The Rolling Stones

チャーリー・ワッツ他界

charlie

これはもっと早く上げたかったのだが遅くなってしまった。去る8月24日にローリングストーンズのチャーリー・ワッツ(Charlie Watts, 1941-2021)が他界してしまった。享年80歳だった。

かつてロックは若者の音楽だった。セックス・ドラッグ・ロックンロールで生きていれば早死にするのが当たり前だった。そんなロックが歴史を重ねていく中で、一体ロックスターは何歳まで現役でいられるのかという議論が酒の肴になると、決まって誰かがこう言った。「ストーンズのチャーリーを見ろよ。還暦を超えてもまだ現役なんだぞ」と。思えばそれももう20年も前の話だ。

ロックが誕生してから半世紀を超え、還暦を過ぎてもロックし続けることが当たり前になった。そんな中でもチャーリーはやっぱり特別だった。私が最初で最後に観たストーンズ公演は2014年の東京ドーム。若々しい赤いTシャツを着てジャズスタイルで正確でタイトなリズムを刻み、紹介の時には背中を押されて照れながら花道を少しだけ歩いてきてくれた。

皆に愛されたチャーリー。同業アーティストからの追悼メッセージも膨大な数だった。

RIP


ローリングストーンズ展

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TOC五反田メッセで開催されていたローリングストーンズ展(Exhibitionism)に行って来た。実はここは勤め先に近いのだが、平日は忙しくて仕事帰りには行けず、結局休みの日に行った。

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最初に大部屋で迫力のある映像を見た後に再現されていたのが、彼らがデビュー前に共同生活をしていたロンドンのアパート。散らかったビール瓶やタバコやレコードだけでなく、汚いキッチンまで完全再現されていて笑った。

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続いてはデビュー時の資料。直筆のアンケートや契約書の他にキースの日記まであり「1963年1月16日、リハーサル。ステュとビルが来なかった」と書いてあってまた笑った。

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レコーディングスタジオまで再現されていた。実際に使用した楽器にコンソール、録音テープまで展示されていた。

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キースやロニーらのギターもずらりと並んでいた。

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楽曲をいじれるデジタルコンソールもあった。ミックには悪いがボーカルは消して各楽器音を堪能した。

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ここからは彼らのデザイン関連の展示で、ベロマーク、ツアーポスター、アルバムジャケット、ステージセット、映像作品まで様々。アンディ・ウォーホルの油彩や鉛筆の肖像画も見ることが出来た。

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ステージ衣装もデビュー時から最近のものまで50着以上。さらにはバックステージの再現や3D映像、ロニーの絵心のあるリハーサルリストなどまで。気付いたら3時間も経っていた。

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行く前は3500円は高いなと思っていたが、Stonesの全軌跡を辿れる展示内容にむしろ安いと思った。Stonesファンなら是非。

Keith Richards 「Crosseyed Heart」 (2015)

クロスアイド・ハート
キース・リチャーズ
ユニバーサル ミュージック
2015-09-18


1. Crosseyed Heart
2. Heartstopper
3. Amnesia
4. Robbed Blind
5. Trouble
6. Love Overdue
7. Nothing on Me
8. Suspicious
9. Blues in the Morning
10.Something for Nothing
11.Illusion
12.Just a Gift
13.Goodnight Irene
14.Substantial Damage
15.Lover's Plea

リリース日に新作を買うなんて何年ぶりだろう。Keith Richardsの23年ぶりのソロアルバム。非常に良い顔で写る御大のジャケットを見れば、その充実っぷりが分かる。

M1はのっけからアコギ1本のどカントリーブルースで始まる。Robert Johnsonさながらの泥臭さがいい。そして間髪入れずにSteve JordanのドラムからハードなロックナンバーM2へと雪崩込む。今回プロデュース・コンポーズのほとんどをこのS. Jordanとの共同作業で行っている。彼のドラムも色んな他アーティストのところで聴くがタイトで好きだ。他にもWaddy WachtelやIvan Neville等のX-Pensive Winosの面々が再集結しているのも安心させられる。

M5は先行カットされたご機嫌なRock & Rollナンバー。後半聴けるスライドが最高。Keithのボーカルはバラード曲では枯れた渋い味わいがある一方で、Rock & Rollナンバーではまだまだ元気。またギター・ボーカル以外にもベースやピアノまで自分で弾いている。

