スルー・シルバー・イン・ブラッド
ニューロシス
HOWLING BULL Entertainmen
2000-05-03




1. Through Silver in Blood 
2. Rehumanize 
3. Eye 
4. Purify
5. Locust Star
6. Strength of Fates 
7. Become the Ocean 
8. Aeon 
9. Enclosure in Flame

今月は流れでポストハードコアを特集していますが、最後はやっぱりこのバンドNeurosisで締めたいと思います。

デビューは1987年。初期は荒削りなハードコアパンクでしたが、1992年の3rd「Souls At Zero」以降サウンドは大きく深化を遂げていきます。ギターリフは重くメタリックになり、キーボード/サンプラーやヴィジュアル担当のメンバーも加わります。さらには弦楽器や管楽器、バグパイプなども毎回参加するようになり、サウンドは破格のスケールアップをしました。

90年代の彼らは作品を重ねる毎に常に前作を上回る作品を作り続けていただけに1枚を選ぶのは難しいですが、最も知名度があり入門的なのは1999年の6thの「Times Of Grace」でしょう。名エンジニアSteve Albiniとタッグを組み始めたのもここからで、別動隊Tribes Of Neurotのアンビエント音楽作品とのコラボレーションという離れ技まで披露していました。

しかし今回はあえて彼らの最も暗黒な世界をご紹介したいと思います。1996年の5th「Through Silver In Blood」。先週のIsisの音楽には一条の光が差していましたが、ここには一切の光はなく、ひたすら死と向き合うような暗闇と絶望の世界が広がっています。

不穏な音とJason Roederらの呪術的なトライバルリズムで導かれるM1では、やがてScott Kelly (G)、Steve Von Till (G)、Dave Edwardson (B)の3人が巨壁のようなリフを響かせながら、代わる代わるボーカルを取り咆哮する。12分もの間じわじわと展開していく中で激しい情念を叩きつけられ続け、神経を病むこと請け合いです。

またM4とM8を聴けば彼らの音楽がただダーク&ヘヴィなだけではないことが分かるでしょう。嵐の前のように静かなアルペジオやピアノで幕を開け、続く暴風雨のような轟音に晒され、最後には全く想像しなかったような壮大なスケールのクライマックスが待っています。それはまるで人類の力も及ぶべくもない大自然の恐怖に対峙したかのような感覚です。

闇の帝王、もしくはヘヴィミュージック界の裏ボス。何かと大仰な表現になってしまいがちな彼らの音楽ですが、きっと聴けば分かってもらえるのではないかと思います。ただ決して万人にお勧めできる音楽ではないので、精神力と免疫のある人に限ります。あと危険ですので老人・子供には聴かせないようにして下さい。