolが登場した。フロントは右手にベースのJustin、左手にギターのAdam、後方右手にドラムDanny。で、ボーカルのMaynardはやはり後方左手のスクリーン前。噂通り彼はフロントに出てくることはなく、メンバーも定位置から動かなかった。MCも最後までなかったと思う。左右のスクリーンはPVのみ映し出され、ステージもよく見えないためにメンバーの姿はほとんど見えなかった。ライブですら観客に全く迎合する気はなく、その徹底して露出を抑える演出には、あくまでも自分たちの音楽だけで訴えるのだという姿勢が強く感じられた。

実際に彼らのライブを見て、やはり一般的な日本人にはなかなか理解され辛いバンドだなと感じた。音楽もリズムや構成が複雑なので、正直ライブではノリ辛い。彼らの歌っている内容も難解にも関わらずCDには歌詞カードもないため、日本人には理解し辛く、一緒に歌うことも難しい。ライブ中歌っているのは外人客ばかり。それでもその圧倒的な演奏技術が構築していく巨大で異形な世界観は見る者を引き込み、特に外国人観客の熱狂はスゴかった。名曲"Aenima"の後"Stinkfist"で約1時間ほどのセットリストは終了した。最後は一面に紙吹雪が舞い降りてきた。

1. Hooker With A Penis
2. Sober
3. Schism
4. Lateralus
5. Jambi
6. Fourty Six & 2
7. Aenima
8. Stinkfist


Udo Music Festival '06, その3

 この時サブステージではBen Foldsが演っていた。Ben Foldsは前年に厚生年金会館で見たことがあるが、その時は満員の観客を前に熱いステージを見せてくれた。しかしこの時サブステージにいた観客の数は、先ほどのRichard Julianの時よりは増えてはいたが、恐らく100人にも満たなかったと思う。これではやる気も失せるはずだが、それでもBenは前回と変わらぬ熱いステージを見せてくれた。BenのピアノにベースとドラムというBen Folds Fiveの時と同じ編成で、Benは冒頭から椅子から立ち上がりながら激しく鍵盤を叩いていた。また途中のソロタイムでは、バンドも必要ないだろうと思わせるほどに美しい調べを奏でてくれた。終盤観客を2組に分けてコーラスさせるところは、さすがに人数が少なく物足りなさがあったが、我々もBenに悲しい思いをできるだけさせないように、出来る限りの声を出して歌った。プロフェッショナルを感じさせる素晴らしいステージだった。



1. Theme from "Dr. Pyser"
2. Bastard
3. Gone
4. Jesusland
5. Annie Waits
6. Still Fighting It
7. Bitches Ain't Shit
8. Brick (Solo)
9. Song For The Dumped=Kane Kaese(minor, Japanese) (Solo)
10. Army
11. The Ascent of Stan
12. Landed
13. Zak and Sara
14. Rockin' The Suburbs
15. Not The Same
16. One Angry Dwarf and 200 Solemn Faces

そして最後はSantana。この日の大トリを見るために再度メインステージまで戻る。さすがに大トリともなればそれなりの人数の観客が集まっていたが、それでもせいぜい数千人程度だと思う。何万人という人が集まる他のフェスに比べると圧倒的に少ないだろう。やがてCarlos Santanaを始めメンバーが登場。例の聞けばそれと分かるピロピロとしたCarlosのギターが聞こえてきて、パーカッションやマラカスといったバックの演奏陣とともに熱いラテンロックを展開し始めた。空に赤く映える夏の夕暮れに、このラテンロックが響くと、何とも言えない幻想的な情景を呈していた。後ろにはここへ来て初めてバックスクリーンが使われていたが、ふとそのスクリーンを見たらドラムにクローズアップされていた。そして凄まじいツーバスの連打をまじえたドラムソロを聞かせてくれた。その巨体のドラマーをCarlosが"カリウター!"と紹介した。その後今度はCarlosが"Mr.Jeff Beck"と紹介し、先ほどステージを終えたBeck氏が再度登場しSantanaと""を共演してくれた。2人とも60年代から活躍している大ベテランだが、それぞれ全く異なるスタイルを持つ個性の強いギタリストである。この2人の共演はかねてより実現するだろうかと噂されていたが、その期待に応えてくれた2人に感謝である。この日一番嬉しいサプライズであった。



