King Crimson

John Wetton 逝去

wetton

先日1月31日、今度はJohn Wettonが亡くなってしまいました。享年67歳でした。

後年はAsiaの活動歴が長いですが、Family、King Crimson、UKを始め、Roxy Music、Uriah Heep、Wishbone Ashなど非常に多くのバンドで活躍していました。彼はボーカルとベース以外にも、ギターやキーボードまで弾けるマルチプレイヤーで、曲も書ける。きっと誰もが欲しがる存在だったのでしょう。個人的に最も思い入れの強いのはやっぱりKing Crimson期。彼がいなければ70年代Crimsonもなかったと思います。

それにしても、Chris Squire、Keith Emerson、Greg Lake…、プログレの黄金時代が幕を閉じようとしているようです。

RIP

 

King Crimson 「Radical Action To Unseat The Hold Of Monkey Mind 」 (2016)



Disc: 1: Mostly Metal
  1. Larks' Tongues in Aspic Part One
  2. Radical Action (to Unseat The Hold of Monkey Mind)
  3. Meltdown
  4. Radical Action II
  5. Level Five
  6. The Light of Day
  7. The Hell Hounds of Krim
  8. The ConstruKction of Light
  9. The Talking Drum
  10. Larks' Tongues in Aspic Part Two

Disc: 2: Easy Money Shots
  1. Peace
  2. Pictures of a City
  3. Banshee Legs Bell Hassle
  4. Easy Money
  5. Vrooom
  6. Suitable Grounds for the Blues
  7. Interlude
  8. The Letters
  9. Sailor's Tale
  10. A Scarcity of Miracles

Disc: 3: Crimson Classics
  1. Red
  2. One More Red Nightmare
  3. Epitaph
  4. Starless
  5. Devil Dogs of Tessellation Row
  6. The Court of The Crimson King
  7. 21st Century Schizoid Man
 
毎年秋の夜長はプログレと決まっているのだが、そんな折にリリースされたのが、昨年の日本公演を収めたKing Crimsonのライブアルバム。

昨年の来日の際には私もオーチャードホールに観に行ったが、期待を遥かに超える素晴らしいものだった。それがここに余すところなく、収められている。他の国でなく、ここ日本での公演を収めてくれたのが、まず何よりも嬉しい。まぁ、きっとこれはパッケージにした時に他国よりも日本で一番売れるからというマーケティング戦略でもあるのだろうけど。

少し残念だったのは、観客の歓声が一切カットされ、スタジオライブのような体裁をとっていること。なので臨場感といったものは一切ない。ツアー行程の中で高松が入っていたのが不思議だったのだが、ここではその高松公演を中心に収録されているらしい。歓声が他よりも少ないからなんだろうか。また日本の観客は演奏中静かなのも好都合なのだろう。

そんなわけだがら、ライブアルバムというよりはある種ベストアルバムのような趣きがある。サブタイトルを付けて3編に分けているところにも意図がある。ツアー中のセットリストは日替りだったのだが、自分が聴けなかった”Eesy Money”や”One More Red Nightmare”も聴けるのも嬉しい。

特徴的だった時に三者三様、時にピタリと揃ったトリプルドラム。Robert Fripp御大の見た目とは裏腹に力強いギター。Jakkoの文句ないボーカル。華を添えるMel Colinsのサックスとフルート。Tony Levinのベースはもっと前に出てもいいかな。映像で観ると当日よく見えなかった1人1人のプレイの手元もよく映っており見応えがあった。

彼らの歴史の中で何度目かのピークかもしれない前ツアーの記録。公演を観なかった人にも是非聴いて観てもらいたい。

 

King Crimson Live Report 2015

kc04

2015.12.09 @ Bunkamuraオーチャードホール

King Crimsonの来日公演に行ってきた。Crimsonとしての来日は12年振りの6度目らしいが、私は今回が初参戦。最近は色々なプロジェクトでの来日があったが、やっぱりRobert Frippがいる面子で最初は観たいと思っていたので念願が叶った形だ。しかしきっとこれは最初で最後になるだろうと思われる。

今回のジャパンツアーは高松まで含んだかなり長い日程が組まれているが、この日は3日目。会場は渋谷Bunkamuraのオーチャードホール。映画を観に来たことはあったが、ライブとしては初めてだ。場内には仕事帰りの40〜60代男性サラリーマンが圧倒的に多かった。私の席は1階席のほぼ最後尾だが、ホールは後ろに行くにつれて高くなっているので、ステージは観やすい。

