邦楽

私の青春の邦楽 pt.2

しつこいようですが、もう1週だけ懐メロで行かせてください。先週挙げきれなかった男性ソロや女性バンドを中心に。

佐野元春 - 約束の橋 (1989)

この人はもっと評価されていいんじゃないかな。彼の音楽には古さは全く感じられない。

大江千里 - 格好悪いふられ方 (1991)

声が特徴的でしたね。よくカラオケで物真似させてもらってました。

岡村靖幸 - だいすき (1988)

この人のアクの強さはインパクトがありましたが、この頃はまだそれほど人気はなかった気がする。

チェッカーズ – Cherie (1989)

彼らの数多くの名曲の中で、マイナーだがこの曲が一番好き。高杢さんがカッコよかった。

Personz- Dear Friends (1989)

これも名曲でした。しかし改めて見るとやっぱり●●が濃いですよね。

Go-Bang's - スペシャル・ボーイフレンド (1989)

これもまたアクの強いバンドでした。実は故忌野清志郎によって発掘されたらしい。

The Timers - ロックン仁義 (1989)

その清志郎の覆面バンド。世の音楽に噛みついたこの曲のインパクトは凄まじかった。RIP

本当に良い時代でしたね。

私の青春の邦楽

先月からもう完全に懐メロモードに入ってしまいました。本当は先月行ったBeirutのライブレポートを用意していたのですが、もうどんどん後回しになってしまっています。というわけで今週は、「私の青春の邦楽」と題して80年代末当時に特に好きだった邦楽曲を並べてみました。あの頃は結構邦楽を聴いていたんだなぁ。

爆風スランプ – RUNNER (1988)

言わずと知れた当時の名曲。他にも“月光”、“リゾラバ”、“大きな玉ねぎの下で”など名曲多数。ただサンプラザ中野についた「くん」はいらないと思う。


ZIGGY – Gloria (1988)

この曲も当時本当に人気がありました。”I’m Getting Blue”や”Don’t Stop Believing”も好きでした。


レピッシュ - パヤパヤ (1987)

デビューはスカパラよりもさらに前。国内のスカの草分け的存在。先日メンバーが亡くなってしまいました。


The Mods - Napalm Rock (1989)

この人達は今見ても普通にカッコいい。日本パンクの元祖。デビューは1980年で未だ現役。


D'erlanger - Darlin' (1990)

ヴィジュアル系は聴かないのですが、これだけは印象的に残ってます。マイナーでしたが。


Complex - Be My Baby (1989)

吉川晃司と布袋寅泰によるユニット。ちょうど同時期の氷室京介のソロも好きでした。


TM Network “Get Wild (1989)”

これと、“Runner”、“Train Train”、”大迷惑”の4曲はカラオケのお約束でした。

TM Network 「Carol ~ A Day In A Girl’s Life 1991」 (1988)

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1. A Day In The Girl's Life 
2. Carol(Carol's Theme 1)
3. Chase In Labyrinth 
4. Gia Corm Fillippo Dia 
5. Come On Everybody
6. Beyond The Time
7. Seven Days War
8. You're The Best 
9. Winter Comes Around
10. In The Forest 
11. Carol(Carol's Theme 2)
12. Just One Victory 
13. Still Love Her

先週は懐かしい想いでプリプリを取り上げたが、彼女らが3月に行う復活ライブで共演するバンドとして、米米クラブとTM Networkの名が発表された。これも当時の人間にとってはたまらなく懐かしいメンツである。ということで、今週はTM Networkを取り上げてみたい。

彼らのデビューは1984年、キーボード小室哲哉、ボーカル宇都宮隆、ギター木根尚登、の3人組で結成された。彼らの本拠地が東京の多摩地区だったため、そこからTMと名付けられたらしい(笑)。

彼らの代表作はやはり1988年の6th「Carol」だろう。このアルバムは立派なコンセプトアルバムとして成り立っている。イギリスのロンドン郊外を舞台にCarolという少女を主人公とし、彼女が世界中の音を奪う魔王を相手に戦うというストーリーが、アルバムを通して描かれている。世の中にはコンセプトアルバムが他にも多く存在することは後に洋楽で知ったが、こうしたアルバムに出会ったのは初めてだった。その後木根尚登が小説を書いた他にも、アニメやラジオドラマ、ステージなど、そのコンセプトはメディアミックスのプロトタイプとしてどんどん拡大されていった。

