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今日は先週のターナーと同じ時代に生きた風景画家フリードリヒについて取り上げたいと思います。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ(Casper David Friedrich, 1774-1840)はドイツの画家です。ターナーと同様にロマン主義に属しましたが、ターナーが当時からイギリスで高い評価を受けていたのとは対照的に、フリードリヒは孤独な生涯を送りました。

フリードリヒの作品が一般的に受ける印象はとにかく暗い。彼は子供の頃に弟が自分の身代りに湖で溺死するのを目の当たりにしています。さらに母や姉の死も重なり精神的に病み、これがその後の画風に影響していると言われています。

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広がりのある荒涼とした風景がダークな色彩で表現され、十字架や墓が配されていることも多い。人物が描かれることもありますが、皆こちらを向いていることはなく、あくまでも風景の一部となっています。彼の「画家は自分の内面にあるものを描くべきである」はロマン主義を象徴する言葉ですが、確かに下の作品などには男のロマンを感じます。

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しかし単なる心象画や宗教画にはない彼の強烈な大自然に対する畏怖と孤独感は、同時代のロマン主義にも後の印象派にも見られないもので、そこに妙に惹かれてしまうのでした。

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これは彼の「ヴァッツマン」を模写しようとして途中から適当になってしまったもの。。