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『パリが愛した写真家 ロベール・ドアノー 永遠の3秒』

doisneau

以前取り上げたこともある写真家ロベール・ドアノーのドキュメンタリー映画が上映されていたので、東京都写真美術館へ観に行ってきました。

彼はフランス・パリ郊外ジャンティイ出身。最初はルノーの工場内記録係として勤務した後に独立。戦後再興するパリの街角や逞しく生きる庶民の生活を撮り続けました。ヴォーグなどのファッション誌用にも撮っていましたが、上流階級のモデルを撮るのは好きではなかったというのも彼らしい。

この映画の監督クレモンティーヌ・ドルティルはロベールの実孫。彼女自身含め、多くの家族や友人が写真のモデルになっていたらしい。有名な「パリ市庁舎前のキス」も役者を使っていたというのも、演出家として考えれば別段特別なことではなかったのでしょう (個人的にこの作品には全く思い入れはないのですが)。

私は彼の初期のモノクロ写真の多くに感じられるユーモアや人々への温かい視線が好きなのですが、後年の作品はカラーになった一方で無人なのが疑問でした。ここには彼の近代開発に対する批判的意図があったようです。

最後には地球の反対側の日本における彼の人気ぶりも紹介されていました。彼は1994年に他界しましたが、今後も彼の作品は世界中で愛され続けていくことでしょう。

ちなみに今同じタイミングで東京工芸大学の写大ギャラリーでロベールドアノー写真展「ドアノーのパリ劇場」も開催されているので、合わせて是非。


坂本龍一 『Merry Christmas Mr. Lawrence』 (1983)

戦場のメリー・クリスマス
坂本龍一
ミディ
1993-09-21





01. Merry Christmas Mr. Lawrence
02. Batavia
03. Germination
04. A Hearty Breakfast
05. Before The War
06. The Seed and The Sower
07. A Brief Encounter
08. Ride, Ride, Ride (Cellier’s Brother’s Song)
09. The Fight
10. Father Christmas
11. Dismissed
12. Assembly
13. Beyond Reason
14. Sowing The Seed
15. 23rd Psalm
16. Last Regrets
17. Ride, Ride, Ride
18. The Seed
19. Forbidden Colors (ft. David Sylvian)

今日は世の中はクリスマス。正直私は娘へプレゼントを買うこと以外はもはや何も感慨もなく、毎年この時期は街中のあらゆる場所で流れるお決まりのクリスマスソングに辟易してしまっています。

そんな中で私の耳が喜ぶ数少ないクリスマスソングの代表格が、坂本龍一の”Merry Christmas Mr. Lawrence (戦場のメリークリスマス)”。1983年の同名映画の有名なテーマ曲です。

今年はDavid Bowieも亡くなってしまったので、映画も改めて観ました。監督は大島渚、主演がDavid Bowieに坂本龍一にビートたけしという豪華キャスト。個人的には実際このような看守と捕虜の友情なんてものが存在するのかというひねくれた思いで観てしまうのですが、何よりも2人の日英の大音楽家が銀幕の中で熱演対峙しているのは見ものです。

またこれはサントラも聴きもの。まずはやはりタイトル曲M1。舞台は南国でしたが、むしろ降りしきる雪景色に似合います。不思議と何度聴いても飽きない名曲です。またDavid Bowieの小さい弟が透き通る声で歌っていたM8や、兵士達による温かい賛美歌M15も良いです。ちなみにこのサントラは数年前に30周年記念盤も出ていました。

 

「Another Day, Another Time: Celebrating the Music of 'Inside Llewyn Davis'」 (2015)

Another Day, Another Time: Cel
Various Artists
Nonesuch
2015-01-20





Disc 1
1. Tumbling Tumbleweed - Punch Brothers
2. Rye Whiskey - Punch Brothers
3. Will the Circle Be Unbroken? - Gillian Welch
4. The Way It Goes - Gillian Welch & David Rawlings
5. The Midnight Special - Willie Watson
6. I Hear Them All | This Land Is Your Land - Dave Rawlings Machine
7. New York - The Milk Carton Kids
8. Tomorrow Will Be Kinder - Secret Sisters
9. You Go Down Smooth - Lake Street Dive
10. Please Mr. Kennedy - Elvis Costello, Oscar Isaac & Adam Driver
11. Four Strong Winds - Conor Oberst
12. Man Named Truth - Conor Oberst
13. Blues Run the Game - Colin Meloy
14. Joe Hill - Joan Baez, Colin Meloy & Gillian Welch
15. All My Mistakes - The Avett Brothers
16. That’s How I Got to Memphis - The Avett Brothers
17. Head Full of Doubt/Road Full of Promise - The Avett Brothers

