Scorpions

Scorpions 「Tokyo Tapes (Deluxe Edition)」 (2015)

01. All Night Long
02. Pictured Life
03. Backstage Queen
04. Polar Nights
05. In Trance
06. We'll Burn The Sky
07. Suspender Love
08. In Search Of The Peace Of Mind
09. Fly To The Rainbow
10. He's A Woman - She's A Man
11. Speedy's Coming
12. Top Of The Bill
13. Hound Dog
14. Long Tall Sally
15. Steamrock Fever
16. Dark Lady
17. Kjo No Tsuki

CD2:
01. Robot Man
02. Hell Cat (Unreleased Live Track)
03. Catch Your Train (Unreleased Live Track)
04. Kimi Ga Yo (Unreleased Live Track)
05. Polar Nights (Unreleased Live Track)
06. He's A Woman She's A Man (Unreleased Live Track)
07. Top Of The Bill (Unreleased Live Track)

Scorpionsが今年結成50周年だということで、それを記念しての往年の8枚のタイトルがデラックスエディションとして乱発された。その中でまず入手したのはやっぱりこれ「Tokyo Tapes」。彼らの人気が沸騰していた日本での初来日公演を収めた名ライブ盤だ。

収められているのは1978年4月24日と27日の中野サンプラザ公演。直後に脱退するUli Rothの飛翔する鋭いギターと、後に演らなくなる70年代の名曲の数々がスタジオアルバム以上に堪能できる。Blu-Specのリマスターされた音質も申し分ない。

で、今回の再発の最大の目玉はこれまで削られていた楽曲が収められていることだ。元々収録されていた18曲以外に、実際の公演では”Speedy's Coming”の後に”Catch Your Train”が、またアンコールでは”君が代”、”Hell Cat”が演奏されていたのだが、今回はこれらを含む未発表音源がボーナスディスクに収められている。しかし欲を言えば当時のセットリストを再現する曲順にして欲しかったところだ。

後で知った話だが、当時Uliは脱退することが決まっていたため、そもそもこの日本公演には消極的だったらしい。ラストに彼がボーカルを取った”Hell Cat”や、Jimi Hendrixが演ったアメリカ国歌へのオマージュでもある”君が代”が削られたのには、そうした背景があったらしい。しかし実際にステージでは素晴らしい熱演を披露したのは、今回収録された楽曲からもよく分かる。また今年の2月に来日して中野サンプラザで「Tokyo Tapes」を再現してくれたように、結果的にUliにとっても日本のファンの熱狂は印象深かったようだ。

ちなみに私の持っているブートは4月24日をフルで収めたオーディエンス録音なのだが、かなりリアルに観客の声を拾っている。面白いのは”荒城の月”でKlausが観客に歌わせた際に、若い男性の声が「こんな曲分かんねーよ」「知らねーよ、こんな歌」などと言い合いながら、かなり適当に声を張り上げている場面がある。これが海外に流通しているのが日本人として恥ずかしいが、私自身も歌えないので人のことは言えない(笑)

次は79年の来日公演DVDの付いた「Lovedrive」が気になるところ。「Tokyo Tapes」の映像はないのかな?


Uli Jon Roth Live Report 2015

uli

Faith No Moreの2日後にすぐ今度はUli Jon Rothの来日公演に行ってきた。余韻に浸る間もなく、ジャンルも全く違うので、頭を切り替えるのが大変だった。

Uli Jon Rothは70年代にScorpionsに加入し頭角を現したギタリストである。この頃はUlrich Rothという名だった。Jimi Hendrixの影響を強く受けており、冗舌で表現豊かなギタープレイでScorpionsを成功へと導いた。78年に脱退後はElectric Sunを始めとするソロ活動を行ってきた。

今回の公演は彼がScorpionsへ加入して40周年を記念して、70年代のScorpionsの楽曲を演奏してくれるということで思わず参戦した。公演会場は名ライブ盤「Tokyo Tapes」が収録された37年前の初来日公演と同じ中野サンプラザホール。ここも近いうち取り壊し予定とのことなのでこれが見納めになる。

