Neurosis

『leave them all behind 2019』

91341 (1)

ハードコアの祭典「leave them all behind」に参戦してきた。今回は10周年記念ということでConvergeとNeurosisのダブルヘッドライナーという豪華なラインナップである。

会場の代官山Unitに16時の開場と同時に入り、自分としては珍しく物販でNeurosisのTシャツを購入する。しかし体力に自信がないため国内の2バンドは見ずに、飯を食べに一旦外へ出て、19時前に再度戻る。この日はSold Outなので場内は満員状態。このクラスのバンドを呼ぶにはあまりにも狭い会場なのが残念だが、近くで見られるのはありがたいことではある。9割以上男性だが、中には女性もいたことに驚いた。

ステージには青いJane Doeのバックドロップ。Thin LizzyやThe Cureなど意外なSEの後、19:10頃にConvergeが登場した。右手からギターKurt Ballow、ボーカルJacob Bannon、ベースNate Newton、後方にドラム。Kirtが”First Light”の静かなギターリフを奏で、一気に激しい”Last Light”へと雪崩れ込む。この日はアルバム「You Fail Me」の再現ということだが、中でもこの冒頭の緩急の流れが最高だ。

その勢いはそのまま”Black Cloud”, ”Drop Out”へと続く。ステージ前は大暴れ状態で、クラウドサーフやステージダイブが繰り広げられている。そんな観客にJacobはマイクを向けて叫ばせていた。

両腕から首まで細身の身体にタトゥーびっしりのJacobは、何かが乗り移ったようにシャウトをし続け、ステージ中央で凄い存在感を放っていた。両脇のKurtとNateの2人も凄腕を魅せながら咆哮を聞かせていた。今回ドラムのBen Kollerが不在なのが残念だったが、数日で30曲以上を覚えてきたという代役のUrian Hackneyも、Benに負けない位の凄まじいドラミングを聴かせてくれていた。

ミドルテンポの”You Fail Me”とスローな”In Her Shadow”でじっくり聴かせた後は最後まで駆け抜ける。アンコールは5曲。最後は”Concubineで大団円。1時間ほどのステージが終了。Jacobは何度もThank youと繰り返していた。

1. First Light
2. Last Light
3. Black Cloud
4. Drop Out
5. Hope Street
6. Heartless
7. You Fail Me
8. In Her Shadow
9. Eagles Become Vultures
10.Death King
11.In Her Blood
12.Hanging Moon
encore:
13.Reptilian
14.Dark Horse
15.Under Duress
16.I Can Tell You About Pain
17.Concubine




次はいよいよNeurosis。30分のセッティングとサウンドチェック。ローディーに混じってSteveとNoahも入念にセッティングしていた。その後開演までの間も、ステージ右手に緑色の頭をしたDaveがずっと立っていた。そして20:40にNeurosisのメンバーが揃って登場した。右手からベースDave Edwardson、ギターScott Kelly、ギターSteve Von Till、キーボードNoah Landis、後方にドラムJason Roader。

そして始まったのは何と”Through Silver In Blood”だった。JasonとSteveが2人で呪術的なリズムを叩く上に、ScottとDaveが邪悪なリフを刻む。2曲目の新曲”Bending Light”の後に続いたのも”The Doorway”。てっきりこの日は一昨年のセットリストで来ると思っていたのが、予想もしなかった展開に1人狂喜した。

過去の名曲には完全に意識を持って行かれてしまうのだが、新曲の間は比較的冷静にステージを見ることができた。Scottはメインボーカルとして一番前に立ち、シャウトしながらレスポールで轟音のリフを掻き鳴らしている。もう1人のフロントマンSteveも咆哮以外で、”Broken Ground”などでは低音でしっかり歌っていた。またボーカルを取らない間は終始後方のスピーカー前で凄まじいフィードバックを聞かせていた。Daveも指弾きで低音ベースを聞かせながら、時折咆哮を上げている。

個人的に最も楽しみにしていたのはJasonのドラムだったが、実際にその破壊力・手数・正確さ・グルーヴ感を目の当たりにして、やはり最高のドラマーだと痛感した。Noahに関しては正直その役どころがあまり分かっていなかったが、キーボード・シンセサイザー・サンプラーなど様々な楽器を駆使した彼のパフォーマンスを見ることで、この音を出していたのは彼だったのかという発見が沢山あった。

元々ここにビジュアル担当のJosh Grahamがいて、バックに映像が流れていたはずだったが、数年前に脱退してしまっていた。しかし演奏自体が凄すぎて何も不足感はなかった。

曲間にはまるで強風のようなSEが常に唸り声を上げていて、Thank youのようなMCも一切なし。先ほどのConvergeは観客とのコミュニケーションもあり、ある種スポーティーな印象だったのと比べると、Neurosisはストイックなまでの完璧主義で彼らの世界観を構築している。ハードコアの2大巨匠のステージは全く対照的だった。

Neurosisは轟音だけではなく、静パートも聴きものである。”Burn”や”Given To The Rising”の中間部での、たゆたうような残響の中での耽美的なパートから、導火線に着火するように一気に動パートへと転換するカルタシスは、他のバンドでは得難いものだった。