そして何よりこのアルバムが秀逸なのは、そうしたコンセプトだけでなく、同時に1曲1曲の楽曲の出来が素晴らしいことである。当時の中高生に大人気だった映画「ぼくらの七日間戦争」の主題歌M7、「ガンダム」の主題歌となったM6、シングルとして大ヒットしたM5や高揚感のあるM12、「シティハンター」のエンディングだった名曲M13など、彼らの代表曲の数々が並んでいる。またそうしたシングル以外でも秀逸な楽曲が並んでいて、決してコンセプトだけで終わっていない。

小室哲哉のシンセサイザー・キーボード・ピアノを核とし、ドラマティックな曲群に仕上げている。M5のように曲によってはいかにも80年代なエレポップもあるが、逆にM11のような先進的なプログレ展開も見られる。楽曲ほとんどの作曲、そして全ての作品のプロデュースを手掛けているのが小室哲哉であり、この人がいなければこのグループは成り立たなかったと言っていい。90年にTMNと改名した後(この段階で私の気持ちも離れてしまったが)、94年にグループが活動休止した。その後は周知の通りプロデューサーとして大活躍し時代の寵児となるのだった。後年詐欺事件も起こしはしたが、この当時を知る人間にとってはやはり彼の非凡な才能は認めざるを得ないところである。

実は彼らは数年前にもライブをやっていたみたいなので、それほどブランクがあるわけではないようだ。どうせならこの際あの当時のバンド、The Blue Hearts、Unicorn、Jun Sky Walkers、Show-Ya、Rebecca、爆風スランプ、筋肉少女帯などが大集合したら面白いだろう。

★★★★


Princess Princess 「Lovers」 (1989)



1. ムーンライト・ストーリー
2. 友達のまま
3. Ding Dong
4. レイン
5. 恋に落ちたら
6. スパイ・イン・ラヴ
7. シェイク・イット・オフ
8. パパ
9. 海賊と私
10. パレードしようよ

プリンセスプリンセスが再結成する。震災の際にお互い連絡を取り合ったことがきっかけとなり、復興支援のためにできることを考えた結果として再結成を決めたようだ。これに対して一部には穿った見方をする人もいるようだが、自分たちにできることで支援をしたいと思うのは当然のことであり、こうした寄付を前提とした再結成を私は素晴らしいことであると思っている。

それにしても解散したのが1996年だから16年ぶりだというが、懐かしいと喜んでいるのは恐らく30~40代の同世代の人達だろう。当時はバンドブームであり幾多のバンドによる群雄割拠の中で、1989年に"Diamonds", "M", "世界でいちばん熱い夏"と立て続けに名曲をヒットさせた彼女らはトップクラスの人気を誇っていた。中学生だった私も当然のように好きだった。

懐かしくなり近くのBook offで探してきたのが、この89年の4thアルバム「Lovers」。当時私が唯一持っていたのがこのアルバムだった。先のシングルヒットに続いたこのアルバムは初のオリコン1位を取っている。タイトル通りラブソングばかりを収録しており、ジャケットもメンバーではなくコンセプトに添ったもので、それまでの作品とは異なる大人っぽい印象を与えていた。シングル曲はないが、なかなかの佳曲が揃っている。まずM2はうちの嫁をはじめ当時の多くの女性の共感を呼んでいたし、M8は当時結婚式でよく歌われていて恐らく私も娘の結婚式でこれを聴かされた日には涙腺が決壊するだろう名曲だ。これらの曲の歌詞は、それぞれドラムの富田京子とギターの中山加奈子が手掛けているが、この2人の書く歌詞は特筆に値する。

また他にもM1、M3、M10などが好きだったが、いずれも有名曲に劣らないキャッチーなメロディと勢いのある楽曲ばかりだ。こうした楽曲のほとんどはメインコンポーザーであるボーカル奥居香の作曲である。また中山の姐さんが作曲したM4も彼女らしいハードなロックナンバーでカッコよかった。