Disc 2
1. Mama’s Angel Child - Jack White
2. Did You Hear John Hurt? - Jack White
3. We’re Going to Be Friends - Jack White
4. Waterboy - Rhiannon Giddens
5. ’S iomadh rud tha dhìth orm - Ciamar a nì mi ’n dannsa dìreach - Rhiannon Giddens
6. Hang Me, Oh Hang Me - Oscar Isaac
7. Green, Green Rocky Road - Oscar Isaac
8. Tomorrow Is a Long Time - Keb’ Mo’
9. Rock Salt and Nails - Bob Neuwirth
10. The Auld Triangle -- Chris Thile, Chris Eldridge, Paul Kowert, Marcus Mumford, Noam Pikelny & Gabe Witcher
11. Didn’t Leave Nobody but the Baby - Gillian Welch, Rhiannon Giddens & Carey Mulligan
12. Which Side Are You On? - Elvis Costello & Joan Baez
13. House of the Rising Sun - Joan Baez
14. Give Me Cornbread When I’m Hungry - Marcus Mumford & Joan Baez
15. I Was Young When I Left Home - Marcus Mumford
16. Fare Thee Well(Dink’s Song)- Oscar Isaac & Marcus Mumford
17.Farewell - Marcus Mumford & Punch Brothers

先日の「Inside Llewyn Davis」は1960年代初頭のニューヨークのフォークシーンを見事に描いた映画でした。その映画の音楽を再現したコンサートがにニューヨークで開催されていたのですが、この様子が以前WOWOWで放映されていました。

登場するのは主演したOscar Isaacを始め、Marcus MumfordやPunch Brothersなど映画にも出演していた若手たち。またそれ以外にも、Joan Baez、Jack White、Patti Smith、Gillian Welchなど豪華なベテラン勢も登場していました。こうした面子が皆昔のトラッドやフォーク、カントリーやアイルランド音楽などを演奏するのですが、これが本当に素晴らしい。アコギにフィドル、ウッドベースにビオラ。シンプルな編成のアコースティック楽器に乗る見事な歌声とハーモニーに聴き惚れます。このステージで演奏された音楽は、上のCDとなってリリースされています。

ただ映像で面白かったのは、裏手の楽屋の様子がたっぷりと映されていたこと。ここで中心になっていたのが、やはり音楽プロデューサーのT Bone Burnett。アーティスト達の間を歩き回って、優しくも的確なアドバイスを与えていて、アーティスト達から信頼されているのも分かります。

あと、これを見て一番印象的だったのは若いアーティスト達の存在。Mumford & SonsのMarcus Mumford、Punch BrothersのChris Thile、Carolina Chocolate DropsのRhiannon Giddens、等々。最近のシーンは全く知りませんでしたが、昔の音楽がこうした才能のある若い人達に歌い継がれているのを見るのは良いものです。しかも彼らが売れているというのは何とも良い時代になりました。


映画 「インサイド・ルーウィン・ディヴィス」






連休中、特に予定がなければのんびり映画を観るのも良いでしょう。
数年前に少しだけ話題になった 「インサイド・ルーウィン・ディヴィス (Inside Llewyn Davis) 」。1960年代前半に活況を呈したフォークリバイバルの震源地だったニューヨークのグリニッジビレッジの当時の様子を描いた映画です。

主人公のモデルは原作の自伝を書いたDave Van Ronk。デビュー前のBob Dylanの良き先輩でしたが、彼自身は成功とは遠い存在でした。監督がCohen兄弟だったこともあり、映画はそこそこ話題にはなっていましたが、Dave Van Ronkが好きでこの映画を観た人はほとんどいなかったんじゃないでしょうか。

ストーリー自体は大した盛り上がりもなく、Daveのうだつの上がらない様子が淡々と描かれているのですが、グリニッジビレッジのガスライトカフェや大物マネージャーAlbert Grossman等の当時のフォークシーンについてはかなりリアルに再現しているので、フォークファンには楽しめました。