会場に着くとビル内ではちょうどベースのUle Ritgenの絵画展をやっていたので覗いてみた。Uliの「Under A Dark Sky」のジャケットを描いたのが彼であり、その幻想的で写実的な絵画の数々は感嘆ものだった。ただどれも20万前後の値段がついており、画商の人達が営業を頑張っていた。

ule

開場し7時過ぎに暗転した。ゼロコーポレーションの橋本社長が前説で出てきた後、メンバーが登場すると早くも場内皆立ち上がりオールスタンディングに。フロント中央にボーカルのNathan James、その左手にUliとギターNiklas Turmann。右手にはベースのUleともう1人のギターDavid Klosinski。バックにドラムJamie LittleとキーボードCorvin Bahnが並び、全部で6人編成。ギターはUliを含めて3人もいる。

オープニングは”All Night Long”で勢いよくスタートした。これも「Tokyo Tapes」と同じだ。そして2曲目は「In Trance」から”Longing For Fire”、3曲目は「Virgin Killer」から”Crying Days”。こういうマイナーな選曲も絶妙で最高である。

曲後UliのMC「37年前に初めて日本に来た時に演ったのがこの中野サンプラザだった。その時にいた人はいるかい?」パラパラとだけ手が挙がったのを見て「あまり多くないね」と言っていた。御大は明るい色のストレートの長い髪は昔のまま変わっておらず、顔のシワと口髭が正にギター仙人といった風貌である。頭に巻いた水色の鉢巻も粋だが、実はあれは禿げ上がった額を隠すためであることは見れば分かる(笑) 

ボーカルのNathanは大柄な体躯で、Klaus Meineとはまた違ったタイプだが、低音から高音域まで非常にパワフルた。今回のツアーでUliは彼を連れていくのを楽しみにしていたようだったが、それも納得のボーカルである。しかしボーカルを取ったのは彼だけでなく、ギターのNiklasも何曲か歌っていたし、Uli自身も原曲通り何曲かではボーカルを披露していた。

ベースのUleはUliとはElectric Sunから長い付き合いだ。彼はUliの弟が結成したZenoに参加した後、その後継Fair Warningを率いてきた人物でもある。ただこの日のステージではほとんど目立たなかったが、地味ながらも堅実なプレイでバンドを下支えしていた。

兎にも角にも驚嘆するのはUliのスカイギターの凄まじさである。各曲のソロや後半のインプロで魅せるピッキング、カッティング、タッピング、アーミング、どれも見事の一言。奏でる音もメロディアスだったりアグレッシブだったり様々な表情をみせる。後日「スカイアカデミー」という仙人自らによるギター講座も開催されていたらしいが、いくら教えてもらってもあんなギターは弾けないだろう。この日はツインリードも楽しみにしていたのだが、3人いるので豪華なトリプルリードだったのは期待以上だった。

もう一つ痛感したのは楽曲の素晴らしさだ。とにかく70年代の楽曲を次から次へと演ってくれたが、どれも本当に名曲だった。特に”We'll Burn The Sky”や”In Trance”、”Fly To The Rainbow”あたりの静と動のコントラストのある曲は聴いていて引き込まれた。

「1978年にここで演った時私達は何かスペシャルなことをやりたいと思ったんだ。一緒に歌ってほしい」と言って始まったのは何と”荒城の月”。ここまで「Tokyo Tapes」を再現してくれたことに感動しつつも、当時の観客と同じように私はあまり歌詞が分からず歌えなかった。

NiklasのMC「次はUliがクラシックギターを弾くけど、これは完全にインプロだから毎晩違うんだ。タイトルは”Rainbow Dream Prelude”」Uliが1人椅子に座り指弾きで奏で始め、美しい調べを聴かせる。途中で弾き方を替えてドラムをバックにフラメンコギターまで聴かせてくれたのには感嘆させられた。

”Fly To The Rainbow”の後半で強烈なアーミングのソロを弾いていたのだが、その時に弦を壊してしまったらしくギターを替えていた。しかしその後”Top Of The Bill”を弾き始めた途端演奏を中断。長いことチューニングしていたがダメだったのか、またギターを交換。「いつも自動チューニングだからやり方を忘れちゃったんだよ」と言っていた。その後「弦が壊れることなんてないんだけどね。Scorpionsソングを演ったからこうなったのかな」と。今のScorpionsとの関係は良く知らないが少し皮肉が感じられた気がする。

