丹沢 尊仏山荘物語
山岸 猛男
山と溪谷社
1999-08-01





第1章 裸で得た第二の人生
第2章 塔ノ岳の歴史と自然
第3章 山小屋暮らし
第4章 山に眠る
第5章 世代を超えて

丹沢山塊には数多の山々があるが、その中で最も人気の高い山が塔ノ岳だ。そしてその山頂で唯一通年営業しているのが尊仏山荘である。そこの先代のご主人が書いた本があると知り一度読んでみたかった。

終戦直後、朝鮮から引き揚げてきた山岸猛男氏が塔ノ岳に登ったことが始まり。山守りの仕事をすると決心した氏が周囲の反対を押し切り、最初の山小屋を建てたのが1947(昭和22)年だった。2年後には戦前にあった尊仏小屋の二代目としてスタートした。

以降40年以上に渡って山荘を切り盛りしながら丹沢の歴史を見てきた。登山ブームによる登山者の増加とゴミ問題、高校山岳部や中学修学登山の隆盛と衰退、1975年の国体、etc。

中でも印象的なのは、山荘でアルバイトをしていた青年の遭難死である。丹沢登攀160回にも関わらず大倉尾根で遭難した。また同年には他にも若い登山者が4人も縦走中に命を落としている。厳冬期の丹沢の怖さを知った。

1987年に山荘は今の姿へと建て替えられた。これを機に、足を悪くされた氏は山荘を娘ご夫妻に引き継いで山を降りられた。しかしその後も氏の心はいつまでも山の上にあったようである。長きに渡り山守りをされてこられた氏の、丹沢の自然と山荘と登山者への愛情溢れる一冊だった。

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