Buena Vista Social Club

Buena Vista Social Club Live Report 2016

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2016.3.18 @ 豊洲Pit

先日Buena Vista Social Clubがアディオスツアーで来日し、最後の日本公演を行った。元々高齢だったオリジナルメンバーの多くは既に他界しており、実際新しいメンバーの多い今のグループはOrquesta Buena Vista Social Clubという名前で活動していたが、それも今回が最後になるという。

会場は豊洲Pit。年齢層は幅広かった。私はステージ左端の2列目を確保する。ずっと色々なキューバ音楽がSEで流れていたが、開演の19:00を5分ほど過ぎた頃に、歓声の中ピアノのRolandoが登場した。そして1人で静かに鍵盤を弾き始める。曲は”Como Siento Yo”。Ruben Gonzalesのソロ曲だ。美しくも力強い調べと、バックスクリーンには在りし日のRubenの映像が流れ感傷を誘う。

終わるとバンドが登場し”Bodas De Oro”で演奏がスタートした。編成は前列左手からピアノRolando、ウッドベースPedro、ラウーBarbarito、ギターSwami、トランペットはLuisとGuajiritoとGuajiroの3人。後列はコンガAndreas、ボンゴArberto、ティンバレスPhilibertoのパーカッション3人。曲途中からCarlosとIdaniaの男女ボーカルも登場して華を添える。

オリジナルメンバーのBarbarito Torresはとても元気だった。彼が弾いているのはラウーという弦楽器。小ぶりな三角のボディに12本の弦があるキューバ独特のもの。最初は座って弾いていたが、曲中に何度も立ち上がり前に出てきて、ステップを踏みながら、ソロを決めて魅せた。

右端にいたGuajiro Mirabalは印象的なトランペットを聴かせてくれたが、立ち上がって演奏することはなかった。またいるはずだったトロンボーンのJesus “Aguaje” Ramosの姿は残念ながら見当たらなかった。

亡くなったメンバー達もそれぞれのソロ曲が演奏される際に次々とスクリーンに登場した。4曲目のインストTambaoではCachaito Lopezの、”Bruca Manigua”ではIbrahim Ferrerの映像が流されていた。そしてそうした故人の遺志を継ぐように、Pedroはウッドベースで見事な指さばきを魅せ、ハンチングを被ったCarlosは高らかに歌い上げていた。

「キューバの伝説のディーバ!」という紹介でOmara Portuondoが大歓声の中で出てきて”Lagrimas Negras”を歌う。彼女の年齢はもう85歳になるはず。登場するなりピアノの前に置いてある椅子に腰掛けながら歌っていたのでやはり歳かなと思ったが、途中からは立ち上がり、その後ほとんど最後まで座ることはなかった。そして何より依然張りと伸びのある歌声が見事だった。曲が終わると「ドウモアリガトゴザイマシタ!」と滑らかな日本語で深々とお辞儀をしていた。

バンドが全員下がり、ピアノだけをバックにした”20 Anos”での歌い上げは思わず聞き惚れた。続いてラウーとギターだけをバックにして歌い出したのはスタンダード”Besame Mucho”。彼女は客をノせるのが本当に上手く観客も大合唱。スカートをたくし上げてのっしのっしと踊ったり、”Quizás, Quizás”ではフロアから若い日本人男性を舞台に上げて一緒に踊ってみせたり、彼女は本当にエンターテイナーだった。

ここでOmaraは一旦退場。バンドだけでインストの”Black Chicken”。3人のリズム隊が1人ずつソロを決める。そのパーカッシブなリズムと力強い演奏が、たとえOmaraがいなくても観客のテンションを決して下げさせない。

この後は名曲のオンパレードだ。”Chan Chan”が始まると大歓声。バックには御大Compay Segundoの映像。続いて最も好きな”Candera”は私のハイライト。終始アップテンポな高揚感。途中Barbaritoが弾いている時にCarlosが歌って邪魔をしたということで、Barbaritoが怒ったふりをしてCarlosにラウーを弾いてみろと迫る。するとCarlosが見事に弾いてみせて歓声。その後Barbaritoがこれに負けじとCarlosにラウーを持たせ、後ろ手でソロを決める。映画のカーネギーホールで披露していたこの技に観客は大歓声を送った。途中からまたOmaraも再登場。そしてスタンダードナンバー”Guantanamera”で盛り上がって本編終了。

アンコールでは、まずOmaraとCarlosが登場。ラウーとギターだけをバックに"Dos Gardenias"を歌う。親子ほどの年齢の違う2人だが、寄り添いながら非常に熱いデュエットを披露してくれた。そして締めは名曲"El Cuarto De Tula"。最後はフロントのメンバー達が皆前に並んでラインダンスをしてみせていた。終わってから場内「キューバ!キューバ!」の大歓声。キューバ音楽の素晴らしさと、日本での人気の高さを実感した一夜だった。

