邦楽

ハチ 「OFFICIAL ORANGE」 (2010)

OFFICIAL ORANGE
ハチ
リイシューレコーズ
2013-10-23





01 パンダヒーロー
02 演劇テレプシコーラ
03 リンネ
04 神様と林檎飴
05 結んで開いて羅刹と骸
06 沙上の夢喰い少女
07 病棟305号室
08 眩暈電話
09 マトリョシカ
10 白痴
11 ワンダーランドと羊の歌
12 遊園市街

昨年娘に教えてもらったボカロの世界だったが、実は私はそれ以前から1枚だけボカロのCDを持っていた。最近はめっきり行かなくなったが、かつては渋谷のタワーレコードに定期的に通っていた。国内最大級の膨大な品揃えを誇ることに加え、試聴機が数多く並んでおり、最新の音楽をチェックするには最適な場所だった。また店内にも常に良質な音楽が流れており、それを聴きつい衝動買いしてしまったことも少なくない。

このCDもそうした中の1枚だった。非常に勢いのある曲展開のロックサウンドと、めくるめくメロディ。実力のあるバンドだと思ったし、高音の女性ボーカルは少し電子処理しているが、普通に人間が歌っているものだと思っていた。最後の曲まで聴いた後で平積みの棚から1枚レジに持って行った。

後で知ったのは、このハチというアーティスト名は今をときめく米津玄師の別名であり、この音楽はバンドではなく彼がたった1人で宅録で作ったものであるということ。そしてこの歌もボーカロイドというソフトを使用しているということだった。これには驚いたものだった。

このアルバムは面白い構成を取っている。M1, M3, M5, M7, M9という奇数のマイナーコード楽曲と、M2, M4, M6, M8, M10といった偶数のメジャーコード楽曲が常に交互に流れてくる。これが聴き手を飽きさせない。

当時ニコニコ動画で発表されて有名な曲はマイナーコード楽曲に多い。一番有名なのはYouTubeでも視聴回数3800万のモンスターヒットとなったM9だろう。M1とM5も1000万を超える代表曲だ。とにかく奇数曲はどれもアップテンポでカッコ良いのだが、特にフックのあるギターリフが聴き所で、よくこれだけのリフを思い付くものだと感心してしまう。

一方でメジャーコードの偶数曲はあまり広く知られていないが、これも佳曲揃いだ。非常に煌びやかなメロディが飛び交い、音作りもメリーゴーランドのような楽しさだ。個人的なハイライトは突き抜けるような高揚感のM10だ。

歌詞は難解で一聴では理解し辛いが、よく読むとかなりシュールな内容になっている。動画もほとんど自分で制作しており、そのデザインや構成は秀逸。何とも多才な人である。しかもこの当時彼はまだ十代だったという。

ちなみにM5は和風な曲でアルバム中でも異色なのだが、私の娘も自分で動画を見つけて曲調を気に入り私にURLを送ってきた。しかしこの曲は動画も歌詞もまるで怪談のようで、今では娘は怖がってこの曲は聴きたがらない。

彼は他のボカロPと違い活動初期から歌うボーカロイドの名前もキャラクターも一切前面には出さずに自分の音楽だけで勝負していた。そこに彼のプロ意識があった。米津玄師という本名で活動を始めた以降を私は聴いていないので語ることは出来ないが、始めからこれだけの高い才能と意識を持っていれば、今の成功も当然だろうと思うのだった。


BAND-MAID ONLINE OKYU-JI 2021.2.11

EsuAratUYA4hxxx

2月11日にメイドハードロックバンドBAND-MAID のオンラインお給仕が開催された。本来ならこの日は長い間待ち望んでいた初の日本武道館公演となるはずだった。昨年7月に初めてオンラインお給仕を観戦した時は、翌年には流石に収束し晴れて武道館で観られるだろうと楽観視していた。しかし収束するどころか、2回目の非常事態宣言が発令中の有り様。さぞメンバー達は落胆したことだろうと思っていた。