1.Jingo
2.Historia
3.Our Load's Prayer/Mr. Mystery/Batuka/No One to Depend On 4.Concerto/Maria Maria
5.Foo Foo
6.I Am Somebody
7.Corazon Espinado
8.Incident at Neshabur
9.BMW/Gypsy Queen
10.Oye Como Va
11.Apache/Smooth/Dame Tu Amor
12.Soul Sacrifice
13.(Angel Chant) Into the Night

1時間ほど熱演後Santanaがステージを後にすると、この日のプログラムは全て終了した。いつの間にかあたりは霧が立ち込めており、何発か上がった花火も音だけがこだましておりその様子は全く見えなかった。観客は我先にと帰路につくためマイカーや送迎バスへと流れて行った。私は余韻を楽しみたかったので出店をはしごしていたが、1時間もしないうちにあたりに人影はほとんどなくなっていた。キャンプサイトも覗いてみたが、ほんのわずかテントが並んでいるだけで寂しい有様だった。

後で聞いた話だが、この日パンク系のバンドが出ていたステージには、観客はほんの数人しかいなかったそうだ。PennywiseやAFIなど本国でも人気があり、ここ日本でも別の形であれば普通に観客が集まるであろうバンドが、数人のみの観客を前に演奏をしなければならないとは、屈辱以外何物でもない。これはあまりにも酷い仕打ちと言っていい。今回の件で彼らがもう二度と日本に来ないと言ったとしても、彼らを責めることはできないだろう。このフェスはベテランどころを多く集めた大人のロックフェスとして機能し、比較的年配の観客を集めた。しかし幅広い観客も集めたいと手を広げ過ぎたウドーの思惑が、結果的に先のようなアーティストに迷惑をかけることとなったのだった。大人のロックフェスという発想自体は悪くないしニーズはあるのだから、次回はもっと対象を絞って開催してみてほしいところだ。もっとも次回があればの話だが。

Udo Music Festival '06, その2

メインステージに戻ると今度はThe Pretendersが登場した。私は正直言って彼女らのことは数曲しか知らないのだが、ベテランらしく安定した演奏を披露しており聞き入った。ボーカルのクリッシーも変わらずスリムなジーンズを履き、最後はブルースハープも吹き鳴らし、女性ながらもカッコ良かった。私が知っている"Back On The Chain Gang"も当然のように演奏し、なかなか楽しませてもらった。



 さて続いてはこの日のお目当ての一つ、Doobie Brothersである。これは前の方で見たいと移動するが、あまり混みあっていないこともあり比較的容易に移動できる。ただ非常に邪魔なのが、ビニールシートを広げてくつろいでいるおっさんたち。ステージから離れた後方でやってる分には構わないのだが、ステージ近くまで行ってもこういう人達が所々に場所を占領している。周りの人が白い目を向けているにも関わらず、一向にお構い無しである。私自身野外フェスは初めてであったが、少なくともフジロックにはこんな連中はいないだろう。ベテラン勢ばかりを集めた今回のフェス、観客の年齢層も高くなったところで、こんなところで思わぬ弊害が出ていた。

 さて周囲にいつの間にかいかついバイカー兄ちゃんやバイカー親父らが増えてきた頃、ステージにDoobiesが登場した。そして"Dangerous"を演奏し始めた。口髭の濃いTom Johnstonはパワフルに観客を煽り、一方ロマンスグレーのロングヘアーがカッコ良いPat Simonsは優しく歌いかける。正に剛と柔の対照的なフロントマンたちだが、この2人がいてこそのDoobiesである。また第三のギタリストJohn McFeaは通常のエレキ以外にもスライド、ペダルスティールやフィドルまで次々とこなし、弦楽器のマジシャンのようだった。ベースの巨体のSkylarkも軽やかに動き回りながら観客を煽り、バックにはトレードマークであるツインドラムが豪快にならされていた。そしてラストの“Listen To Music”では謎の美少女が登場したが、これが何とTomの娘だという。ベテランライブバンドとしての力量を遺憾なく発揮し、思う存分魅了させてもらった。願わくはフェスであるが、フルセットで見たかったものだ。



