Piano

Ben Folds Five 「Ben Folds Five」 (1995)

ベン・フォールズ・ファイヴ
ベン・フォールズ・ファイヴ
EMIミュージック・ジャパン
1995-12-13


1. Jackson Cannery
2. Philosophy
3. Julianne
4. Where's summer B
5. Alice Childress
6. Underground
7. Sports and wine
8. Uncle Walter
9. Best imitation of myself
10. Video
11. Last polka
12. Boxing

昨年末はSMAPの解散が話題になっていた。ファンではないので特にコメントはないが、一応便乗して少し関係あるものを取り上げてみる。1996年のキムタク主演のドラマ「ロングバケーション」で使われていたBen Folds Five。

いや実際は使われていたというレベルではなかった。登場人物達がクラシックピアニストで、彼らがBF5の来日公演を観に行くという設定で、バンド名も強調されていた。ドラマ以前からここ日本ではアメリカ本国に先駆けて注目を集めていたのだが、高視聴率のドラマでの露出で人気はさらに沸騰した。ドラマの音楽担当も相当な熱の入れようだったのだろうが、前年にデビューしたばかりの新人だからロイヤルティも安かったはずだと思う。

その音楽は分かりやすく言えばオルタナティブロックに出会ったBilly Joelといったところだろうか。ディストーションに歪んでブンブン鳴るRobertのベースと手数の多いDarrenのドラムの上で、Benのピアノが所狭しと暴れ回る。当時ギターレスバンドは珍しかったが、激しくパーカッシブでありながら非常にメロディアスなBenのピアノを聴けば、このバンドにギターの必要性など全くないことが分かった。3人組なのにFiveとするところも彼らのユーモアだ。

ドラマに使われたM2では自身の哲学を高らかに宣言、本国で人気のあるM6では冴えない青年が開き直っている。こうした等身大の歌詞が勢いのあるポジティブなRock & Rollに乗ってアルバム全編を駆け抜ける。全曲素晴らしいが特にM7は名曲。またメロウなM5やM12もお勧め。

2ndでは本国でも成功を収めるが、バンドは惜しくも2000年に解散。その後もBenは精力的にソロ活動を展開し、2005年の東京厚生年金会館と、2006年のウドーフェスティバルでは私も彼のステージを愉しませてもらった。その後2012年にはバンドで再結成している。


Hiromi The Trio Project 「Spark Japan Tour 2016」

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先日上原ひろみさんのHiromi The Trio Project 「Spark Japan Tour 2016」のコンサートを観に行ってきた。

会場は東京国際フォーラムのAホール。ロック畑の人間にはこれまで縁のなかった会場だ。中に入ると予想以上に広い上に高低差がスゴい。私の席は2階席の後ろの方だったが、実際には7階の高さから3階のステージを見下ろしている形になる。場内は20~60代まで男女ともに幅広い世代で満席だった。

7時を過ぎて暗転し大歓声の中3人が登場。下手の黒いグランドピアノに赤いチェックのワンピースを着たひろみさん、中央の椅子にはベースのHadrien Feraud、上手のドラムセットにはSimon Phillipsが座った。

オープニングは最新作タイトルトラック”Spark”。静かなピアノのイントロから始まり、ピアノの上に置いてある赤いシンセサイザーを弾いた後に一気にテンポアップしたところにドラムとベースが重ね合わされる。CDで聴いていたよりも格段に迫力のある演奏に一気に引き込まれる。しかも音響が素晴らしい。もうこの最初だけで来て良かったと思わされた。

ひろみさんのピアノはとにかく凄まじかった。とてつもなく早い運指から流麗でメロディアスな旋律を紡いでいたかと思えば、急にパーカッシブに低音を弾き鳴らして攻撃的な音の壁を積み上げる。次々と展開し続けるその驚異的なプレイにこちらは唖然となっているのに、本人は本当に楽しそうに弾いている。腕を振り上げたり、頭を振り回したり、立ち上がったりしながら、表情も本当に豊か。この人ほど楽しそうにピアノを弾く人を私は見たことがなかった。小学生の娘を連れて来ている人を何人も見かけたが、その気持ちも良く分かる。

