2月23日は富士山の日である。昨年は私がそれまで撮影してきた富士山の写真を10枚選んでみたのだが、今年は趣向を変えてみたい。

私は山の美術を眺めるのも好きなのだが、日本で最も多く描かれてきた山が富士山である。恐らく世界中でもここまで美術の対象となってきた山はないだろう。このことは富士山が世界文化遺産に登録された理由の1つでもある。

ということで、今日は私が最も素晴らしいと思う富嶽図を10枚挙げてみたい。

①15c_伝雪舟等楊『富士三保清見寺図』
① 伝雪舟 「富士三保清見寺図」15c
雪舟は日本の水墨画を完成させた巨匠。この三保松原からの遠景は富嶽図のプロトタイプとして後世に影響を与え続けた。

②16c_狩野元信_絹本着色富士曼荼羅図
② 狩野元信 「富士参詣曼荼羅図」16c
修験道として富士参詣は人気を集める。山麓の浅間神社から山頂の如来三尊までの山行が細かく描かれている。

③1799 司馬江漢〈駿河湾富士遠望図〉
③ 司馬江漢 「駿河湾富士遠望図」1799
いち早く洋画の手法を取り入れた司馬江漢の作品には江戸時代中期とは思えない写実性がある。医学や地図制作にも通じた奇才。

④1801_小泉檀山_富嶽写真
④ 小泉斐 「富士登岳図巻」1801
実際に自身で富士に登った上で制作した長大な図巻。大胆な構図と臨場感で、同時代の谷文晁もこれを模写している。

⑤1832_葛飾北斎_山下白雨 冨嶽三十六景
⑤ 葛飾北斎 「富嶽三十六景 山下白雨」 1832
間違いなく世界で最も有名な富嶽の巨匠。「富嶽三十六景」以外にも「富嶽百景」や肉筆画なども多数あり。

⑥18_歌川広重_隷書版東海道五十三次_原
⑥ 歌川広重 「隷書版東海道五十三次 原」1849
「東海道五十三次」が有名だが、広重も「不二三十六景」を描いている。画面からはみ出すほどの迫力。

⑦1896_富岡鉄斎_富士山図屏風
⑦ 富岡鉄斎 「富士山図」1898
文人画・南画の奇才。彼も富士に登頂しており、その経験を元に見事な六曲一双屏風に描いている。

⑧1918和田英作「富士」
⑧ 和田英作 「富士」1918
洋画の富士山なら和田英作は外せない。山麓に移住し後半生はひたすら富士に向き合った。穏やかな写実が特徴的。

⑨1925_不染鉄《山海図絵(伊豆の追憶)
⑨ 不染鉄 「山海図絵」1925
不思議な魅力の日本画家。伊豆諸島に暮らしたこともあり、伊豆の海中から日本海まで俯瞰する大胆な構図で描かれている。

⑩1942_横山大観_正気放光
⑩ 横山大観 「正気放光」1942
富士山で有名な近代日本画の巨匠。迫力のある見事な富士を描き続けたが、戦時中は国粋主義が色濃かった。

古来より現代まで富士の美術作品はとにかく膨大にあるため、たった10点を選ぶのには難儀した。もし好きな人がいれば、河口湖美術館やフジヤマミュージアムをお勧めしたい。