Female

The Cardigans Live Report 2013



The Cardigans @ Shibuya AX, 28 Nov 2013

ここのところ来日ラッシュで、私もこの1ヶ月だけでも立て続けに3本も入っていた。おかげで財布もめっきり寒くなってしまったが、どれも長年待ちわびていたものばかりなので、見逃すわけにはいかない。今回はThe Cardigans。昨年サマソニで来ていたが、単独としては14年振りである。

渋谷AXは初めての会場。仕事が終わってから急いで向かいギリギリ到着。スタンディングの場内は、そこそこ人が入っていた。30代の人がほとんどだったようである。ステージは楽器が置いてあるだけの非常にシンプルなセッティングだったが、開演後は様々な見事なライティングで楽しませてくれた。7時過ぎに暗転しメンバー登場し、”Erase/Rewind”でスタートした。

中央にボーカルのNina、黒の上下で頭には大きな緑色のリボンをつけている。歳はもう私と同じアラフォーなはずで、最近はめっきり落ち着いた大人の女性の雰囲気だったが、この日はかつてのようなイメージに近く、場内からも何度も「カワイー!」と声が上がっていた。

右手にはベースのMagnus。一際大柄な身体の彼が弾く重低音は場内によく響いていた。創設メンバーである彼は反応の良い観客に一番嬉しそうで、終始笑顔で手拍子を煽ったり途中写真をとったりしていた。

左手のギターはてっきりPeterだと思っていたが、Oscarという別人だったことを知ってビックリした。理由は分からないが、創設メンバーでありメインソングライターだったPeterがいなかったのは非常に残念だった。ただOscarもとても良いギターソロやコーラスを聴かせてくれていたし、状況に応じてNinaをヘルプしたり、Magnusとも仲良さそうだった。

彼ら自身ライブは昨年のサマソニ以来だったため久しぶりだったはず。なかなか反応の良いオーディエンスに気を良くしたのか、Ninaは「I love you」とか「スゴーイ」とか言っていた。また「I love youって日本語で何て言うの?」との質問し観客が答えると、「そうそうアイシテマス、ダメね、すっかり忘れてたわ」、と。その後、スウェーデン語では何て言うかもレクチャーしてくれていた。”Higher”の時に最初のブリッジの歌詞を間違えていたのもご愛嬌。

グレイテストヒッツショーというお題がついていただけあって、ベストに収録されていた楽曲をほとんど全て網羅していた。初期の曲は懐かしく、「これは199…、何年だったっけ?」「1865年だよ」 というやり取りも面白かった。通して聴くと時代によって音楽性が全く異なるというのを痛感する。ポップな初期、ヘヴィでダークな「Gran Tourismo」、穏やかな「Long Gone Before Daylight」、快活ロックな「Super Extra Gravity」。ただ共通しているのは、どの時代にもとにかく純粋に良い曲を書き続けてきたということである。中でも最も印象に残っているのは、“You’re The Storm”のサビでの空へと突き抜けるようなメロディと、“Give Me Your Heart”の疾走感、“Hanging Around”の最後のギターソロのカッコ良さ等など。

Ninaは基本的に中央の位置から動かずにボーカルに集中していたが、ロックからバラードまで聴きやはり良い声だなということと、ずっとこの声が好きだったなと思い出させてくれた。また“For What It's Worth”ではハーモニカ、“I Need Some Wine”ではカウベルなど、所々で色々な楽器も披露してくれた。しかし途中Ninaはステージ上手に引っ込んでしまい、ギターが日本語MCでつないでいた場面があった。戻ってきた後、「ベース音がダイレクトに上がってくるから辛いのよ、すぐ隣にベースがいるしね」などと言っていた。たまたま音響のセッティングが悪かったからなのか分からないが、以降彼女が少し心配になった。だが最後まで大丈夫そうだったので安心した。

最大のヒット曲“Lovefool”で盛り上がり本編終了。アンコールは本国の人気曲“Communication”の後、これまでずっとライブでは封印していた“Carnival”。私が学生の頃に初めてこれを聴いたのは20年近く前なので懐かしい。会場も当然大盛り上がり。続いては、「これは私達が一番最初に書いた曲よ」と、“Rise & Shine”。Ninaはここでピアニカも披露。“Junk Of My Heart”でしっとりした後は、“My Favorite Game”でハードに締めた。2度目のアンコールは“03:45 No Sleep”。静かな余韻を残して終了したが、個人的には最後は盛り上がって終わってほしかった。とにかく終始バンドと観客が作り出したアットホームな雰囲気に包まれた、非常に良いライブだった。

