The Black Crowes

The Black Crowes 再結成

reunion

10月のある日、アメリカはニュージャージーの道路脇に突如カラスの看板が現れた。翌月にはペンシルベニア駅にポスターが掲示された。これによりThe Black Crowesが5年振りに再結成が明らかになった。デビュー30周年となる来年2020年に、ファーストアルバム「Shake Your Money Maker」再現の全米ツアーをするという。

これを聞き喜ぶと同時に疑問に思った。何しろRichのバンドMagpie Saluteは先日セカンドアルバムを発表したばかり。本来ならそのツアーが組まれるはずだった。恐らく今回の再結成はプロモーターLive Nationが企画し兄弟に持ちかけたのだろう。

参加するメンバーもChrisとRichの兄弟以外は全員新規メンバーばかり。前回の解散の理由がオリジナルドラマーSteve Gormanへの報酬額を巡る兄弟の諍いだったことを考えると、余計なトラブルを避けてとりあえずこのツアーだけこなすという意図が見て取れる。何より写真やステージでの2人の固い表情が全てを物語っている。

確かに30周年というのは大きな節目だ。また2人にも家族があり、稼がなければいけないという理由もあるだろう。このライブもファンとしては当然観たい。

でもね、私が本当に観たいのは、こんなビジネスライクなライブじゃないのだよ。かつてのメンバーが全員集まって、お互い笑顔で楽しそうに演奏するライブが観たいのだ。そんな日が来るのはもう少し先なんだろうな。


The Magpie Salute Live Report 2019

magpie

The Magpie Saluteのライブに行って来た。会場は恵比寿ガーデンホール。時間前に間に合ったが、既にロッカーが空いておらず、仕方なく上着と鞄を抱えたまま、前方右手のRich側に滑り込む。

間も無く開演時間になり、歓声の中メンバーが登場した。スタートは”Walk On Water”。ステージ前方右からギターのRich Robinson、ボーカルJohn Hogg、ギターMark Ford。後方は右からキーボードMatt Slocum、ドラムJoe Magistro、ベースSven Pipien。Richは昔に比べてかなり貫禄が出て、最初Warren Hanesかと思った。Johnはアコギを弾きながら歌っているが、なかなか雰囲気もあり良い声をしている。Markは髪を短くしていたが、やっぱりカッコ良い。バンドの演奏もきっちりまとまっていて、思わず身体が動く。途中のソロはMarkがスライドを決めていた。

続いての”Take It All”ではJohnがハンドマイクで歌い出す。今度のソロではRichがスライドを披露。2人ともスライドを弾けるというのはやはり強みだ。3曲目は特にお気に入りの”For The Wind”。2本のギターがツインリードで重なり合うところは、まるでEric ClaptonとDuane Allmanによる”Layla”を観ているようだった。個人的にはここが早くも1つ目のハイライト。

自分達の曲を披露した後はカヴァータイム。Johnが「俺はRod Stewartみたいにセクシーかい?」と軽く笑いを誘った後にRodの”Every Picture Tells A Story”。彼の声は確かにRodに似ている。そして次は本当にClaptonのBlind Faithだった。

ここでMarkタイム。自らボーカルを取り、自身のソロ曲”The Vulture”をブルージーに聴かせる。すると今度はRichがボーカルを取り、ソロ曲ではなくLou Reedの”Oh Sweet Nuthin”。これも良い曲で、温かみのあるRichの声も良い。RichとMarkは曲毎にレスポール・ファルコン・ストラトなど次々とギターを交換しており忙しそうだった。

ここでRichが「少しアコースティックで弾こうか」。RichとJohnとMarkのフロント3人だけがステージに残り、中央のスタンドマイクに寄り添う。RichとMarkの2本のアコギを両脇に、Johnがしっとりと”You Found Me”を歌い上げる。続いてはRichのボーカルでBob Dylanの”Girl From The North Country”。タメの効いたアレンジと美しいアコギの調べに酔いしれ、ここが2つ目のハイライト。3曲目はようやくここでBlack Crowesナンバー”Lay It All On Me”。Richが低音、Johnが高音で綺麗にボーカルを重ね合わせ、そこにMarkがアコースティックスライドと、これも絶妙。そんな後ろでバックの3人がこっそりステージに戻り、途中からそのままバンド演奏に突入。この演出がまたカッコ良い。

