Folk

映画 「インサイド・ルーウィン・ディヴィス」



連休中、特に予定がなければのんびり映画を観るのも良いでしょう。
数年前に少しだけ話題になった 「インサイド・ルーウィン・ディヴィス (Inside Llewyn Davis) 」。1960年代前半に活況を呈したフォークリバイバルの震源地だったニューヨークのグリニッジビレッジの当時の様子を描いた映画です。

主人公のモデルは原作の自伝を書いたDave Van Ronk。デビュー前のBob Dylanの良き先輩でしたが、彼自身は成功とは遠い存在でした。監督がCohen兄弟だったこともあり、映画はそこそこ話題にはなっていましたが、Dave Van Ronkが好きでこの映画を観た人はほとんどいなかったんじゃないでしょうか。

ストーリー自体は大した盛り上がりもなく、Daveのうだつの上がらない様子が淡々と描かれているのですが、グリニッジビレッジのガスライトカフェや大物マネージャーAlbert Grossman等の当時のフォークシーンについてはかなりリアルに再現しているので、フォークファンには楽しめました。

で、この映画の見所というか聴き所は随所で演奏される音楽。音楽監督がT Bone Burnettなので抜かりありません。主人公役のOscar Isaccの歌声は若干本物よりも綺麗めですが、文句ない演奏を聴かせていました。また劇中登場していたPPMやClancy Brothers役の人達も見事なハーモニー。最後にDylan役が歌っていた”Farewell”については、サントラに未発表バージョンも収録されています。

 

Richie Havens 「Live at Cellar Door (1970)」

Live at Cellar Door (1972)
Richie Havens
Five Star (Cit570)
1995-09-30


1. Can't Make It Anymore 
2. All Along the Watchtower 
3. Helplessly Hoping 
4. God Bless the Child 
5. The Night They Drove Old Dixie Down 
6. No More, No More 
7. Preparation
8. Here Comes the Sun 
9. Fire and Rain 
10. Superman
11. Dolphins 
12. Nobody Knows the Trouble I've Seen/My Sweet Lord

今年はRichie Havensのデビュー50周年になるのですが、The Beatlesと違ってこちらはどうも話題になることはなさそうなので、ここで取り上げたいと思います。

彼は1966年に黒人フォークシンガーとしてデビューしました。彼が一躍有名になったのは1969年のウッドストックフェスティバル。他のミュージシャンの会場入りが遅れたために、予定外にオープニングとして50万人が待つステージに登壇。まるで僧侶のような出で立ちで、アコースティックギターを掻き鳴らしながら”Freedom”を叫んだその熱演は大歓声を浴び、結果ウッドストックの1つの象徴となりました。

その後自身のレーベルを立ち上げコンスタントに作品を発表する一方で、教育や環境問題にも取り組んでいました。93年にはBob Dylanの30周年コンサートに出演し、素晴らしい演奏で再び脚光を浴びています。

今日取り上げるのは70年に行われたライブレコーディング。大観衆を前にして扇情的に演奏をしたウッドストックとは一転し、ここでは小さな会場でアットホームな雰囲気の中で聴かせます。当時のレパートリーはほとんどが有名曲のカヴァーで、George HarrisonやCrosby Stills Nash & Young、Bob DylanやThe Bandらの楽曲を演奏していますが、かなり独自に解釈されたアコースティックアレンジになっています。

Richie Havensの魅力はまず歌声。決して器用なタイプではないですが、その低い歌声は暖かみがあると同時に、1つ1つの言葉を誠実に訴えかけてきます。もう1つの魅力は彼のアコースティックギタープレイ。ソロはもう1人が担当しているので、彼はもっぱらコードストローク専門なのですが、とにかくカッティングがスゴい。普通には真似出来ないくらいに速くて細かいカッティングを聴かせ、特に静かな曲ではこれが聴く人の心を搔きむしります。スタジオアルバムではエレクトリックにアレンジがされてしまっているのですが、このライブではほぼ完全にアコースティックなので、そうした彼の魅力を最大限に味わうことができます。ユーモアのあるトークにも彼の人柄が感じられます。 

2013年に惜しむべくもひっそりと他界してしまいましたが、この50周年を機に再評価されればいいなと思います。

 

Bob Dylan 10 Folk Songs

dylan


さて流れで今週はBob Dylan。ちょうど先月も来日していたばかりだ。ただ私は前回2010年の来日時は観に行ったのだが、今回は行かなかった。前回と同じスタイルのステージならもういいかなと思ってしまった。

最近私はDylanはフォーク期ばかり聴いている。恐らく一般的には彼のロック期の方が人気があるのだろう。実際キャリアのほとんどがロックなのだから当然ではあるし、私も勿論好きだ。しかしフォーク期の楽曲は彼だけのシンプルな生ギターの演奏と歌声が堪能でき味わい深い。また詩に紡がれたメッセージがその印象をさらに強いものにしている。