Doobie Brothers Setlist
1.Dangerous
2.Rockin’ Down The Highway
3.This Train I’m On
4.Excited
5.Jesus is Just Alright
6.Five Corners
7.Takin’ It To The Streets
8.Don’t Start Me Talkin’
9.Take Me In Your Arms
10.Little Bitty Pretty One
11.Blackwater
12.Long Train Runnin’
13.China Grove
14.Without You
15.Listen To The Music

続いてはJeff Beckが登場した。彼については私は初期のRod Stewartがいた頃のJeff Beck Groupの頃くらいしかちゃんと聞いていない。ステージにはJeffの他には、 ベースとドラムとキーボードの4人のみ。先ほどのDoobiesの大所帯と比べると少し寂しく感じられた。最初の曲は"Beck`s Borelo"だったので知っていたが、それ以降は分からず、どれもスロー~ミドルテンポのフュージョン系のインストだった。小さめのホールならば近くで彼のギターの妙技を楽しめるかもしれないが、これだけ広いフェスでこれでは、Doobiesで盛り上がった直後ということもあり、少し退屈してしまった。そのため申し訳ないが私はメインステージを後にし、 サブステージへ向かった。


Udo Music Festival '06, その1



 夏は毎年あちこちで開催されるロックフェスティバルで非常に賑やかになる。私もあの屋外の雰囲気は結構好きだ。ただ最近のバンドはよく知らない上に、1つや2つの気になるアーチストのために大枚叩いて遠くまでいくほどの気力が起きず、どうしても単独で来るのを待ってしまう。

 しかし今から5年前に1度だけ、思わず心惹かれたフェスがあった。2006年に開催されたウドーミュージックフェスティバルである。このフェスは大人の夏ロックフェスとして開催され、Santana、Doobie Brothers、Kiss、Jeff Beck、The Pretenders、Paul Rodgers、Buddy Guy、Fourplay、Char、Nuno Bettencourt、Alice In Chains、Steve Vai、Sebastian Bachなど懐かしどころの錚々たるメンツが出演していた。私もこれの1日目に参加したのだが、結果的にこのフェスは私にとって色んな意味で印象的なフェスとなった。参加後、例によってライブレポートを書いたのだが、アップ直前にパソコンをウィルスにやられデータが飛んでしまっていた。今回良い機会なので、再度思い出しながらレポートを書いてみることにした。ちょっと長くなりそうなので、3回くらいに分けてアップしたい。




 当日午前中私は高速を飛ばして富士スピードウェイに到着した。駐車場の空きを見つけて車を止めると、会場とおぼしき方向へと向かった。木立の間を歩くもののあまり歩いている人もいないため、その道で合っているのか不安になったが、やがて遠くの方から音楽が聞こえてきた。近づくにつれて、その音楽が徐々にはっきり聞こえてきて、歌声とギターの音から、それがBuddy Guyだと分かった。少しでもその様子を拝めればと思い急いだが、なかなか着かない。そしてようやく辿り着いた頃にはBuddy Guyの姿は既になかった。後で聞くところによると、ステージから客席まで降りてギターを掻き鳴らすなど非常に熱いパフォーマンスだったようだ。残念。



 改めてあたりを見渡すと正面の大きなメインステージがあり、周囲には囲むように出店が並んでいる。何よりも気になるのが、あまりに人がまばらなこと。まだ早い時間だからかかもしれないが、それにしてもという感じだ。モビリタステージ(メインステージ)はまだしばらく次のアクトは出てこなそうなので、サーキットの方にあるスクウェアステージ(サブステージ)へと向かった。するとそちらではRichard Julianがバンドをバックにアコギを持って歌っていた。彼はNorah Jonesと共にThe Little Williesをやっていたニューヨークのアーティスト。ステージにペダルスティールがいることからも分かるように、カントリーテイストの味わい深い音楽を演っていた。しかしそれにしても観客が少ない。恐らくこの時30人程度しかいなかったと思う。あまりの少なさにステージが終わるまで移動することも躊躇われるほど。拍手も出来るだけ大きく聞こえるようにしていた。



 その後少しあたりをうろうろしてみると、グッズ販売コーナーとともに、ちょっとした展示コーナーみたいなところがあった。覗いてみると、今回出演している各アーティストの過去の来日時の関連品などとともに、SantanaのSGやJeff Beckのストラトなど実際の使用ギターが展示されており、ひとまず写真を撮っておいた

    
左からSantana、Jeff Beck、Eric Clapton
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