この後はジャムタイム。”High Water”の後半はアレンジを変えて、バンドは長尺の演奏を続ける。続くAllmanの”Dreams”も正にジャム曲。RichとMarkのソロの間に、Mattのオルガンソロも披露された。出来ればピアノが聴きたかった。

”Can You See”の後に最後のBlack Crowesタイム。”Horsehead”のイントロが聴こえると大歓声。思い切りタメの効いたグルーヴに思わず身体が動く。続く”Good Morning Captain”も大好きな曲。ノリながら一緒に口ずさむ。

Rich「今日はありがとう。いちいちステージを降りて戻って来たりはしないから、ここからはアンコールになるよ。もう2曲ほど演奏するよ。君達が望むならね」。この英語が少し分かり辛かったからか、拍手が少なめだったのに対して「それだけ?」とRich。メンバー紹介には大歓声が上がった。

ということでアンコール?は初期の”Thorn In My Pride”。続いて”Send Me An Omen”が聴こえてきた時は、これで終わってしまうのかと寂しくなった。終了後並ぶこともなく、皆さっさと退場して行ったので、本当のアンコールがあるのかと期待してみたが、客電が付いてしまった。終わりが呆気なくて少し残念だったが、とても南部土臭さたっぷりの素晴らしいステージだった。

さて200曲もあるというレパートリーの多さから、彼らのセットリストは毎晩全く変わり、何が飛び出すか分からない楽しさがある。欲を言えば、前日に演った'The Bandの”Lookout Cleveland”や、大阪で演ったZeppelinも聴いてみたかった。またRichのソロとか、Black Crowesの曲を言い出したらキリがない。Richが「また会おう」と言っていたから、次のアルバムを出したらきっとまた来てくれるだろう。

1. Walk on Water
2. Take It All
3. For the Wind
4. Open Up
5. Every Picture Tells a Story (Rod Stewart)
6. Had to Cry Today (Blind Faith)
7. The Vulture (Marc Ford & The Neptune Blues Club)
8. Oh! Sweet Nuthin' (The Velvet Underground)
9. You Found Me
10.Girl From the North Country (Bob Dylan)
11. Lay It All on Me
12. High Water
13. Dreams (The Allman Brothers Band)
14. Horsehead
15. Good Morning Captain
16. Thorn in My Pride
17. Send Me an Omen

 

The Magpie Salute 「High WaterⅠ」 (2018)

ハイ・ウォーター・ワン
ザ・マグパイ・サルート
SMJ
2018-08-10


1. Mary The Gypsy
2. High Water
3. Send Me An Omen
4. For The Wind
5. Sister Moon
6. Color Blind
7. Take It All
8. Walk On Water
9. Hand In Hand
10. You Found Me
11. Can You See
12. Open Up
13. Omission (Bonus Truck) 

The Magpie Saluteがやって来る。これは元The Black Crowesの弟Rich Robinsonが結成したバンドで、昨年来日が発表された直後にチケットを確保した。

今回このバンドは、これまでのRichのソロとは全く違う。何しろBlack CrowesにいたギターのMark FordとベースのSven Pipienも参加しているのだ。本当はキーボードのEddie Harschもいたのだが、2016年に他界してしまった。これまでBlack Crowesのライブを観ることが叶わなかったので、当初はそれを期待してチケットを取っていた。

しかしやはりそれでは勿体無いと、後でちゃんとCDを買って聴いてみた (もはや今の時代にCDなど少数派なのかもしれないが、ジャケットが綺麗なのだ)。

冒頭ファンファーレから勢いよくスタートする。小気味良いギターリフとドラムがアップテンポで駆け抜けるご機嫌なRock & Roll。以前Richと組んだこともあるボーカルのJohn Hoggは、兄のChrisほどクセのあるタイプではないが、どんな曲でも歌いこなせるだけの高い力量を持っている。