メンバーそれぞれが違う個性を持ちながら、その個性に合った楽器を担当しており、全員で作詞作曲に携わり、最終的にバンドとしてまとまっている。プリプリとはそんなイメージであったし、バンドとはこういうものなんだと若かりし当時の私は思っていた記憶がある。今回の16年ぶりの再結成は、またそのまとまりを取り戻せるかが鍵だろう。

★★★☆


奥田民生 ライブレポート2012

Tamio Okuda / Gray Ray & The Chain Gang Tour
2012.1.7 @ 府中の森 芸術劇場 どりーむホール



昨年ユニコーンのライブを見に行ったが、今度は民生のライブに行ってきた。当日のライブのCDを先着500名に販売されるということで早めに会場入りする。受付開始の90分前くらいに行ったのだが既に200人位が並んでいた。寒い中凍えながら並んだが無事に引換券をゲット。民生のライブはこうした特典があり楽しませてくれるのが良い。

会場に入る。私の席は2階席の左手2列目。意外にステージが良く見えて当たりだった。暗転して歓声の中、真っ赤な照明に照らされて、ライブが始まった。民生は正面ではなく左手、正面にはソファーとテーブルが据えられている。右手にはベースの小原氏。奥の左手にドラム湊氏、奥右手にキーボード斎藤氏。バックにはスクリーンが4枚並んでおり、メンバー4人がそれぞれ映し出されている。民生のテーブルにはCMに使われたサッポロの黒ラベルが置かれていた。

3曲目が終わったところで「あけましておめでとうございます。」と民生が新年の挨拶。「今日のライブは録音されているから変なこと言わないようにね」という民生に対して、「言ってもいいよ」と小原氏。この日はこの2人のゆるい漫才的な掛け合いが終始繰り広げられて楽しませてくれた。

冒頭3曲はずっと赤い照明だったので気づかなかったが、照明が変わった時にステージ上のあらゆる物が赤いことに気づく。ドラムセット、民生のギターとアンプ、小原氏に至っては髪・シャツ・グラサン・ベース・アンプ・ソファー・カーペット、身の回りの物全てが赤い。これは小原礼氏が還暦を迎えたことによるもので、そもそも今回のツアー名「おとしのレイら」もそこから来ている。

セットリストは事前に知っていたし、基本的には固定なので予想がついていた。3曲目まではわりと冷静に見ていたのだが、4~5曲目の"夕陽ヶ丘のサンセット"と"何と言う"という大好きな曲の2連発から一気に持って行かれた。

中盤の"ロボッチ"はとぼけた歌詞のスローなブルース曲だが、スライドで聴かせる民生のギターソロが良かった。続くスローなバラード"人間"も深い歌詞が心に響く。どちらもライブで聴く方が格段に印象的だった。ただ個人的にはここで"ひとりごっこ"も聴きたかったものだが。

その後全員が真っ赤なパーカーを着て登場して改めて還暦を祝った後、小原氏のコーナーとなった。彼のボーカルで、彼がかつて在籍していた、かのサディスティックミカバンドの"ダンスハスンダ"と、Elvisのカバー"監獄ロック"のパロディ"還暦ロック"の2曲が演奏された。バックスクリーンには小原氏の若かりし頃の画像が映されていた。

その後民生が「おめでとー!!」と叫びながらDeep Purpleの"Burn"のさわりを演ってくれた。小原氏がそれに反応すると、民生はRitchie Blackmoreのギター講座を始め、"Smoke On The Water"のリフは実はダウンストロークではなくアップストロークなのだと実演してくれた。

続く"愛のボート"も良かった。終盤ステージ両脇から凄い量のスモークが流れてきてステージを覆い、そのスモークの海の中で民生がフロントに立ち、長尺のギターソロを引き続ける。ここは民生のギターを含めバンドの演奏に酔いしれた。"最後のニュース"でのヘヴィな演奏も良く、それをバックに一条の光に照らされながら叫ぶ民生の姿も印象的だった。

民生のようにボーカルでもギターでも聴かせることのできるフロントマンはなかなかいない。このバンドではセカンドギタリストがいない分、より民生のギターを堪能することができるのである。 彼自身もライブ中にギブソンやグレッチの自慢のギターを何度も取り替え、その強い拘りを見せていた。またこのシンプルな編成によるバンドの演奏も聞き応えがあり、特に小原氏の過不足なく低音を響かせるフィンガーピッキングは最高だった。