しかし彼女達はそんな様子は一切見せていなかった。ライブに先立って先月リリースされた新作「Unseen World」では、長きに渡るステイホーム期間中にただひたすら演奏テクニックの磨き上げと、楽曲制作に打ち込んだ結果を見せつけた強力なアルバムだった。そしてそれはライブでも同様だった。

オープニングはアルバムと同じく厳かなイントロから勢いよく"Warning"でスタート。そこから立て続けに"DICE", "Screaming", "I Can't Live Without You"とアッパーなナンバーを叩きつける。5曲目には新作から歴代最も激しい"BLACK HOLE"。限界突破なセットリストとは聞いていたが、それを痛切に実感する。

MIKUのMCの後、スクリーンには時計が巻き戻される様子が映し出される。Road to BAND-MAIDということで、このパートでは歴史を俯瞰するようにデビュー曲"Thrill"から"Don't You Tell Me"まで計7曲が時系列順に演奏された。

黒姫SAIKIのボーカルは無観客もお構いなしに強力にバンドを牽引する。左に立つメイドMIKUのリズムギターも小気味良くハモリも綺麗。KANAMIの天を駆けるようなギターソロには引き込まれるし、MISAの地を這うようなベースも相変わらず良い音をさせている。KANAMIはタッピング、MISAはスラッピングというそれぞれお得意の飛び道具も披露し魅了していた。AKANEのドラミングも凄いのだが、カメラに映る度に笑顔や変顔を見せる余裕が一体どこにあるのかよく分からない。

MIKUとSAIKIのMCの後、今度は現在のBAND-MAIDということで、"After Life"や"NO GOD"など主に新作からテクニカルな4曲。彼女らの成長が感じられる構成だ。

お約束のMIKUのおまじないタイムに続いてはMIKUボーカルによる"サヨナキドリ"も披露された。

意外だったのはSAIKIのMC。彼女の慣れないMCと、それに続いてKANAMIのアコギのみをバックに歌い始めた"about Us"では、コロナ禍におけるファンへの想いに溢れるものだった。そこから名バラード"Daydreaming"への流れも最高だった。各楽器が大暴れするインストの名曲"onset"に至ってはもうじっとしていられず。

この後に機材トラブルがあり、しばらくゆる〜いおしゃべりタイムが展開した。なかなか演奏が再開しなかったが、各メンバーの新楽器紹介やSAIKIの誕生日祝い、楽器隊3人による盛り上げなど、メンバー間の仲の良さが垣間見れた。この中で英会話を練習しているというKANAMIが海外に向けて英語で話していたが、MIKUもせめてこれ位話せれば良いのにと思った。この日Twitterの全米トレンド4位になるほど海外視聴者がいるのだから。

再開した"Choose Me"からはラストスパート。"Blooming", "Different", "Giovanni"と怒涛のナンバーで攻め立て、最後は"DOMINATION"で大団円となった。

計28曲、2時間半に渡るライブはこれ以上ないほどの充足感を与えてくれた。それだけにやはりこれを武道館で見たかったという思いを抱いた。曲間に歓声を届けられないのはどうしても寂しいものがあるのだが、しかし実際に武道館で決行していたとしても結局歓声を上げることも一緒に歌うことも出来なかったのだろう。収束後のリベンジ武道館が早く実現することを待つとしよう。

<setlist>
01.Warning!
02.DICE
03.Screaming
04.I can't live without you.
05.BLACK HOLE
MC (MIKU)
06.Thrill
07.REAL EXISTENCE
08.Don't let me down
09.alone
10.FREEDOM
11.YOLO
12.Don't you tell ME
MC (MIKU & SAIKI)
13.After Life
14.NO GOD
15.輪廻
16.without holding back (instrumental)
MC (MIKUおまじない)
17.サヨナキドリ
MC (SAIKI)
18.about Us
19.Daydreaming
20.Mirage
21.Bubble
22.Manners
23.onset (instrumental)
MC (スーパーぐだぐだタイム)
24.Choose me
25.Blooming
26.Different
27.Giovanni
28.DOMINATION


HATSUNE MIKU 10th Anniversary Album 「Re:Start」(2017)



