Female

Amy Helm 「Didn't It Rain」 (2015)

ディドゥント・イット・レイン
エイミー・ヘルム
ビクターエンタテインメント
2015-09-16


1. Didn't It Rain
2. Rescue Me
3. Good News
4. Deep Water
5. Spend Our Last Dime
6. Sky's Falling
7. Gentling Me
8. Roll Away
9. Sing To Me
10.Roll The Stone
11.Heat Lightning
12.Wild Girl

故Levon HelmにはAmyという愛娘がいました。Levonの晩年のステージにはいつも彼女も一緒に上がりコーラスをしていました。これはそのAmy Helmのファーストソロアルバムです。

もっとも彼女はこの時点で44歳と決して若くはありません。これ以前にもOllabelleというトラディショナルグループで活動していましたが、それも割と最近の話。元々彼女が音楽活動を始めたのは、癌に倒れた父親をサポートしたことがきっかけのようです。

しかし彼女も才能あります。マンドリンを弾きながら父親に負けない位の歌唱力を聴かせ、収録曲もほとんど自作です (プロデュースしたベースのByron Isaacsとの共作ですが)。ロカビリーR&Rからカントリー、ブルースにゴスペル、様々な南部音楽が溶け合う様は正にThe Band。やはり流石Levonの娘です。

ゲストも豪華で、M3とM11ではLarry Campbell、M5とM6ではその奥さんTeresa Williams、そしてM6ではLittle FeatのBill Payneも参加しています。

目玉は何と言っても在りし日のLevonのプレイが聴けること。M5、M9、M11では彼の懐かしドラムサウンドが収められており、特にM5の冒頭では彼のカウントも聴けます。Levonが他界したのは2012年なので、かなり前からこの作品は製作していたようです。

ジャケットの写真を見ると目元が父親によく似ていますね。自分の亡き後を娘が立派に継いでくれた。父親してこんな嬉しいことはないでしょう。

 

Bic Runga 「Anthology」 (2012)

Anthology
Bic Runga
Sony Import
2012-12-04


1. Get Some Sleep
2. Sway
3. Listening For The Weather
4. Good Morning Baby (feat. Dan Wilson)
5. Something Good
6. Roll Into One
7. Drive
8. Bursting Through
9. Say After Me
10.Winning Arrow
11.Hello Hello
12.Suddenly Strange
13.Tiny Little Piece Of My Heart
14.Gravity
15.Ne Me Quitte Pas (feat. CSO)
16.One More Cup Of Coffee (feat. CSO)
17.Everything Is Beautiful And New
18.Something's Gotten Hold Of My Heart (feat. CSO)
19.Precious Things (feat. Tim Finn and Dave Dobbyn)
20.If You Really Do
21.Birds
22.The Be All And End All

最後にもう1人素晴らしい女性アーティストを紹介したい。Bic Runga。彼女はニュージーランド出身。珍しい名前にエキゾチックな顔立ちの彼女は、マオリ人の父と中国系マレーシア人の母を持つ。個人的に私は仕事柄華僑系の東南アジア人女性の知り合いが多いので、彼女にもどこか親近感を感じる。

彼女がデビューしたのは1997年。当時彼女はまだわずか19歳だったが、作詞作曲もプロデュースも全て自分で行っていた。結果”Sway”がアメリカのコメディ映画「American Pie」に使われヒット。アルバムも本国では7プラチナムを記録した。

しかしその後しばらく音沙汰がなかった。2ndアルバム「Beautiful Collision」がリリースされたのが2002年。その5年の間に彼女は自分が本当に満足のいく作品を作るために努力し続けていた。曲作りに活かすために、ギターに加えてピアノやドラム、ドブロにワーリッツァーに至る様々な楽器を習得してレコーディングに臨んだ。アメリカとニュージーランドの5つの街を転々とし、8カ所のスタジオ、12人のエンジニアと仕事をし、本当に納得のいく音作りを目指した。結果2ndは本国で11プラチナムという驚異的なセールスを記録した。