で、この映画の見所というか聴き所は随所で演奏される音楽。音楽監督がT Bone Burnettなので抜かりありません。主人公役のOscar Isaccの歌声は若干本物よりも綺麗めですが、文句ない演奏を聴かせていました。また劇中登場していたPPMやClancy Brothers役の人達も見事なハーモニー。最後にDylan役が歌っていた”Farewell”については、サントラに未発表バージョンも収録されています。

 

映画 『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』

paco

2014年に66歳という若さで急逝してしまったフラメンコギターの大御所パコ・デ・ルシアのドキュメンタリー映画が上映されていたので、渋谷のBunkamuraへ観に行ってきました。

本当は8/1の夜に行けば「マチネの終わりに」の作家 平野啓一郎氏とギタリスト鈴木大介さんの対談もあったのですが、仕事が終わらなかったので泣く泣く諦めました。

映画の冒頭は彼の子供時代。若い頃からいかに秀でていたかが分かります。でも、ギタリストであった父からリズムの大切さを教わったのに、父のリズムがズレていることを指摘したら怒られたり、兄ペペ・デ・ルシアと共にホセ・グレコのアメリカツアーへ参加するはずが、年齢が若過ぎたために置いてけぼりにされたり、ちょっと可哀想(笑)

中盤はデビューから成功への過程。巨匠サビーカスから模倣ではなく自分自身のギターを演奏するようアドバイスを受けたことよって開眼し、積極的に他ジャンルとの融合を図りフラメンコに革命を起こします。しかしこの結果サビーカスからそれはフラメンコではないと批判を受けてしまいます。これまたちょっと可哀想(笑)

終盤はマジョルカ島で独り暮らしの晩年。他のミュージシャンを招いてレコーディングをする様子や、彼の冗談好きな面が語られていましたが、やっぱりどうしても孤独で気難しい印象は拭えず(笑)

ただこの映画の監督はパコの実の息子なんですね。こんな誇るべき自身の人生の全てを息子に語り切ったパコの晩年は、やっぱり幸せなものだったはずだと思いました。

このように彼の功績とその裏話の数々を知ることの出来るこの映画ですが、何と言っても彼の素晴らしい音楽と演奏を大スクリーンで堪能出来ることが最大の魅力ではないかと思います。




 

「Malcom X (マルコムX)」(1992)

マルコムX [DVD]
デンゼル・ワシントン
パラマウント ジャパン
2005-03-01





私は大学時代に「黒人英語」を研究していた。英語学を専攻していて、卒論のテーマとして選んだのだった。元々は英語を話せるようになりたいという浅はかな考えで入った私にとって、学問としての英語学はやりたいこととはちょっと違った。だが入ったからには卒業しなければいけないので、バスケや音楽などで興味を持った黒人の英語について取り組むことにした。統計のために色々データを取る必要があり、多くの黒人映画や音楽を漁ったのだが、その中で最も印象に残ったものの1つがこの映画だった。

監督はスパイク・リー。初めて黒人の映画監督として成功し、それまでストリートにおける黒人の生活や社会問題を描いてきた彼が手掛けた一世一代の大仕事がこの「マルコムX」だった。彼得意の黒人文化の映像描写の中で繰り広げられる、人種差別問題に対して過激に挑んでいく一人の黒人青年の伝記。ここで演じている デンゼル・ワシントンの熱演は見物で、立ち振る舞いや話口調は本物としか思えないほどだ。

「400 hundred years is long enough. I think it’s time to stand up ! I think it’s time to stand up !!」 私はデータ取りのために彼のセリフを書きとめ続けていたので、今でも多くのセリフを覚えている。アメリカの黒人は16世紀の建国後にアフリカから奴隷として連行されてきた。その後400年もの間彼らに人権は与えられなかった。1960年代の公民権運動の高まりの中で、あくまでも平和的に訴えたキング牧師とは対照的に、マルコムXは過激な思想を説いて抑圧されてきた黒人達の熱狂的な支持を集めた。そうならざるを得ない時代背景があったわけだが、結局彼も銃弾に倒れたのだった。