■Disc-1■
1. アンノウン・マザーグース / wowaka feat.初音ミク
2. ヒバナ / DECO*27 feat.初音ミク
3. ボロボロだ / n-buna feat.初音ミク
4. Initial song / 40mP feat.初音ミク
5. 大江戸ジュリアナイト / Mitchie M feat.初音ミク with KAITO
6. リバースユニバース / ナユタン星人 feat.初音ミク
7. 快晴 / Orangestar feat.初音ミク
8. それでも僕は歌わなくちゃ / Neru feat.初音ミク
9. ひとごろしのバケモノ / 和田たけあき(くらげP) feat.初音ミク
10. 君が生きてなくてよかった / ピノキオピー feat.初音ミク
11. 神様からのアンケート / れるりり feat.初音ミク
12. Steppër / halyosy feat.初音ミク、鏡音リン、鏡音レン、巡音ルカ、KAITO、MEIKO

■Disc-2■
1. みんなみくみくにしてあげる♪ / MOSAIC.WAV×鶴田加茂 feat.初音ミク
2. Tell Your World / livetune feat.初音ミク
3. 千本桜 / 黒うさP feat.初音ミク
4. 初音ミクの消失 / cosMo@暴走P feat.初音ミク
5. ロミオとシンデレラ / doriko feat.初音ミク
6. 独りんぼエンヴィー / koyori(電ポルP) feat.初音ミク
7. カゲロウデイズ / じん
8. from Y to Y / ジミーサムP feat.初音ミク
9. *ハロー、プラネット。 / sasakure.UK feat.初音ミク
10. BadBye / koma'n feat.初音ミク
11. オレンジ / トーマ feat.初音ミク
12. ハジメテノオト / malo feat.初音ミク

以前取り上げたBAND-MAIDの娘への普及活動は残念ながら失敗に終わった。今娘はヴァーチャルのものにしか興味を示さないのだ。そんな彼女が今ハマっている音楽は初音ミクらしい。YouTubeで色んな動画を見て自分の好きな曲を見つけては、親友とダンスの練習をしているという。

そんな彼女が今年もまた誕生日を迎え、今月8日で11歳となった。プレゼントに悩んだ結果、今年はこの初音ミクのCDを探して渡した。事前に好きな曲のタイトルを一通り教えてもらっていたのだが、そのうちの2曲"千本桜"と"ヒバナ"が収録されていた。CDというパッケージ自体が今や時代遅れなのは承知の上である。

プレゼントするからには私自身も少しは理解すべく調べてみた。初音ミクとはボーカロイドというDTM(デスクトップミュージック)用の歌声合成ソフトであり、そのキャラクターの二次創作の自由さもあり一気に浸透したらしい。以前この初音ミクのAIホログラムと擬似結婚した男性がニュースになっていたが、国内だけでなく海外でも熱狂的人気を集めているようだ。

実は私も最近iPhoneでGarage Bandというアプリを見つけ、作曲の真似事をしてみている。まだまだ上手くいかないのだが、この先にこのソフトがあれば、宅録で簡単に女性ボーカルを乗せることが出来るのだろう。そう考えると今の技術に驚くし、このようなバーチャル文化を生み出すのは日本らしいとも感心するのだった。

CDは娘も喜んでくれたので良かった。私も聴いてみたが、過去10年のベストコンピということで、色んな作曲家の様々なタイプの楽曲が並んでいる。個人的には打ち込み系よりロックフォーマットの方が好みだが、どれも曲質は高い。とても私にはこんな曲は作れないな。

BAND-MAID ONLINE OKYU-JI 2020.7.23

IMG_1343

先週はメイドハードロックバンドBAND-MAIDを取り上げた。オフィシャルサイトを見たところ、どうやらこの7月から予定されていたZEPPツアーはコロナの影響により中止になってしまっていた。その代わりに無観客オンラインライブが企画されていた。