本編終盤で畳み掛けるように続いた"解体ショー"や"御免ライダー"はこの日何度目かのクライマックスだった。そして"明日はどうだ"で大歓声の中、本編終了。

拍手に導かれアンコールへ。戻った民生のテーブルには黒ラベルが3本置いてある。「以前はガムテープを貼らなければいけなかったんですけどね。やっと(CMに)使ってもらえたよ。」と笑いと取りつつ、そのタイアップになった新しいシングル"拳を天につき上げろ"を演奏した。昨年中は演らなかったが、もう解禁なのだろう。ただレコーディングされている本編ではこの曲は演奏できないわけで、アンコールはCDーRを必死に焼く時間にあてられるためにレコーディングされないのだ。CD ーRについても「皆コピーしないでよと一応ゆるく言っておくよ」と言っていた。

"近未来"でアンコールが終了。Simon & Garfunkelの"Silent Night (7 O'Clock News)"が流れる中、メンバー全員がステージ上のソファーに座りビールを飲みながら(ソファーはこのために置いてあったようだ(笑))、少し余韻を楽しんだ後、手をふってステージを去った。そして客電が点きアナウンスが流れる。"さすらい"を演っていないが、"拳を~"がその代わりだったのかなと思っていた。しかし誰も帰ろうとする者はおらず、アンコールを求める拍手は鳴り止まない。そしてまさかの再アンコールで"さすらい"が演奏された。これは嬉しかった。そして今度こそ終了した。

CDを購入した人は、焼き上がるまでまた外で並ぶ。その間SMAの原田社長が嬉しそうに「もうすぐ出来上がるからね~」と言って回っていた。そして実際に出来上がった物を受け取ると、予想以上に立派な作りに驚いた。2枚組のデジパックで、CDーRとは言えプレスCDと変わらない位に音も良かった。何よりもこの日聴いた演奏とMCがそのまま帰ってすぐに聴くことができ、残せるというのが素晴らしい。裏方は相当大変だったことと思う。

01. ギブミークッキー
02. ルート2
03. わかります
04. 夕陽ヶ丘のサンセット
05. 何という
06. フロンティアのパイオニア
07. ベビースター
08. ライオンはトラより美しい
09. ロボッチ
10. 人間
11. ダンス・ハ・スンダ
12. 還暦ロック
13. 愛のボート
14. MANY
15. 最後のニュース
16. 解体ショー
17. 御免ライダー
18. 明日はどうだ
en1
19. 拳を天まで上げろ
20. 近未来
en2
21. さすらい


奥田民生 「おとしのレイら ツアー」



先日6月にユニコーンのライブを見てきて非常に楽しませてもらったわけだが、早くもソロのツアーが発表されていた。今年一杯はユニコーンとして活動するものだと思っていたので、本当によく働く人だと感心させられる。そのツアー名には脱力すると同時に魅力を感じた。ベース小原礼氏の還暦祝いだという。未だソロライブは見たことがなく、先行はもう終わってしまっていたのだが、一般で何とか1/7(土)府中の森芸術劇場のチケットを確保することができた。

今更だがユニコーンの音楽と民生ソロの音楽は、やはり全く別物である。ユニコーンはメンバー全員がそれぞれ曲を書いていたため、何が飛び出してくるか分からない玉手箱みたいなものだった。それに対しソロは当然一人で書いているので、基本的なカラーは統一している。またユニコーンの中の民生曲は、歌詞やメロディーといった曲で勝負していたのに対し、ソロでは音で勝負するようになったのが特徴だ。特に彼の鳴らすギターの音の表現力は本当に素晴らしい。で、個人的な好みとしては、歳を重ねた今はソロの方が心に響いてくる。彼自身が演奏していて気持ち良い音楽をやっているということだが、それが聴き手にも聴いていて気持ちが良いのである。だからライブで見たらさらに気持ちが良いはずだと期待している。
 