私はその後大学を1年休学してアメリカに留学した。向こうで実際に黒人達と触れ合い一緒にバスケをしたりした一方で、色んな文献を読み漁りデータも取った。そして帰国後英語で論文をまとめ、最終的に次のように結論した。「黒人英語における簡略化はルーツであるアフリカ言語に起因する。従ってそれが彼らの言語能力の低さや唇の厚さであるとする見方は全く根拠のない偏見である」

先月アメリカでまた差別主義の若い白人が南部の黒人教会で銃を乱射したというニュースが流れた。また昨年から警察による暴力も取り沙汰され、大規模なデモに発展するなど社会問題となっている。マルコムXやキング牧師など多くの偉人が戦い続けてきた人種差別問題が未だになくならないのは本当に悲しいことである。


Robin Williams 急逝

グッドモーニング・ベトナム [DVD]
ロビン・ウィリアムズ
パイオニアLDC
2000-02-25



盆に休みを取り、家族で船に乗って島へ渡る予定だったのだが、
タイミング良く台風直撃。色々調べて予約取るのも苦労したのに全てパーに。日頃の行いが悪いのだろうか…。

そこへ1つ悲しいニュースが。私が最も好きだった俳優Robin Williamsが亡くなったという。享年63歳という若さだった。

今はあまり映画を見なくなってしまったものの、若かった90年代には色々観ていた。その中で彼の作品は特に多かった。30代でデビューと遅咲きだったが、1987年の「グッドモーニングベトナム」でその天才的なトークと演技により一躍脚光を浴びてからは売れっ子に。数多くの作品で主演したが、そのどれもが笑いと感動に溢れた素晴らしいものばかりだった。

今回の死因は重度のうつ病による自殺だという。元々彼はアルコール依存症でリハビリ施設にも入院していて、復帰してこれからという矢先だった。あの演技の裏側にどれほどの苦しみを抱えていたのだろうか。

ご冥福を祈ります。

以下は個人的な彼の映画ベスト10。

1. パッチアダムス (1998)
2. グッドモーニングベトナム (1987)
3. レナードの朝 (1990)
4. ミセスダウト (1993)
5. グッドウィルハンティング (1997)
6. 聖なる嘘つき (1999)
7. いまを生きる (1989)
8. バードケージ (1996)
9. ジャック (1996)
10.ストーカー (2002)

 

Stomp 「Stomp Out Loud」 (1997)

Stomp Out Loud [DVD] [Import]
Michael Bove
2entertain
1999-10-15


1. Suspension 
2. The Truck 
3. Brooms 
4. Shack (1) 
5. Basketballs 
6. The Kitchen 
7. Waterphonics 
8. Tea Towels 
9. Shack (2) 
10. Buckets 
11. Poles 
12. Shack (3) 
13. Alley/Bins 
14. Encore 
15. Brooms

ブラジル特集は先週で終わりだが、今日は先週触れたStompについて少し紹介したいと思う。

Stompとはニューヨークを拠点に活動するパフォーマンス集団で、イギリス出身のLuke CresswellとSteve McNicholasの2人によって1991年に創設された。デッキブラシやバケツなど街中にあるガラクタを打ち鳴らすことで、圧倒的なリズムを作り出すパフォーマンスで、ブロードウェイをはじめ世界中で公演を行い絶賛された。

彼らの映像作品はいくつか出ている中で、これが最初のもの。上の2人が監督しエミー賞を受賞したHBOの「Stomp Out Loud」と、アカデミー賞にノミネートされたショートフィルム「Brooms」が収録されている。M3のデッキブラシ、M10の小バケツ、M11のポール、M13の大バケツあたりは彼らの普段のステージの演目として代表的なものだ。それぞれのガラクタでこんな多彩なリズムが生み出せるのかという驚きと、単にリズムを刻むだけでなく10人全員が息の合った動きで魅せるパフォーマンスに圧倒される。またM4のトランプ、M6のキッチン、M5のバスケットボール、M7の排水管など、ステージから離れ街中にも飛び出して、ストリートから生まれたこのパフォーマンスの身近な楽しさを魅せてくれる。

私は渡米中の1997年に初めて彼らのことを知り、2005年の来日公演で初めてそのステージを生で観た。メンバーは流動的なのだが、当時はちょうど日本人パフォーマーの宮本ヤコさんが在籍していて、その日本人離れしたリズム感に酔いしれた。同時に自分もあのステージに立って一緒にやれたらどんなに楽しいだろうと羨ましくもなった。