実際あそこまで弾けたら本当に楽しいだろうと思う。それも最高のリズムセクションとプレイしていたら尚更だ。Simonはひろみさんとそれほど背も変わらない位で意外と小柄なんだなと思ったが、パワフルな上に手数が多い。何拍子なんだか良く分からない複雑なリズムを軽々と叩いていて、ひろみさんのピアノと息もピッタリ。先週も書いたが、この人はこんなに巧い人だとは知らなかった。また通常ジャズドラマーはレギュラーグリップが多いと思うが、ロック上がりだからかマッチドグリップなところが彼らしいなと思った。

Hadrienは6弦ベースの指弾き。6弦だけあって音域が広く、重低音を響かせてリズム楽器として鳴らしたり、ソロの時などはメロディ楽器として高音域を高速で弾いたり、幅広い役割を果たしていた。特にロックと違って邪魔なギターがない分、ベースが自由に動ける空間があり、ベース好きとして充分に堪能させてもらった。彼は元々若いイケメンイメージだったと思ったが、髭を生やしたせいでまるで別人のようにダンディだった。でもどこかでAnthonyのプレイも観たかった気もした。

2曲目に”Player”を弾いた後に、ひろみさんがマイクを持ってMC。「今回は世界中5大陸を回る、とてもマイルのたまるツアーになりました」に場内笑い。メンバーの紹介でHadrienは日本の寿司ざんまいが好きだと紹介すると、Hadrienが寿司ざんまいの社長のポーズで挨拶。Simonはビール好きで、日本に来たらいつも生中と頼むのだそう。

セットリストは基本的には最新作からがメイン。3曲目に比較的静かな”Take Me Away”、続いて少しオールドタイムな雰囲気の”Indulgence”、そして各人弾きまくりの”Dilemma”。聴いていて思ったのは、各曲中間部は結構オリジナルとはアレンジを変えてきているということ。メインリフでスタートとし、中間部にはインプロなソロを入れて見せ場を作り、最終的に再度メインリフに戻ってくるという構成。そんな自由なところがジャズの楽しさなのだと知った。

ここまで1時間15分ほど演奏したところで15分休憩。トイレと喫煙所はスゴい混みようだった。後半はまずSimonが1人だけで登場してきて叩き始めた。そして他の2人も出てきて”What Will Be, Will Be”。ひろみさんは今度は白いワンピースに着替えている。この曲はまたシンセサイザーが登場しアクセントになっている。Simonの音階ドラムが歌うような”Wonderland”が演奏された後、SimonとHadrienが下手へと引っ込む。

1人になったひろみさんがマイクを手にして、ソロ曲”Wake Up And Dream”の曲紹介。6歳でピアノを弾き始め、子供の頃から人前で演奏することを夢見てきたエピソードを話し、「夢を叶えてくれた皆様に感謝致します」と深く頭を下げた。そんな彼女の誠実さに感動したが、実際にその夢を実現は彼女の自身の努力と才能による必然的な結果であると思わずにはいられなかった。そうして始まったこの曲のプレイは、それまで聴いたことのなかったような静かなタッチで、優しさと繊細さに溢れていた。しかし面白かったのは、てっきりクラシックだと思っていたこの曲ですら、中間部はアレンジをしてきており、やはりこの人はジャズなんだなと感じた。

かなり長めのSimonのドラムソロをフィーチャーした”In Trance”では改めて各人の超絶プレイを披露して、大歓声のうちに本編終了。観客の拍手が見事に揃ったアンコールに応えて3人が再登場。Simonとひろみさんがピアノを叩いて”All’s Well”イントロクラップのリズムを鳴らす。アンコールの手拍子からつながりやすかったはずだが、リズムが難しいため場内なかなか揃わないのはご愛敬。最後の曲はリラックスした雰囲気の中で楽しげに演奏されて、全てのセットが終了した。最後は大歓声の中3人肩を組んで挨拶。この日初めて観たジャズの公演だったが、自分にとって新しい世界が開かれた気がした。そんな機会をくれたひろみさんに感謝。