”Dark Lady”後半で演奏しながらのメンバー紹介があり、最後に並んで手を振り本編終了。アンコールで戻ってきて”Pictured Life”。2曲目の”Catch Your Train”の後でUliが「日本では9時を過ぎると電車に飛び乗って帰らなきゃいけないんだろう?違うのかい?」なかなかお茶目なことを言ってくれる。

「次は歌詞はBob Dylanが書いてJimi Hendrixがアレンジした曲だよ」と言って始まったのはUli自身がボーカルを取っての”All Along The Watchtower”。後半は彼なりのアレンジも加えて弾きまくる。終わった後にNathanが歌いたそうにステージに戻ってきたが、そのままUliボーカルでまたJimiの”Little Wing”へ。正直最後は場内少しクールダウンしてしまった感は否めず、NathanボーカルでScorpionsソングで締めてほしかった。

終わったのは9時半、トータル2時間半の熱演だった。インタビューで今回の来日公演は映像化する予定だと言っていたし、場内でも撮影している様子を目にしたが、Uli仙人の弾きまくる素晴らしいステージが収録されることだろう。きっとギタートラブルのところは上手く編集されるだろうけど(笑)

1. All Night Long
2. Longing For Fire
3. Crying Days
4. The Sails Of Charon
5. Sun In My Head
6. Virgin Killer
7. 荒城の月
8. We'll Burn The Sky
9. In Trance
10.Raibow Dream Prelude
11.Fly To The Rainbow
12.Top Of The Bill
13.I've Got To Be Free
14.Polar Night
15.Dark Lady
Encore
16.Pictured Life
17.Catch Your Train
18.All Along The Watchtower
19.Little Wing

 

Scorpions 「In Trance」 (1975)

復讐の蠍団~イン・トランス
スコーピオンズ
SMJ
2013-10-09


A1. Dark Lady
A2. In Trance
A3. Life's Like A River
A4. Top Of The Bill
A5. Living And Dying
B1. Robot Man
B2. Evening Wind
B3. Sun In My Hand
B4. Longing For Fire
B5. Night Lights

Uli Jon Rothが来日する。70年代Scorpionsのキーマンである彼が、加入40周年を記念して、当時のScorpionsの楽曲の数々をプレイしてくれるのだという。正直彼のソロはほとんど聴いてなかったが、これには思わず食いついてしまった。

70年代のScorpionsは日本で絶大な人気を誇っていた。78年の中野サンプラザ公演を収めた「Tokyo Tapes」がそれを証明している。80年代以降彼らはアメリカを始め世界的に大成功を収めて行った一方で、日本での人気は低迷していったのは残念だった。と言いつつ私も70年代しかほとんど聴いていないのだが。

この頃のアルバムはどれも名盤だが、1枚挙げるなら私は3rd「In Trance」だ。Uliが加入したのは前作だが、アルバム制作に本格的に関わったのは本作からである。何しろオープニングとラスト、そしてB面曲のほとんどが彼の作曲だ。

まず冒頭A1で勢いよくUliの鋭いギターとKlaus Meineのハイトーンボーカルが日本刀のように斬り込んでくる。A2とA3は静と動のコントラストが見事な名曲で、Klausの名唱とUliの泣きのギターが聴き物。A3の”人生は川の如し”の邦題も完全に演歌。そしてA4は最もハードで破壊力のある名曲で、私がライブで最も聴きたい曲である。このA2~A4の流れはKlausとRudolf Schenkerの作曲コンビの真骨頂。B面もハードな代表曲B6で始まりもの悲しいB5で終わるまで全曲良い。

アルバム全体的にとにかくハードとメランコリックの振幅が広いのだが、その両面で聴かせてくれるKlausのボーカルとUliのギターの表現力が素晴らしい。また随所で聴かれるRudolfとのツインリードも美しい。全編に渡り変な甘さが一切なく、徹底して叙情的なマイナートーンで包んでいるあたりが、聴く者の心に突き刺さると同時に、アメリカ人には決して真似できないところだと思う。

また70年代Scorpionsは発禁ジャケットでも有名だ。ただ日本では今作含めほとんど復刻されているが、流石に「Virgin Killer」だけは差し替えられている。少女のオリジナルジャケットはプレミアが付いており中古市場では約3500~4000円で流通しているが、たまにBook Offでは安値が付けられているので狙い目だ。

この当時の名曲が生で聴けると思うと楽しみだ。

★★★★★ 


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