ロビー・ロバートソン (Robbie Robertson, 1943-2023) が去る8月9日に他界した。享年80歳だった。
The Band
ロビー・ロバートソン (Robbie Robertson, 1943-2023) が去る8月9日に他界した。享年80歳だった。
ザ・バンド (The Band)の映画「かつて僕らは兄弟だった (Once Were Brothers)」を立川のシネマシティに観に行った。この日は上映後には映画評論家のピーター・バラカンさんと立川直樹さんのトークショーも開催され、軽快ながらも含蓄あるやり取りを堪能させて頂いた。
9月1日(日) Billboard Live Tokyoで行われたThe Weight Bandの来日公演に行ってきた。後期The Bandを支えたJim WeiderとLevon Helm BandにいたBrian Mitchellを中心としたThe Bandを継承するバンドだ。しかも今回はLittle FeatのPaul BarrereとFred Tackettも参加する。16:30スタートの1stステージ。最上階の中央の席に座る。
故Levon HelmにはAmyという愛娘がいました。Levonの晩年のステージにはいつも彼女も一緒に上がりコーラスをしていました。これはそのAmy Helmのファーストソロアルバムです。
土曜の夜の横浜。待ち合わせまでに空いた1時間。せっかくだから、以前から行きたかったバーをちょっと探してみようかと東口へ。ようやく見つけたのがこの店、Last Waltz。70年代のアメリカンロック好きにとっては堪らない場所である。
雰囲気のあるこじんまりした店内には、EaglesやThe Band、Allman Brothers Band、Johnny Winterなど、当時のカントリーロックやサザンロックバンドのポスターが所狭しと貼られていて、思わずニンマリしてしまう。
店内を流れていたのは良い感じのウエストコーストサウンド。マスターに伺うと、往年のEaglesのメンバーが全面的に参加しているJeffrey Comanorというアーティストの1976年の作品とのこと。初耳だ。
また店内に貼られていたポスターで特に気になったのが、70年代のLevon Helm & The RCO Allstarsのライブ告知ポスター。これはマスターがテキサスに行かれた際に仕入れてきたものらしいが、非常に貴重な代物である。そしてかけて頂いたのがThe Bandの”The Night They Drove Old Dixie Down”。ハイネケンを呑みながら至福の時。
まだ早い時間だったため他に客がいないのをいいことに色々話をさせて頂く。マスターがRobbieのいないThe Bandは観るべきではないという友人に従ったことで、80年代の来日を見逃したことを後悔されていること。この手のロック好きには80年代の音作りには違和感を感じたこと。近年音楽をアルバムの曲順でスピーカーから聴くということ行為すら失われつつあること、等々。
このお店のオープンは1997年で丸16年になるとのこと。私も昔こんな店をやってみたいと思っていたものだが、実際にそれをやり続けることはきっと想像以上に難しいことだろうと推察する。これからちょこちょこお邪魔したいので、是非永く続けて頂きたいものだ。
プロローグ 死の時間
1 ターキー・スクラッチからの道
2 ホークとの出会い(成功に血眼になって)
3 敵をみなごろしにする男、ホーク
4 さらなる上昇を求めて
5 ディラン、エレクトリックに転向
6 感じるべきほんとうのもの
7 ザ・バンド
8 分断と征服
9 ラスト・ワルツ
10 ネクスト・ワルツ
長いこと捜し続けていた。絶版になって久しい本書は、どこの中古本屋にもネットオークションにも見当たらなかった。何年もの捜索の末、ようやくお茶の水のDisc Unionで発見した。\4,900とプレミアが付いていたがもはや金額は問題ではなかった。The Bandの伝記本としてはもう一冊「流れ者のブルース」があるが、あちらはあくまでも第三者が書いたものであるだけでなく、著書の批判的論調があまり気に入らなかった。しかしこちらはLevon自身の自伝である。その価値は雲泥の差だ。