最後は”Stones From The Sky”。Steveが静かに歌い出し、徐々に盛り上がりクライマックスへと突き進む。ここでの主役はNoah。キーボードを壊さんばかりに揺り動かして、恐ろしいほどの音響効果を出していた。

22:00頃終了。アンコールはなく、MCも結局最後までなかった。恐らく他のバンドだと不満に感じたかもしれないが、Neurosisのステージにはそれが相応しいと思った。轟音の芸術とも言える唯一無二の世界観に圧倒された一夜だった。もうこれで思い残すことはないな。

1. Through Silver in Blood
2. Bending Light
3. The Doorway
4. A Shadow Memory
5. Locust Star
6. Burn
7. Broken Ground
8. Given to the Rising
9. Stones from the Sky


Neurosis 来日

FIRES WITHIN FIRES (ファイアーズ・ウィズイン・ファイアーズ)
NEUROSIS (ニューロシス)
Daymare Recordings
2016-09-21


先週からNeurosisが来日している。私は今夜の最終公演に参戦予定だ。まさかこんな日が来るとは思っていなかった。

実に19年振りの来日である。前回は2000年の「Times Of Grace」のツアー時、日本で初めて注目されだした頃。私が彼らを知ったのはこの初来日後なので、約18年間待ち続けていたわけだ。

今回は「leave them all behind」という轟音イベントによる招致で、Convergeとのダブルヘッドライナー。今夜Convergeは「You Fail Me」の全曲セットを披露するらしい。これも楽しみだ。

Neurosisも最終日には別セットを用意するという。昨日までのセットリストは昨年のツアーのものなので、今日のセットは恐らく一昨年のセットなのではないかと思われる。ちなみに私の理想のNeurosisセットリストは以下の通り。

1.Suspended In Light ~ The Doorway
2.Under The Surface
3.Purify
4.The Eye Of Every Storm
5.Given To The Rising
6.To Crawl Under One's Skin
7.Stones From The Sky
8.Aeon
9.Water Is Not Enough
10.Through Silver In Blood


Neurosis 「Through Silver In Blood」 (1996)

スルー・シルバー・イン・ブラッド
ニューロシス
HOWLING BULL Entertainmen
2000-05-03




1. Through Silver in Blood 
2. Rehumanize 
3. Eye 
4. Purify
5. Locust Star
6. Strength of Fates 
7. Become the Ocean 
8. Aeon 
9. Enclosure in Flame

今月は流れでポストハードコアを特集していますが、最後はやっぱりこのバンドNeurosisで締めたいと思います。

デビューは1987年。初期は荒削りなハードコアパンクでしたが、1992年の3rd「Souls At Zero」以降サウンドは大きく深化を遂げていきます。ギターリフは重くメタリックになり、キーボード/サンプラーやヴィジュアル担当のメンバーも加わります。さらには弦楽器や管楽器、バグパイプなども毎回参加するようになり、サウンドは破格のスケールアップをしました。

90年代の彼らは作品を重ねる毎に常に前作を上回る作品を作り続けていただけに1枚を選ぶのは難しいですが、最も知名度があり入門的なのは1999年の6thの「Times Of Grace」でしょう。名エンジニアSteve Albiniとタッグを組み始めたのもここからで、別動隊Tribes Of Neurotのアンビエント音楽作品とのコラボレーションという離れ技まで披露していました。

しかし今回はあえて彼らの最も暗黒な世界をご紹介したいと思います。1996年の5th「Through Silver In Blood」。先週のIsisの音楽には一条の光が差していましたが、ここには一切の光はなく、ひたすら死と向き合うような暗闇と絶望の世界が広がっています。

不穏な音とJason Roederらの呪術的なトライバルリズムで導かれるM1では、やがてScott Kelly (G)、Steve Von Till (G)、Dave Edwardson (B)の3人が巨壁のようなリフを響かせながら、代わる代わるボーカルを取り咆哮する。12分もの間じわじわと展開していく中で激しい情念を叩きつけられ続け、神経を病むこと請け合いです。

またM4とM8を聴けば彼らの音楽がただダーク&ヘヴィなだけではないことが分かるでしょう。嵐の前のように静かなアルペジオやピアノで幕を開け、続く暴風雨のような轟音に晒され、最後には全く想像しなかったような壮大なスケールのクライマックスが待っています。それはまるで人類の力も及ぶべくもない大自然の恐怖に対峙したかのような感覚です。

闇の帝王、もしくはヘヴィミュージック界の裏ボス。何かと大仰な表現になってしまいがちな彼らの音楽ですが、きっと聴けば分かってもらえるのではないかと思います。ただ決して万人にお勧めできる音楽ではないので、精神力と免疫のある人に限ります。あと危険ですので老人・子供には聴かせないようにして下さい。


Neurosis 「Live At Roadburn 2007」 (2010)