キラキラと輝くような瑞々しいメロディ、綺麗だが芯のある歌声。The SmithやBob Dylanに影響を受けたという歌詞にも、非常に巧い隠喩や描写が光る。デビュー作ではかなりヘヴィな曲もあったりと様々な表現を試していたが、基本的にその後の作品は全体的に落ち着いた雰囲気で方向性が定まっている。妥協することなく、素晴らしい楽曲を書き続けた結果が、このベスト盤である。良い曲ばかりだが、特にM2、M5、M11、M14は名曲。決してコンスタントとは言い難いが、歩みを止めることなく着実に自身のキャリアを積み上げ、彼女は今や自国のアーティストとしては歴代最高セールスを記録している。この彼女の功績は称賛に値するし、こうした音楽をきちんと評価するところにニュージーランドの素晴らしさを感じる。

★★★★

 

Michelle Branch Live Report 2015

billboard

Michelle Branchの来日公演に行ってきた。と書くと、恐らくミーハーに思われてしまうかもしれないが、実は密かに好きなのだ。

彼女は2001年に19歳でデビュー。翌年に登場したAvril Lavigneとともに、90年代に続く次世代のガールズポップムーブメントの象徴的存在だった。ただ色々いた中で、私は彼女のアコギベースの曲作りや素直なメロディライン、あとどこかアジア系の顔立ち(実際4分の1はインドネシアの血を引いているらしい)が印象に残った。そしてSantanaとのラテンコラボと、カントリーデュオのThe Wreckers。これがおじさんのツボにハマった。

しかしその後、結婚・出産のため活動は休止。2010年にEPだけ発表したものの、続いて出るはずだったフルアルバムは結局リリースされず。今年に入ってようやく陽の目を見ることになり、これに合わせて来日も実現したのだった。

インターバルが長かっただけに、会場は少しこじんまりしたBillboard Tokyo。ここはSusanna Hoffs、Belinda Carlisleに続いて3回目で、何故かいつも女性アーティスト。2日目の2ndステージで開演は21:30。ゆっくり残業をしてからでも充分間に合うのは良いのか悪いのか。高い食事はいらないので5Fのカジュアル席に座る。場内はやはり30歳前後位の人が多かったが、意外に私以上のおっさんもチラホラいて安心した。

ステージに4本のアコギしか並んでないのを見て、この日はアコースティックセットなのを初めて知った。Michelleが男性ギタリストChrisと2人で登場。彼女は黒いシルクハットをかぶり、一時期よりもスリムになった感じ。「Thank you very much for coming tonight. 昔から知っている顔も見られて嬉しいわ」と少し話してから”Everywhere”でスタート。

終わるとここでギタリストを紹介。「電車の駅で見つけたのよ」と笑いを取りながらチューニング。「裏のドレッシングルームは物凄い寒かったんだけど、ここはライトで暑いでしょ。だからチューニングが狂っちゃって」2曲目は”Breathe”。ギターの音色も良いが、演奏の音がシンプルな分より彼女の歌が映える。低めの声は思っていた以上に張りがある。

「今娘は9歳になるんだけど、今回初めて日本に連れてきたの。この曲は彼女が産まれた時に書いた曲よ」と言って歌ったのは”Crazy Ride” 。19歳でデビューしたのはつい最近の気がしてしまうが、時が経つのは早いものだ。

基本的にギターと2人だけのステージだが、途中ゲストも登場した。友人だというJoshという男性がステージに上がり、懐かしいAce Of Baseの"All That She Wants"を一緒に歌った。また新曲だという”Knock yourself Out”ではもう1人日本人女性も呼ばれた (後で知ったがRihwaというミュージシャンらしい)。「皆呑んでるんでしょ?だったら歌えるわよね?」と会場も一緒にコーラスを歌った。

何気に毎曲間に話してくれるトークが楽しかった。軽妙に笑いを取りながら、色々な思い出話などを聞かせてくれ、こういうアコースティックセットに慣れているなぁと感じた。

「私は元々The BeatlesとかLed ZeppelinとかFleetwood MacとかSantanaみたいな古いロックが好きだったのね。それがSantanaと演やないかと言われた時は信じられなかったわ。」と始めた”Game Of Love”には場内手拍子も起こり、彼女も喜んでいた。また「テキーラを呑んでSantanaのスーパーギターを聴かせてちょうだい」と煽っていただけあって、Chrisのプレイも素晴らしかった。