無観客とは演奏する側はやり辛いだろうが、現況下では仕方ないだろう。観客側としてもやはり生の迫力に及ぶものではない。でも単なるライブ動画とは違うオンタイムな繋がりを感じることは出来る。何よりも世界中から同時に繋がることが出来るというのは画期的だ。チケット代も1500円と安いので購入してみた。

当日開演の16:00前に自宅のノートPCの前にビールとつまみを用意してスタンバイする。通常に比べれば早い時間だが、日本では祝日なのと、世界中からアクセスがあることを考慮しての設定なのだろう。

JULY 23, 2020
ONLINE OKYU-JI
1 MINUTE LEFT

という黒画面が10秒前からカウントダウンが始まり、バックスクリーンに白いリボンが掲げられたステージが映し出される。激しいロックサウンドのSEの中、メンバーが1人ずつ登場。KANAMIのギターリフから"DOMINATION"で勢いよくスタートした。

ステージ右手からギターKANAMI、ボーカルSAIKI、ギターボーカルMIKU、ベースMISA、後方のドラムセットにAKANE。イヤホン聴きでボリュームを上げると、SAIKIの歌声と1人1人の楽器がダイレクトに聴こえる。5人が一体となって疾走するバンドサウンドが繰り広げられる。観客がいなくても全力投球だ。

映像は予想以上に綺麗だった。昔ならこんな大容量の映像に全世界からアクセスしていたら、確実にフリーズしていただろう。カメラも何台入ってるんだか、メンバー全員のアップと引きの絵が次々と絶妙に切り替わり続けて、生配信なのにまるで既に完成されたパッケージを観てるかのようだった。

まずSAIKIのボーカルに感嘆した。綺麗なルックスの黒姫は、非常にロック然とした迫力あるボーカルを聴かせてくれている。目の前に観客がいないのはさぞやり辛いだろうに、そんなことはお構いなしに「かかって来いよー!」と煽り立ててくれる。

隣では白いメイド姿のMIKUがハイトーンのボーカルを重ねている。バンドを始めてから練習したとは思えないほどにリズムギターも堂に入っている。飛び跳ねながら非常に楽しそう。

もう1人のメイド姿がギターのKANAMI。細い可憐な容姿とは裏腹に物凄いテクニックの持ち主で、海外でも彼女のファンは多い。毎曲見事なソロで魅せてくれるので、出来れば彼女の手元をずっと凝視していたかった。もっとも映像ではそのスピードは捉えきれていなかったが。

ドラムのAKANEも海外ファンが多い。彼女も細いのにパワフルで手数も多いドラミングで、終始笑顔で楽しそう。

MISAは黒衣装で仁王立ちになって5弦ベースを弾いている。フットライトに片足をのせて弾く姿がカッコ良い。3曲目の"PLAY"の冒頭ではインストパートが拡大されていたが、ここでのスラップは見ものだった。

MIKUのMC。「お帰りなさいませ、ご主人、お嬢様。BAND-MAIDのオンラインお給仕の始まりだっぽー!」メイドなので、彼女らのライブはお給仕であり、観客はご主人お嬢様なのだ。ちなみに「ぽ」は彼女の苗字が小鳩だかららしい。

ステージ前には観客がいない代わりに、世界中から繋がっているチャット画面が映るモニターが設置されているようで、メンバー皆で楽しそうに覗き込んでいた。バックに写ったMISAの片手には既にスーパードライが握られていたり、AKANEが緊張で本番前にトイレに6回行ったことが暴露されたりと、メンバー同士のゆるい会話が和ませる。

お約束のMIKUのおまじないタイム、画面の向こうの観客とメイド独特のコールレスポンスでは、MIKUのギターがハウリングして笑わせてくれた。

後半も怒涛の展開が続く。MIKUがフライングVに持ち替えて始まった"輪廻"は、彼女らのレパートリーの中で最もアッパーなナンバーの1つで、AKANEも前のめりになって高速リズムを叩く。"DICE"ではMISAのバキバキいうベースを堪能。メロディアスな"Endless Story"で一旦クールダウン。"Freedom"ではKANAMIがフロントに出てきてネックを振り上げギターソロ。名曲"Blooming"に至ってはもはやじっと観ていることも出来ず汗だくになってしまった。

