Eric Clapton

Eric Clapton Live Report 2014



2014. 2. 23 @ 横浜アリーナ

Eric Claptonの来日公演に行ってきた。今回の来日は初来日から40年の20回目となるが、来月には70歳となる彼はワールドツアーからの引退を表明している。つい数年前まではカッコ良いおじさんだったのが、最近の写真を見ると急に老け込んでお爺さんという風情になってしまっていることに驚いていた。なので引退の話も真実味が帯びていた。

横浜アリーナは初めてだったが、東京ドームあたりに比べると小さめだった。会場は満席で、50~60代の人が一番多かった気がする。私の席はS席だったが、実際はステージ左手の2階席のようなところだった。

日曜なので開演は早めの17:00。10分過ぎ頃にメンバー登場。スタートはPretending。Ericはブルージーンズと紺のYシャツに黒のベスト。髪はまたバッサリと短くしていた。彼は短い方が似合うし若く見える。右手にはベースのNathan EastとピアノのChris Stainton、中央奥はドラムのSteve Gadd、左手はオルガンのPaul Carrack、左奥はコーラスの女性2人MichelleとSharon。強力な布陣だ。

続いてKey To The HighwayとTell The Truthのアルバム「Layla」から2連発。毎曲の終盤には必ずEricのソロタイムがあり、彼の黒のストラトが突き刺すような鋭い音色を奏でている。今回のツアーにはセカンドギタリストがいないため、彼のギターがよく聴こえる。想像していたよりもかなり弾きまくっている印象。曲の最後にネックを振り下ろすのもお約束だ。4曲目はMuddy WatersのHoochie Coochie Man。Muddyほどではないが、なかなかドスの効いた歌声を聴かせてくれた。続くHonest ManはPaulのボーカルだった。

その後Ericがストロークで少し弾いた後にWonderful Tonightの優しげなフレーズを弾き始めると大きな歓声が上がった。原曲よりも少しアップテンポだったが、照明の演出も含めロマンチックな一時だった。さらに嬉しかったのは、この後レゲエのリズムに乗って始まったI Shot The Sherrif。途中Ericに一条の光が当たり、緩やかに始まったソロが徐々に高まりクライマックスへと上り詰める様は圧巻だった。

周囲の照明が落ち、Ericが椅子に腰掛ける。青いマーチンを手渡され、アコースティックタイムに入る。指弾きでDrifting Bluesなどを渋く弾き語る。Nobody Knows Youではピアノとの軽快な絡みに場内も手拍子。Nathanはボディのないタイプのアップライトベースを弾いている。イントロをつけてから始まったLaylaには歓声が上がったが、個人的にはこれはエレキで聴きたかったので残念だった。Tears In Heavenは少し軽快なレゲエなリズムを付けて演奏され、本来の感傷的な雰囲気はなかった。ペダルスティールのような音色が聴こえ、一瞬Greg Leizeがいるのかと思ったが、これはChrisがキーボードで弾いていたようだ。

エレキに戻りまたPaulのボーカルでHow Long。この曲は初耳だったが、良い曲だったし、Paulのボーカルも良かった。ここから後は一気に駆け抜けて行った。毎曲後半はChrisのピアノ、Paulのオルガン、Ericのギターがそれぞれ見事なソロを回して魅せてくれた。Steveのドラムも派手さこそないが、堅実なドラミングを聴かせてくれた。MichelleとSharonの力強いコーラスも終始サウンドを彩っていた。

個人的に残念だったのが、Nathanのベースが終始他の楽器の音に埋れてあまり聞こえなかったこと。彼は世界最高峰のベーシストだと思うし、先日も初のソロアルバムを出したばかりだが、今回は彼の見せ場は全くなく、バックスクリーンにもほとんど映されなかった。ただ時折Ericの方を向いて白い歯を見せて笑っていたことと、Cocaineのサビで客席に腕を突き上げてみせていたのが印象的だった。

メンバーは一度引っ込み、アンコールに再登場した。曲はJoe CockerのHigh Time We Went。ボーカルはまたもやPaulで、Ericはギターとコーラスに徹していた。そしてこれが終わると、他の曲と同じようにThank You!とだけ言うと、並んで挨拶することもなく、手を振るNathanを引っ張るようにして足早にステージを去って行ってしまった。最初これはSunshine Of Your LoveあたりのCreamの曲で再アンコールがあるのだと思ったが、無情にもすぐに客電がつきアナウンスが流れ、2時間弱のセットは終了した。これには非常にガッカリさせられた。結局MCもないし、メンバー紹介もなかったわけで、尻切れトンボの感が否めなかった。まぁこの最後だけ除けば、素晴らしいステージだったと思うが。

SETLIST
1. Pretending
2. Tell the Truth
3. Key to the Highway
4. Hoochie Coochie Man
5. Honest Man
6. Wonderful Tonight
7. I Shot The Seriff
8. Driftin’ Blues
9. Nobody Knows You When You’re Down and Out
10. Alabama Woman Blues
11. Layla
12. Tsars in Heaven
13. How Long?
14. Before You Accused Me
15. Cross Road Blues
16. Little Queen of Spades
17. Cocaine
encore
18 High Time We Went


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Eric Claptonが来日している。チケットまで買っておきながら正直に言うと、私はそれほど熱心な彼のファンではなかった。それでもCreamからDerek & The Dominos、ソロまでの彼の代表的なアルバムは20枚弱ほど持っているし、彼の紆余曲折の人生とそれらが反映された名曲の数々はよく知るところではあった。今回は予習の意味で、かねてから気になっていた彼の自伝を読んでみた。

祖母を母親だと信じていた少年期、親友George Harrisonの妻Pattiへの恋心、事故で他界した愛息など、彼の稀有な悲劇の数々を知ってはいたが、実際に彼自身の言葉で読むと、それがどれほど辛い経験か良く分かる。

音楽的なエピソードも盛り沢山。常に業界の中心にいたため、登場人物もビッグネームばかり。デビュー当時のStonesとは気が合ったが、The Beatlesのことは気に入らなかったとか、親友のJimi Hendrixに左利き用ギターをプレゼントしようとNew Yorkに行った日にJimiが死んだという話等々。

しかし音楽的な成功とは裏腹に、本書のずっと重いテーマとなっているのが彼のアルコール依存症である。それによる人間関係の崩壊や繰り返す入退院などについて赤裸々に吐露されている。だからこそ最終的に依存症を克服しただけでなく、自らリハビリセンターも設立し、幸せな家庭を築くに至るというハッピーエンドが読み手に良い読後感を与えてくれる。

彼はギターの天才である。それだけでなく、絶世の色男であり、大金持ちだ。そんな全てを持っているように見える男が、反面様々なものを失う悲劇の数々に遭い苦悩する。そしてそれらが元になり彼のブルース音楽が生まれてきたわけである。

最後に、非常にベタだけど私がライブで特に聴きたいと思っている楽曲ベスト10を挙げておきつつ、今日の横浜アリーナに向かいます。

1. Layla (electric version)
2. White Room
3. Bell Bottom Blues
4. Tears In Heaven
5. Sunshine Of Your Love
6. Let It Grow
7. Badge
8. River Of Tears
9. Wonderful Tonight
10.Running On Faith (acoustic version)


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