1. Erase/Rewind
2. Been It
3. Godspell
4. Sick & Tired
5. Higher
6. You're the Storm
7. Live and Learn
8. Little Black Cloud
9. Give Me Your Eyes
10.Iron Man
11.Feathers and Down
12.Less Like Me
13.For What It's Worth
14.Hanging Around
15.I Need Some Fine Wine and You, You Need to Be Nicer
16.Lovefool

Encore:
17.Communication
18.Carnival
19.Rise And Shine
20.Junk of the Hearts
21.My Favourite Game

Encore 2:
22.03.45: No Sleep


The Cardigans 来日

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Cardigans

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Disc: 1
1. Rise and Shine
2. Sick and Tired
3. After All...
4. Carnival
5. Daddy's Car
6. Love Fool
7. Been It
8. Losers
9. War
10. My Favourite Game
11. Erase-Rewind
12. Hanging Around
13. Higher
14. For What It's Worth
15. You're the Storm
16. Live and Learn
17. Communication
18. I Need Some Fine Wine and You, You Need to Be Nicer
19. Don't Blame Your Daughter
20. Godspell
21. Burning Down the House (ft.Tom Jones)

Disc: 2
1. Pooh Song
2. After All... [Demo '93]
3. I Figured Out [Demo '93]
4. Laika
5. Plain Parade
6. Emmerdale
7. Carnival [Puck Version]
8. Happy Meal 1
9. Nasty Sunny Beam
10. Blah Blah Blah
11. Losers [First Try]
12. Country Hell
13. Love Fool [Puck Version]
14. War [First Try]
15. Deuce
16. The Road
17. Hold Me [Mini Version]
18. Hold Me
19. If There Is a Chance
20. For the Boys
21. (If You Were) Less Like Me
22. Slow Down Town
23. Give Me Your Eyes
24. Slow

The Cardigansの単独来日が決定した。昨年Summer Sonicに出演していたが、単独としては14年ぶりになる。

The Cardigansというと、日本では90年代半ばネオアコ時代の"Carnival"や、映画「ロミオとジュリエット」の主題歌としてヒットした"Lovefool"のイメージが強いだろう。しかしそれは彼女らの初期の一面に過ぎず、実際ボーカルのNinaが加入する以前は、Black Sabbathなどを標榜したハードロックバンドだった。以降音楽性は全く変わっていくのだが、その変遷はこのベストを聴けばよく分かる。

特に大きな変化だったのが98年の「Gran Tourismo」。当時初めて試聴機で聴いた時、ディストーションとノイズで歪みまくったギターサウンドに耳を疑ったものだった。ただ実際この作品はダークな中に耽美的な側面も強く、非常に聴き応えのある傑作だった。日本人には受けなかったが、海外では250万枚のヒットとなっている。

この後5年間ほど活動を休止するのだが、2003年に「Long Gone Before Daylight」という非常に穏やかな作品で復帰。さらに2005年の「Super Extra Gravity」ではまた小気味良いロックを聴かせていた。特に上記ベスト2枚目に収録されていた後期の未発表曲は名曲揃いだった。というように近年変化・成長を遂げながら良質の作品を発表し続けているのを知っていると、日本では初期の成功が一過性のブームだけで終わってしまっているのがやるせない。ぜひこの機会に彼女らの魅力が再認識されてほしい。


Susanna Hoffs 「Someday」 (2012)

サムデイサムデイ
スザンナ・ホフス

EMIミュージックジャパン 2013-01-23
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1. November Sun
2. Always Enough
3. Picture Me
4. One Day
5. Holding My Breath
6. All I Need
7. Raining
8. Regret
9. This is the Place
10. True

Susanna Hoffsの新作の国内盤が1月末にようやくリリースされた。本国での発表が昨年7月だから、半年も遅れていたわけだ。最近の国内レコード会社は洋楽に対してあまりやる気が見られないのだが、これについて書き出すと長くなるのでまたの機会に。

さて、彼女のソロが出るのは16年ぶりということだが、別にその間何もしていなかったわけではない。Banglesの最新作が出たのが2011年末だったので、そこからのインターバルは短かった。またその以前にもMatthew Sweetとのコラボも色々あったので、最近実際はかなり積極的に活動をしていたと言える。