Levonは南部の生き証人だ。1940年にArkansas州の綿畑の農家の長男として生まれた。9歳から家業を手伝い、給水係やトラクターの運転をしていた。正に南部ミシシッピデルタの生活を体現しており、厳しい自然環境の中で貧しいながらも逞しく生きる当時の様子が興味深く描かれている。音楽好きな両親のもと、Levonも様々な音楽に触れた。ラジオから聞こえるGrand Ol Opryやブルース、一家で見に行ったBill MonroeやFS Walscot、Sonny Boy Williamson。素晴らしい時代である。やがて自分でもギターを演奏するようになり、妹と組んだコンビでは地区コンテストの優勝を総なめするようになる。そして1958年にドラマーとしてRonnie Hawkinsのバンドに招かれてから、彼のプロとしてのキャリアがスタートするのだった。
その後のあらましは周知の通りだが、The HawksにRobbie、Rickと一人ずつ加入してくる過程はやはり読んでいてワクワクさせられる。そしてこの若いバンドの力量が当時でもどれだけ高かったかが分かる。晩年のSonny Boy Williamsとのジャム、詐欺契約、マリファナによる逮捕、Bob Dylanのバンドを一人抜けたLevonが南部に帰り何をしていたか、 などデビュー前の数々のエピソードも興味深い。
しかしデビュー後は成功とは裏腹にむしろ暗い話題の方が多い。特に著作権などを巡るRobbieとの確執が顕在化していく。そしてこれが最も深刻な状況となるのが「ラストワルツ」である。もうツアーをすることにうんざりし、バンドの解散を華々しく飾ろうとしたRobbie。それに対しあくまでもバンドを続けていきたかったLevon。ここではそんな彼の行動と心情が赤裸々につづられている。 また85年のツアー中にRichardがアルコールで自殺するくだりも壮絶だ。
この著書を書いたのは1995年。再結成したThe Bandはまだ活動していたが、当時は全く売れていなかった。しかしこの時の彼もまだ知らない。自分が晩年グラミーを獲るほどに再び成功を収めることを。そして旅立つ数日前にRobbieと和解することも。
この著書を読んで彼が人生の中で大事にしていたものも分かった気がする。文化や農業といった南部の伝統。関わった人達との友情。そして最後まで音楽を演奏し続けることである。大統領をはじめとする多くの人に愛されたLevon Helm。彼は真のミュージシャンであり、アメリカの心であったと思う。改めてご冥福を祈りたい。
4月19日、御大Levon Helmが癌のため亡くなりました。享年71歳でした。いつかそうした日が来るのだろうとは思っていましたが、まさかこんなに突然に訪れるとは思っていませんでした。
日頃彼のFacebookは常にフォローしていました。今年に入り背骨の不具合でライブをキャンセルしていましたが、復帰してまたコンサートの告知が出ていたのでWoodstockまで見に行けたらなぁと思っていました。それが4月17日に娘のAmyと奥方Sandyから、Levonが癌との闘いにおいてFinal stageにいるとの告知がされました。それまでLevonがまた癌を患っているなんて話は全く聞いていなかったため衝撃的でした。そしてそれから2日後にこの世を去りました。
1940年、南部Arkansas州の農家の生まれ。4人のカナダ人と組んだThe Bandの中で唯一生粋のアメリカ人であり、4人にないものを持っていたのが彼でした。3人のボーカルの中で最も土臭い声の持ち主で、独特でグルーヴィーなドライムスタイルも定評がありました。The Band解散後はソロとして様々なミュージシャンたちとコラボレートしながらキャリアを重ねると同時に映画俳優としても活躍しました。1996年には咽頭癌を患いましたが奇跡的に復帰。そしてその後は続けざまに素晴らしい作品群を発表しグラミー賞も授賞、晩年に再度シーンのトップに返り咲いたわけです。
私にとっても彼は古き良きアメリカの象徴であり、不屈の精神で音楽にこだわり続けたヒーローでした。素晴らしい音楽を今までありがとう。お疲れさまでした。
Hard to believe you are gone now. You and your music have been meant a lot to me. And I’m sure it will be more. I would like to thank you for all you have done. You will be deeply missed. May your soul rest in peace but your beat go on.