コンポーザーはRich、Mark、Johnの3人。楽曲はノリの良いR&Rから、おおらかなミドルテンポ、しっとりとしたバラード、アコースティックまで幅広いが、どの曲も非常に完成度は高い。後期Black Crowesの枯れた味わいからは一転し、溢れるような若々しさが印象的だ。随所で聴けるスライドやピアノの音も気持ち良い。特にM4とM5を是非ライブで聴いてみたいが、きっとどの曲でも楽しめそうだ。

なるほどRichがソロではなくバンドとしてやりたいと思っただけのことはあるのが良く分かる。Black CrowesではなくMagpie Saluteを観たい。そう思わせるだけのものがここにある。


Eddie Harsch 急逝

eddie

元The Black Crowes のキーボーディストEddie Harsch(エディー・ハーシュ)が11月4日に亡くなりました。享年59歳でした。

Eddieは1991年から2006年まで全盛期のThe Black Crowesに在籍していました。ご機嫌なRock & Rollに陽気さを、メロウなバラードに美しさを彩る彼のピアノが大好きでした。

今年はRich Robinsonが始動したThe Magpie SaluteにギターのMark Fordと共に参加しており、来日も期待していたのですが。。残念です。

RIP

 

The Black Crowes 「Cabin Fever」 (2009)

Cabin Fever [DVD] [Import]
Black Crowes
Megaforce
2009-11-16


1. Aimless Peacock
2. Good Morning Captain
3. Shady Grove
4. Oh Sweet Nothin
5. Garden Gate
6. Roll Old Jeremiah
7. Apaloosa
8. Little Lizzie Mae
9. What Is Home
10.Been A Long Time
11.Shine Along

The Black Crowesが解散したらしい。Rich Robinsonが先日Facebookで明らかにした。理由として、バンド内の配分、特にオリジナルメンバーであるドラムのSteve Gormanに対する配分で、兄ChrisとRichの間でモメたようだった。一昨年の活動再開以降、新作を作るというニュースがないまま、またそれぞれソロ活動に戻ってしまっていたので怪しいとは思ってはいたが、こういう結末は予想していなかっただけに残念だ。

バンドの良き日を振り返るためにDVDを引っ張り出してきた。これは最終作となった2009年の「Before The Frost」と「Until The Freeze」の製作風景を収めたものである。この作品は故Levon Helmのスタジオでレコーディングされており、ウッドストックの森に囲まれた木の匂いのするスタジオでリラックスしながら製作している。ChrisがLevonと楽しそうに話している様子も見られる。

「Before The Frost」と「Until The Freeze」は楽曲や演奏も素晴らしかったのだが、オーディエンスの前でライブレコーディングしたというところも斬新だった。これは余程自分達の演奏に自信がなければ出来ないことだと思うが、実際に観客を前に軽妙なトークで笑いを取りながらも完璧にライブレコーディングしている様子は流石である。

シタールを弾くRich、スライドを決めるLuther Dickinson、ゲストとして参加しているLarry Campbellもバンジョーやフィドル、ペダルスティールまで披露している。外の雪景色とは対象的に、スタジオの中ではアメリカンルーツロックの暖かく味わい深い演奏と音楽に溢れている。

M3ではRichのアコギ1本で、兄弟が見事なボーカルハーモニーを聴かせていた。長い人生の中で兄弟喧嘩は当然あるだろう。しかしいつかきっとまた修復できるだけの絆が彼らにはあるはずだと信じたい。

 

The Black Crowes 「Amorica」 (1994)

AmoricaAmorica
Black Crowes

Warner Bros / Wea 1994-11-01
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1. Gone
2. A Conspiracy
3. High Head Blues
4. Cursed Diamond
5. Nonfiction
6. She Gave Good Sunflower
7. P.25 London
8. Ballad In Urgency
9. Wiser Time
10. Downtown Money Waster
11. Descending

1990年にデビューしたRock & Rollバンドと言えば、忘れてはいけないのが我が愛するThe Black Crowesである。当時こうしたルーツ回帰を目指すRock & Rollバンドがこぞって同時期に現れているが、これは決して偶然ではなく、恐らく当時の飽和したハードロックに対するカウンターパーツとしてある種必然だったのだろうと思われる。