1. Como Siento Yo  (Rubén González cover)
2. Bodas De Oro
3. Rincón Caliente
4. Tumbao  (Orlando "Cachaito" López cover)
5. Bruca Maniguá  (Orquesta Casino de la Playa cover)
6. Lágrimas Negras  (Trío Matamoros cover)
7. 20 Anos
8. Besame Mucho
9. Amor De Mi Bohio
10.No Me Llores Más  (Arsenio Rodríguez cover)
11.Quizás, Quizás  (Osvaldo Farrés cover)
12.Black Chicken 37
13.Marieta
14.Chan Chan  (Compay Segundo cover)
15.Candela
16.Guantanamera
Encore:
17.Dos Gardenias  (Isolina Carrillo cover)
18.El Cuarto De Tula  (Luis Marquetti cover)


Buena Vista Social Club 来日



今週いよいよBuena Vista Social Clubがキューバから来日します。これが最後のアディオスツアーということで非常に楽しみにしていました。

昨年アメリカはキューバと国交正常化交渉を進め始め話題になっていました。その一環で彼らがホワイトハウスに招かれ演奏していたのが報道されており、あぁまだ活動してるんだ観たいなぁ、と思っていた矢先の来日決定。

しかしチケット発売まで少し日にちがあるなと思っていたら、まさかの出遅れで完売。慌ててキューバ音楽コミュニテイの知り合いに聞いて回ってもチケット余っている人などいるはずもなく、オークションにも出て来ず。武蔵野市民文化会館なんていう小さい会場で1日のみの公演だから当然です。もう完全に諦めていたところに追加公演決定。感謝々々。

元々高齢のグループだったので、既に他界している人も多く、Compay SegundoやIbrehim Ferrer、Ruben Gonzalezなど主要メンバーはもう皆いません。またEliades Ochoaはまだ若いので健在なのですが、ちょうど同時期に本国でフェスティバルがあり、彼は自身の率いるグループでそちらに出演するらしく来日しません。でもOmara PortundoやGuajiro Mirabalなどまだ4人のオリジナルメンバーが残っています。名曲と名演を堪能したいと思います。

ちなみに昨年リリースされた未発表曲集「Lost and Found」も最高です。参戦予定で未聴の方は是非。 

 

Buena Vista Social Club 「At Carnegie Hall」 (2008)



Disc 1
1. Chan Chan 
2. De Camino a la Vereda 
3. El Cuarto de Tula 
4. La Engañadora 
5. Buena Vista Social Club 
6. Dos Gardenias 
7. Quizás, Quizás 
8. Veinte Años 

Disc two
1. Orgullecida 
2. ¿Y Tú Qué Has Hecho? 
3. Siboney 
4. Mandinga 
5. Almendra 
6. El Carretero 
7. Candela 
8. Silencio

先日のハイチと同じカリブ海に浮かぶ美しい島キューバ。今年はこのキューバとアメリカの国交正常化交渉が話題になっており、先日遂にキューバのアメリカ大使館も再開したらしい。かつてのキューバ危機から続く冷戦時代の負の遺産を清算することができれば偉業である。

キューバには昔から固有の素晴らしい音楽がある。それを世界に紹介してくれたのが97年の「Buena Vista Social Club」だった。Ry Cooderが急遽集めたキューバの古参ミュージシャン達による至宝のような音楽は、後にWim Wenders監督の同名映画によって、ワールドミュージック史上空前の大ヒットとなった。

ここに参加していた面子はとにかく皆老練揃いだった。99年の映画が撮られた時点で、ボーカルのIbrahim Ferrerは72歳、ピアノのRuben Gonzalezは80歳、ギターのCompay Segundoに至っては何と92歳!そんな彼らが熟練の演奏を聴かせる。

今日取り上げたいのは、彼らが98年にニューヨークのカーネギーホールに出演した時の伝説のライブアルバム。これは2008年にようやくリリースされたものだが、何故10年もお蔵入りさせていたのか不思議な位素晴らしいものだった。ソンやグァヒーラ・ボレロなどの伝統音楽が、スタジオアルバム以上に生き生きとした演奏で繰り広げられる。特に女王Omaraの歌うM6の高揚感は感動的だし、M5で感極まって流す彼女の涙を拭うIbrahimの姿も思い出させる。愛すべき老演者達が強いお互いの絆から紡ぎ出す至宝のような音楽だ。

このように彼らがアメリカに入国することができたのは、当時比較的自由なクリントン政権だったからであった。しかし後のブッシュ政権になってからは両国間の往来は禁止され、このプロジェクトは頓挫を余儀無くされる。そしてそうしている間、悲しいことに2003〜2005年に主要メンバーが皆他界してしまうのである。

ちなみに今年の3月には未発表音源集「Lost & Found」がリリースされたが、これもまた素晴らしかった。毎年夏になると、こうした南国の音楽が心地良い。

★★★★★ 


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