M6は心地良いレゲエナンバー。日本盤のボートラではLee Scratch Perryとの共演も聴ける。

今回のアルバムではM4やM12のバラードで聴けるようにカントリーも大きな要素になっている。ここでペダルスティールやフィドルを弾いているのがLarry Campbell。Levon Helmの良き右腕だった彼の参加は個人的に嬉しい。M11ではNorah Jonesともデュエット。M9では亡くなったBobby Keysのサックスまで聴けて泣ける。。

このようにとにかく聴き所の多いアルバム。全編Rock & Rollを求める向きには物足りないかもしれないが、アメリカンルーツロック好きには最高の1枚である。来年には本体Stonesでも新作を作るらしいし。このレジェンドは一体どこまで転がり続けるんだろう。

★★★★☆

 

Bobby Keys 急逝

bobbykeys

毎年年末になると訃報が多くなるのはなぜだろう。私にとって一番悲しかったのがこの人。サックス奏者のBobby Keys。享年70歳。今年の3月のRolling Stonesの来日公演で熱演を見たばかりだったので、この訃報は寝耳に水だった。

ただ色んな報道を見ていて、どこでもRolling Stonesのサックス奏者としか記載されていなかったのが気になった。確かにStonesとの活動が一番長く有名なので仕方ないのだが、彼のキャリアはそれだけではないのだ。

アメリカのテキサス出身で、10代でBuddy Hollyのツアーに帯同している。その後Leon RussellとのつながりからDelaney & Bonnie & Friendsに参加。この本場スワンプロックに惚れ込んだEric Claptonの招致によりイギリス・ヨーロッパをツアー。これで一気に注目を集め、George Harrison、John Lennon、Joe Cocker、多くのトップアーティスト達のアルバムやツアーに引っ張りだことなる。Stonesへの参加はこの延長にあるわけだ。

このようにLeon RussellやDelaney & Bonnieらが火を付け大西洋両岸で席巻したスワンプロックだったが、そのサウンドの鍵を握っていたのがアメリカ南部フィーリング溢れるBobby Keysのサックスプレイだったと思っている。

RIP


The Rolling Stones Top 10 songs



先日の来日公演から興奮さめやらぬRolling Stones。先週も余韻に浸りながら、彼らの曲を聴いていた。なので今回は私が個人的に最も好きな彼らの曲トップ10を並べてみた。とにかく曲が多いので絞るのが大変。まだ聴いていない曲も多いので、今後も変わり得ると思うが、あくまでも今の気分として。

① Paint It Black
② Sweet Virginia
③ Street Fighting Man
④ Honky Tonk Woman
⑤ Satisfaction
⑥ Before They Make Me Run
⑦ Dead Flowers
⑧ I'd Much Rather Be With The Boys
⑨ Mixed Emotions
⑩ Don't Stop

この中で今回のライブで演奏されていたのは①④⑤⑥の4曲。①と⑤は60年代の彼らの代表曲で、あの時代にこれだけ反体制な反骨精神を表現した楽曲が与えた影響の大きさは計り知れない。Keithの曲で最も好きな⑥もライブでは私の中でハイライトの1つだった。③も代表曲なのだが、今回のライブで聴けなかったのが悔やまれる。

で、彼らの曲で個人的に好きなのが②や⑦のようなカントリーソング。④のカントリーバージョンの“Country Honk”なんかもいい。⑧は初期の曲でコーラスワークが効いたあまり彼ららしくない曲だが印象深い。⑨や⑩は比較的最近の曲だが、歳を重ねてもこういうRock & Rollがポンと出てくるところがスゴいところだと思う。


The Rolling Stones Live Report 2014



The Rolling Stonesの来日公演に行ってきた。前回から8年振りの6回目となる。私は25年ほど前から彼らの楽曲には親しんではいたが、実際ちゃんと聴くようになったのは実はここ10年位。なので今回が初参戦だが、手遅れにならなくて良かったと思っていた。今回は東京が3回のみ。その間もかなり日が空いていたが、大阪などの他地域は結局決まらなかったようだ。

最終日の東京ドーム。私の席は3塁側1階席の2列目。下手なアリーナ席よりもよほど良く見える良席だった。場内は満席。年齢層は20代から60代までと幅広く、いかにこのバンドが新しいファンを巻き込みながら転がり続けてきたかを物語っていた。ちなみにこの日は安倍首相も観に来ていたらしい。