The Wreckersの”Leave The Pieces”を演った後に、代表曲”Are You Happy Now”と”All You Wanted”を歌って本編終了。最前列の人にピックを渡したり握手をしながら退散したと思ったら、アンコールにすぐに1人で戻ってきた。「最後にお願いしたいんだけど、ここのカーテン開けられないかしら?せっかくだから最高の夜景を見たいのよ」開いたカーテンから六本木の夜景が見えると、両手を挙げて喜ぶ彼女。そして曲は”Hotel Paper”。

「次はバンドと一緒に来るから、ここにいる皆来てよね」と言い残して、歓声の中ステージを後にした。

1. Everywhere
2. Breathe
3. Crazy Ride
4. You Get Me
5. Empty Handed
6. All That She Wants
7. Goodbye To You
8. Game Of Love
9. Leave The Pieces
10.Knock Yourself Out
11.Are You Happy Now
12.All You Wanted
Encore
13.Hotel Paper

 

The Sundays 「Static & Silence」 (1997)

Static & Silence by DGC 【並行輸入品】
The Sundays
DGC
1997-09-23


1. Summertime
2. Homeward
3. Folk Song
4. She
5. When I'm Thinking About You
6. I Can't Wait
7. Cry
8. Another Flavour
9. Leave This City
10. Your Eyes
11. So Much
12. Monochrome

1990年、ラジオから甘く澄んだハイトーンボーカルが流れてきて、思わず耳を奪われた。どこまでも透明感に溢れているが、どこか明るくなりきらない陰もある。ずっとこの曲を忘れられずにいたのだが、誰が歌っているのかはずっと分からなかった。

何年も後に分かった声の主は、The Sundaysというイギリスのバンドの紅一点ボーカルHarriet Wheelerで、曲は”Can’t Be Sure”。デビューアルバム「Reading, Writing and Arithmetic」の邦題は「天使の囁き」と付けられていたが、そう形容したくなる気持ちもよく分かった。

Harriet嬢はルックスも非常に端麗なのだが、彼女らはそれを武器にしようとはせず、ジャケットにも一切写真を載せなかった。そしてシングルやアルバムが売れ始めたら、周囲が落ち着くまであえてメディアに出ることを控えたという。その理由は、不必要に売れて自分達のコントロールが及ばなくなることが嫌だったらしい。何と堅実なバンドだろうか。

2ndを出した後、彼女らは姿を消した。そして5年後の1997年に突然復活をする。MTVでM1が流れていたのだが、この歌声を聴いてすぐに彼女だと分かった。どうやらその間にHarrietはギターのDavidと結婚し子供をもうけていたらしい。その2人の共同作業でこのアルバムは制作されている。

ディストーションをかけない澄んだ音色のDavidのギターサウンドの上を、さらに透き通るHarrietの声が浮遊する。以前はThe Smithの影響の強いイギリス的でメランコリックな作風だったのが、M1あたりでもう少し明るくポジティブな雰囲気が感じられるのは、彼女らの私生活を反映しているのだろう。小川のように流れるM4も名曲。また子供の頃に白黒テレビで見たアポロ月面着陸を歌った幻想的なM12も印象的で、この曲のノスタルジーが美しいジャケットとタイトルに反映されている。

結局それからまた音沙汰がなくなってしまって久しい。きっと子沢山になり忙しいのかもしれない。しかしまた唐突に復活する日が来るんじゃないかと願っている。

★★★

 

Lisa Loeb & Nine Stories 「Tails」 (1995)

Tails
Lisa Loeb
Geffen Records
1995-09-26


1. It's Over
2. Snow Day
3. Taffy
4. When All The Stars Are Falling 
5. Do You Sleep 
6. Hurricane 
7. Rose Colored Times 
8. Sandalwood 
9. Alone 
10. Waiting For Wednesday
11. Lisa Listen 
12. Garden Of Delights
13. Stay

眼鏡の文学的女性シンガーソングライターLisa Loeb。デビュー当時はまだ眼鏡萌えなどという言葉はなかったが話題になっていたのは、それだけ珍しかったし、彼女の音楽によるところでもあった。デビューアルバムはよく聴いたし、男女問わず勧めた友人の間でもちょっとしたブームだった。