今回のパートナーはAndrew BrassellというNashvilleの若いミュージシャンで、ほぼ全曲が彼との共作となっている。Matthew SweetやBanglesといい、彼女は誰かパートナーがいることによって真価を発揮するタイプのようだ。またプロデューサーはMitchell Froom。彼は「Manic Monday」で共演していたことがあったようだが、後年Los Lobosなどのプロデュースによって前衛的な奇才というイメージがあった。なのであまりSusannaの作風とは合わないのではという懸念をしていたが、実際聴いてみると各曲オーケストレーションやホーンなどの非常に効果的なサウンドアレンジがなされていることが分かる 。

で、彼女について書く時はいつも同じになってしまうのだが、本当に彼女は歳を感じさせない。私のかつてのアイドルが、50を過ぎても尚当時と同じ美貌で、同じ甘い歌声を聴かせてくれることは驚きである。しかも今作の楽曲は粒揃いで、全編的に瑞々しくフックのあるメロディに溢れている。アルバムのテーマは雨のようだが、陰鬱さはなく、むしろ新緑に降り注ぐ五月雨のようである。こう言ってはなんだがBanglesの新作を遥かに凌いでおり、いかに彼女が優れたシンガーソングライターかということが証明されている。

だからこそレコード会社さんには、適切なタイミングでふさわしいプロモーションをしてほしいのだ。

★★★★


Norah Jones Live Report 2012



2012. 11.8 (Thu.) @ 日本武道館

Norah Jonesの武道館公演に行ってきた。彼女の本格的な国内ツアーは7年ぶりで、私が見るのは今回が初めて。武道館に行くのも久しぶりで、98年のスマパン以来だ。私の席は南東2階席の最前列。前に邪魔もなくステージが良く見えた。男女比率は同じくらい、年配の人もいたが30代位の人が一番多かった気がする。

19:00に前座のJim Campilongoが登場した。Norah Jonesと一緒に組んでいるカントリーバンドLittle Williesのギタリスト。 ウッドベースとドラムのトリオ編成。もともとLittle Williesサウンドの要は彼だと思っていたが、それを納得させるようなプレイを堪能させてくれた。全編インストだったが、ボーカルの必要が全くないほど彼のギターが歌いまくっており、トリッキーなプレイも魅せてくれた。カントリーギタリストかと思っていたのだが、バラッドやヘヴィなロックまでジャンルも多彩だった。

20分ほどの休憩とどんでん。ステージには天井から折り紙の鶴のような照明がいくつも吊るされ、幻想的な演出がされていた。19:50頃にNorahとバンドが登場。Norahはモノクロの短いワンピースを着てピアノに座り、"Cold Cold Heart"を演奏しはじめた。1stに収められていたHank Williamsのカヴァーだ。曲が終わり「コンバンワ。キテクレテアリガトウ」という日本語MCに拍手がわく。

2曲目"Out On The Road"の後、ピアノから立ち上がる。そして赤いギブソンSGを持って中央に立ち"All A Dream"。個人的には未だピアノの印象が強かったため、ギターのNorahは新鮮だ。ソロでは弦を見ながら一音一音丁寧に弾いていた。次はやはり赤のテレキャスターで"Little Broken Heart"。「ニューアルバムから数曲演ったけど、もう何曲か演るわね。」 正直言うとダークな新作はあまり好きではなかった。私の左隣の男性も新作の曲の間は寝ていた。そんな人は少なくなかったのか、新作曲の後でNorahがキーボードに座り明るい"Chasing Pirates"のイントロをが流れてきた時は場内ひときわ大きな拍手が沸いていた。

再びピアノに戻り演奏された"Creeping In"は原曲とは違うバージョンで、強かったDolly Partonのイメージを払拭していた。その後バンドは引っ込みNorahのソロタイム。一人で"The Nearness Of You"と"Don't Know Why"を弾き語る。美しいピアノの調べとNorahのボーカルの魅力に聞き入った。「愛してまーす!」という観客の声に「Thank you. アイシテル。新しい言葉を忘れてたわ。」と返すと、場内笑い声。

"Miriam"は新作の中でも美しい曲で、ライブではより荘厳さを増していたが、やはりどうしてこんな復讐に満ちた歌詞を乗っけてしまったのかを不思議に思いながら聴いていた。"Stuck"はロングバージョンで最後ギターが長いソロで弾きまくっていた。"Lone star"で本編終了し、メンバー一同並んで深いお辞儀をして退場した。

