John Lennon

「ジョン・レノン、ニューヨーク (LENNONYC)」

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先日、恵比寿にある東京都立写真美術館で、映画「ジョン・レノン、ニューヨーク(原題:LENNONYC)」を見てきた。John Lennon関係の映画はこれまでも多く製作されてきて、正直またかと思ったのだが、ついまた見てしまった。これは彼が1971年に移住してから1980年に他界するまでの9年間に渡って活動・生活したニューヨークを主な舞台として追ったものである。

当時の未発表映像や画像・音源を織り交ぜながら、時系列でストーリーが進むドキュメンタリーとなっているが、中心になっているのは関係者のインタビュー。本人のインタビューをはじめ、お約束のOno Yoko、当時のミュージシャン、カメラマン、活動家、等々。前半はニクソン政権との闘争時代。急進的な平和活動で国外退去を命じられたJohnが、FBIに尾行や盗聴されていたというYokoやカメラマンの話は生々しい。

後半は別居以降。ドラマーJim Keltnerが回想していた失われた週末でJohnが飲んだくれていた時の様子や、一転家庭人に変身したJohnに仕事の電話を控えたというプロデューサーJack Douglousの話が興味深かった。また一緒にLAに同行したMay Panのインタビューもあったが、さすがに肉体関係があったことには触れられていなかった。

幼いSeanが一番好きな曲だと゛With A Little Help From My Friend゛を口ずさんでいたのは微笑ましかった。その曲のタイトルがなかなか思い出せなかったJohnには苦笑したが。ラストの゛Watching The Wheels゛のアコースティックバージョンも良かった。

最後の「Double Fantasy」製作時に、若者が期待するような怒りがなく大人しいアルバムだという声に対して、「これは10代の若者に向けたものではなく、同じ時代を共にしてきた30・40代の同世代に向けたものだ」と語っていたのも印象的だった。妻子を持ち改めてStarting Overしようしていた彼の意思に改めて触れ、同世代となった自分も頑張ろうと少し元気づけられた次第だった。


「ノーウェア・ボーイ ひとりぼっちのあいつ (Nowhere Boy)」

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ザ・ノーホエア・ボーイズ サントラ エディ・コクラン ビッグ・ママ・ソーントン ジーン・ヴィンセント アーロン・ジョンソン ジョン・レノン&ザ・プラスティック・オノ・バンド ジェリー・リー・ルイス ディッキー・ヴァレンタイン ジャッキー・ブレンストン エルヴィス・プレスリー

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 今年は生誕70年、没後30年ということで、作品群もリマスターでリリースされたりと、関連書籍も多数出版されたり、何かと話題になったJohn Lennon。ミュージアムには行ったが特にそうした商品には手を出さなかったが、この映画だけは気になっていたため、先日ようやく上映していた映画館に予定を合わせて観に行ってきた。新宿のKs Cinemaのレイトショー。事前に取った整理券も4番、小さな館内にも空席だらけ。もっと宣伝すれば一杯になるはずだし、全国一斉ロードショーになってもおかしくないのに、もったいない。

 さて、観賞後の感想としては、非常に良い映画だった。この映画が描いているのは1950年代のリバプールにおける彼のグラマースクール時代。厳格なMimi伯母さんの元で育てられていたところ、George伯父さんの葬式をきっかけに、実の母Juliaが近所に住んでいたことを知る。そして奔放な彼女から影響を受け、バンジョーの弾き方やRock&Rollを教わるにつれ、音楽の才覚に目覚めていく。しかしやがて彼女が自分を捨てた経緯を知り、居場所を失うことになる。女性監督だからこそか、そうしたJohnの心の揺れを非常に巧く描いている。

 2人の母親を持ちながらも、母親の愛情に飢えていた彼の複雑な境遇は、彼の人格形成や女性との付き合い方にも影響を与えていたことが分かる。またとりわけ彼の後の音楽キャリアにとって、Juliaの影響は計り知れない。