デビューのきっかけは彼女が俳優Eathan Hawkと友人だったため、彼が主演する映画「リアリティ・バイツ」に”Stay”を主題歌として提供したことだ。ところが正式なデビュー前にも関わらず、この曲はみるみるうちに全米No.1を獲得することになる。そうしてその後リリースされたのがこのデビューアルバムだった。

彼女の作曲のベースになるアコースティックギターの音色を残しつつ、そこにNine Storiesという名のバックバンドがシンプルに味付けをしている。中にはM3やM12のようにハードなビートを効かせている曲や、M8のように弾き語りもあるが、全体的にはLisaの爽やかなアコギとキュートなボーカルにNine Storiesの小気味好いロックサウンドが見事に溶け合っている。そして大ヒットしたM13が霞むほどに煌めくメロディの曲ばかりで、特にM1,M2,M7は名曲。

またバンドの名は作家J.D.Salingerの作品のタイトルから付けられており、歌詞も非常に文学的である。そこに繊細で複雑な等身大女性の心情が綴られている。これは当時女性の気持ちを全く理解していなかった若僧にとって教科書のようなものだったし、初めて女性アーティストの歌詞をちゃんと読むきっかけにもなったものだった。珠玉のメロディと、文学性や知性を感じさせる歌詞、そして同時代的なオルタナティブな感覚も持ち合わせているというところは、同年にデビューしたBen Foldsに近いものを感じた。

後年何度も来日したり、ドラマの主題歌になったり、またハローキティが好きなことを表明したりといったこともあり、ここ日本でも安定した人気があるが、一番の要因はやはり眼鏡萌え属性のためなのかもしれない。

★★★★ 


90s Female Pop 名曲10選

私はこの5月が1年の中で最も好きだ。鮮やかなツツジで街は彩られ、適温の風も非常に爽やかで気持ちがいい。というのを本当は5月に入った時に書きたかったのだが、予定外の記事を書くことになり、ツツジももうほとんど散ってしまった…。まぁとにかく、そんな季節に合わせ、少し爽やかな女性アーティストの音楽でも取り上げたかったのだ。

いつも野郎ロックばかり聴いていると疲れてしまうので、たまに気分転換に女性ものを聴いている。特に90年代は多くの女性アーティストが登場した時代だったと思う。Sheryl CrowやAlanis Morissetteらの成功をきっかけに多くの女性シンガーソングライター(SSW)が台頭したし、女性ボーカルを擁するバンドも多かった。そんな中で今日は90年代の爽やかな女性ポップソング10曲を選んでみた。

① Bic Runga  ”Sway” (1997)
ニュージーランドのSSW。映画「American Pie」の主題歌になりヒットした名曲。
 

② The Sundays  ”Can't Be Sure” (1990)
イギリスの寡作グループのデビュー曲。Harriet嬢の天使の囁きが美しい清涼感のある名曲。
 

③ Lisa Loeb & Nine Stories ”Stay” (1994)
眼鏡のSSWデビュー曲。映画「Reality Bites」の主題歌となり全米No.1になった名曲。


④ The Cranberries  ”Ode To My Family” (1994)
どこか淋しげな曲調が彼女らの荒涼としたアイルランドの大地を想わせる。
 

⑤ Sheryl Crow ”Strong Enough” (1993)
シングルではないが名曲。ペダルスティールが良い味を出している。 


⑥ Alisha's Attic ”Indestructible” (1996)
イギリス出身のデュオ。見た目とは裏腹にキュートな魅力に溢れ完成度は高かった。
⑦ Shawn Colvin ”Sunny Came Home” (1996)
NYフォークのベテラン。グラミー賞にも輝いたアコギの心地良い傑作。
https://youtu.be/qfKKBDFCiIA

⑧ Natalie Imbruglia ”Smoke” (1998)
ポップな”Torn”が大ヒットしていたが、個人的にはメランコリックなこっち。
https://youtu.be/JzbjYNUak4I

⑨ Vanessa Paradis ”Be My Baby”(1992)
レニクラ、Johnny Deppら世の男を惑わせた90年代のフレンチロリータ。
https://youtu.be/dZC7PMp-2Qs 