撮影に関しては厳重に禁止されていた。以前演奏中にフラッシュ撮影した観客がいた際にはRobertが怒って演奏を止めてしまったこともあるという。しかし開演前に「終演時にTonyがカメラを取り出した際には撮影しても構いません」とアナウンスが流れると場内爆笑で沸いた。

歓声の中メンバーが登場。前例にはドラムセットが3つ並んでおり、右からGavin Harrison、Bill Rieflin、Pat Mastelotto。後列に右からRobert Fripp、ボーカル・ギターのJakko Jakszyk、ベースTony Levin、サックス・フルートのMel Collins。全員スーツにネクタイ姿。開演前から流れていた厳かなSEにそのままMelのフルートとTonyの弓弾きアップライトベースの音色が乗る。

やがてSEが止むとアカペラでJakkoが”Peace”を歌い出した。そして”Pictures Of City”でバンド演奏がスタートする。今日のセットリストも前2日とは変わっているようだ。3曲目には”Epitaph”。最も好きな曲の1つが早くも演奏され一気に持って行かれる。

演奏されるバンドサウンドの中で一番前に来るのはやっぱりトリプルドラムだ。正直当初はその必要性が果たしてあるのか疑問があった。単にRobertによるダブルトリオに続く目新しさの追求か、Adrian Belewへの対抗意識なのかとも思っていた。しかし実際に目の当たりにしてその疑いは消し飛んだ。彼らが叩き出すビートは圧巻で、3人が同じリズムを叩く時は揃った動きも見物だった。また違うリズムを叩く時はそれぞれコミュニケーションを取るように見事に呼応しており、事前にお互いのリズムを入念に練り上げて来ているのが分かる。

左側のPatは「Thrak」以来メンバーで、この日は”Easy Money”で色んな小道具を忙しく鳴らすなどJamie Muir役もやっていた。右側のGavinはPorcupine Treeというプログレバンド出身で、手数の多いソロなどで魅せてくれた。中央のBillは元Ministryらしいが、ドラムセットは両端の2人に比べると格段にシンプル、手数も比較的少なめで補完的な役割に見えた一方で、初期曲ではキーボードなども担当していた。

Robertは後ろに座って黙々とギターを弾いていた。見た目はもうお爺ちゃんみたいになってしまったが、そのギタープレイは衰えておらず、時にヘヴィでメタリック、時にメロウで滑らかなサウンドを聴かせてくれた。1曲だけキーボードも弾いていた。

ボーカルが変わると全体の印象が大きく変わるのが常だが、Jakkoのボーカルは予想外に違和感なく、声量も伸びも申し分なかった。また彼は1stアルバムのジャケットが描かれたギターを持ち、Robertともうまく弾き分けていた。あと”The Letters”の冒頭ではフルートを取り出してMelとダブルフルートでハモっていた。

Tonyのベースプレイは個人的には一度生で観たいと思っていた。重低音を響かせながら黄色い5弦ベースを指弾きしていたのも良かったが、”Level Five”ではチャップマンスティック、”●”(忘れました…)ではファンクフィンガー、”The Letters”では再びアップライトと、様々な弾き方や楽器を披露してくれて、個人的には彼を観てるだけでも終始飽きなかった。ただスティックやファンクフィンガーの音は他楽器に埋もれてあまり聴こえなかったのが残念だった。

今回特に参加してくれたことに感謝したいのがMel Collins。彼がいることで封印されていた70年代の名曲の数々が復活することになった。ジャジーで力強いサックスは楽曲の中心的存在として、美しいフルートは添えられた華のように楽曲を彩っていた。

プログレのコンサートによくある風景だが、観客は皆微動だにせずステージを凝視し、曲が終わると拍手。またMCも全くなし。そして多分Robertからの指示なのだろうか、曲中は入退場は禁止でするなら曲間で、というのもまるでクラシックを観ている感覚だった。

この日一番のサプライズは”Red”。メタリックなギターリフが始まると場内大歓声が上がった。ただトリプルドラムは叩き分けたトライバルな感じのリズムだったり、Melがサビでフルートを入れていたりと興味深いアレンジがされており、単に懐メロにしないところがこのバンドらしかった。

この後は名曲が続き、”Lark's Tongues Ⅱ”の後にはアンコールに演ると思っていた”The Court Of The Crimson King”と”21st Century Schizoid Man”がここで披露された。特に奇天烈な”Schizoid Man”を完璧にプレイする演奏力に圧倒されると同時に、こんな曲が半世紀も前に作られたという事実に改めて感嘆させられた。終わるとここで初めてスタンディングオベーション。Tonyがカメラを取り出したのを確認して、場内は一斉に撮影大会となったが、退場した後まで撮っていた人は五月蝿く注意されていた。