The Black CrowesはChrisとRichのRobinson兄弟によって、アメリカ南部の本場ジョージア州アトランタにて結成されている。Chrisは何千枚というレコードコレクターだったらしいが、その中でも70年代Rock & Rollのさらに先にある、Robert JohnsonやMuddy Waters、Otis Reddingなどのクラシックブルースやソウルに強い影響を受けたという。客演したAllman Brothers BandのChuckに「こういうRock & Rollを演るのに君たちは恐ろしく若いな」と感嘆させたそうだが、彼らにしてみれば当然の結果だったのだろう。

彼らのアルバムは傑作揃いなのだが、1枚選ぶなら3rd「Amorica」だろう。まずはこのジャケットのインパクトがスゴい。このせいでこのアルバムが買い辛かったという人も多くいた。このタイトルに星条旗、そして恐らく肌の色からこの少女は黒人だろうと思われるが、アメリカ南部の土着性を担うという彼らの並々ならぬ自信が表れている。

実際中身の方もかなり濃い内容になっている。デビュー当時は比較的ストレートなRock & Rollだったが、ここでの彼らは南部の泥沼にどっぷりと浸かっている。冒頭ゲストEric Boboのパーカッションを交えた太いグルーヴが渾然一体となってうねる。アルバム前半部はそのまま貫禄のあるR&Rが展開し、Chrisのソウルフルなボーカルや、前作から加入したギタリストMark Fordのソロが冴え渡る。また後半はそれまでの動に対して静のサイドで、スライドやマンドリン、ペダルスティールなどの味わい深い調べが響く。とにかく1曲1曲が素晴らしい。

しかし400万枚売れた1stやNo.1を獲った2ndに比べると、このアルバムは100万枚のみとあまり売れなかった。ストレートなRock & Rollに比べると、より泥臭いものは大衆的ではなかったのかもしれない。また最初にあまりにも売れ過ぎてしまった感もある。しかし彼らはこの作品をもって、現代に継承する南部の王者に君臨したと私は思っている。

★★★★★


Rich Robinson 「Through A Crooked Sun」 (2011)

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リッチ・ロビンソン

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1. Gone Away
2. It's Not Easy
3. Lost And Found
4. I Don't Hear the Sound of You
5. Hey Fear
6. All Along the Way
7. Follow You Forever
8. Standing on the Surface of the Sun
9. Bye Bye Baby
10. Falling Again
11. Station Man
12. Fire Around
13. By the Light of the Sunset Moon
14. Look Through My Window
15. Broken Stick Crown
16. Run Run

先週に引き続いて、今週は弟Rich Robinsonを取り上げる。Richのアルバム「Through A Crooked Sun」は、兄Chrisよりも先に2011年の末にリリースされている。The Black Crowesが活動を停止した後、割りと早い段階でRichは動き出していた。そして、まず結論から言ってしまいたい。この作品は本当に素晴らしい。

一聴すると全体的に肩の力が抜けて、良い感じにリラックスしている。ソロは以前にも出しているが、その時は他のボーカルに書いたものを想定外に自分で歌うことになったものだった。しかし今回は最初から自分が歌うつもりで書いている。彼の声はChrisに比べて低めであり、その暖かみのある歌声は聴いていて安心する。むしろChrisの声よりも好きかもしれない。

そして楽曲がとにかく粒揃いだ。グルーヴィーなRock & Rollから静かな曲まで、しっかりとしたフックのあるキャッチーなメロディで彩られていて、捨て曲がない。特にM4やM5は名曲。またここで聴けるジャンルも様々で、M10はカントリー、M11はFleetwood Macの隠れたスワンプロックの傑作のカヴァー。さらには国内盤にはボーナストラックとして、先立って限定販売されていたEP「Llama Blues」からの4曲がM13以降に収録されているが、これが思いきり南部ブルース。スライドなども聞かせながら泥臭いサウンドとなっており、ボーカルにもディストーションをかかっていて、一聴してRichとは分からないくらい。本当に引き出しが多い人だ。