⑩ Natalie Merchant  ”Wonder” (1995)
10,000 Maniacsのボーカルだった彼女のソロデビュー作からのシングル曲。
https://youtu.be/6zpYFAzhAZY


やっぱりたまにこういうのを聴いていると癒やされます。女性ロックソングという選び方もできるのだが、それはまたの機会に。

Heart 「Brigade」 (1990)

Brigade
Heart
Capitol
1990-03-16


1. Wild Child 
2. All I Wanna Do Is Make Love to You
3. Secret 
4. Tall, Dark Handsome Stranger 
5. I Didn't Want to Need You 
6. The Night 
7. Fallen From Grace 
8. Under the Sky 
9. Cruel Nights 
10.Stranded 
11.Call of the Wild 
12.I Want Your World to Turn 
13.I Love You

他の方のブログで取り上げられていたので懐かしくなり、久しぶりに取り出してみたら、そのままヘビロになってしまった。Heartの1990年のアルバム「Brigade」。姉Annと妹NancyのWilson姉妹を中心とするHeartは1976年デビューのベテランで、このアルバムは彼女らの10作目にあたる。

当時ラジオでM2が本当によくかかっていた。この曲はBillboardで全米2位の大ヒットだった。ミドルテンポの耳当たりの良いキャッチーな曲で、コーラスも綺麗だ。しかしこの曲、イギリスでは放送禁止になっている。確かに直接的な意味に取れるタイトルだけど、そういう意味ではないんじゃないかなと、当時の私は思っていた。しかし今回改めて歌詞を読んでみて初めて納得した。女性が行きずりの男性に一夜の情事を求めるのだが、それが実は子供が欲しいがための不倫だったというのだ。Annもこの曲は好きではなかったらしい。

この曲を書いたのはDef Leppardのプロデュースで有名になったMutt Langeだが、このアルバムでは他にもDian WarrenやSammy Hagerなど外部ライターを多く起用している。全体的にパワーバラード系が多いのでポップな印象が強いが、その中でハードロックナンバーが良いアクセントになっている。私が特に好きなのは寂寥感溢れるM8とバラードM13。とにかくアルバム全体として捨て曲はなく、前2作に続き今作も全米3位と大成功した。

ちなみにAnn姐さんはこの時40歳。既にもうあまり若くないのだが、力強さと説得力と艶のあるボーカルが魅力だった。今も現役だが、ルックスはちょっともう別人のようになってしまっているが。

最期に個人的な想い出を1つ。当時中学3年生だった私は、同じクラスに好きな女の子がいた。金のなかった私はCDを買うことはできないので、CDレンタルで借りてきてカセットテープにダビングしていたのだが、好きだったこのアルバムを彼女に聴いてもらいたくて、もう1本ダビングしたカセットテープをプレゼントすることにした。カセット世代の人には分かってもらえると思うが、当時曲目は手書きでケースに書くものだった。そこでM13のタイトルだけは強調して大文字で書いて渡したのだ。結果的にこの想いは通じて上手くいったので良かったが、失敗していたらかなり恥ずかしかったろうと思う。もちろんM2のタイトルを強調していたら、全く違う結果だったかもしれない。

★★★★


Sheryl Crow 「Feels Like Home」 (2013)

フィールズ・ライク・ホームフィールズ・ライク・ホーム
シェリル・クロウ

ワーナーミュージック・ジャパン 2013-09-10
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Sheryl Crowのニューアルバム「Feels Like Home」がリリースされた。前作「100 Miles From Memphis」から3年振りとなる。

前作は60-70年代ソウルへのオマージュ志向の強い作品だった。あれも興味深い作品ではあったが、どこかに少し違和感もあった。今回は居住だけでなくレーベルもレコーディングも全てナッシュビルにしたということで当然のようにカントリーアルバムが出来上がった。だが元々ずっとカントリーロックを演ってきた彼女には、やっぱりこちらの方がしっくりくる。

今作はタイトル通り全編に渡り非常にリラックスした雰囲気になっている。ミドルテンポからバラッドを中心に、穏やかでメロディアスな楽曲が並ぶ。ペダルスティールやアコーディオン、ハーモニカなどの楽器が牧歌的なカントリーテイストを加味し、アットホームな暖かみを増している。そしてどれも非常に曲質が高い。Brad PaisleyやVince Gillといった有名なカントリーシンガー達も作曲やコーラスで参加している。

