Brazilian

「ジョアン・ジルベルトを探して」

joao

ジョアン・ジルベルト(Joao Gilberto, 1931-2019)、ボサノヴァの創始者。この映画「ジョアン・ジルベルトを探して(Where are you, Joao Gilberto, 2018)」の日本公開が決定したのは6月上旬だったと思う。以来楽しみにしていたのだが、7月7日に流れたニュースに愕然とした。ジョアン・ジルベルト他界。享年88歳だった。

勘違いする人もいるかもしれないが、この映画はよくある偉大な音楽家を讃えるドキュメンタリー映画とは製作意図が全く異なる。元になっているのは、ドイツ人作家マーク・フィッシャー(Mark Fischer)の著書「Ho Ba La La」。これは彼が憧れたジョアンを探してブラジルを訪ね歩いた記録だが、その願いは叶わず本著出版直前に自死を遂げている。この本に共鳴したフランス人監督ジョルジュ・ガショ(Georges Gachot)が彼の意思を引き継いだのがこの映画である。

リオデジャネイロにディアマンティーナ、5年前のマークの足跡を辿る。ミュージシャン仲間、元妻、料理人、理髪師、マークが会ったジョアンを知る関係者を訪ね歩く。10年以上雲隠れしているジョアンを探しながら、同時にマークも探しているかのよう。テレビ、レコードショップ、人々の歌声、リオの街中にジョアンの音楽は流れている。しかしリオにいるはずのジョアンには辿り着けない。

ジョアンに会いたい。ドア越しでもいいから、”Ho Ba La La”を聴かせてほしい。死んだマークのために。そんなジョルジュ監督の想いの詰まった映画だった。


Rio Olympic 2016

brazil

先ほどはサッカー決勝戦を観ていましたが、ブラジル金メダル良かったですね。
連日盛り上がったリオオリンピックも、いよいよ閉幕を迎えます。今回は日本選手のメダルラッシュも本当に凄かったですね。色々なドラマがありました。

競技ももちろんですが、個人的には開幕式の演出も最高でした。毎回オリンピックでは開催国がそれぞれ自国の音楽の演出に凝っていますが、やはりそこはブラジルの真骨頂。ボサノバの生みの親Antonio Carlos Jobimの孫が”イパネマの娘”をピアノで弾いていたり、最後は大御所Caetano VelosoとGilberto Gilがサンバを歌い大いに盛り上げていました。明日の閉幕式も楽しみです。

開催前、ブラジルは政治的にも経済的にも混迷を極めており、一体どうなるのかと思われました。細かいことは色々あったようですが、これだけ世界中を楽しませてくれたブラジルに、ひとまずお疲れ様でしたという感じです。さぁ、次は日本の番ですね。

 opening

Timbalada - ブラジリアン・トライバルリズム

Timbalisimo
Timbalada
Som Livre
2001-09-18


今日はブラジル特集の最終週。サンバ、ボサノヴァと来たが、それだけではないもう少しブラジル音楽の奥深さを紹介したい。

ブラジル音楽で最近注目を集めるようになったのがバイーアである。リオデジャネイロよりも北に位置するバイーアは、近年著名なミュージシャンを輩出してきたが、今日紹介したいグループもこの出身だ。

Timbalada。その名の通りTimbauというアフリカ起源の打楽器を叩き合う総勢200名から成る音楽集団である。彼らの生みの親はCarlinhos Brown、今やブラジルを代表するマルチアーティストだが、彼がアフリカ系貧困層の多い自らの地元バイーアで青年支援の一環として始めたプロジェクトだった。

彼らが最初に注目を集めたのは、1992年のSergio Mendesのアルバム「Brasileiro」だった。この作品を全面的にバックアップしたCarlinhosが、初めてここにTimbaladaを投入した。強烈なパーカッションのリズムは聴く者全てを圧倒し、結果このアルバムをグラミー賞に導いたのだった。