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1. Ophelia
2. Back To Memphis
3. Fannie Mae
4. Baby Scratch My Back
5. Evangeline
6. No Depression In Heaven
7. Wide River to Cross
8. Deep Elem Blues
9. Anna Lee
10. Rag Mama Rag
11. Time Out For The Blues
12. A Train Robbery
13. The Shape I m In
14. Chest Fever
15. The Weight
Levon Helm御大の最新ライブCDとDVDがリリースされた。「Dirt Farmer」で完全復活後でのライブ作品としては、CDは以前「MerleFest Ramble」が出されていたが、DVDは初になる。私はブートレッグDVDで「Beacon Theater. NY 7.5.2008」というタイトルを1枚持っているが、これは画角の悪いオーディエンスショットだったため、プロショットのオフィシャルタイトルは待望であった。
さてこれは「Merle Fest Ramble」でも感じていたことだが、まずは御大の元気な姿を見られたことが何よりも嬉しい。真っ白の頭髪や顔に刻まれたシワ、少し曲がった背中などを見ると、やはり歳を感じずにはいられない。しかしかつてのようにマッチドグリップでスティックを持ってドラムセットを叩いている姿、マイクの前に立ちマンドリンを弾く姿は、依然健在だ。そして何よりもしゃがれた歌声に味わいがある。
しかしやはりというか、全セットを通して歌い続けるのは難しいため、他のアーティストたちが立ち替わりフロントに立つわけであるが、これがまた皆素晴らしい。まずはSheryl Crowが登場しM5でかつてのEmylou Harrisを彷彿させるような綺麗な歌声を聞かせてくれている。M6ではオートハープを持ちながらThe Carter Familyも歌っている。彼女は客席からステージに上がり、Levonを賞賛している時も非常に情感がこもっていたのが印象的だった。Buddy MillerとSam Bushも中盤から登場し好演を見せ、ラストではJohn Hyattも登場し大円団となる。アメリカーナ系のベテランミュージシャンの大集合だ。
レギュラー陣も忘れてはいけない。近作のプロデューサーLarry Campbellは、エレキにアコギ、フィドルなど様々な弦楽器を弾きサウンドを全面的に引っ張っている。またLevonの愛娘であるAmy Helmと、Larryの嫁Teressa Williamsもアコギを弾きつつ美しい歌声を聞かせてくれている。特にLarryのフィドルのみをバックに、Levonと3人で歌うM9は絶品だ。他にもベテランブルースマンSammy DavisやDr.Johnにも似たピアノのBrian Mitchell 、ホーンセクション勢など多彩なミュージシャンたちが華を添えている。
欲を言うならば、「Merle Fest Ramble」で聞かせてくれた゛Atlantic City゛や゛Ashes Of Love゛をここでも見てみたかった。また゛Tennessee Jet゛や名曲゛Growing Trade゛などの最新作「Electric Dirt」からの楽曲も聴きたかったので、時期的にもう少し最近のものも見てみたかった気もする。まぁ、とにかく一度でいいから御大のライブを生で見てみたいものである。こうなったらWoodstockまで行くしかないか。
★★★★☆
どうしても読みたかったにもかかわらず絶版になっていたために、中古本屋を散々探してようやく見つけた1冊。都心のDisc Unionで見つけた時は、思わず声を上げてしまった。
この伝記本は、なかなか知りえなかったThe Bandの歴史の全てを事細かに描写してくれている。カナダで生まれ育った少年たちが、本場アメリカ南部出身のロックンローラーRonnie Hawkinsのバンドに加入し、ライブ演奏を学習していった頃。フォークファンを裏切って激しい非難の嵐を浴びるBob Dylanとともに、狂った車輪となって転がり続けた頃。狂騒を離れ、WoodstockのBig PinkでDylanとともに隠遁生活をしながら、自らの音楽を醸成していった頃。デビューするまでにおよそ10年近くを要したわけである。
そしてようやくThe Bandとしてデビューを果たすわけだが、そのアメリカンルーツに足をつけた1st「Music From Big Pink」が話題になる一方で、あえて人前に出ないようにしていたというあたりは、やはり当時のバンド群とは変わっていた存在であった。アルバムを作ってそのプロモーションツアーをすることへの違和感や、Woodstockなどのフェスティバルでの場違い感など、常にショービジネスに対して一歩引いた姿勢を持っていたのが興味深い。
また本書を読んでバンドの一人一人のメンバーのキャラクターがよく見えてくる。実質的なリーダーRobbie、人情派南部人Levon、陽気なRick、学及肌の博士Garth、ナイーブなRichard。それぞれが様々な楽器を操る技巧派なわけだが、こうした一人一人の愛すべきキャラクターを知ることで、より一層このバンドの魅力が大きなものとなった。
しかし一つ気になるのは、筆者のこの伝記を執筆するスタンスである。初期の作品こそ高く評価しているものの、それ以降の作品やショーについてはほとんど酷評を繰り返している。世間で絶賛された「The Last Waltz」ですら、わざわざ当時の評価の低いレビューを引用してきてくれる。確かにそれらは事実なのかもしれないが、これを読むファンとしては残念であった。
さて次は是非ともLevon Helmが自ら記した「ザ・バンド 軌跡」を読みたいところだが、こちらも絶版のようだ。果たして見つかるだろうか。
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