このニュースを待っていた。引退していたPhil Collinsがようやく復帰したのだ。しかもツアーや新アルバムの計画についても明らかにした上で、「オーストラリアや極東でのスタジアムで演奏したい」と言ってくれたのだ。
そもそも今回の引退は不可解なものだった。「成功してすみません。」「もう誰も私のことを求めてはいない。」 2011年にそう言って突如引退を表明し表舞台から姿を消してしまったのだから。
しかし実はこれを裏付ける告白が前年Rolling Stone誌のインタビューで語られていた。それによるとある時期からOというバンドの兄弟が突然Phil のことを攻撃するようになったのだという。「Phil Collinsのことを嫌うべきだ。彼が最低なアルバムを作って成功した理由が分からない」 などと執拗に中傷し続けた。やがてこれに便乗したOの盲信的なファンたちが「I Hate Phil Collins」というサイトまで立ち上げ、イギリス中にPhil に対するバッシングの風潮が広がった。このためPhil はノイローゼになり自殺まで考えるようになる。最終的にPhil は人目を避けるようにイギリスから逃亡し、ひっそりと息子達とスイスに移住したのである。そこへ彼らは、「2度と奴がイギリスに帰って来られないようにしよう」とさらに追い打ちをかけたという。
成功しているのは自分達も同じだろう。自分と価値観が違うだけで人を平気で傷つける愚かさ。そしてそれに同調しそうした行為を格好良いと勘違いする人の多さ。脊髄損傷からも復帰したPhilが再度引退に追いこまれたこの事実に、強い憤りと深い悲しみを感じずにはいられなかった。
しかし今回こうして復帰してくれた。「もうリタイヤはない」とも言い切っている。先日アルバム「Face Value」と「Both Sides」のデラックスエディションもリリースされたばかり。もし来年本当に来日してくれた時には、沢山のファンで温かく迎えたいものだ。