1. Spark
2. Player 
3. Take Me Away
4. Indulgence
5. Dilemma
~break
6. What Will Be, Will Be
7. Wonderland
8. Labyrinth
9. Wake Up And Dream
10.In A Trance
~encore~
11. All's Well

 

Hiromi The Trio Project 「Spark」 (2016)

SPARK(初回限定盤) SHM-CD + DVD
上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト
ユニバーサル ミュージック
2016-02-03


1. Spark
2. In a Trance
3. Take Me Away
4. Wonderland
5. Indulgence
6. Dilemma
7. What Will Be, Will Be
8. Wake Up and Dream
9. All's Well

ピアノが好きで今までロックの範疇では色々聴いてきましたが、もっとピアノに特化したインスト作品を聴きたいなと思っていました。ただそれはロックにはなく、クラシックでは静か過ぎる。今年そんな折にちょうどリリースされたのを見つけてハマったのが、前から気になっていた上原ひろみさんの新作でした。

ジャズに関してはこれまでArt BlakeyやJaco Pastoriusなどドラムやベースの観点からしか聴いたことがなかったので、ジャズピアノ自体ちゃんと聴いたのはこれが初体験。なので知識もボキャブラリーもないのですが、とにかく最高でした。

まずひろみさんの緩急自在なピアノの超絶技巧に唖然。聴いていて一体どうやって弾いているんだろうと不思議になり、実際に映像を観てさらに舌をまきます。次に驚くのがSimon Phillipsのドラム。この人は元々Totoや古いところではJudas Priestのアルバムにも参加していたことからロック畑のイメージが強かったのですが、ここまでジャズで叩ける人だとは知りませんでした。ひろみさんのピアノに正面からぶつかる様は非常にスリリングです。この2人の間に座るのがベースのAnthony Jacksonで、両者に寄り添い巧く繋ぎ合わせながらも、さりげなく主張しています。正に最強のトリオです。

またプレイだけで なく楽曲も聴きものです。駆け抜けるようなアップテンポ、グルーヴィなミドルテンポ、静かで美しいスローテンポ、各曲バラエティに富んでいると同時に、展開もめまぐるしく非常にプログレッシブ。ひろみさんもピアノ以外にも色んなキーボードやハンズクラップなど多様な音作りを愉しんでいるのが分かります。

このアルバムはビルボードのジャズチャートの首位を獲得していましたが、私のように違う畑のリスナーをジャズピアノに引き込むだけの話題性と説得力を持っていたと思います。今彼女らはジャパンツアーの最中なので、私も参戦してくる予定です。


Jeff Beck Group 「Beck Ola」 (1969)

ベック・オラ(紙ジャケット仕様)
ジェフ・ベック
EMIミュージック・ジャパン
2004-12-22


A1. All Shook Up
A2. Spanish Boots
A3. Girl From Mill Valley
A4. Jailhouse Rock
B1. Plynth (Water Down the Drain)
B2. The Hangman's Knee
B3. Rice Pudding

前回のVanilla Fudgeのリズムセクションは後にJeff BeckとBeck, Bogert & Appiceを組んでいます。私はJeff Beckのことはスゴいとは思うものの、あまりインスト以降は追っていません。Udo Music Festivalで観た時も3曲ほど聴いたら他のステージに行ってしまった不届き者です。。で、私が好きなのはボーカル入りバンドだった頃の第1期です。

何しろボーカルはRod Stewart、ベースにRon Woodという後のFaces組が参加しています。ここにJeff Beckのギターが暴れる訳ですから最高です。1968年のデビューアルバム「Truth」はブルースロックの名盤でしたが、これはLed Zeppelinよりも早く、ライバルJimmy Pageもこれを参考にしたと言われています。

ということで第1期Jeff Beck Groupで注目されるのはいつも1stなんですが、私が最も好きなのは彼らが翌年に発表した2nd「Beck Ola」。これは似ていますが、実は結構質感が違います。