ただそんな中でM1やM10のようなパンチのある曲をもう少し期待してしまったのも事実。やはり彼女にはメロウな曲や純粋なカントリーだけではなくカントリーロックをガツンと演ってほしいと思ってしまうわけで、ジャケットのような女性らしい服装ではなくバリッとジーンズで決めてもらいたいのだ。全くわがままなファン心理ではあるが。

★★★☆


The Cardigans Live Report 2013



The Cardigans @ Shibuya AX, 28 Nov 2013

ここのところ来日ラッシュで、私もこの1ヶ月だけでも立て続けに3本も入っていた。おかげで財布もめっきり寒くなってしまったが、どれも長年待ちわびていたものばかりなので、見逃すわけにはいかない。今回はThe Cardigans。昨年サマソニで来ていたが、単独としては14年振りである。

渋谷AXは初めての会場。仕事が終わってから急いで向かいギリギリ到着。スタンディングの場内は、そこそこ人が入っていた。30代の人がほとんどだったようである。ステージは楽器が置いてあるだけの非常にシンプルなセッティングだったが、開演後は様々な見事なライティングで楽しませてくれた。7時過ぎに暗転しメンバー登場し、”Erase/Rewind”でスタートした。

中央にボーカルのNina、黒の上下で頭には大きな緑色のリボンをつけている。歳はもう私と同じアラフォーなはずで、最近はめっきり落ち着いた大人の女性の雰囲気だったが、この日はかつてのようなイメージに近く、場内からも何度も「カワイー!」と声が上がっていた。

右手にはベースのMagnus。一際大柄な身体の彼が弾く重低音は場内によく響いていた。創設メンバーである彼は反応の良い観客に一番嬉しそうで、終始笑顔で手拍子を煽ったり途中写真をとったりしていた。

左手のギターはてっきりPeterだと思っていたが、Oscarという別人だったことを知ってビックリした。理由は分からないが、創設メンバーでありメインソングライターだったPeterがいなかったのは非常に残念だった。ただOscarもとても良いギターソロやコーラスを聴かせてくれていたし、状況に応じてNinaをヘルプしたり、Magnusとも仲良さそうだった。

彼ら自身ライブは昨年のサマソニ以来だったため久しぶりだったはず。なかなか反応の良いオーディエンスに気を良くしたのか、Ninaは「I love you」とか「スゴーイ」とか言っていた。また「I love youって日本語で何て言うの?」との質問し観客が答えると、「そうそうアイシテマス、ダメね、すっかり忘れてたわ」、と。その後、スウェーデン語では何て言うかもレクチャーしてくれていた。”Higher”の時に最初のブリッジの歌詞を間違えていたのもご愛嬌。

グレイテストヒッツショーというお題がついていただけあって、ベストに収録されていた楽曲をほとんど全て網羅していた。初期の曲は懐かしく、「これは199…、何年だったっけ?」「1865年だよ」 というやり取りも面白かった。通して聴くと時代によって音楽性が全く異なるというのを痛感する。ポップな初期、ヘヴィでダークな「Gran Tourismo」、穏やかな「Long Gone Before Daylight」、快活ロックな「Super Extra Gravity」。ただ共通しているのは、どの時代にもとにかく純粋に良い曲を書き続けてきたということである。中でも最も印象に残っているのは、“You’re The Storm”のサビでの空へと突き抜けるようなメロディと、“Give Me Your Heart”の疾走感、“Hanging Around”の最後のギターソロのカッコ良さ等など。

Ninaは基本的に中央の位置から動かずにボーカルに集中していたが、ロックからバラードまで聴きやはり良い声だなということと、ずっとこの声が好きだったなと思い出させてくれた。また“For What It's Worth”ではハーモニカ、“I Need Some Wine”ではカウベルなど、所々で色々な楽器も披露してくれた。しかし途中Ninaはステージ上手に引っ込んでしまい、ギターが日本語MCでつないでいた場面があった。戻ってきた後、「ベース音がダイレクトに上がってくるから辛いのよ、すぐ隣にベースがいるしね」などと言っていた。たまたま音響のセッティングが悪かったからなのか分からないが、以降彼女が少し心配になった。だが最後まで大丈夫そうだったので安心した。