彼ら自身の名前で正式にデビューしたのは1994年。プロデュースはやはりCarlinhosだが、ここには男女のボーカルをはじめギターやキーボードなども加わり、非常に聴きやすいポップスとして完成していた。その後ラップも取り入れていく。伝統と現代を上手くブレンドする手腕は流石Carlinhos。その後彼らはカーニバルの常連となり、アシェーという新しいジャンルとして呼ばれるようになる。

しかし個人的な本音を言うと、私がTimbaladaに一番求めているのは決して完成されたポップスではなく、純粋なトライバルリズムである。それが堪能できるのが以下の映像だろう。アメリカのStompが監修した世界中の打楽器のドキュメンタリー「Pulse」においてTimbaladaはトリで出演している。白くボディペイントした総勢200名がCarlinhosと共に魅せる一糸乱れぬリズムは圧巻だ。

 

Stan Getz / Joao Gilberto 「Getz / Gilberto」 (1963)

Getz/Gilberto
Stan Getz
Verve
2014-05-22


1. Girl from Ipanema
2. Doralice
3. P'ra Machucar Meu Coracao
4. Desafinado
5. Corcovado
6. So Danco Samba
7. O Grande Amor
8. Vivo Sonhando

先週せっかくブラジルを取り上げたので、もう少し引っ張ろう。先週はサンバだったので、今週は最近ハマっているボサノヴァにしてみたい。

ボサノヴァが出来たのは1950年代後半。作曲家Antonio Carlos JobimとギタリストJoao Gilbertoの2人が出会い、サンバを引き継ぐ新しい音楽として生まれた。今日取り上げるのはその2人がジャズサックス奏者Stan Getzと共に録音したものである。もっともJobinの名は前面には出てはいないが。

このアルバムからM1が大ヒットを遂げ、ボサノヴァが世界中に認知されるきっかけとなる。ここで歌っているのが当時のJoaoの若妻で、後にボサノヴァの女王として名を馳せるAstrud Gilberto。元々歌う予定ではなかったらしく、歌い方も素人っぽいが、逆にそこがボサノヴァらしいとも言えるし、この歌声があったからこそ大ヒットが生まれたとも言えるだろう。また他にもM4、M5、M6などボサノヴァ史上有名な曲揃いだ。

また制作中Joaoは、ボサノヴァを理解していないとStan Getzに対して激怒していたそうだ。しかしその微妙なニュアンスの違いも結果的にはジャズボッサという新ジャンルの先駆けとして認知されることになっている。

今年はこのアルバムが発表されてから50周年ということで記念盤もリリースされていた。先週のサンバが夏を熱くする音楽だったのに対して、ボサノヴァは夏を涼しくしてくれる音楽だ。どちらもこれからの季節にはピッタリだろう。

 

Hooray For Brasil

ワールドカップが終了した。正直言えば普段は私も熱心なサッカーファンというわわけではないのだが、W杯の結果報道は見ていた。日本の1次リーグ敗退も残念だったが、それ以上に驚いたのはブラジルの歴史的大敗。エースのネイマールが怪我のために不在だったりと主力を欠いていたとはいえ、このような結果になるとは予想外だった。元々ブラジル国民は、貧困問題の解決がないままW杯が開催されることに対して反対していたわけだが、その結果がこれなら全くいたたまれないだろう。

今日はそんなブラジルを私なりに応援してみたいと思う。確かにサッカーはブラジルの代表的な文化だが、それ以外にもブラジルは様々な魅力的な文化を発信している。その一つが音楽である。アメリカ以上に人種のるつぼで、世界中から様々な人種と民族が移住し融合した結果、実に多くの特徴的な音楽が生まれた。

その代表的なものが、アフリカとヨーロッパの文化が融合してできたサンバである。ただ100年近い歴史があるため、あまりにも奥が深い。今日は応援の意味合いを込めて、あえて国外のサンバを取り上げてみたい。


Nelly Furtadoはカナダ生まれだが、ルーツはポルトガル人。この曲は2004年W杯のテーマソングにもなった。


Mick Hucknall率いるUKブルーアイドソウルグループ。Sergio Mendesの”Fanfarra”のリズムをサンプリングしている。


宮沢和史氏の南国志向によるかなり本格的なサンバ。当時ブラジル公演も行った。

 
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