そんなフォーク期Dylanのお気に入りの10曲を挙げてみた。

① Blowin' In The Wind
② Boots Of Spanish Leather
③ When The Ship Comes In
④ My Back Pages
⑤ The Times They Are A-Changin'
⑥ A Hard Rain's A-Gonna Fall
⑦ Only A Pawn In Their Game
⑧ Masters Of War
⑨ Chimes Of Freedom
⑩ Talkin' New York

①は時代を象徴する名曲。Joan BaezやPPMらとの共演もまた違った魅力があった。②はストーリー描写と情感溢れる歌唱が見事な名曲。③も情景描写と力強い歌唱が見事な名曲。④はバンドサウンドのカヴァーよりオリジナルの方が味わい深いと思う。⑤~⑧はどれも代表的なプロテストソングだが、特に⑧の糾弾っぷりは痛快だった。⑩はWoody Guthrieの影響が色濃い原点的なトーキングブルース。他にも挙げたい曲は沢山ある。

1965年のニューポート・フォークフェスは、ロック界では新しい時代の幕開けとなる事件として捉えられている。しかしフォーク界からの視点で捉えればあのブーイングも十分理解することができるだろう。叶わない望みだろうが、もう一度いつか単独の弾き語りライブを観てみたいものだ。

 

Simon & Garfunkel 「Parsley, Sage, Rosemary and Thyme」 (1966)

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1. Scarborough Fair/Canticle
2. Patterns
3. Cloudy
4. Homeward Bound
5. Big Bright Green Pleasure Machine
6. 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)
7. Dangling Conversation
8. Flowers Never Bend With The Rainfall
9. Simple Desultory Philippic
  (Or How I was Robert McNamara'd Into Submission)
10. For Emily Whenever I May Find Her
11. Poem On The Underground Wall
12. 7 O'clock News/Silent Night

さて先週からの流れで今日はSimon & Garfunkelを取り上げたい。

彼らの出身はニューヨークのフォークシーンである。1964年のデビューアルバム「Wednesday Morning, 3AM」ではPaul Simonのフォークギターのみをバックにした非常にシンプルなフォークを演っている。ただ他と違っていたのは彼らの美しいハーモニーで、それが最も顕著なのが”The Sound Of Silence”だったが、当初は全く売れなかった。

ところがこの曲に勝手にロックのアレンジがされたものが大ヒット。そのため急遽2作目「Sound Of Silence」が制作されている。良作だが、いささか賑やかなフォークロックなプロデュースが彼らの個性に合っていなかった。

私が最も好きなのは1966年の3作目「Parsley, Sage, Rosemary & Thyme」だ。まずこの作品で聴かれる、バックにドラムやベースは入りながらも、あくまでもメインは美しいアコースティックギターの調べと2人のハーモニーに置いている音作りが理想的であり、彼らの魅力を最大限に引き出している。

スコットランド民謡を編曲した冒頭のこの上なく美しいM1。彼らの代表曲であり大名曲M4。M12の当時のニュースに重ね合わされた美しい詠唱は、まるで無情な世界を清めんとするように降り注ぐ真っ白い雪のようである。他にも先週紹介したM8を始め、小美術品のような楽曲が並んでいる。

楽曲やハーモニーの美しさのみならず、Paulの紡ぐ詩にも注目したい。内省的な面が評価されることが多いが、同時にストーリーや情景の描写、社会に対する深い洞察も特筆に値する。異色なのはM9で、Paulはここで強烈にBob Dylanを皮肉っているが、これはフォークロックへの決別でもある。

私は高校生の頃アコギでよくM4やM8を弾いて練習をしていたものだ。教員をしていた頃は、授業の中でM4を弾き語ってみせたりしたが、今の若い子達はS&Gを全く知らないことが残念だった。2009年の彼らのコンサートにも行き確認したが、彼らの素晴らしさはもっと後世に伝えていきたいものだ。

★★★★★

Pete Seeger 逝去

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アメリカンフォーク界の巨匠Peter Seegerが去る1月27日に亡くなった。享年94歳、老衰だったらしい。

彼はWoody GuthrieやLeadbellyらと同時期の1940年代初頭から活動を始め、"We Shall Overcome"や"Where Have All The Flowers Gone?"、"Turn! Turn! Turn!"など数々の名曲を後世に残している。左寄りな姿勢によって50年代には赤狩りにも遭ったが、60年代にはフォークリバイバルを通して自由や反戦のメッセージが再評価され、公民権運動などにも大きな影響を及ぼした。Peter Paul & Mary、Bob Dylan、Joan Baez、Simon & Garfunkelといった後世のフォークシンガー達をはじめ、The Byrds、Ry Cooder、Bruce Springsteenなど多くのミュージシャンにも影響を与えている。

味わい深いバンジョーの音色と低くて暖かい唄声が印象的で、その歌唱力とユーモアセンス、そして真摯な社会的メッセージが聴く人の心を掴んだ。アメリカの音楽と社会に遺した彼の功績に敬意を表したい。

RIP


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