きっかり1時間でお給仕は終了。通常は2時間近く演るはずなので、正直ここで休憩を挟んで第2部でもあるのかと思っていたが、初の試みとしてはこれ位がちょうど良いのだろう。次を観たいと思わせる濃密な1時間だった。

ちなみにこの日はTwitterも合わせて見ていたが、日本語と英語のツイートが開演前から凄い勢いで上がり続けていて、日本国内ではトレンド2位を記録したらしい。

ライブ映像は終わった後もすぐに見直せるというのも嬉しかった。4日間は再視聴が可能になっていたので何度も見返したのは言うまでもない。

1.DOMINATION 
2.Dilemma
3.Play
MC Time 1
4.The Non-Fiction Days
5.Glory
6.Don't You Tell Me
7.輪廻
MC TIME 2
8.DICE
9.Endless Story
10.Freedom
11.Blooming


BAND-MAID 「WORLD DOMINATION」 (2018)

WORLD DOMINATION(初回生産限定盤A)
BAND-MAID
日本クラウン
2018-02-14


1. I CAN’T LIVE WITHOUT YOU.
2. PLAY
3. ONE AND ONLY
4. DOMINATION
5. FATE
6. SPIRIT!!
7. ROCK IN ME
8. CLANG
9. TURN ME ON
10. CARRY ON LIVING
11. DAYDREAMING
12. ANEMONE
13. ALIVE-OR-DEAD
14. DICE

アイカツでは"硝子ドール"、あつ森では"けけメタル"。アニメやゲームで娘はどうやらメタル系の曲にハマっていた。なかなか良い趣向だと、父としてはその興味を拡げてあげるのが務めだと思った。

そこでまずBabymetalをYouTubeで見せたところ、どうもダンスがお気に召さなかった。次にAldiousと思ったが小学生にはちょっとケバ過ぎるか。娘は黒が好きだからLovebitesはカラーがホワイトなのでダメか。などと色々考えあぐねながら探していたところ、最終的にこのバンドに辿り着いた。

BAND-MAID、メイド姿で演奏する本格的ハードロックバンドだ。まずこのギャップに驚く。元々秋葉原でメイドをしていたMIKUを中心に2013年に結成。当初MIKUのみがボーカルだったが、楽曲に合わせて低音ボーカルのSAIKIが加入したことにより、MIKUはリズムギターも練習したようだ。

彼女らの音楽性はヘヴィメタルではなくハードロックだ。サウンドは充分ヘヴィだが、歌メロはキャッチーだし、楽曲の幅も広い。デビューEPでは外部ライターに頼っていたが、ファーストフルアルバムから完全に自分達で作るようになり、そのレベルもどんどん上がっているのが分かる。特に"Dice", "Daydreaming"は名曲だ。

極め付けはその演奏力の凄まじさだ。リードギターKANAMIのタッピングソロは聴く者の心を鷲掴みするし、AKANEの豪快なドラミングにも圧倒される。"Dice"での前面に出ているMISAのバキバキベースも一聴ものだ。

ワールドツアーや海外フェス参加で海外でも大きな反響を得ているのはリアクション動画の多さが物語っている。Babymetalが世界への門戸を開けたことで、こうした実力のあるバンドが飛び出して行けるようになったのだろう。

どうやらおっさんメタラーのファンが多いようだが、もっと若い人に聴いてもらいたいものだ。もし娘が気に入ってくれたら一緒にライブを観に行きたい。


鼓童 「TATAKU BEST OF KODO Ⅱ 1994-1999」 (2000)

TATAKU - BEST OF KODO,1994-1999
鼓童
ソニー・ミュージックレコーズ
2000-11-22


1. いぶき
2. SHAKE~いつかまた
3. 宇宙の歌
4. KIRINAのテーマ ~篠笛バージョン
5. THE HUNTED
6. 蒼き風
7. 響酔
8. 七節
9. Strobe’s Nanafushi
10. Bird Island
11. 虹のなごり

