今春は訃報が多かった。ムツゴロウさんこと畑正憲氏も亡くなった。享年87歳だった。
子供の頃はいつも家族でテレビ特番「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」を観ていた。「よーしよしよし、可愛いですね」とライオンなどに噛まれながら笑顔を絶やさないムツゴロウさんの姿はかなり衝撃的だった。しかし大自然の中で動物に囲まれた生活に憧れ、大人になったら動物王国に弟子入りしたいと考えていた。
ムツゴロウさんが脚本・監督で製作した映画「子猫物語」も忘れ難い。北海道の大自然と動物達の交流は強く印象に残り、娘が小さい頃にも一緒に観返した。この音楽を製作したのが、時を同じくして他界した坂本龍一氏だったことを最近になって知った。
ムツゴロウさんの著者を読んだのは大人になってからだった。医学や映画製作から作家への転進、麻雀などのギャンブル好き、動物王国建設への準備などの背景が実直に綴られいて、好々爺というイメージが変わった。
実際に弟子入りに来る若者も多かったようだが、使い物にならなかった者も多かったようだ。人間に対して警戒心の強い野生動物を保護して育てるというのは、簡単なことではない。多様な動物の生態を理解し、愛情と根気をもって汚れ仕事も行った先に、初めて動物達のなつきや誕生に出会える。それを出来るのがムツゴロウさんだった。
RIP