前作の楽曲は各メンバーの持ち寄りやカヴァー曲が多かったのですが、今作ではメンバーが全員で一緒に練り上げています。で、どれもかなりハードなナンバーで、バンドが一体となって攻め立てているのです。特にA1とB1は強力。B3のインストも名曲です (ちなみに最後がブツ切りなのですが、これ仕様なんですかね?)  Elvisのカヴァーもあり、全体的にブルースロックではなくハードロック&ロールといった趣になっています。

Jeffのギターもスゴいのですが、今作で特徴的なのはここで正式メンバーとなったNicky Hopkinsのピアノ。前作ではゲストとして少ししか露出がありませんでしたが、今作ではバンドサウンドの中心でかなり頑張っています。(Jeff Beckファンには気に入らないかもですが)  M3はNickyのソロ作ですが、静かで美しいピアノも印象的。後にNickyはRolling Stonesなどとのセッションで名を上げ、ソロアルバムも発表しますが、94年に亡くなっています。

もしこの第1期が解散せずに存続していれば、ZeppelinやDeep Purpleにも負けないハードロックバンドとして名を馳せていたと思うのですが。


民音音楽博物館

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年度内中に溜まっている有給を少しでも消化するために、最近午後に時々半休を取っています。が、家に帰っても仕方ないし、中古CDを漁るのも最近消化不良気味なので控えたい。何か面白いものはないかと探してみたら、こんな所を見つけました。

民音音楽博物館。都内信濃町にある音楽専門の博物館です。入場料も無料。

まず興味深かったのは楽器展示室。弦楽器や打楽器など沢山の世界の珍しい楽器が並んでいて、民族音楽好きとしては堪りません。

次にオルゴール展示室。オルゴールといっても現代の小さなものではなく、100年以上昔の巨大な代物たちで、奏でる音も豪華。物によっては当時の家1軒建つレベルだそう。これを30分毎にスタッフの方が説明しながら聴かせてくれます。

そして最大の見ものは古典ピアノ室。ここには500年も前の金箔のハープシコードだとか、ベートーベンが実際に弾いていたピアノなんてのが並んでいてビックリ。しかもこれらもただ展示されているだけではなく、30分毎にピアニストの方が説明しながら弾いて聴かせてくれるんです。それぞれの音色の違いを味わいながら、10近くあるピアノの数だけ素晴らしい演奏で小曲を弾いてくれます。ベートーベンのピアノでは”エリーゼ”、ショパンの時代の物では”ノクターン”など選曲も考えられていて、演者が違えばまた違う曲目を弾いてくれる。しかも無料。最高です。

あと地下にはライブラリーもあります。クラシックが中心ですが、音楽に関する膨大な書籍やスコア、LPやCDや映像を貯蔵しています。閉架式なので都度検索して申請するのが面倒ですが、好きな人には天国でしょう。

企画展もあるので、これからもたまに行きたいと思います。

 

Billy Joel 「A Matter Of Trust – The Bridge To Russia」 (2014)



1. Prelude/Angry Young Man
2. Allentown
3. Goodnight Saigon
4. Big Man On Mulberry Street
5. Baby Grand
6. An Innocent Man 
7. Honesty 
8. The Longest Time 
9. A Matter Of Trust
10. Only The Good Die Young
11. It's Still Rock And Roll To Me 
12. Sometimes A Fantasy 
13. You May Be Right 
14. Uptown Girl
15. Big Shot
16. Back In The U.S.S.R.
17. Pressure

先日のMoscow Music Peace Festivalは1989年だったが、これに先駆けて1987年に単独公演として初めてソ連に渡ったのがBilly Joelである。

この公演の音源は当時「KOHUEPT」というタイトルでリリースされており、私も昔からよく聴いていた。今年はその音源が未発表曲含めてフルセットの2枚組CDとなってリイシューされた。またビデオだったライブ映像も初DVD化され、さらには今回「Bridge To Russia」というドキュメンタリー映像まで合わせて収録されている。