開演30分押しの19時頃に暗転。スクリーンが赤く染まり、激しいトライバルビートが鳴り響く。それが鳴り止んだ時にメンバーはステージにいた。ステージ中央には青いYシャツに黒光りするジャケットを着たMick Jagger、右手には青いスカジャンのKeith Richards、左手には赤いTシャツに黒いジャケットのRonnie Wood、バックには赤いTシャツのCharlie Watts。みんなお洒落だ。ベースのDarryl JonesとキーボードのChuck Leavellも左右にいる。

そして始まったのは何とJampin' Jack Flash。これは予想外だったが、最高のオープニングである。その後You Got Me Rocking、It's Only Rock‘n’ Rollと立て続けに勢いのある曲が続く。Mickが花道の先端まで来て歌うと、KeithとRonnieはステージの両端へ行きギターを掻き鳴らす。Ronnieがスライドを弾いているのも見えた。場内は見渡す限り既に総立ち。観客の年齢層が比較的若いこともあるのだろうが、この年代のアーティストでオープニングからこの光景は初めて見た。やはりStonesのファンは他とは違うようだ。

「カエッテキタゾ、トウキョウ!」に大歓声。これ以外にもかなりの日本語MCを話してくれていた。これまで色んなアーティストを観てきたがここまで日本語を話せる人は見たことがなかった。またMickのパワフルな声量、終始ステージで踊り走り煽り続けるスタミナも、70という歳を考えると驚異的であり、もはや常識レベルを超越したモンスターだ。

4曲目のTumbling DiceでLisa FischerとBernard Fowlerのコーラス隊と、Bobby KeysとTim Riesのホーンセクションも登場。ChuckはHonky Tonk Womanのピアノソロでは足まで使って弾いてみせていた。「ツギハシンキョク」と言ってMickがKeithと同じような黄色のテレキャスを抱えながらDoom & Gloomも披露。

リクエスト曲で私はLive With Meに投票していたが、この日決まったのはRespectableだった。そしてMickが「キョウノスペシャルゲストハ、ホテイ!」と言うと登場してきたのはなんと布袋寅泰。場内驚きのどよめきと歓声。布袋さんがRonnieやKeithと並んでソロを回したり、Mickと1本マイクで歌っている姿は全くの予想外だった。これは布袋さんのロンドン公演を見たStones関係者がオファーを出して実現したものらしかった。

その後Mickがメンバー紹介をした。一旦後ろに下がったメンバーが1人1人紹介され前に出てくる。Charlieは背中を押されて少し花道を歩かされていた。最後に紹介されたKeithが笑顔でマイクに立ち、Mick Taylorを呼ぶ。Mick Taylorはかつてに比べるとだいぶ丸くなっていた。KeithのボーカルでSlipping AwayとBefore They Make Me Runを演ってくれた。

Midnight RamblerとMiss Youでは、Mickが花道の先端で観客とコール&レスポンスをして盛り上がる。MickのハーモニカとTaylorのギターの掛け合いや、Darrylのベースソロも良かった。私の最も好きなPaint It Blackはもうカッコいいの一言。

Gimme ShelterはLisaの出番。サビでLisaが歌いながら花道を先端まで歩いてきて、驚異的な声量を見せつける。そこへ後ろからMickが合流し、2人で掛け合い。ふくよかなLisaな細いMickが対照的。

トライバルビートが聴こえてくると、スクリーンには真っ赤に燃え盛る森の映像が映し出される。悪魔のような赤いマントをまとったMickがマイクに立ち、Sympathy For The Devilを歌った。

アンコールでは、まず日本人の合唱隊がステージ左右に立つ。そして美しい合唱を聞かせると、You Can't Always Get What You Wantへ。Timのホルンが荘厳な雰囲気に華を添えている。

最後はテンポアップし、その勢いのままラストのSatisfactionへ。Taylorも最後に再登場しアコギを弾いている。私が中学生の時に初めて聴いた彼らの曲。この反抗心溢れる名曲は、半世紀の間時代を超えてRock & Rollの精神を伝え続けてきた。半世紀前と同じ勢いで駆け抜けていくように演奏している彼らを、私は感慨深く観て聴いていた。