せっかく和太鼓に触れたので、もう1つご紹介します。恐らく国内外で最も高い知名度と実力を持つのが、この「鼓童」です。

大太鼓、宮太鼓、平胴太鼓、桶胴太鼓、締太鼓、などなど様々な太鼓の数々を、威勢の良い掛け声とともに、鍛え上げられた肉体で一心不乱に叩き続ける。こうした彼らの演奏は日本の伝統芸能の持つ力強さと美しさに溢れており、国内のみならず世界中の人々を惹きつけてきました。1981年に結成され、ベルリン フィルハーモニーホールでデビューを飾って以来、世界中で公演をし続け、数多くの賞も受賞しています。

しかし彼らがスゴいのは、単に伝統芸能の披露に留まっていないことです。これまで20枚以上の作品を発表していますが、クラシックやジャズ、他国の民族音楽など、様々な音楽要素を貪欲に取り込みながら、常に音楽的挑戦をし続けています。

この作品は1994年から1999年の彼らの第2期の楽曲を収録したベストアルバムですが、ここでも多彩な要素が散りばめられています。Bill LaswellのプロデュースのM1は、平胴大太鼓、手びら、篠笛だけしか使用していないのに、その音階やリズムは非常に西洋的で新鮮に響いています。また昨年亡くなった冨田勲氏作曲のM3は、壮大のシンセサイザーの風景の中で鳴らされる厳かなリズムも和太鼓には聴こえません。映画「The Hunted」のテーマ曲M5、DJ StrobeのリミックスM9も、彼らのグローバルな活動を物語っています。

ちなみに彼らの拠点は新潟の日本海に浮かぶ佐渡ヶ島。海外遠征に出ていることも多い一方で、毎年彼らはここで国際芸術祭「アースセレブレーション」というイベントを主催しています。国内外から様々なミュージシャン・アーティストを招き、島全体が国際文化交流の場となっているそうです。私も一度参加してみたいと思っています。


浜田省吾 「旅するソングライター」 (2015)

~Journey of a Songwriter ~~ 旅するソングライター (期間生産限定盤)~
浜田省吾
ソニー・ミュージックレーベルズ
2015-04-29


1. 光の糸
2. 旅するソングライター
3. きっと明日
4. マグノリアの小径
5. 美しい一夜
6. サンシャイン・クリスマスソング
7. 五月の絵画
8. 瓶につめたラブレター
9. ハッピー・バースデイソング
10. 夢のつづき
11. 夜はこれから
12. 恋する気分
13. 永遠のワルツ
14. アジアの風 青空 祈り part-1 風
15. アジアの風 青空 祈り part-2 青空
16. アジアの風 青空 祈り part-3 祈り
17. 誓い

Shazamというスマホのアプリを会社の後輩に教えてもらった。流れている曲が何というアーティストのものなのかを教えてくれるもので、かなり重宝している。先日も聴こえていた邦楽を聞き覚えのある声だなと思いShazamしてみたところ、浜田省吾の”旅するソングライター”と出てきた。

ハマショーは80年代の代表曲を少しだけ知っている程度だったので、これも昔の曲なのかなと思ったら、2015年にリリースされた新曲だった。10年振りのアルバムだったらしいが、失礼ながら未だ現役とは知らなかった。気になったのでアルバムを探して聴いて以来ずっとこればっかり聴いている。

もう彼も還暦過ぎらしいが、未だにグラサンをかけていて若々しい。そして何よりこの音楽が若い。M1冒頭から小気味良いロックサウンドに乗って爽やかな叫び声が伸びる。タイトルソングM2ではレゲエのリズムに乗って軽やかに世界をさすらう。M4の綺麗なコーラスハーモニーは完全にBeach Boysへのオマージュ。自立していく子供達に歌うM10には同じ父親として共感するし、妙にエロティックなダンスチューンのM11には驚く。どの曲も煌びやかメロディも持った懐かしさを覚える曲調で、あえての日本語歌詞もすんなり入ってくる。