そんなライブで聴きたい曲を考えてみた。とにかく沢山ありすぎるのだが、あえて選ぶなら以下の10曲。
1.股旅(ジョンと)
2.解体ショー
3.息子
4.イージュー★ライダー
5.コアラの街
6.かたちごっこ
7.何と言う
8.人の息子
9.愛する人よ
10.御免ライダー

ちなみに今月22日には広島の厳島にて、ひとり股旅公演を行い、それを全国の映画館で生中継するという企画も予定されているらしい。本当に毎回面白い企画でファンを飽きさせない人だと思う。


Aldious 「Deep Exceed」 (2010)

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1. Luft -Opening-
2. Luft
3. 夜蝶
4. Bind
5. 紫苑
6. Dual Personality
7. Across
8. Ultimate Melodious (Album Version)
9. Eversince (Metal Version)
10.Deep

 先週のAnvilは過去のへヴィメタルバンドであったが、今週は対照的に最新のメタルバンドということになる。もっとも、私は1995年の時点で前述したグランジ・オルタナティブに乗り換えた口なので、それ以降のHR/HMは一切追っていない。ということは、今週取り上げるものは、私にとって15年振りのメタルアルバムということになる。そんな私が思わず触手を伸ばしたのは、あちこちで見る彼女らのビジュアルが気になったからという、よこしまな動機だったりするのだが。最近話題の大阪出身アゲ嬢メタルバンドAldiousのデビューアルバムである。

ボーカルが紅一点というバンドは最近非常に多いが、全員ガールズのメタルバンドは珍しいんじゃないだろうか。しかもキャバ嬢のようにこれでもかと盛った華美なドレススタイルで、リズム隊は重量感と疾走感のあるリズムを叩き出し、ギターの2人はザクザクとリフを刻みながらツインリードを決める。メロディアスでスピーディという音楽性は、かつてのHelloweenあたりのジャーマンメタル、あるいは最近のいわゆるメロスピを標榜しているようだ。さらにライブでは、男顔負けに仁王立ちになりながらヘッドバンキングをしている。特にツインリードの片割れピンクのトキは、ヘドバン隊長という異名を持ち霧まで吹きながらも、終始笑顔を絶やさない。この彼女らの見た目とやっている内容のギャップのインパクトがスゴいのだ。

さらに彼女らは先日の東日本大震災に対しても支援をするということで、ライブ会場に募金箱を設置するのみならず、バンドとしても100万円の寄付を行っていた。デビューしたばかりの新人としては破格の寄付額だ。

昔はHR/HMというジャンルはごく一部のファンの限られたものでしかなかったのだが、こんなバンドが出てくるとは時代も変わったものだと妙に感心してしまった。このアルバムはオリコンチャート初登場15位にランクインしたらしい。メタルバンドとしては偉業だろうが、今後メタラー以外も取り込められればさらに躍進していくことができるんじゃないかと思う。

★★★


ユニコーン 2011 ライブレポート



2011. 5. 30 @ 神奈川県民ホール

先週ツアー2日目となる神奈川県民ホールに行ってきた。一昨年再結成したばかりのツアーではチケットが全く取れず、DVDで我慢をしたものだった。しかし今回は前回に比べ比較的取りやすく、ようやく彼らのライブに足を運ぶことができた。ちなみに今回は娘を親に預けてうちの嫁さんも同伴。同世代の嫁にとってもユニコーンは青春である。

途中でビールとつまみを買いながら会場に着くと、やはり同世代の人が並んでいるが、女性の割合が高い。男性は2~3割くらいか。私達の席はファーストクラスだったのだが、なんと1階3列目の右側、ちょうどテッシーの前あたり。高かったが、その甲斐があった。ステージには海賊船をイメージした大掛かりなセットが設置されており、両側には大砲まで置かれていた。

SEが鳴り止み歓声が上がる。するとステージ奥にあるスクリーンに様々な映像が流れた後、5人の顔がアップで写し出されるとまた歓声。そして遂に彼らが登場、“SAMURAI 5”のPVで来ていたお揃いの海賊の衣装で決めている。各自スタンバイしてから勢いよく゛ライジングボール゛でスタートした。 私の前の席の女性はハンカチを口に当てていた。

