Piano

Faces 「Ooh La La」 (1973)

ウー・ラ・ラウー・ラ・ラ
フェイセズ

ワーナーミュージック・ジャパン 2013-07-23
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1. Silicone Grown
2. Cindy Incidentally
3. Flags And Banners
4. My Fault
5. Borstal Boys
6. Fly In The Ointment
7. If I'm On The Late Side
8. Glad & Sorry
9. Just Another Honky
10. Ooh La La

さて今月は1990年周辺のルーツ系Rock & Rollバンドたちを特集してきたわけだが、締めはこれにしようと思う。当時のこうした若いバンドたちが皆こぞってお手本にしていたのが、The Rolling Stonesと、このFacesである。

ボーカルRod StewartとギターRon Woodという二枚看板を要し、最高にカッコいいRock & Rollバンド。元々2人は60年代末期にはJeff Beck Groupにいたのたが、Steve Mariottを失ったRonnie LaneがSmall Facesの立て直しに2人を誘ったことがきっかけ。そうしてFacesが誕生する。

このバンドの魅力は沢山あるのだが、そのうちの1つにはやはりRodのボーカルが挙げられる。華のあるハスキーボイスに豊かな表現力、加えてあの甘いルックスである。文句ないそのスター性をもって並行していたソロが大成功するのも納得である。

しかしこの当時Rodはバンドよりも完全にソロとしての活動の方が中心となっていた。そのためRodは今作のレコーディングにも、自分の歌入れの時しか顔を出さなかったらしい。M8ではRonnieが、M10ではRonがボーカルを取っていることや、M6がインスト、M3が中途半端で終わってしまっていることも、恐らくこうした状況が影響しているのだろうと思われる。

では今作は駄作かというと、それが全く逆なのがスゴいところだ。まず前半は彼らの得意とするゴキゲンなRock & Rollが展開される。Ronの絶妙なギター、Ian McLaganの弾むようなピアノなど、バンドが渾然一体となった演奏がグルーヴしている。こんな聴く者を踊りたくさせるようなR&Rは最高の証だ。

そして後半は、前述の結果非常にバラエティ豊かな展開を見せるのだが、ここでの主役は影のリーダーRonnieである。彼は本来持っていたアメリカ南部趣向を全面に打ち出し、カントリー/フォーク色が強く出ている。これがまた牧歌的で暖かみがありつつも、どこかもの寂しさも漂い心を打つ。とにかくアルバム全編素晴らしいのだが、最も好きなのはM2とM9である。

しかしリリース直後にRonnieはツアー生活に対する嫌気から、遂にバンドを脱退してしまい本場のアメリカ南部へ渡ってしまう。Facesはその後間もなく解散。Rodはソロに専念し、RonはRolling Stonesに加入する。こうして「Ooh La La」は彼らのラストアルバムとなるのだが、それはまるでThe Beatlesの「Abbey Road」のように末期のバンドが生んだ奇跡の名盤だったと思っている。

★★★★★


Quireboys 「A Bit Of What You Fancy」 (1990)

Bit of What You FancyBit of What You Fancy
Quireboys

EMI Import 2011-02-20
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1. 7 O'Clock
2. Man On The Loose
3. Whippin' Boy
4. Sex Party
5. Sweet Mary Ann
6. I Don't Love You Anymore
7. Hey You (Live)
8. Misled
9. Long Time Comin'
10. Roses & Rings
11. There She Goes Again
12. Take Me Home

先週のCinderellaの「Heartbreak Station」がリリースされたのは1990年だった。この同じ年に同じ音楽性を持ったバンドがイギリスのロンドンからデビューしていた。それがQuireboysである。

この通好みなRock & Rollバンドを、当時HR/HM評論家の伊藤正則氏は「大英帝国の伝統を継承する、誇りと気品を持った救世主」というように褒め称えていた。確かにこのバンドはイギリスのバンドであることに拘りを持っていたし、Rolling StonesやFacesといったイギリスのバンドをルーツにしていた。正則氏の鼻息の荒さもあって、StonesやFacesもほとんど聴いたことがない当時のHR/HMファンは、この渋さが英国の伝統なのかと勘違いをしていた。私もその1人だった。