このドキュメンタリーを観て今まで知り得なかった事実を多く知ることが出来た。Billyは大任を任され大きなプレッシャーに駆られていたこと。音響の悪い会場のために喉を壊していたこと。最初は微動だにしない観客に動揺したこと。客席に降りて後方から熱狂的な観客をステージ前まで連れてきたことで、会場のボルテージを上げたこと。会場を照らして観客を動揺させた照明係に対して演奏中にブチ切れたこと、等々。

最も印象的だったのはBillyのメッセージを伝えんとする姿勢であった。幼少から敵国だと教え込まれたソ連国民の熱烈な歓迎と、彼らの自由もなく困窮した生活を目の当たりにし、時代が変わる中で自由を謳歌することの素晴らしさを伝えようとした。そしてそれは数々のインタビューや街中での交流、ステージでの通訳、何よりも彼の熱いパフォーマンスを通して確かにソ連国民に伝わったのだった。

この時のソ連ツアーの費用は自腹を切ったとBillyは語っていたが、伝記本によるとその金額は300万ドルとなったらしい。彼がこれだけの熱意を注いだこのイベントは、結果的にBillyのキャリアの頂点となっただけでなく、ソ連の歴史の中でも大きな意義を残したのだった。

昨今ウクライナ問題によってまた冷戦時代に戻りつつある中で、未来に夢を持っていたあの頃が懐かしいものである。


Savatage 「Streets A Rock Opera」 (1991)

Streets
Savatage
Atlantic / Wea
1991-10-15

1. Streets
2. Jesus Saves
3. Tonight He Grins Again/Strange Reality
4. A Little Too Far
5. You're Alive/Sammy And Tex
6. St. Patrick's
7. Can You Hear Me Now?
8. New York City Don't Mean Nothing
9. Ghost In The Ruins
10. If I Go Away
11. Agony And Ecstasy/Heal My Soul
12. Somewhere In Time/Believe

今週はSavatageJonChrisOliva兄弟によってフロリダで結成されたバンドである。

1989年の前作「Gatter Ballet」のタイトル曲はJonのピアノを前面にフィーチャーしたドラマティックな名曲だったが、その世界観をアルバム1枚に拡大したのがこの5枚目となる作品である。「Streets」と題されたロックオペラ。ニューヨークのスラム街のドラッグディーラーだったD.T. Jesusが、音楽業界で大成功を収めるものの忽然とシーンから姿を消す。その後復活したが、金の絡みでマネージャーが殺され、贖罪を求めてもがくという内容。

12曲の中でM3M5M11M12は組曲になっているため、実質的には全16曲ある。オープニングはおどろおどろしい印象だが、その後は非常にドラマティックな楽曲が続いていく。アップテンポなナンバー、大仰なミドルテンポナンバー、そして静かな弾き語りが交互に並び飽きさせない構成になっている。何より各曲の曲質が非常に高い。特にM12は名曲。

サウンドの鍵になっているのはJonのピアノであり、要所々々で聴かれる彼の美しい鍵盤の調べが、物語をよりドラマティックなものにしている。高音になるとダミ声になってしまう彼のボーカルは玉にキズだが。またChrisのギターソロも絶妙である。

しかし次作を発表した1993年に、Chrisが交通事故によって他界してしまう。Jonも一時期脱退するがその後復帰しバンドもしばらく存続した。

★★★★


Billy Joel "Leningrad" (1989)

Storm FrontStorm Front
Billy Joel

Sbme Special Mkts. 2008-01-31
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最近クリミア・ウクライナ情勢が連日報道されている。今やロシアはG8から除名され、終結したはずの冷戦時代に再び突入しようとしている。つい先日平和の象徴たるオリンピックを開催した国がこのような事態を招いていることは、参加した多くの国の選手や恐らくロシアのボランティアにとっても非常に悲しいことではないだろうか。

冷戦で思い出すのはBilly JoelのLeningrad。冷戦が終結した1989年に発表された名曲だ。最初この曲は単に郷愁を唄ったものだと思っていたが、後になってもっと深い意味があることを知った。