と、かなり楽しみながら聴き進めていたが、どれもメジャーコードで非常にポジティブな楽曲が続いていたので、このまま終わったら少し物足りないなと思っていたところに流れてきたのが組曲M14~16だった。メランコリックなピアノに導かれる兵士への鎮魂歌M14。それまでになかった曲調のハードなロックナンバーM15では「あまりに尊い犠牲を払った。充分過ぎるほど学んだ。違うか」と歌われ、M16では物哀しいギターソロから壮大なオーケストラへ。これはこの国や地域の将来を憂う反戦歌であって、それまでのポジティブさもその裏返しだったのだろう。もう文句をつけるところはありません。


坂本龍一 『Merry Christmas Mr. Lawrence』 (1983)

戦場のメリー・クリスマス
坂本龍一
ミディ
1993-09-21





01. Merry Christmas Mr. Lawrence
02. Batavia
03. Germination
04. A Hearty Breakfast
05. Before The War
06. The Seed and The Sower
07. A Brief Encounter
08. Ride, Ride, Ride (Cellier’s Brother’s Song)
09. The Fight
10. Father Christmas
11. Dismissed
12. Assembly
13. Beyond Reason
14. Sowing The Seed
15. 23rd Psalm
16. Last Regrets
17. Ride, Ride, Ride
18. The Seed
19. Forbidden Colors (ft. David Sylvian)

今日は世の中はクリスマス。正直私は娘へプレゼントを買うこと以外はもはや何も感慨もなく、毎年この時期は街中のあらゆる場所で流れるお決まりのクリスマスソングに辟易してしまっています。

そんな中で私の耳が喜ぶ数少ないクリスマスソングの代表格が、坂本龍一の”Merry Christmas Mr. Lawrence (戦場のメリークリスマス)”。1983年の同名映画の有名なテーマ曲です。

今年はDavid Bowieも亡くなってしまったので、映画も改めて観ました。監督は大島渚、主演がDavid Bowieに坂本龍一にビートたけしという豪華キャスト。個人的には実際このような看守と捕虜の友情なんてものが存在するのかというひねくれた思いで観てしまうのですが、何よりも2人の日英の大音楽家が銀幕の中で熱演対峙しているのは見ものです。

またこれはサントラも聴きもの。まずはやはりタイトル曲M1。舞台は南国でしたが、むしろ降りしきる雪景色に似合います。不思議と何度聴いても飽きない名曲です。またDavid Bowieの小さい弟が透き通る声で歌っていたM8や、兵士達による温かい賛美歌M15も良いです。ちなみにこのサントラは数年前に30周年記念盤も出ていました。

 

忌野清志郎 "トランジスタラジオ"

kiyoshiro

先週の尾崎豊に続いて、もう1人今は亡き日本のカリスマを取り上げたい。忌野清志郎。5月2日は彼の命日だったので、色々特番が組まれていた。

その中で代表曲”トランジスタラジオ”をモチーフにしたドラマがあった。内容はよくある学園ドラマだったが、授業をサボって屋上でギターを弾くというのは私にも覚えがある。それと舞台になっていた清志郎の母校である都立H高校は私の地元なのでよく知っていた。川沿いの高校なので、あの屋上から川を見降ろしながら弾いていたのかと思うと、勝手ながら親近感を感じていたものだ。

清志郎はRCサクセションとして1970年にデビューした。3人組のフォークグループだが、Otis Reddingなどの影響を受けたR&Bを歌うという独特なスタイルだった。しかし同じ事務所の井上陽水が売れた一方で、彼らはなかなか陽の目を見られず。”スローバラード”など名曲を収録した3rd「シングルマン」を1976年に発表するも鳴かず飛ばずだったため失意のうちに活動を休止する。その後1978年に仲井戸麗一らを迎え新たに5人編成のロックバンドとして再始動。エネルギッシュなライブが注目を集め、1980年の「Rhapsody」以降は爆発的な人気を集めていった。

私が初めて清志郎を知ったのはRCではなく覆面バンドのザ・タイマーズだった。1989年当時テレビに出てきた工事現場ヘルメットにグラサンをかけた変な男が、音楽業界や原発、FM東京や相棒だったチャボなど、あらゆるものに対して悪態をつきまくっていたのを見て、何なんだこの男は?と強烈なインパクトを受けたのをよく覚えている。