しかし今考えてみると、それらのバンドや当時のイギリスのパブロックバンドが目指していたのはアメリカ南部だった。彼らが演っていたブルースやカントリー、スワンプやR&Bやゴスペルといった要素は、全てアメリカ南部へのオマージュだったわけである。なので、それを掴まえて英国の伝統とするのは、おかしな話なのである。

そこを正しく認識した上で改めて聴くと、これは本当にゴキゲンなRock & Rollアルバムである。当時ヒットしたM1に代表されるように、バックで縦横無尽に転がるホンキートンクピアノが非常に心地良く、サウンドの要となっている。またハスキーなSpikeのボーカルはRod StewartにソックリだからどうしてもFacesを思わずにはいられない。カントリー曲やゴスペルコーラスのバラードなどもあり、奏でている音楽性は明らかにアメリカンなのだが、ファッションはきっちりドレスアップして胸に赤いバラの花なんて差しちゃうところなんかは、やはり英国人らしいなぁと思う。

ちなみに当初在籍していたギタリストGingerは脱退し自身のThe Wildheartsを結成する。こちらはもっとハードでひねくれたRock & Rollを展開していった。

Quireboysは2ndまでリリースしたが結局大きな成功を収めることはできずに解散する。しかし2000年には再結成し、その後はコンスタントに活動を継続している。一時期同名バンドがいたため、バンド名をLondon Quireboysと改名していたが、今はまた元に戻している。

★★★★


Phil Ramone 逝去



名プロデューサーPhil Ramoneが大動脈瘤のためNew Yorkで亡くなった。享年79歳だった。

Phil Ramoneと聞いて真っ先に思い浮かぶのはやはりBilly Joelだ。77年の名盤「The Stranger」から86年の「The Bridge」までは全てこの人のプロデュースだ。またPaul McCartneyやPaul Simon、Bob Dylanなど彼が手掛けたアーティストは数知れない。

彼のバイオグラフィーを改めて見ていたら、65年のJoao GilbertoとStan Getzの"イパネマの娘"もこの人のプロデュースだったことを初めて知った。またA&Rスタジオの設立、グラミーは14回受章、CDやDVDの普及にも尽力している。彼が音楽界に残した功績の大きさは計り知れない。

彼のプロデュースで私が大好きな曲の1つに、Billy Joelの"Scenes From An Italian Restaurant"がある。この曲の元となったのはカーネギーホール前に実際にあったイタリアンレストランだが、そこはBillyとPhilが初めて出会い意気投合した場所でもある。だから私はいつもこの曲を聴く度に、2人がテーブルに向き合って座り談笑している姿を思い浮かべてしまう。

R.I.P.


Queen 「A Day At The Races」 (1976)

華麗なるレース(リミテッド・エディション)華麗なるレース(リミテッド・エディション)
クイーン

USMジャパン 2011-03-16
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1. Tie Your Mother Down
2. You Take My Breath Away
3. Long Away
4. The Millionaire Waltz
5. You & I
6. Somebody To Love
7. White Man
8. Good Old Fashioned Lover Boy
9. Drowse
10. Teo Torriatte (Let Us Cling Together)

東日本大震災の被災者へのチャリティーアルバムとして発売された「Song For Japan」は、世界中で大ヒットを記録している。収録曲の中でも日本国内で特に注目を集めていたのが、Queenの゛Teo Torriatte (Let Us Cling Together)゛だった。唯一日本語で歌われており、しかもその内容が本当に心に響く。私も昔この曲を初めて聴いた時の感動を今でも覚えている。今回こうした形で再び見直されているのは嬉しい限りである。

彼らの日本に対する思い入れは一際強いものがある。70年代のデビュー時、まだ本国で不遇な扱いを受けていた頃に、唯一熱狂的な歓迎で迎えたのか日本だったのである。そんな日本に対して感謝の意で作られたのが、先の曲なのである。

今回はこの曲が収録されている1976年の5th「A Day at The Races」を取り上げたい。このアルバムはタイトルとジャケットの通り、前作「A Night at The Opera」の対になっている作品である。しかし前作がかの゛Bohemian Rapsody゛を収録していることから(もちろんそれだけではないが)、歴史的名盤の扱いを受けているのに対して、こちらが話題になることはほとんどない。だが個人的な思いを言わせてもらえば、このアルバムは彼らのキャリアで2nd「Queen Ⅱ」と双璧をなす彼らの美学を極めた頂点であると思っている。