メンバー全員が並んで挨拶。その後Taylorを入れた5人だけで再度挨拶し、ステージを後にした。これでこの日のセットが終了した。約2時間、めぼしい曲はほとんど聴けたと思う。欲を言えばStreet Fighting ManとWild Horsesも聴いてみたかったが。今回彼らは最後などということは一言も言っておらず、Mickは「マタアオウ」とさえ言っていた。本当にまた来てくれそうな気がする。

01.Jumpin' Jack Flash
02.You Got Me Rockin'
03.It's Only Rock'n' Roll
04.Tumbling Dice
05.Ruby Tuesday
06.Doom And Gloom
07.Respectable
08.Honky Tonk Women
09.Slipping Away
10.Before They Make Me Run
11.Midnight Rambler
12.Miss You
13.Paint It Black
14.Gimme Shelter
15.Start Me Up
16.Sympathy For The Devil
17.Brown Sugar
encore
18.You Can't Always Get What You Want
19.Satisfaction


The Rolling Stones 来日決定



Rolling Stonesの来日が決定した。来年2月末から3月頭の東京ドーム3日間が発表されている。間が空いているが、きっとそこにまだ調整中の大阪などが入ってくるのだろう。8万円のゴールデンサークルという席もスゴいが、流石にそこまでは出せない。ひとまず私は最終日公演のS席の抽選に急いで申し込んだ。結果発表を待っている。

今回の来日は8年振りの6度目になるが、私は初だ。昨年末に放映されていた50周年のライブで現役感バリバリの演奏を見て、実際にそれをこの目で見られる日を待っていた。平均年齢69歳だというが、彼らにはそんなことは関係ない。あの公演と同じようにMick Taylorもやって来るというので、Keith、Ron、Mickのトリプルギターも見られるわけだ。

それにしても最近の大物の来日ラッシュはどうしたことか。Paul McCartneyにEric Clapton、トドメがこのStones。しかもClaptonとはほぼ同時期の来日。もう少し間を開けてほしかった気もするが。とにかく先日リリースされていたハイドパークのライブでも聴いて準備をしておくとしよう。ってまだチケット取れてないか。


The Rolling Stones 「Crossfire Hurricane」 (2012)

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私が中学生だった頃にRolling Stonesが大好きな悪友がいた。彼はいつも"Satisfaction"を叫びながら、悪さばかりしていた。その曲は既に大昔の曲だったが、どうやら彼には訴えるものがあったようだった。そんなこともありStonesのRock & Rollは反抗の象徴みたいなイメージだった。

しかしその頃の私には正直言ってStonesの良さが全然分からなかった。むしろ私は子供の頃からThe Beatles派だった。結局Stonesの良さが理解できるようになったのは30を越えてからだ。ブルースやカントリーなどアメリカの色んなルーツミュージックを聴くようになり、それらを消化したRock & Rollのカッコ良さに気付き、それからだった。

そんな彼らも昨年は50周年を迎えたということで、それを記念してドキュメンタリー映画「Crossfire Hurricane」が制作された。The Beatlesに対するカウンターパートとして売り出され、彼ら自身の言動や行動もあって当時の反体制の象徴として人気が爆発。Brian Jonesの死やオルタモント事件などの悲劇 、ドラッグの悪癖とその克服などを、当時と現在のメンバーのインタビューを交えながら振り返っていた。熱心なファンの方々からは、初期に終始するドキュメンタリーの構成に不満があるようだが、そもそも半世紀に渡る彼らの長い歴史を、たかが2時間にまとめることに無理があるのだ。

昨年末にはWOWOWで50周年を記念したNewarkでのライブがやっていた。70を超えてもいまだにセクシーでカッコいい彼らは正に生きる伝説だった。映画でも触れられていたが、彼らが尋常でない量のドラッグをやっていたのを知っている。特にKeith Richardに関しては、今でも生きているのが不思議なくらいだ。

その一方で、先に触れた私の悪友は18で死んだ。高校を中退した後、シンナーのオーバードーズで、冬の深夜の公園でそのまま目を覚まさなかった。大昔に"Satisfaction"を書いたStonesがまだ現役でやっているのに、時代を超えてそれを好きだった若者がたった18年でこの世を去るとは皮肉なものである。

あの冬からちょうど20年が経った。かつて極東にいたこんな1人のファンのためにも、どこまでも転がり続けていってほしい。


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