「Metal Evolution」


Metal Evolution [DVD] [Import]
Various Artists
Eaglevision Europe
2012-11-27


1 話「生誕!ヘヴィ・メタル天地創造」
2 話「勃発!初期アメリカン・メタルと地獄の夜明け」
3 話「伝統!初期ブリティッシュ・メタルの鋼鉄の覇者」
4 話「開花!ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタルの新しい波」
5 話「華激!グラム・メタルの甘い罠」
6 話「激速!スラッシュ・メタルの破壊衝動」
7 話「革命!グランジ・ロックの光と翳」
8 話「新鋭!ニュー・メタルが開く未来の扉」
9 話「戦慄!ショック・ロックの幻想と怪奇」
10 話「猛撃!パワー・メタルと戦士の剣(ソード)」
11 話「進化!プログレ・メタルの深遠なる世界」

ヘヴィメタルの歴史を大局的に取りまとめた一大ドキュメンタリー。WOWOWで放映されていたので録画しておいたのだが、とにかく凄い量で全部観るのに時間がかかってしまった。

このドキュメンタリーの監督はSam Dunn。以前にも「Headbangers Journey」やIron Maidenの「Flight 666」を制作した彼が、熱い情熱を持って世界中を飛び回って作り上げている。300人という世界中の物凄い数のアーティスト達がインタビューに応えており、皆そうそうたるメンツだが、これも彼の熱意の賜物だろう。

また通常こういった企画物は、単に時系列に並べてひどく客観的にまとめていくものが多い。しかしこの企画がそうしたものと大きく異なるのは、Sam監督の主観が大きく方向付けているためである。NWOBHMバンドにパンクの影響を問い詰めたり、Grungeバンドにヘヴィメタルの影響を探ったり。また毛嫌いしているヘアメタルやニューメタルを、メタルのサブジャンルとして背景を探っていく中で新たな魅力を発見していっている。

最も興味深かったのは「パワーメタル」編。Judas PriestIron MaidenRainbowから、ジャーマンメタルやYngwie、そして今日のヨーロピアンメタルまでの系譜を見事に描いてみせていた。また近年のヨーロッパのヘヴィメタルムーブメントの背景には、歴史や伝統を重んじる精神やクラシックの素養があるからであり、これがアメリカ人とは異なるところなのだというのも非常に納得がいった。

最近のヘヴィメタルに対する世の中の再評価の流れには目を見張るものがある。新しいバンドが登場し、新たな雑誌や番組や映画が組まれている。このドキュメンタリーはそうした流れを決定づけたものの1つであろう。


「ロスト・イン・トランスレーション」 (2003)

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アーティストフィルム 2004-12-03
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先日久しぶりに映画を観た。営業先で話題に登っていたので気になっていた一本。フランシス・コッポラの娘ソフィア・コッポラ監督の2作目にあたり、アカデミー賞を総ナメにした作品だという。

中年映画俳優(ビル・マーレイ)と新婚妻(スカーレット・ヨハンソン)が、異国の地で孤独感を共有するるラブストーリー。その舞台として監督が選んだのが彼女が好きだったここ日本。まだまだ英語が通じる人が少ない、もしくは通じても文化の違う日本で生活することの難しさがあることを再認識させられる。その一方で、お寺の読経や生け花、寿司やしゃぶしゃぶ、ゲームセンターやカラオケ、富士山や京都など、外国人の視点による日本の歴史や文化が細かく描かれている。

震災後伸び悩んでいた訪日外国人客も2013年にはようやく念願の1000万人を超えた。しかしこれは他国と比べれば圧倒的に少ない数字で、トップのフランスは8500万人、隣の韓国でさえ1200万人だ。沢山ある魅力をアピールしきれていない日本にとって、またインバウンド旅行業に携わる私のような人間にとって、こうした映画の存在は非常に有難い。

しかしそれに水を差すのが、昨年末の安倍首相靖国参拝である。ただでさえ悪化している周辺国との関係を絶望的なものにし、関係修復に奔走してくれていた米国にも失望されてしまった。我々日本の観光業界のみならず、日本へのアウトバウンドに携わっている海外の旅行業界にとってもこれは大きな損害である。多くの人々の生活を台無しにしてでも自分の信条を押し通すのが国のトップのあるべき姿なのかを今一度問いたい。


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