冒頭M1のハードロックは彼らの代表曲であるし、M 6はFreddieのゴスペル趣向が満開しこれでもかという分厚いコーラスが盛られた名曲だ。そしてラストは先の名曲M 10。いつも注目を浴びるのはこの3曲だが、このアルバムはそれだけではない。Freddieの物悲しくも美しいピアノが印象的なM 2、Brianのギターに心が洗われる隠れた名曲M3、ワルツで始まり奇想天外な展開を見せるプログレッシブなM4、もはや二大巨頭に全く見劣りしないJohnのM5、Freddieお得意の軽快なM8、ラストへのブリッジとなる浮遊感のあるRogerのM9、と全編に渡り素晴らしい楽曲群がまるでめくるめく絵巻のように続いてゆく。

前作が何が飛び出すか分からないようなバラエティに富んだ作品だったのに比べて、今作は気品と優美にトータルカラーを統一した作品であると感じている。今まで何度聴いてきたか分からないが、自分にとってこれほど全く飽きが来ない作品も珍しい。初めてのセルフプロデュースも大成功だったと言えるだろう。彼らのキャリアは全般的に好きだが、彼らの英国人として気品が感じられるこの5枚目までの第一期を、私は特に愛してやまない。

ちなみにこの5thを含む諸作が今回リマスターで再発されているが、これはまだ未聴なので今度聴いてみたい。またGW中に開催中の「クイーン&MUSIC LIFE展」も是非見に行こうと思っている。

★★★★★


Norah Jones 「…Featuring」

...Featuring...Featuring
Norah Jones

Blue Note Records 2010-11-16
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1. Love Me - The Little Willies
2. Virginia Moon - Foo Fighters
3. Turn Them - Sean Bones
4. Baby It's Cold Outside - Willie Nelson
5. Bull Rider - Sasha Dobson
6. Ruler Of My Heart - Dirty Dozen Brass Band
7. The Best Part - El Madmo
8. Take Off Your Cool - Outkast
9. Life Is Better - Q-Tip
10. Soon The New Day - Talib Kweli
11. Little Lou, Prophet Jack, Ugly John - Belle & Sebastian
12. Here We Go Again - Ray Charles
13. Loretta - Gillian Welch and David Rawlings
14. Dear John - Ryan Adams
15. Creepin' In - Dolly Parton
16. Court & Spark - Herbie Hancock
17. More Than This - Charlie Hunter
18. Blue Bayou - M. Ward

 これまで出した4枚のソロアルバムは全世界でトータル2000万枚を売り上げ、2003年にはグラミー賞8部門も受賞。2007年には主演として映画にも出演した。そして彼女自身かの伝説的なシタール奏者Ravi Shankarの娘でもある。その音楽とは裏腹に、その功績は派手で輝かしいものである。

 Blue Noteレーベルからデビューした際にはジャズシンガーというくくりで語られていたし、今でもCDショップではジャズのコーナーに並べられている。しかし彼女はそれだけには留まっていたことはない。まず成功の理由の一つとして挙げられるのは、彼女の優れたポップセンスである。また当初からカントリーの趣向を覗かせており、2006年にはカントリーバンドThe Little Williesとしてアルバムをリリースした。さらに2008年には 覆面パンクバンドEl Madmoとしても活動した。そして最新作「The Fall」以降はピアノからギターにメイン楽器を持ち変えて、ロックを標榜している。

 このように次から次へと新たなジャンルに挑戦していくにも関わらず、本人はあくまでも自然体であるところに、個人的には何よりも魅力を感じている。そしてそこへリリースされたのが、今回のアルバムである。これはこれまでデビュー以来の10年間にコラボレーションしてきた作品の数々をまとめたものというわけだが、まずはそのメンツに恐れ入る。ジャズ、ソウル、カントリー、ロック、Hip Hopなどありとあらゆるジャンルのビッグネームが勢揃いしているのだ。これは一重に彼女の持つ音楽性や人格の魅力によるところに他ならないだろう。

 実際に楽曲を耳にしてみると、そうした様々なジャンルのアーチストに対して、柔軟に対応しながらも、やはりあくまでも自然体の彼女らしさが感じられる。Willie NelsonやRay Charlesといった大御所でも気負いは感じらない(実際は違うのかもしれないが)。Belle & Sebastianとの曲も純粋に良い曲だ。一番興味深かったのは、OutkastやQ-TipなどのHip Hop勢とのコラボで、これらはオリジナルアルバムにはなかった新鮮なイメージを聞くことができた。