 John役のAaron Johnsonも非常に好演だった。話し方やファッションも良く似ていた。PaulとGeorgeに関してはとても似ているとは言い難かったが、3人が゛In Spite Of All Danger゛をレコーディングをしている様子は非常に良かった。彼らは後に世界の頂点に立ち、世の中の音楽に革命を起こし、歴史に最大の名を刻むわけだが、きっとJohnはこうした自分の音楽を誰よりもJuliaに聴かせたかったに違いない。


John Lennon Museum



 先日、埼玉スーパーアリーナにあるジョン・レノンミュージアムに行ってきた。ここは前から気になっていたのだが、今年の9月に閉館されてしまうということで、今回急いで足を運ぶことにした。別に閉館しなくてもいいのではないかと思っていたが、なんでもここはOno Yokoの許可のもと2000年より開設されたが、Johnの魂はより多くの人に共有されるべきであるため、また違う場所に移すのだという。

 ここにはJohnの生誕から少年時代、ハンブルグでの修行期、The Beatles活動期、解散後のソロ期など、年代順に展示がされており非常に見やすかった。そして何よりもその予想以上の展示物の数々に驚かされた。愛用のリッケンバッカーや、実際に着ていた初期の革ジャン、「Sgt. Pepper」の黄色い軍服、あの印象的な丸眼鏡、アビーロードスタジオにあったミキサー、本人のクレジットカードなどまで置いてあり、終始目を奪われっぱなしだった。何よりも感動したのは、私の大好きな“In My Life”や、“Nowhere Man”、“If I Fell”、さらには“Starting Over”といった名曲の数々の歌詞の生原稿が鎮座していたことである。完成形の歌詞もあれば、その後手直しを入れたであろうものもあり、長年親しんだ名曲の誕生が目の前にあることに、深い感慨を抱かずにはいられなかった。きっとNew Yorkのダコタハウスなどから運ばれたのであろうこうした遺品の数々は、一つでもオークションにかけた日には即座に億単位の値がつくだろうなんて、考えるべきではないのだが思わず考えてしまうのだった。


  
 1980年の晩年に関しては、5年の沈黙の末に再び創作意欲を取り戻し「Double Fantasy」のレコーディングに取り組んでいく様子が日付を追って展示されていき、12月8日で終わっていた。これで順路は終了かと思いながら廊下を曲がった先に、広くて真っ白い部屋に一面に生前のJohnの歌詞からの言葉がびっしりと書き連ねられていた。これには思わず引き込まれてしまい、一つ一つの言葉を目で追った。こうした演出にこのミュージアムの意図と工夫が表れていた。

 ただ展示の中で気になったのは、60年代末のコーナーにおいてThe Beatlesの活動に関するものはほとんどなく、Ono Yokoの前衛アートや2人の平和活動ばかりが取り上げられていたことである。確かにこの時期のJohnの意識はThe Beatlesの外に向いていたし、このミュージアムに寄贈しているのはOno Yokoであるわけなので仕方ないのだろうが、「Abbey Road」やホワイトアルバムなどJohnとしてもグループとしても素晴らしい作品を作っていた時期であっただけに少し残念だった。

 またいくつか触れていない事柄も多く、暗殺されたということに関してはどこにも記載されていなかった。また大量摂取し作品にも影響を与えていたドラッグに関してや、失われた週末にはMay Pangという愛人がいたこと、主夫時代も夫婦仲は悪くかなり自堕落な生活だったことなども勿論カットされており、綺麗にまとまっているという印象だった。これはこのミュージアムに限らず、死後彼に関する多くの記述について言えることではある。子供たちへの影響もあるため仕方ないのかもしれないが、個人的には「John LennonはLove & Peaceの偉人なんです」と言われると違和感を感じてしまうのである。

 しかし何だかんだ言いながら、結局この日隅から隅まで解説を読みながら回り、気づいたら4時間も経っていた。彼のあらゆる音源や映像、書籍などを自由に楽しめるラウンジなんてのもあり非常に楽しめた。いずれ我が子にも見せたいくらいだが、今回の閉館はつくづく残念である。もしファンであれば是非閉館までに行ってみることをお勧めする。


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