2曲目もそのままの勢いでまたも最新作から“頼みたいぜ”が続いた。3曲目では昔のレパートリー“ハヴァナイスデー”、民生がハンドマイクで“故郷は横浜~♪”と歌い歓声を浴びる。4曲目は阿部がDeep purpleのJohn Lordのようなソロを弾き、テッシーが歌い出し゛手島いさむ物語゛が始まる。すると何とテッシーの身体が宙に舞い上がった。背中にワイヤーを張っているのが見える。民生も「総選挙の結果テッシーが選ばれた」と言っていたが、今回のアルバムもツアーもテッシーが前面に出ていた。 そのためこの日も何度も空を飛ぶことになるのだった。

MCは期待通りGDGD ( グダグダ)していた。民生「初日はグダグダでしたが、段々良くなってくると思います。皆さんはその歴史的瞬間が見られるでしょう。」、阿部(コメントはありますかの問いに)「いや、特には(笑)。」 、テッシーの「(ゆっくりしゃべるように)心の友EBIさんにアドバイス頂きました」に対してEBIが「ええ感じやったで~」などなど、終始ほのぼのしていた。

5/26に埼玉の三郷でやったツアー初日のセットリストは知っていたが、ここまではそれと同じだった。ということはこの次に来るのはあの曲。阿部のキーボードが懐かしい80年代なイントロを奏でると゛Maybe Blue゛が始まる。会場内悲鳴に似た叫び声が上がる。民生本人ももう演らないと公言していたほど、ライブでありえない曲だったため、その反響は大きかった。前の席の女性はまたハンカチを口に当てていた。

中盤は懐かしい曲が続く。゛シンデレラアカデミー゛も嬉しかったが、民生は帽子の中に貼ったカンペを見て歌っていた。゛いかんともしがたい男゛はバックスクリーンの真っ青な空が印象的。゛ニッポンへ行くの巻゛ではテッシーがおらずどこ行った?と探していると、例によってまた宙吊りで登場し、客席にボールを投げていた。゛パパは金持ち゛では民生が後ろのドラムセットに立ちサンバのリズムを強化する。終盤に曲通り各メンバーがソロを回したが、最後の民生のドラムソロは実はエアーだったようだ(笑)。そしてEBIが中央に立ちそのまま゛君達は天使゛に雪崩れこむ。個人的にはここが今日のハイライトの1つだった。

EBIが「私の相棒を紹介します」と呼び、川西さんがドラムセットから降りてきた。テッシーのたどたどしいキーボードのイントロで、゛ブルース゛がラップバージョンで始まる。2人はハンドマイクでステージ両サイドまで練り歩き、ポーズを決めながらラップを聞かせる。思った以上に様になっており、何よりももう50を超えたと思えない川西さんの若さに驚く。"さらばビッチ"でも2人ラップを披露したが、サビには各楽器に戻らなければいけないので忙しそうだった。民生・テッシー・阿部のトリプルギターはステージ前で並んで弾き、最後はポーズを決めていた。

阿部に赤いライトが当たり、一人でピアノを奏でながら歌い出し゛R&R Is No Dead゛が始まる。そのピアノの調べの美しさとボーカルの声量に改めて阿部の技量に気づく。終盤はメンバー皆で向き合いながら演奏に没頭。中でも民生が黙々と味のあるギターフレーズを弾いており、最後は手元にある小さな2つのマイクを操作しフィードバックのような音を作り上げ、そのまま゛オレンジジュース゛に雪崩れこむ。この空白の期間に一番成長したのはソロで追及し続けてきたこの人だなと実感。

個人的に最も好きな曲の1つである゛車も電話もないけれど゛は2つ目のハイライトであり、年甲斐もなく大声で歌い至福の時だった。゛デジタルスープ゛で大円団となり本編が終了した。ここでビックリしたのは、本来ならスタンディングのままアンコールを求めるのが、メンバーが引っ込んだ同時に観客が全員座ってしまったのだ。もっと年齢層が高いコンサートでもこんな光景は見たことがなかったので、これには面食らってしまった。

アンコールはテッシーが一人でまたしても宙吊りになりながら登場し、また皆立ち上がった。テッシーはアコギで゛オールウェイズ゛を弾き語った後、メンバー紹介しながら呼び込んだ。途中順番を間違えつつ、民生のことは「憧れてます」と言っていた。