ソ連のレニングラードに生まれたVictorと、アメリカに生まれた主人公。敵対する国同士に生きた2人の境遇が、朝鮮戦争やキューバ危機など身近で続いた冷戦を通して、対比的に描かれている。そして最終的に彼らはレニングラードで邂逅するのである。主人公はBilly本人のことであり、これは全てノンフィクションだ。1987年にBillyはソ連公演を実現しており、PVにはVictorも登場する。

Viktor was born in the spring of '44
And never saw his father anymore
A child of sacrifice, a child of war
Another son who never had a father after Leningrad

Went off to school and learned to serve the state
Followed the rules and drank his vodka straight
The only way to live was drown the hate
A Russian life was very sad
And such was life in Leningrad

I was born in '49
A cold war kid in McCarthy time
Stop 'em at the 38th Parallel
Blast those yellow reds to hell
And cold war kids were hard to kill
Under their desk in an air raid drill
Haven't they heard we won the war
What do they keep on fighting for?

Viktor was sent to some Red Army town
Served out his time, became a circus clown
The greatest happiness he'd ever found
Was making Russian children glad
And children lived in Leningrad

But children lived in Levittown
And hid in the shelters underground
Until the Soviets turned their ships around
And tore the Cuban missiles down
And in that bright October sun
We knew our childhood days were done
And I watched my friends go off to war
What do they keep on fighting for?

And so my child, and I came to this place
To meet him eye to eye and face to face
He made my daughter laugh, then we embraced
We never knew what friends we had
Until we came to Leningrad

極端なイデオロギーを持った一国の宰相とその支持基盤があるだけで、世界平和はいとも簡単に崩壊してしまうものだ。また歴史は繰り返すのだろうか。


「別れの曲~ショパン名曲集」

別れの曲~ショパン名曲集別れの曲~ショパン名曲集
アシュケナージ(ヴラディーミル)

ユニバーサルクラシック 2009-05-19
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1. 華麗なる大円舞曲(ワルツ第1番変ホ長調 作品18)
2. 小犬のワルツ(ワルツ第6番変ニ長調 作品64-1)
3. ワルツ第7番嬰ハ短調 作品64-2
4. 幻想即興曲(即興曲第4番嬰ハ短調 作品66)
5. 黒鍵のエチュード(練習曲第5番変ト長調 作品10-5)
6. 別れの曲(練習曲第3番ホ長調 作品10-3)
7. 革命のエチュード(練習曲第12番ハ短調 作品10-12)
8. 木枯らしのエチュード(練習曲第23番イ短調 作品25-11)
9. 雨だれのプレリュード(前奏曲第15番変ニ長調 作品28-15)
10. ノクターン(夜想曲)第1番変ロ短調 作品9-1
11. ノクターン(夜想曲)第2番変ホ長調 作品9-2
12. 舟歌 嬰ヘ長調 作品60
13. 子守歌 変ニ長調 作品57
14. マズルカ第5番変ロ長調 作品7-1
15. 英雄ポロネーズ(ポロネーズ第6番変イ長調 作品53)
16. 軍隊ポロネーズ(ポロネーズ第3番イ長調 作品40-1)

子供の頃ピアノを習っていたことがある。自ら望んでなのか覚えていないのだが、最初は小学生低学年くらいの頃に何年かヤマハのエレクトーン教室に通っていて、何人かの他の子達と一緒にステージに上がり、緊張しながら"グリーングリーン"などを演奏した記憶がある。その後に近所の女性が個人宅で教えているピアノ教室に通ったが、いつもまともに曲を弾かせてくれず、毎回ひたすら指の練習ばかりで全く面白くなかったために、すぐに辞めてしまった。

その後、ポップ、ロック、ジャズ、クラシック、民族音楽など色んな音楽を聴いていく中で、ピアノという楽器が実に様々なジャンルに登場し、それぞれで実に様々な表情を見せるのだということを知った。ただその中でもクラシックにおけるピアノは特に重要な存在だろうと思う。