インストも聞き応えがあり、全編を通して感じるのはやはりギタリストの作品だなということ。Mark FordやLuther Dickinsonのように決して目立つタイプのギタリストではないが、1つ1つのツボを抑えた味のあるギタープレイの音が聴いていて気持ち良い。またバンドとのアンサンブルも絶妙であり、特にM4の後半やM7ではフュージョンぽい展開では、立体的でスケールの大きな音像が幽玄な新境地を見せてくれる。

ゲストとしてはAllman Brothers のWarren HaynesがスライドでM9に、Larry CampbellがペダルスティールでM9とM10に参加している。LarryはThe Black Crowesの前作「Before The Flood」で故Levon Helmを通してつながったルーツ系マルチプレイヤー/プロデューサーだ。

ジャケットにはうちと同じくらいの娘を自然の中で肩車しているRichの姿がある。大地に生きる力強さと守るものに与える愛情の深さが、このアルバムには溢れている。近年稀にみる傑作だろう。The Black Crowesファンのみならず、幅広いアメリカンロックファンに聴いてほしい1枚だ。

★★★★☆


Chris Robinson Brotherhood 「Big Moon Ritual」 (2012)

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1. Tulsa Yesterday
2. Rosalee
3. Star Or Stone
4. Tomorrow Blues
5. Reflections On A Broken Mirror
6. Beware, Oh Take Care
7. One Hundred Days Of Rain

先週The Black Crowesの活動再開のニュースを取り上げたが、今週と来週はその兄弟が活動停止中にリリースしたソロアルバムを紹介していきたい。

まずお兄ちゃんだが、昨年にChris Robinson Brotherhood名義でアルバムを発表した。しかもインターバル半年のみで2枚も出している。Chrisは今回のThe Black Crowesの活動停止直後からキーボードのAdamらと共に自身のバンドを結成し、かなり精力的にツアーを行っていた。そしてツアーを通してバンドと実験的なジャムを続けて、自身の音楽の熟成を図っていたらしい。そこで定まった方向性がこれらのアルバムに反映されているようだ。

一聴すると全編的にかなりレイドバックしたイメージ。終始ミドル~スローテンポの穏やかな曲調で、聴いていてピースフルな気分になれる。もう少しアルバム全体の中で変化がほしかった気もするが、今Chrisはこういう気分なのだろうと思った。しかしよく聴くと、実はかなり実験的なことが分かる。

この1枚目の「Big Moon Ritual」ではどれも7~12分くらいととにかく長尺の曲ばかりが並んでいるため、曲数は少ないがトータルでは短くはない。その長尺の中でミドル~スロー~ミドル~アップテンポと展開していき、音作りもこれまでとは違ったアプローチによって、どこか宇宙的なサウンドスケープを描いている。以前ChrisはGreatful DeadのTシャツを着ているのを見たこともあるが、どこかサイケデリックな趣向のジャムはDeadの影響も強く感じさせる。インタヴューでもコマーシャリズムは一切考えず演りたい音楽だけを演ったということだったが、結果的に本隊Black Crowesとは違った音楽性を提示することに成功している。

さて、来週は弟Richのアルバムを取り上げる予定。

★★★☆


The Black Crowes活動再開



しばらく活動停止していたThe Black Crowesが今年から活動を再開することが、昨年末オフィシャルサイトで発表された。2010年以来なので、3年振りとなる。正直言うと、あと数年は待つつもりだったので、予想以上に早い活動再開だったことに驚いた。

この活動停止期間中もちょこちょこ各メンバーのリリースがあったので、それほど待たされた感はなかった。2011年末には弟Rich Robinsonが、また昨年はお兄ちゃんChris Robinsonが短いインターバルで2枚もアルバムをリリースしていた。そしてギターのLuther Dickinsonについては、ソロアルバムとSouth Memphis Strings Bandの2nd、さらには南部ルーツ系女性ミュージシャンたちと組んだThe Wanderingsのアルバムと、怒涛の勢いで発表し続けていた。どれもなかなかの好盤で楽しませてもらった。