最後に呼ばれた阿部はプーさんのマスクを付けて登場。マスクを脱ぎ捨てると゛SAMURAI 5゛がスタートした。間奏のセリフの「あいつは言った」のところで、阿部は各メンバーにモノマネを強要し、テッシーには桂三枝、民生には森進一、EBIは山口百恵、川西さんにはアントニオ猪木と、ムチャ振りを続けていた。ただ30分もグダグダやっていた前回に比べると、今回の阿部ショーはコンパクトだった。 そして最後は゛裸の太陽゛でキッチリ締め大盛り上がりで終了し、゛ぶたぶた゛のSEをバックに旗を振って行進しながらステージを後にした。

実際終わってみると、今回のセットリストには、"大迷惑"、"人生は上々だ"、"CSA"、"おかしな2人"、"ヒゲとボイン"、"すばらしい日々"など、お約束レパートリーがいくつも抜けている。それでも不思議と物足りなさを感じることがなかったのは、他の往年の楽曲をいくつも演ってくれたというのもあるが、それだけではない。再結成後の新しい楽曲もそれぞれが魅力を持ち、メンバー全員の技量とキャラクターを最大限に活かした見せ場がそれぞれにあり、ステージ全編を通して終始楽しませてくれたからに他ならない。一見飄々としているオッサン達の本気に感服した。

セットリスト
1.ライジングボール
2.頼みたいぜ
3.ハヴァナイスデー
4.手島いさむ物語
5.WAO!
6.Maybe Blue
7.シンデレラ・アカデミー
8.AGONY
9.いかんともしがたい男
10.ニッポンへ行くの巻
11.ウルトラヘブン スーパーマイルド
12.パパは金持ち
13.君達は天使
14.ブルース(ラップバージョン)
15.さらばビッチ
16.HELLO
17.R&R IS NO DEAD
18. オレンジジュース
19.車も電話もないけれど
20.デジタルスープ
アンコール
21.オールウェイズ
22.SAMURAI 5
23.裸の太陽


ユニコーン 「服部」 (1989)

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1 ハッタリ
2 ジゴロ
3 服部
4 おかしな2人
5 ペーター
6 パパは金持ち
7 君達は天使
8 逆光
9 珍しく寝覚めの良い木曜日
10 デーゲーム
11 人生は上々だ
12 抱けるあの娘
13 大迷惑
14 ミルク

先週は復活後2枚目のアルバム「Z」もリリースされ、ツアーもスタートしたユニコーン。私も今週の神奈川県民ホールに行ってくる予定だ。ニューアルバムも思ったよりも良かったが、今日は往年の一番彼ららしいアルバムを1枚取り上げたい。

彼らは1986年に広島で結成され、87年にデビュー。当時イカ天などによるバンドブームだったが、その中から抜きん出た存在となり強烈な個性を確立したのはこの3rdアルバムからである。デビュー作と比較するとここでは完全に方向性が異なり、もはや別のバンドと言っていい。

まず歌詞に関して言えば、デビュー作では英語タイトルで恋愛歌詞だったのが、ここではもはやストレートな恋愛表現は存在しない。単身赴任に苦悩するサラリーマンの悲哀を描いたM13や、ゲイの純愛を描いた前代未聞なM11に始まり、百戦錬磨親父への憧れM3、哀愁の野球ロマンスM10、ヒモ男への屈折した恋慕M4など、その内容は多岐に渡る。

また同様に音楽性も一気に拡散している。笹路プロデューサー編曲のM1はフルオーケストラによるメドレー、M3はDeep Purple風のハードロック、独特な曲展開を見せるM4、EBIのM5は゛Take Five゛風ジャズ、M6は各人のソロも交えたサンバ、テッシーのM9はレゲエでM10はインド風味、M12はビッグバンドのホーンセクション、M13にもオーケストラが導入されている。元々曲作りに関しては絶対の自信を持っていた民生だったが、ワンマンになることを嫌い、あえて他のメンバーにも曲を書くようハッパをかけた結果がこの作品である。もう何でもあり状態だが、こうした精神性は民生が敬愛するThe Beatlesの影響もある。