 ただ個人的には、せっかくこれだけ色んなジャンルとのコラボなのだから、もう少し彼女の持つ色んなカラーを引き出して欲しかった気もする。Foo Fightersとのコラボについてのインタビューで、「やった、これで私もロックできるのねと思ったのだけど、実際に曲を聞いてみたら、アコースティックの美しい曲だった」と語っていたが、ここには明らかに彼女の落胆ぶりが読み取れる。彼女がThe Little WilliesやEl Madmoを結成したのも、こうしたコラボでも実現しえなかった本当にやりたかった音楽をやるためだったのではなかろうか。しかしにもかかわらず、このアルバムに収録された先の2バンドの作品も、バンドの特性からは離れた、いわゆるオリジナルアルバムの音楽性に近い、スローでまったりとした作品であった。

 一度大成功を収めてしまったアーチストは、その後も同じイメージを求め続けられるものである。レーベル、ファン、時には他のアーチストからも。そしてそのイメージに留まりたくないアーチストは、そのプレッシャーと戦い続けなければならない。そうした意味でも彼女の今後の動向を注目していきたい。

★★★☆


Carpenters 「Live In Japan 1974」

ライヴ・イン・ジャパン~イエスタデイ・ワンス・モア 武道館1974 [DVD]ライヴ・イン・ジャパン~イエスタデイ・ワンス・モア 武道館1974 [DVD]
カーペンターズ

ユニバーサル インターナショナル 2001-11-21
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1. Opening Medley (Superstar~Rainy Days and Mondays~Goodbye to Love)
2. Top of the World
3. Help!
4. Mr. Guder
5. (They Long to Be) Close to You
6. Jambalaya
7. Yesterday Once More
8. Oldies Medley (Little Honda~End of the World~Da Doo Ron Ron~Leader of the Pack~Johnny Angel~Book of Love~Johnny B. Goode)
9. Sing
10. Sometimes
11. We've Only Just Begun
12. For All We Know

 私の父は根っからのクラシック好きであり、特にカラヤンの指揮を愛していた。そんな父がポップスの中で認めていたのは数が少なく、The BeatlesとCarpentersくらいだった。私には妹がおり、また私は幼い頃ピアノやエレクトーンを習っていたのだが、私が弾いていると決まって「よし、我が家もCarpentersを結成しよう。」と言っていたものだった。あいにく私は大して上達せず、妹も歌えなかったので、父の提案が達成されることはなかったが。

 そんなCarpentersが、全盛期の74年に来日し武道館で公演をした際のDVDが、TSUTAYAのレンタルで置いてあったので借りてみた。最初に空港に到着する彼らを当時の10代の少年少女が熱狂的に迎える様子が映し出される。そして当時テレビ放映されたらしい武道館公演の模様が続く。まず最初はオープニングメドレーということで、次から次へと名曲の数々が連ねられていく。せっかくだからメドレーではなく一曲一曲最後まで聞かせて欲しかったところだが、全編を通して改めてこれらの楽曲を作ったRichardの才能に感心させられる。40年近くを経ても古さを全く感じさせないそのメロディやハーモニーやアレンジは称賛に値するだろう。

 そしてマイクを持ってフロント立って歌うKarenの歌声がやはり素晴らしい。声の伸びや声質、感情表現の仕方、全てにおいて完璧である。John Lennonにして「君は途方もなく素晴らしい声をしている」と言わしめるのももっともである。また彼女は元々ドラマーだったわけで、初期はドラムを叩きながらこの歌を歌っていたわけである。実際M3とM4で叩いてみせてくれたが、その腕もなかなかのものだった。付けくわえるとこのRichardとKaren、映像で見ると改めて長身で美男・美女だ。つくづく大した兄妹である。我が家の兄妹がCarpentersになれるはずがない…。

 他のメンバーも皆なかなかの敏腕かつハンサム揃いだ。「Now & Then」からのオールディーズメドレーでは、各メンバーの見せ場もありつつ、様々なSEやナレーションやセリフなども交えながら、まるで演劇のようにコミカルに進められる。ここでのKarenはノリノリで、役になりきった演技を見せたりなど、新たな一面を披露してくれている。