ただ恐らくそれぞれソロ活動が一旦落ち着いたら、もう気分転換も充分という心境になったのだろう。前回と同じ流れだ。また現実問題として、自分たちの子供を養うためにも稼がなければいけないという理由も想像できる。まぁいずれにせよ、ファンとしては大歓迎である。

気になったのが参加メンバー。基本的には前回と同じメンツだったが、今回ここにLutherの名前はなかった。バンドに振り回された感があったのかもしれないが、スライドマスターな彼は好きなギタリストだっただけに残念。代わりにJackie Greeneという新メンバーが加わっている。

3月にライブアルバムをリリースした後、イギリスと本国でツアーを行う予定。The Black Crowesは現役では私が最も好きなバンドなので、一度どこかのタイミングで来日してくれることを期待して気長に待つとしよう。


The Black Crowes 「Croweology」

Croweology (Eco)Croweology (Eco)
Black Crowes

Megaforce 2010-08-03
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CD1
1. Jealous Again
2. Share The Ride
3. Remedy
4. Non-Fiction
5. Hotel Illness
6. Soul Singing
7. Ballad In Urgency
8. Wiser Time
9. Cold Boy Smile
10. Under A Mountain

CD2
1. She Talks To Angels
2. Morning Song
3. Downtown Money Waster
4. Good Friday
5. Thorn In My Pride
6. Welcome To The Good Times
7. Girl From A Pawnshop
8. Sister Luck
9. She
10. Bad Luck Blue Eyes Goodbye

 今年流れたニュースの中で特にショックだったのがこれ。「The Black Crowesまた無期限の活動休止」 過去2002年にも一度解散をしたが2005年に再結成をし、その後はまた積極的に活動していたばかりだった。やっぱりあまり売れていないからなのだろうか。まだこの目でライブを見ていないのに。せめてもう一度来日してほしかった。

 彼らは現代の南部ロックの雄である。しかしデビュー当初はハードロック・へヴィメタルのフィールドで紹介され、単なる70年代指向のRock & Rollバンドと見なされていた。初期の頃はそれでも良かったかもしれない。実際時代の中でそれは新鮮に映り、1stは400万枚、2ndは初登場No.1と大成功を収める。しかしいよいよ泥臭さが強くなった3rd「Amorica」あたりからHR/HMファンは離れていき、セールスも徐々に落ち始めていく。かく言う私も当時はまだ若かったせいか、彼らの良さがさっぱり分からなかったものだ。

 そんな彼らの本質が理解できたのは、色んな音楽を聴いてきた後のここ数年のこと。彼らの出身はGeorgia州のAtlantaであり、その出自もあってブルース、カントリー、ゴスペルなど南部のルーツミュージックの影響が散在していることが分かった。土臭さを増しているスライドギターやべダルスティール、マンドリンやバンジョー、ドブロなどの様々な楽器の使用もそれでうなずけたし、Allman Brothers Bandのサザンロック、Flying Burrito Brothersのカントリーロック、Joe Cockerのスワンプロックなど、彼らがカヴァーする70年代の各種アメリカンルーツロックへの敬意も強く感じられた。

 今回の活動休止に際してリリースされたこのアルバムには、キャリアの中から20曲が選ばれ収録されているが、単なるベストではなく、全てアレンジを変えての再録であるところが嬉しい。アコースティックアルバムと聞いていたが、ギターはアコギでもそれ以外もちゃんとしたバンドとしての演奏になっており、曲によってはライブの時のように余韻たっぷりに長尺のジャムが展開されるのも良いところだ。彼らのノリノリのRock & Rollも大きな魅力なのだが、私は彼らの土臭いところが大好きなので、この作品はアタリである。こうした味わい深さが彼らの活動再開後は特に感じられたが、年と経験を重ねた末での境地であると言えるだろう。

 しかしラストに“Bad Luck Blue Eyes Goodbye”を持ってくるのは反則だ。こうなるとやはり惜しむべくは未だにライブを体験していない我が身である。前回の活動休止の際と同様に、ChrisやRichのソロを挟みながら、(最近仲の良いLevon Helm御大と何らかのプロジェクトをやるなんてのも大歓迎だ)、数年後にまた帰ってきてくれることを信じてやまない。

★★★★☆


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