アンコールはメンバー全員がフロントのマイクの前に集まった。皆アコギ、ウッベ、アコーディオンなど生音楽器を持ち、シールドを通さずに集音マイク1本のみで、"Sunrise"を始めた。この演出には会場も沸き、盛大な手拍子で盛り上がる。そしてそのまま"Come Away With Me"で1時間半のステージが終了した。

正直私はこの新しいバンドに馴染みが全くなかった。Lee AlexanderやAdam Levy、Daru Odaら個性的なメンバーが揃っていた初期のHandsome Bandが好きだった。だがライブを見て30前後の男性ミュージシャンで固めた今のバンドも演奏はとてもしっかりしていた。

またセットリストについてだが、新作発表直後のライブでは新作から全曲披露した後で代表曲数曲のみだったので危惧していた。しかしツアーが進むにつれてセットリストは変化していったようで、結果的に1st アルバムから5曲と初期の曲が多く演奏されたのは良かった。ただせっかくJim Campilongoも来ていたのだから、Little Williesの曲も共演してほしかった。先日Wowowで放映されたLittle Williesのライブは本当に最高だったので、いつかそちらも見る機会があればと願っている。

1. Cold Cold Heart
2. Out On The Road
3. All A Dream
4. Little Broken Heart
5. Say Goodbye
6. Take It Back
7. Chasing Pirates
8. Broken
9. Creeping In
10.Black
11.Carnival Town
12.The Nearness Of You
13.Don't Know Why
14.Sinkin Soon
15.Miriam
16.Happy Pills
17.Stuck
18.Lonstar
Encore
19.Sunrise
20.Come Away With Me


南野陽子 「GLOBAL」 (1988)



1. Hello! Goodmorning
2. 月のファウンテン
3. マイ・ファニー・IVY
4. 土曜日3時ステラ・ホテル
5. カリブヘ行きたい
6. どうやって愛したらいいの?
7. 眠り姫の不幸
8. あなたを愛したい
9. SPLASH
10. さよならにマティーニは禁物
11. マイ・ハート・バラード

懐メロ特集最後は、正真正銘のアイドルものを一つ。これは私が一番最初に買ったアルバムでもある。幼少の頃から家の中では親がThe BeatlesやSimon & Garfunkel、クラシックなんかのレコードをよくかけていて、それらは当時私自身も好きだった。しかし自発的に聴くようになった音楽は、恥ずかしながらこんなアイドルものだった。

当時のアイドルは、浅香唯、中山美穂、工藤静香などいたのだが、その中で私は南野陽子だった。なぜ南野陽子だったのかは今となっては定かではない。ただ小学6年~中学1年の当時の私は、あの笑顔とアゴのエクボにヤラれていたようだ。23歳の誕生日にプロポーズしてくれた人と結婚すると公言していた彼女の言葉に、自分の年齢を計算したりしていた。まさか自分の方が先に結婚するとは思いもしなかったが。

当時はまだCDが出始めていた頃で、まだそれほど普及していなかったはずだ。その証拠に私が買ったのもCDではなくカセットテープだったのだ。我が家にもCDプレーヤーはまだなかったし、父親は依然古いレコードプレーヤーで聴いていた。で、そんなテープなどはとっくの大昔に捨てていたわけだが、先日急に懐かしくなってBook Offで探したらCDで250円で売っていた。

このアルバムは彼女の全盛期のものだと思う。なにしろレコーディングを、海外のニューヨークやバハマで行っている。今聴くと音作りもとてもきらびやかで、ホーンセクションやストリングスなどが散りばめられていたり、ちょっとジャジーな曲もあったりする。そうしたところから、この頃それだけの予算があったことが分かる。

そんな環境作りもあってか、彼女自身もイメージチェンジを行っている。それまではスケバン刑事のような少女のイメージだったのが、このアルバムでは大人の女性のイメージへと変化しているのが分かる。歌詞もM3、M4、M5、M10のように、大人指向・海外指向が強く見て取れる。そしてそんなイメージが私にとっての南野陽子のイメージだった。彼女自身は決して上手い歌手とは言えない。声も細いし、表現力もあるわけではない。しかしその舌足らずで甘い声が、むしろアイドル然としていると言えるし、それが当時は好きだったものだ。懐かしい青春の1枚。

★★★


Bangles 「Everything」 (1988)