ピアノ名曲集などを聴いていると、特に多く名前があるために、ピアノのイメージが一番強いのがショパンだった。そのためひとまず入門としてショパンのベストから聴いてみたが、とにかく有名な曲ばかり。元々ショパンには、ノクターンのように繊細で美しい調べに癒されるというイメージがあった。しかし決してそれだけではなく、軽快な曲、暗い曲、力強い曲など、様々な曲を書いている。特に好きな曲は以下。

1. 英雄ポロネーズ
2. ノクターン第2番 作品9-2
3. 幻想即興曲
4. プレリュード雨だれ
5. エチュード第1番 牧童

ショパンは19世紀初頭のフランスで活躍したが、出身はポーランド。病と望郷の念にかられながらピアノに向かい続けたという。女性にも人気だったが、恋愛には不器用だったらしい。ちなみにクラシックではこうした作曲家の恋愛話が頻繁に出てきて、門外漢としては些か下世話に感じていた。しかしきっと歌詞もないインストの世界では、曲を深く理解しようとするために、曲の向こう側にある作曲家の意図や背景が重要になるのだろう。

★★★★★


Faces 「Ooh La La」 (1973)

ウー・ラ・ラウー・ラ・ラ
フェイセズ

ワーナーミュージック・ジャパン 2013-07-23
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1. Silicone Grown
2. Cindy Incidentally
3. Flags And Banners
4. My Fault
5. Borstal Boys
6. Fly In The Ointment
7. If I'm On The Late Side
8. Glad & Sorry
9. Just Another Honky
10. Ooh La La

さて今月は1990年周辺のルーツ系Rock & Rollバンドたちを特集してきたわけだが、締めはこれにしようと思う。当時のこうした若いバンドたちが皆こぞってお手本にしていたのが、The Rolling Stonesと、このFacesである。

ボーカルRod StewartとギターRon Woodという二枚看板を要し、最高にカッコいいRock & Rollバンド。元々2人は60年代末期にはJeff Beck Groupにいたのたが、Steve Mariottを失ったRonnie LaneがSmall Facesの立て直しに2人を誘ったことがきっかけ。そうしてFacesが誕生する。

このバンドの魅力は沢山あるのだが、そのうちの1つにはやはりRodのボーカルが挙げられる。華のあるハスキーボイスに豊かな表現力、加えてあの甘いルックスである。文句ないそのスター性をもって並行していたソロが大成功するのも納得である。

しかしこの当時Rodはバンドよりも完全にソロとしての活動の方が中心となっていた。そのためRodは今作のレコーディングにも、自分の歌入れの時しか顔を出さなかったらしい。M8ではRonnieが、M10ではRonがボーカルを取っていることや、M6がインスト、M3が中途半端で終わってしまっていることも、恐らくこうした状況が影響しているのだろうと思われる。

では今作は駄作かというと、それが全く逆なのがスゴいところだ。まず前半は彼らの得意とするゴキゲンなRock & Rollが展開される。Ronの絶妙なギター、Ian McLaganの弾むようなピアノなど、バンドが渾然一体となった演奏がグルーヴしている。こんな聴く者を踊りたくさせるようなR&Rは最高の証だ。

そして後半は、前述の結果非常にバラエティ豊かな展開を見せるのだが、ここでの主役は影のリーダーRonnieである。彼は本来持っていたアメリカ南部趣向を全面に打ち出し、カントリー/フォーク色が強く出ている。これがまた牧歌的で暖かみがありつつも、どこかもの寂しさも漂い心を打つ。とにかくアルバム全編素晴らしいのだが、最も好きなのはM2とM9である。

しかしリリース直後にRonnieはツアー生活に対する嫌気から、遂にバンドを脱退してしまい本場のアメリカ南部へ渡ってしまう。Facesはその後間もなく解散。Rodはソロに専念し、RonはRolling Stonesに加入する。こうして「Ooh La La」は彼らのラストアルバムとなるのだが、それはまるでThe Beatlesの「Abbey Road」のように末期のバンドが生んだ奇跡の名盤だったと思っている。

★★★★★


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