 メドレーの後はひばり児童合唱団の幼い少女達が舞台に上がりM9を歌う。緊張で固くなっている少女たちもかわいいが、Karenが日本語歌詞を歌っていたことに驚く。

 普遍的なポップスとして今でも広く愛されているCarpenters。そんな万人受けする彼らは、ともすれば逆に所詮ポップスとして敬遠されてしまう可能性もある。しかし実際に改めてその音楽に触れると、やはりその完成度の高さに驚かされるし、これが売れないはずがないと実感するのである。

★★★★★


Carole King & James Taylor 「Live At The Troubadour」

トルバドール・リユニオン(DVD付)トルバドール・リユニオン(DVD付)
キャロル・キング&ジェイムス・テイラー

ユニバーサルクラシック 2010-05-19
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1. Blossom
2. So Far Away
3. Machine Gun Kelly
4. Carolina in My Mind
5. It's Too Late
6. Smackwater Jack
7. Something in the Way She Moves
8. Will You Love Me Tomorrow?
9. Country Road
10. Fire and Rain
11. Sweet Baby James
12. I Feel the Earth Move
13. You've Got a Friend
14. Up on the Roof
15. You Can Close Your Eyes

 以前勤務していた学校で担任をしていた専攻科生が先日修了式を迎えるということで、久しぶりに顔を出し列席をしてきた。彼女は私が持っていた軽音部でもギターを担当してくれており、歌声も綺麗でセンスのある生徒だった。若い割にEric ClaptonやThe Beatles、Carpentersなど古めなころが好きだったため、私も気を良くしてよくCDを貸したりしたものだった。その彼女に最後の贈り物として何かCDを渡そうと考えたのだがなかなか決まらず、迷った末にCarole Kingの「Tapestry」を贈った。1971年にリリースされ、新たなソロデビューとしてだけでなく、シンガーソングライターブームの火付け役としても金字塔となった名盤である。あの作品が今後の彼女の人生の癒しと励みになってくれればと、押しつけがましく思っている。

 そのCarole Kingだが、4月にJames Taylorと来日していた。これも残念ながら見に行くことができなかったのだが、行った人は皆口々に素晴らしかったと絶賛していた。そして今回タイミング良くその2人が2007年11月にLAのTroubadourで行ったライブがリリースされた。
アメリカを代表するシンガーソングライターであり、当時から仲の良いコンビである2人が、交互にお互いの名曲の数々をエピソードを交えながら、次々と披露してくれているのだが、やはり素晴らしいの一言。

 まずCarole King、今年68歳なはずだが、全くその歳を感じさせない。外見も若々しく、歌声も衰えていない。終始見せる笑顔がその素朴な人間性を表しているようで暖かい。また私はこれまで彼女のライブを見たことがなく、その音楽性からもっと大人しい人なのかと思っていたが、実際の彼女は立ち上がって客を煽るなど、かなり力強い女性だった。それでもこのTroubadourは小さなクラブなため比較的控え目だったようで、もっと大きなホールだとさらにパワフルなようだ。

 一方62歳のJames Taylor。かつての色男も、帽子をかぶっているジャケットだけでは分からないが、失礼ながらその頭は見事なほどにハゲあがっており、やはり歳を感じずにはいられない。しかし優しくアコギを奏でながら非常に穏やかに歌う様子は変わっていない。また曲間のMCでユーモアたっぷりにトークをしてくれ会場を暖かい笑いで包んでくれてもいる。この2人が微笑み合いながら、歌声を重ね合い、極上のハーモニーを紡ぎ出している。それは見る者、聴く者を、思わず幸せな気分にしてくれる

 バックの演奏陣も素晴らしい。Danny Kortchmar、Leland Sklar、Russell KunkelというJamesのバックバンドであり、当時西海岸で名をはせたセッショングループThe Sectionの面々が、味のあるギターと熟練のリズムを聴かせてくれている。どうせDannyがいるならThe Cityの曲なんかも聴きたかったところだが、まぁそれは言うまい。せめて日本公演で演奏してくれたくらいのフルのセットリストで見たかった気はする。

 こんなハートウォーミングなショーを見て、私もこのように素敵な歳の取り方をしたいと思った次第だった。

★★★★



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