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1. In Your Room
2. Complicated Girl
3. Bell Jar
4. Something To Believe In
5. Eternal Flame
6. Be With You
7. Glitter Years
8. I'll Set You Free
9. Watching The Sky
10. Some Dreams Come True
11. Make A Play For Her Now
12. Waiting For You
13. Crash And Burn

次は私の青春のアイドルBangles。昨年末にリリースされた最新作を先日取り上げたが、今日は私の生涯の名盤である3rdアルバムを。

彼女らは80年代に一斉を風靡していた。Susannaを気に入ったかのPrinceが楽曲提供をした゛Manic Monday゛や、コミカルなPVが話題になった゛Walk Like A Egyptian゛などが大ヒットし、2nd「Different Light」で念願の成功を手にしていた。それに続くのが88年リリースのこの「Everything」。しかしこのアルバムは彼女らにとってラストアルバムとなってしまう。

彼女らは60年代、特に初級~中期のBeatlesの影響が顕著である。楽曲自体の影響ももちろんだが、それ以外にも多くの影響が見てとれる。4人全員が歌うことができ、そのためボーカルハーモニーが素晴らしいこと。そのボーカルハーモニーを活かしたメロディアスな曲作りが特徴であること。メンバー全員が曲を書くことができ、それぞれが自分の書いてきた曲でリードボーカルを取っていること、などなど。

実際このアルバムのクレジットは4人平等だ。まずSusannaの曲は、最大のヒットとなったM5。これは聴く度に幸福感に満たされる絶世の名バラード。またM1を歌うSusannaにも当時の少年達は大いにドキドキさせられたものだった。またMicheal Steele(B)も名曲を書いている。古き良き70年代に思いを馳せるM7はノスタルジーに溢れ、M4の静かなマイナーコードには胸が締め付けられる。Vicki(G)とDebbi(Ds)の姉妹も良い曲を書いており、特に綺麗なハーモニーに包まれつつ流れるような疾走感のあるM3とM6は素晴らしい。全編を通して捨て曲がないどころか傑作揃いで、前作までと比べて曲質が格段に飛躍している。また特徴的なのは、アップテンポな曲からスローな曲までどれもどこか明るくなりきれない切なさや哀愁に満ちている点である。無邪気な明るさに溢れていた前作までとはカラーが異なり、成長した大人の雰囲気が漂っている。ちょうどこれからの秋空にピッタリなアルバムである。

しかしこのアルバムからシングルカットされヒットしたのは、ほとんどがSusannaの曲だった。確かに彼女の甘い歌声は個性的であり、魅力的である。またそのルックスとも相まって、世の男性の心を鷲掴みにした。私もその中の1人である。しかしそうした露出と脚光の不公平感がバンドに不必要な緊張をもたらし、解散への道を辿ることになってしまったのだった。だが前述の通りこのバンドは決してSusanna1人のバンドではない。このアルバムを聴けばよく分かる。繰り返しになるが、またバンドとしての来日を期待したい。

★★★★★


Cyndi Lauper 「A Night To Remember」 (1989)

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1. Intro
2. I Drove All Night
3. Primitive
4. My First Night Without You
5. Like A Cat
6. Heading West
7. A Night To Remember
8. Unconditional Love
9. Insecurious
10. Dancing With A Stranger
11. I Don't Want To Be Your Friend
12. Kindred Spirit
13. Hole In My Heart (Bonus Track)

今なお現役で活躍している80年代の女性シンガーとして、次に取り上げたいのがCyndi Lauperだ。

彼女は80年代シーンの象徴的な存在だった。レインボーヴォイスと言われた彼女の歌声は、一聴して彼女と分かる強烈な個性を持っていた。Madonnaのライバルとも目され、世界的に数々のヒットを放った。ただ90年代以降は現役を続けるものの、常にシーンのトップに君臨したMadonnaと比べるとだいぶ水を空けられた印象があった。しかし2010年に発表した「Memphis Blues」で彼女は再び名声を取り戻す。自身のルーツであるブルースを唄ったのが、グラミーを始め各方面から絶賛を浴びたのだった。

彼女のアルバムで一番好きなのは、1989年の本作である。前2作に比べるとそれほど大きなヒット曲がないので、多少地味な印象が持たれがちだが、私にはこれがリアムタイムだったので一番想い出深い。前年に米歌手代表として参加した米ソ・ソングライターサミットに刺激を受けたCyndiが、制作途中だったのを一から作り直したのがこのアルバムらしい。これまでで初めて全曲ラブソングとなっており、楽曲も傑作揃いだ。

