ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ「悲愴」「月光」「熱情」
ギレリス(エミール)
ユニバーサル ミュージック
2015-05-20


ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 《悲愴 (Pathetique)》
1 第1楽章: GRAVE - ALLEGRO DI MOLTO E CON BRIO
2 第2楽章: ADAGIO CANTABILE
3 第3楽章: RONDO(ALLEGRO)

ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27-2 《月光 (Moonlight)》
4 第1楽章: ADAGIO SOSTENUTO
5 第2楽章: ALLEGRETTO - TRIO
6 第3楽章: PRESTO AGITATO

ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57 《熱情 (Appasionata)》
7 第1楽章: ALLEGRO ASSAI
8 第2楽章: ANDANTE CON MOTO
9 第3楽章: ALLEGRO MA NON TROPPO - PRESTO

毎年年末になると世界中でベートーベンの第九が盛んに演奏されるのが恒例だ。私も昔学生の頃年末にクラシック好きの彼女に連れられて第九を聴きに行ったことがある。当時私は完全にロックしか興味なかったのだが、迫力ある演奏と合唱に感銘を受けたのを覚えている。

今年はベートーベン生誕250周年ということで、日本国内でも数多くのベートーベン絡みのコンサートが企画されていた。しかしこれらのほとんどは、今年世界中に蔓延した新型コロナウィルスの影響により中止や延期となってしまった。中でも毎年ゴールデンウィークに開催されていた国内最大級のクラシックの祭典「ラ・フォル・ジュルネ」では大々的にベートーベンイヤーが祝われる予定だったが、当然これも中止となっている。

ベートーベンは交響曲や協奏曲をはじめ無数に作曲しており、あまりにも奥が深い。そのため私のような初心者には触れづらいのだが、あえて言わせてもらえれば、私が一番好きなのがこの3大ピアノソナタだ。生涯で作曲した32のピアノソナタのうち最も有名な3つである。

第8番「悲愴」
この悲愴という題名はベートーベン自身が名付けたもの。第一楽章と第三楽章は、流れるようなアップテンポで、美しくもどこか物悲しい。ただ第二楽章だけは、全く雰囲気が異なり、どこまでも穏やかで優しい。私の中ではショパンの"牧童"と並んで最高の癒しピアノ曲となっている。

第14番「月光」
恐らくベートーベンのピアノ曲の中で最も有名なのがこの第一楽章だろう。この耽美的なメロディは他ジャンルでも多くカヴァーされている。月光という題名は正に雰囲気にピッタリだが、これはベートーベン自身が付けたものではなく、詩人レルシュタープが「スイスのルツェルン湖の月光の下で波に揺れる小舟のようだ」と評したことから付けられている。このジャケットもその情景そのもので良い。
また物凄く早い運指で圧倒される第三楽章もお気に入り。ピアノの得意な私の仕事仲間の女性は、むしゃくしゃした時はストレス発散のためにこれを弾くのだと言っていた。こんな曲を弾けたらさぞ気持ち良いだろうが、弾けるようになるまで練習することが非常にストレスフルな気がする。

第23番「熱情」
この曲の題名もベートーベンの命名ではなく出版商によるものらしい。しかし題名通り情熱的な旋律が展開される。エミール・ギレリスはかつてのソ連の名ピアニストだが、激しい超絶技巧としっとりとした美しさを織り交ぜながら素晴らしい演奏を聴かせてくれている。

現在世界中の音楽業界は演奏の機会を奪われ瀕死の状態で喘いでいる。来年は早く収束し、世界に音楽演奏が還ってきてくれることを祈っている。