adios

映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』を観た。当初単にアディオスツアーのことを取り扱った続編ドキュメンタリーかと正直あまり期待していなかったのだが、実際は非常に見応えのある内容だった。

1999年に公開されたオリジナル映画の方は、キューバの老ミュージシャン達の当時の様子を良く捉えていたものだった。今作はもっとキューバの歴史やソンの起源などを掘り下げている。スペインからの独立、黒人差別、カストロの革命、ソンにおけるコンガの禁止、etc。

またメンバー1人1人の生い立ち、若かりし頃の貴重な映像も見られる。知らなかったのは、オマーラ・ポルテゥオンドがまだ若かった頃姉妹で歌っていた後ろで、イブライム・フェレールがバックシンガーとして歌っていたこと。その後オマーラはソロとして成功した一方で、イブライムは素晴らしい歌声を持ちながらも陽の目を見ずに引退した。2人で情感深く歌っていた背景にはこうした歴史があったのだ。

アムステルダム公演前のリハーサル場面も印象的だった。エリアデス・オチョアにとってコンパイ・セグンドは憧れの大先輩だったのだが、リハーサルでエリアデスはコンパイにギターのキーが外れていると指摘し、これに対してコンパイが激昂する。公演中2人は笑い合いながら演奏していたが、裏にこんな経緯があったからこそあの笑顔だったのだというのも初めて知った。

今は亡きコンパイ、ルベーン、イブライムら愛すべき老名手達の葬儀の様子も観ることが出来て良かった。イブラヒムの追悼公演でのオマーラの熱唱には目頭が熱くなった。

オバマ大統領時代にホワイトハウスに招かれたというのはニュースで知ってはいたが、この時の様子も収録されていた。あの時は両国の明るい未来を夢見たが、トランプ時代の今となってはもはや遠い過去のようである。