Live at Roadburn 2007Live at Roadburn 2007
Neurosis

Neurot Recordings 2010-09-30
売り上げランキング : 185544

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


1. Given to the Rising
2. Burn
3. A Season in the Sky
4. At the End of the Road
5. Crawl Back In
6. Distill
7. Water Is Not Enough
8. Left to Wander
9. The Doorway

先日久しぶりにオフィシャルサイトを覗いてみたところ、いつの間にかライブアルバムがリリースされていた。普段いくつかの音楽ニュースサイトをチェックしているにも関わらず、これはどこにも全く話題になっていなかった。まったく、マイナーなアーティストのファンは困る。以前にShrinebuilderのレビューでも書いたが、Neurosisは今私が唯一追っているヘヴィミュージックグループである。もっとこまめにオフィシャルをチェックしなければ。

このライブは2007年に9枚目となる最新作「Given to The Rising」をリリースした直後に出演したRoadburn Festivalの音源である。全9曲、75分という時間の中に彼らの暗黒の世界観が凝縮されている。彼らの最近のキャリアは、前作「Eye Of Every Storm」まで作品を追うごとに徐々にスラッジコアからエクスペリメンタルミュージック的なものへと、つまり動から静へと方向性を変えてきていたが、最新作では再びそのベクトルを動へと戻していた。きっと行くところまで行ったということの反動だったのだろう。今回のライブでは6th「Times Of Grace」から最新作までの4枚から選曲されているが、そうした音楽性の変遷を総括した最近のものとしてはほぼベスト的な選曲と言えるだろう。

Jason Roaderの叩き出す地響きのようなドラムを支柱に、Scott KellyとSteve Von Tillが雷鳴のような怒号とギターリフで幾重にも塗りかさね、轟音の巨壁がうず高くそびえ立ってゆく。その後波が引き静かな絶望の底にいたと思うと、いつしか空気中に充満していたガスに点火するかのように、一気に爆発する。緊張感と閉塞感、サイケデリックのようなカルタシス。CDで聴く巨大なスケール感を完全に再現させている彼らの圧倒的な演奏力に驚かされる。そしてM9のラストはもはや凄まじすぎて恐怖すら覚えた。これはYou Tubeでライブ映像を見てみると、ScottとSteveがかつてのJimi Hendrixのようにアンプの前に立ち反響を使ったフィードバック奏法を利用していたようだ。これを目の前で聴かせられた日には気がおかしくなりそうだ。

実際にはこれらの演奏は、バックスクリーンに写し出されるJosh Grahamのおどろおどろしい映像を背景にして繰り広げられる。是非次はDVDとして映像でライブを見せてほしいものだ。ちなみにJoshのアルバムジャケットも今回も素晴らしい出来栄えだった。一度でいいから来日してくれないだろうか。

★★★★☆


Shrinebuilder 「Shrinebuilder」

ShrinebuilderShrinebuilder
Shrinebuilder

Neurot Recordings 2009-10-20
売り上げランキング : 69216

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


1. Solar Benediction
2. Pyramid of the Moon
3. Blind for All to See
4. Architect
5. Science of Anger

 20代の頃はヘヴィなロックもずいぶん好んで聴いていたのだが、30を超えてからは好みも変わり、ヘヴィものからも距離を置くようになってしまった。そんな中でNeurosisだけはまだ時々無性に聴きたくなることがある。イライラしている時なんかは特にそうかもしれない。サウンド的な重さではなく、精神的な重さと垣間見える芸術性がクセになるのだ。80年代末のハードコアに端を発し、作品を重ねるごとにスピードを殺しヘヴィネスの形を変えながら確立した、プログレッシブなスラッジコアとも呼べる壮大なスケールの世界観は、聴き手を選ぶが唯一無二のものである。

 そんなNeurosisのギター・ボーカルScott Kellyの別プロジェクトということでかねてから気になっていた。これまで彼のソロはNeurosisと同じダークな色彩に彩られながらも、アコースティックな作品が多かった。しかし今回はソロとは違い、バンドとしてのサウンドになっている。しかも一緒に組んでいるメンバーが強者揃いだ。Saint Vitus他のWino、MelvinsのDale Crover、Sleep・OMのAl Cisneros、といったドゥーム系の一級バンドのメンバーが名を連ねている。

 5曲しかないのだが、収録時間は40分近くはある。つまり長尺の曲が多いのだが、曲中幾度となく転調するのはNeurosisにも通じるが、それよりももう少し聴きやすい。ボーカルもメンバーそれぞれが交代で取っていることも、曲に様々な表情をつけることとなっている。ワイルドなドゥームやストーナーロックなパート、壮大なスラッジコアなパート、美しい叙情的なパートなど、集まったメンバーそれぞれの本家バンドの持つ様々なカラーが、幾重にも重なり溶け合っているようである。1回きりのプロジェクトで終わってしまうには惜しいグループである。

★★★☆



Gallery
  • 陣馬山
  • 陣馬山
  • 陣馬山
  • 陣馬山
  • 陣馬山
  • 陣馬山
  • 陣馬山
  • 高幡不動尊
  • 高幡不動尊
Access
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

Categories
Comments