アンコールはまたトリプルドラムによるドラムソロがあった後に、本編で演らなかった”Starless”がここに来た。壮大なこの曲は締めに相応しい。迫力のあるドラムと重いベースの上に乗るメタリックなギターリフとJakkoの熱唱とMelのフルートを最後まで堪能した。再度大歓声のスタンディングオベーションの中で最後まで残ったRobertが、登場時と同じように1人深々とお辞儀をしていたのが印象的だった。

今思うと、先にリリースされていたライブアルバム「Live At The Orpheum」はこのツアーの魅力のほんの断片だけでしかなかった。私は今回初めて生でCrimsonを拝めただけでなく、封印されていたこうした名曲の数々が惜しげも無く披露されるのを聴くことができた。素晴らしいショーを魅せてくれたRobertにただただ深謝。

kc02

1. Peace – An End
2. Pictures Of A City
3. Epitaph
4. Radical Action Ⅰ
5. Meltdown
6. Radical Action Ⅱ
7. Level Five
8. A Scarcity Of Miracles
9. Hell Hounds Of Krim
10. Easy Money
11. Red
12.The Letters
13.Lark's Tongues In Aspic, Part Two
14.The Court Of The Crimson King
15.21st Century Schizoid Man
encore
16.Devil Dogs Of Tessellation Row
17.Starless


「クリムゾン・キングの宮殿 - 風に語りて」 シド・スミス著

クリムゾン・キングの宮殿―風に語りて
シド・スミス
ストレンジ・デイズ
2007-07-27


第1章 どこでもないどこかへ
第2章 世界征服
第3章 勝利の始まりの終わり
第4章 スローリー・アップ、スローリー・ダウン
第5章 インサイド・ザ・サーカス
第6章 沈黙を破って
第7章 マジカル・アクト
第8章 フライング・ハイ
第9章 レッド・ゾーン
第10章 再始動
第11章 再び解体へ
第12章 後ろ向きで進む未来
第13章 未来に見えるもの

来日公演も間近に迫るKing Crimson。1969年のデビュー以来、断続的ながらも長いその歴史の中で、常にメンバーを変えながら音楽を進化させてきたため、奥が深くとっつき辛い印象もある。私も結構好きでアルバムも色々聴いてきたが抜けは多いため、予習にと以前出版されていた本書を改めて読んでみた。当時買って途中まで読んだまま放置してしまっていた。押入れにはそんな本が結構多い。。

Crimsonの歴史には多くの名ミュージシャンが携わっている。発表されてきたアルバムはほぼ毎回違うメンバーで制作されており、つまり毎回誰かが入って誰かが脱退しているわけだ。デビュー当時こそ誰がリーダーというわけではなかったようだが、以降はRobert Frippが絶対君主である。過去のメンバー達は皆彼に対して一定の評価をする一方で否定的なコメントもしているが、それに対するRobertの意図や捉え方というのは全く異なっているのが面白い。Robertは一緒に仕事をするには難しい相手なのだろうとは思うが、それでも彼が牽引し続けたからこそ今のCrimsonがあるのだと思う。

90年代にはオリジナルメンバーで再結成する可能性があったという。結局この話は流れているが、あまりRobert自身同窓会的なものに興味がないようだ。加えてどうにもRobertとGreg Lakeとの不仲も原因のようで、RobertはGregの代わりにJohn Wettonを入れる計画まで立てていたらしい。オリジナル再結成は夢のような話だが、今後も期待できないだろう。

文中でGordon Haskellが当時加入を躊躇っていた理由として「Kings Crimsonの音楽は冷た過ぎて自分には合わないと思った」と言っていた。実際彼らの曲の中には”Cadence And Cascade”のような穏やかな曲や、”Cat Food”のようなコミカル曲もあるものの、このコメントも分からないでもない。ただ単に冷たいとか温かいというものではなく、もっと壮大で革新的な音楽だと思う。だからこそいつまでも根強いファンがいるのだと思う。

私はCrimsonはもっと世界的に成功したバンドだと思っていたが、それほどでもないようで、レコーディング前に資金を調達するためにコンサートを打ったりもしていたらしい。そんな中で日本というマーケットは彼らにとっても大きいようで、今回のジャパンツアーも長い日程が組まれている。恐らく今回が最後の来日だと思うので愉しみたい。

 
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