先日のバンクシー展を受けて、政治的な音楽というものを考えてみた。ここ日本ではあまり政治的な音楽は好まれないようだが、私にとっては惚れた腫れたといった内容よりも、よほど聴き甲斐があると思う。自分のCD棚を探してみると結構あるもので、その中から名盤と思われる10枚を選んでみた。
それぞれ時代性を色濃く反映しているが、その一方で時代を越えても強く訴えて来るものがある。これらが色んな問題を考えるきっかけとなれば良い。
① Pete Seeger「Carnegie Hall Concert 1963」
政治的なフォーク音楽の中でも伝説的存在。"We Shall Overcome"や"花はどこへ行った"などで多くの反戦歌で知られる。
② Bob Dylan 「The Times They Are A-Changin」(1963)
プロテストフォーク期の名盤。表題曲や"神が味方"など代表的なプロテストソングが並んでいるが、次作からは路線変更をした。
③ John Lennon「Sometime In New York City」(1972)
John Lennonの作品中でも最も政治色が濃いのがこのアルバム。女性差別やアイルランド問題など題材は多岐に渡る。
④ U2「War」(1983)
Bonoのアフリカ救済などの社会活動は広く知られる。今作ではアイルランド虐殺やポーランド民主化運動などが取り上げられている。
⑤ The Blue Hearts 「The Blue Hearts」(1987)
パンクは反体制の象徴だ。この日本が誇るパンクバンドは基本姿勢に忠実に世の中に毒づきながら若者の声を代弁している。
⑥ The Timers 「The Timers」(1989)
忌野清志郎の覆面バンド。ヘルメットに土木作業服という異様な出で立ちで、原発・税金やあらゆる権力に痛快に噛みついている。
⑦ Public Enemy「Fear Of Black Planet」(1990)
彼らの急進的なヒップホップは社会現象まで起こしたが、結局30年を経ても残念ながら黒人差別がなくなることはなかった。
⑧ Rage Against The Machine「Rage Against The Machine」(1992)
焼身自殺するベトナム僧のジャケット、終始怒りに満ちた糾弾、時代に先駆けたラップ+ロック、全てが衝撃的だった。
⑨ System Of A Down 「Toxicity」(2001)
アルメニア系米国人による個性派ヘヴィロックバンド。祖国での虐殺を米国政府に認めさせるというのが彼らの政治的姿勢の原点となっている。
⑩ Asian Dub Foundation 「Enemy Of The Enemy」(2003)
バングラ系英国人によるダブグループ。虐殺や貧困や差別など世界中の問題をラップに乗せて糾弾している。
この他にもMarvin Gaye、Neil Young、Sex Pistols、The Clashあたりも最後まで選に入れるか迷った。今回は英語圏と日本だけだったが、政治に対して異を唱えるミュージシャンは世界中にいる。政治が安定しない限り彼らは声を上げ続けるだろう。