まず冒頭に、古いラジオから聴こえてくるかのように雑音混じりで歌声が聴こえてくる。古い伝承歌かと思っていたが、彼女の自作だったようだ。これは本編ラストのM12にもリプライズとして再度流れ、このアルバムを統一感のあるものとしている。そして名曲M2に雪崩れ込む。この曲の高揚感は特別で、若かりし私をいつも深夜の暴走へといざなってくれたものだ。M12から続くM13も同様のアッパーなナンバーで、この2曲がアルバムをロックな印象にしている。ただM13はもともとボーナストラックで、彼女が主演した映画「バイブス秘宝の謎」の主題歌である。

中盤はじっくりと聴かせる名曲が並んでいる。特にバラッドM4はサビの歌い上げの絶唱が素晴らしい。M6やM7も思わず聴き惚れる傑作。M8もSusanna Hoffsをはじめ多く歌い手がカヴァーしている。全体的に硬質でシリアスな雰囲気があり、それまで2作にあったポップでファンなイメージとは少し方向性が異なるかもしれない。しかし彼女が真剣にソングライティングに取り組んだ本気度の感じられる力作だと私は思う。

昨年今年と震災後に来日して日本を勇気づけてくれたことも記憶に新しい。また一昨年にはアルゼンチンの空港で、フライト欠航になり騒然となったところを、「Girl Just Wanna Have Fun」を歌い事態を収束させたというニュースもあった。彼女の歌声は本当に人の心に訴えるものがあると思う。いつまでも歌い続けて世界の人々に笑顔を届けていってほしい。

★★★★


Belinda Carlisle 「Runaway Live」 (1990)

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1 Runaway Horses
2 Summer Rain
3 (We Want) The Same Thing
4 Whatever It Takes
5 Mad About You
6 Circle In The Sand
7 Nobody Owns Me
8 I Get Weak
9 Valentine
10 La Luna
11 Vision Of You
12 Leave A Light On
13 Heaven Is A Place On Earth
14 Our Lips Are Sealed
15 We Got The Beat
16 World Without You
17 Shades Of Michaelangelo

先日のWilson Phillipsからの流れで、またしても懐メロモードに突入。ということで、私の青春のアイドルBelinda Carlisleのこのアイテム。

「Heaven On Earth」の再発で当時のライブDVDが収録されていたが、どうせなら一番好きなアルバム「Runaway Horses」の頃のライブが見たかった。そこで見つけたのがこのタイトルだ。既に絶版となっているのだが、Amazonでギリギリ在庫が残っていた。クレジットがないので正確な日にちや会場が分からないのだが、1990年のライブらしいのでBelindaの髪もバッサリと短い。

バンド編成はギター、ベース、ドラム、キーボードに、チェロ、女性コーラス隊、というラインナップ。Belindaは最初上下白のパンツスーツで登場。綺麗なお姉さんというイメージそのまま。ただアップになるとこの頃すでに30過ぎということあり、流石に顔のシワは見てとれた。歌唱では綺麗な高音と、ロックな曲ではドスのきいたシャウトなどで聴かせてくれた。逆に低音が少し弱いかなと感じたが。

M6からは胸元の広く開いた黒のワンピースに着替えてきた。大人っぽい衣装だったが、足元は裸足でより躍り回っていた。M10からM11ではフラメンコギターを交えながら、しっとりと聴かせる。その後大ヒット曲M12とM13で大盛り上がりで本編終了。1度目のアンコールはGo-Go'sの曲を2曲。2度目のアンコールでは、キラキラのワンピースに、今度はヒールをちゃんと履いて登場。最後は自身の曲M17でしっとりと聴かせて締めた。

「Runaway Horses」発表後ということで、セットリストはそこからが中心となり9曲も入れていたが、M13などの前作までのヒット曲も全て網羅していた。観客も終始盛り上がっており、全盛期の勢いを感じられるライブだった。

あれから20年余り経つが、未だに現役で頑張っているのが頼もしい。一昨年Billboard Liveに来日していた時に見にいけなかったのを改めて悔やんだ。


Wilson Phillips 「Wilson Phillips」 (1990)

ウィルソン・フィリップスウィルソン・フィリップス
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1. Hold On
2. Release Me
3. Impulsive
4. Next to You (Someday I'll Be)
5. You're In Love
6. Over And Over
7. A Reason to Believe
8. Ooh You're Gold
9. Eyes Like Twins
10. The Dream is Still Alive