さらに彼ら独特の悪ふざけも炸裂している。まず人を食ったようなこのジャケット、バンド名もタイトルもなく誰だか分からんおっさんのどアップ。M2はえげつない歌詞をいたいけな小学生に、M10のシングルバージョンでは坂上二郎に歌わせている。他にも曲中随所に現れている。

このように5人全員が曲や歌詞を書くようになり、ここでそれぞれのカラーとキャラが確立されたと言える。ちなみに初代キーボードの脱退後、阿部Bが正式に加入したのも今作からである。早速M11で強烈にアピールしているが、この後のバンドの発展は彼の成長に負うところも大きい。

ルックスも良かったためアイドル的な人気を集めていたが、実際に彼らが歌っている内容や音楽性は、もはや10台の少女がキャーと言うような種類のものではなかった。それでも人気は上昇していくのだった。

現在彼らも40~50台の立派なおっさんなわけだが、良い意味で変わっていないようだ。相変わらずの楽しいライブを見せて、同じように歳を重ねた我々に元気を与えてくれることを勝手ながら期待している。

★★★★☆


Unicorn ツアー2011

MOVIE12/UNICORN TOUR 2009 蘇える勤労 [DVD]MOVIE12/UNICORN TOUR 2009 蘇える勤労 [DVD]

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1. ひまわり
2. スカイハイ
3. おかしな2人
4. ボルボレロ
5. ペケペケ
6. 素浪人ファーストアウト
7. オッサンマーチ
8. キミトデカケタ
9. ロック幸せ
10. AUTUMN LEAVES
11. デーゲーム
12. 最後の日
13. PTA ~光のネットワーク~
14. WAO!
15. BLACKTIGER
16. R&R IS NO DEAD
17. サラウンド
18. 大迷惑
19. ヒゲとボイン
20. 車も電話もないけれど
21. HELLO
22. 人生は ~CSA~ 上々だ
23. すばらしい日々

 自粛などで中止にならなくてよかった。数ヶ月前にユニコーンのツアーがまた発表され、苦労して5月のチケットを妻と2人分取っていた。再結成に湧いた一昨年のツアーでは、チケットは全く手に入らず、泣く泣く行く予定だった横浜アリーナのDVDで我慢したものだった。しかし前回に比べると今回はまだ取りやすかった。こうした興業はやはり自粛をせずに催行し、元気を与えてほしいものである。

 4月にはニューシングル、5月にはニューアルバムも出る。今年は随分やる気なようだ。民生さんにとっては去年1年はソロ活動でフルに動いていたわけで、毎年休みなくそれぞれのわらじを履いて忙しそうだ。しかしユニコーンの他のメンバーにとっては、民生さんがソロ活動をしている間はそれほど忙しそうではなさげだから、今年は再度稼ぎに行くということなのだろう。 まぁ何にせよ、前回のツアーを見逃している身にとっては願ったりである。

 気になるのはセットリストである。前回のツアーでは、「シャンブル」からの楽曲が大半を占めており、往年の楽曲は24曲中半分くらいだった。確かに「シャンブル」も悪くはなかったのだが、全盛期をリアルタイムで聴いていた世代にとっては当時の楽曲を望むのは当然だ。今年はさらにもう一枚新作が出るわけなので、往年の楽曲の比率は1/3くらいになってしまうのだろうか。決して留まらずに前進していることは頼もしいのだが、古いファンとしては微妙なところもある。

 前回のツアーでは公演日によって演っていた曲は違ったが、その中で特に゛おかしな二人゛、゛大迷惑゛、゛ヒゲとボイン゛、゛車も電話もないけれど゛、゛人生は上々だ゛、゛すばらしい日々゛、゛服部゛、゛フーガ゛、゛自転車泥棒゛、゛働く男゛、あたりは全て固定にしてほしいところだ。また゛CSA゛ならぬ゛SMA゛も是非聴きたい。欲を言えば゛風゛、゛家゛、゛与える男゛、゛雪の降る街゛といったところも聴いてみたいのだが、それは高望みしすぎだろう。

 邦楽のライブを見に行くこと自体珍しいことなのだが、ユニコーンは私と妻の青春だ。当日は子供も実家に預けて2人で楽しんできたいと思う。


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