最大のヒット曲“Lovefool”で盛り上がり本編終了。アンコールは本国の人気曲“Communication”の後、これまでずっとライブでは封印していた“Carnival”。私が学生の頃に初めてこれを聴いたのは20年近く前なので懐かしい。会場も当然大盛り上がり。続いては、「これは私達が一番最初に書いた曲よ」と、“Rise & Shine”。Ninaはここでピアニカも披露。“Junk Of My Heart”でしっとりした後は、“My Favorite Game”でハードに締めた。2度目のアンコールは“03:45 No Sleep”。静かな余韻を残して終了したが、個人的には最後は盛り上がって終わってほしかった。とにかく終始バンドと観客が作り出したアットホームな雰囲気に包まれた、非常に良いライブだった。

1. Erase/Rewind
2. Been It
3. Godspell
4. Sick & Tired
5. Higher
6. You're the Storm
7. Live and Learn
8. Little Black Cloud
9. Give Me Your Eyes
10.Iron Man
11.Feathers and Down
12.Less Like Me
13.For What It's Worth
14.Hanging Around
15.I Need Some Fine Wine and You, You Need to Be Nicer
16.Lovefool

Encore:
17.Communication
18.Carnival
19.Rise And Shine
20.Junk of the Hearts
21.My Favourite Game

Encore 2:
22.03.45: No Sleep


The Cardigans 来日

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Cardigans

STOCKHOLM RECORDS 2008-01-28
売り上げランキング : 23751

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Disc: 1
1. Rise and Shine
2. Sick and Tired
3. After All...
4. Carnival
5. Daddy's Car
6. Love Fool
7. Been It
8. Losers
9. War
10. My Favourite Game
11. Erase-Rewind
12. Hanging Around
13. Higher
14. For What It's Worth
15. You're the Storm
16. Live and Learn
17. Communication
18. I Need Some Fine Wine and You, You Need to Be Nicer
19. Don't Blame Your Daughter
20. Godspell
21. Burning Down the House (ft.Tom Jones)

Disc: 2
1. Pooh Song
2. After All... [Demo '93]
3. I Figured Out [Demo '93]
4. Laika
5. Plain Parade
6. Emmerdale
7. Carnival [Puck Version]
8. Happy Meal 1
9. Nasty Sunny Beam
10. Blah Blah Blah
11. Losers [First Try]
12. Country Hell
13. Love Fool [Puck Version]
14. War [First Try]
15. Deuce
16. The Road
17. Hold Me [Mini Version]
18. Hold Me
19. If There Is a Chance
20. For the Boys
21. (If You Were) Less Like Me
22. Slow Down Town
23. Give Me Your Eyes
24. Slow

The Cardigansの単独来日が決定した。昨年Summer Sonicに出演していたが、単独としては14年ぶりになる。

The Cardigansというと、日本では90年代半ばネオアコ時代の"Carnival"や、映画「ロミオとジュリエット」の主題歌としてヒットした"Lovefool"のイメージが強いだろう。しかしそれは彼女らの初期の一面に過ぎず、実際ボーカルのNinaが加入する以前は、Black Sabbathなどを標榜したハードロックバンドだった。以降音楽性は全く変わっていくのだが、その変遷はこのベストを聴けばよく分かる。

特に大きな変化だったのが98年の「Gran Tourismo」。当時初めて試聴機で聴いた時、ディストーションとノイズで歪みまくったギターサウンドに耳を疑ったものだった。ただ実際この作品はダークな中に耽美的な側面も強く、非常に聴き応えのある傑作だった。日本人には受けなかったが、海外では250万枚のヒットとなっている。

この後5年間ほど活動を休止するのだが、2003年に「Long Gone Before Daylight」という非常に穏やかな作品で復帰。さらに2005年の「Super Extra Gravity」ではまた小気味良いロックを聴かせていた。特に上記ベスト2枚目に収録されていた後期の未発表曲は名曲揃いだった。というように近年変化・成長を遂げながら良質の作品を発表し続けているのを知っていると、日本では初期の成功が一過性のブームだけで終わってしまっているのがやるせない。ぜひこの機会に彼女らの魅力が再認識されてほしい。


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