Beach Boysつながりで今週も1つ。50周年でBeach Boysが注目を集めている今年、それに合わせるような形で活動をまた活発化させているグループがある。それがWilson Phillipsだ。

私くらいの世代の人だと懐かしい名前だ。Wilson Phillipsは1990年にデビューし、大ヒットしていた。Beach BoysのBrian Wilsonの娘であるCarnieとWendy、そしてMamas & PapasのJohn & Michelle Phillipsの娘Chynnaの3人によるグループである。当時中学生だった私は毎週末ラジオのヒットチャート番組を聴いていたが、彼女らの曲がどれかが常にチャートの上位にランクインしていたのをよく覚えている。

懐かしくなってBook Offで探してみたら、やはり250円で売っていた(笑)。改めて聴いてみたが、非常に良く出来たポップアルバムだ。素直でキャッチーなメロディライン、今となっては恥ずかしくなるくらいのポジティブなリリック、そして3人の綺麗なボーカルハーモニー。加えて彼女らのこの美貌だ。これは売れるはずだ。実際M1、M2、M5が全米No.1、M3は4位、M10が12位、アルバムはこれまでで800万枚を売り上げている。ちなみにJoe WalshがM3とM7で、Bill PayneがM3とM10で、さらにSteve LukatherがM7とM9でゲスト参加している。

ただ二世ミュージシャンの常なのだが、彼女らもやはり親の七光りみたいに言われることもあった。しかしクレジットを見て初めて知ったのだが、10曲中6曲は彼女ら自身のオリジナルだったのだ。てっきり他人の曲を歌っているだけのアイドル的なグループだとばかり思っていたので驚いた。なるほど、天才と言われた人の娘たちだ、やはり二世には遺伝するものがあるのだろう。

1992年に2ndアルバムを出した後は、Chynnaがソロとして少し活動した以外はめっきり音沙汰がなかったが、2004年に3rdを出していたようだ。今年は親のバンド復帰に合わせてか、Beach Boysのカヴァーアルバムをリリースしたり、他の子供世代と一緒にBeach Boysのステージに上がったりしている。あやかっていると言ってしまえばそれまでだが、親にとってもこれは最初で最後の祭りみたいなものだ。綺麗な花が添えられていた方が映えるというものだろう。

★★★☆



Norah Jones 「Little Broken Hearts」 (2012)

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EMIミュージックジャパン 2012-04-25
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1. Good Morning
2. Say Goodbye
3. Little Broken Hearts
4. She's 22
5. Take It Back
6. After The Fall
7. 4 Broken Hearts
8. Travelin' On
9. Out On The Road
10. Happy Pills
11. Miriam
12. All A Dream

Norah Jonesの5枚目となる新作。この人は常に新しい音楽に挑戦する姿勢を貫いている。それはまるで自分に貼られた固定概念をあえて壊そうとしているようにも映る。今回は特にジャケットにもそれが顕著である。CDショップに行けば未だにジャズとして扱われているが、彼女の音楽がもはやジャズではないことは明らかである。

曲作りは前作からピアノからギターに持ち替えて行われるようになったが、今回もそれは定着しているようだ。ただ今回Danger Mouseのプロデュース・共作ということだが、最近の音楽に疎い私は正直この人がどんな人かはよく知らない。ただM2のHip HopテイストやM5のヘヴィな音作りは恐らく彼の影響なのだろう。

とにかく全体的にダークな作風なことが印象的だ。シングルになったM10など終盤の数曲以外は、冒頭からマイナートーンに染まったダウナーな曲がひたすら続いていく。失恋がテーマになっているとのことだが、確か以前もそうだったような気がする…。個人的には1stから2ndまでのあの牧歌的な雰囲気が最も好きなのだが、それを望むには彼女の恋愛が上手く行くことを期待しなければいけないのだろうか。

ちなみに11月に7年ぶりに来日することが決まっており、私も武道館のチケットを取っている。今回のツアーの始めの頃は、新作アルバムを1曲目から順に全曲披露した後、最後に代表曲を数曲のみ演って終了というセットリストだったので、正直微妙だなと思っていた。しかし日を追う舞に徐々に過去の曲の比率が増えていっているようなので少し安心した。11月にはどんなセットリストになっているだろう。

★★★


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