以来数多くの彼の名曲を聴いてきた上で思ったのは、この人はもの凄く純粋で感性の強く、自分に正直な人なんだな、ということだった。だから普通の人は書かないような言葉が歌詞に連ねられていて、その言葉が圧倒的な歌唱力とエンターテイメント精神で表現されることで聴く人・見る人の心に突き刺さる。彼は才能と努力と信念で、あの屋上から日本ロックの頂点へ登りつめたのだなと思う。

以下は私の好きな彼の曲ベスト10です。

① 雨上がりの夜空
② ヒッピーに捧ぐ
③ ロックン仁義
④ スローバラード
⑤ トランジスタラジオ
⑥ いい事ばかりありゃしない
⑦ I Like You
⑧ デイドリームビリーバー
⑨ よォーこそ
⑩ パパの歌


尾崎豊 「十七歳の地図」(1983)

十七歳の地図
尾崎豊
ソニー・ミュージックレコーズ
1991-05-15


1. 街の風景 
2. はじまりさえ歌えない 
3. I LOVE YOU 
4. ハイスクールRock’n’ Roll 
5. 15の夜 
6. 十七歳の地図 
7. 愛の消えた街 
8. OH MY LITTLE GIRL 
9. 傷つけた人々へ 
10. 僕が僕であるために

先日BSフジの「ザ・ミリオンセラー」で尾崎豊のデビューアルバム「17歳の地図」を特集していた。担当プロデューサーやスタジオミュージシャン、そして長男の尾崎裕哉が登場し当時を回想していた。この作品は個人的に非常に思い出深いものなので興味深く観ていた。

私が高校生の頃はまだ尾崎豊は生きていた。当時あまり真面目な生徒ではなかった私は、毎朝M5を聴いては、盗んだものではないが自分のバイクで学校をサボってどこかへ行ってしまっていたものだった。

番組の中では彼の当時の肉声インタビューが聞けた。彼は不登校になった小学校6年の頃からアコギを弾き始め、音楽の中に自分の存在意義を初めて見つけたらしい。以来曲を書き続け、弾き語りで録音したデモテープを持って、17歳の時にソニーのオーディション通過の末レコーディングに臨んだという。

このアルバムにはバラエティに富んだ楽曲と煌めくメロディの数々が80年代らしい煌びやかな音作りの中で輝いている。そしてベストアルバム並みに名曲の数々が収録されている。10代特有の閉塞感を前例ない位にブチまけたM5やM6、切々と歌い上げるバラードの名曲M3とM8。こうした代表曲以外にも、M1やM9も胸に染みる傑作だし、最も好きなM10は私にとってずっと応援歌だった。

このアルバムのキーワードは”街”である。自由を求めて飛び込んだ街の中で厳しい現実に傷付く一方で、出会った恋人との恋愛を通しても成長し、最終的にこの街の中で自分らしく生きていくのだと決意する。そうした起承転結が自分の街を舞台に展開され、聴く者の人生と重ね合わされていく。これを作ったのが17歳というのが未だに信じ難い。

このアルバムは今日まで300万枚売れたという。当時若者の代弁者としてカリスマ的人気を集めながらも、1992年に26歳の若さで急死したが、その後も高い人気がある。以前私は通信制高校の教員をしていたが、軽音部の顧問としてよく不登校だったヤンチャ系の生徒達の相手をしていた。彼らが文化祭ステージでM3を演奏した時は驚いたが、時代を越えても彼の曲は若者に訴える力を持っていたのだろう。

★★★★☆

 

Gallery
  • さようなら五郎さん
  • さようなら五郎さん
  • 大室山 (北丹沢)
  • 大室山 (北丹沢)
  • 大室山 (北丹沢)
  • 大室山 (北丹沢)
  • 大室山 (北丹沢)
  • 大室山 (北丹沢)
  • 大室山 (北丹沢)
Access
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

Categories
Comments