第1 話「生誕!ヘヴィ・メタル天地創造」
第2 話「勃発!初期アメリカン・メタルと地獄の夜明け」
第3 話「伝統!初期ブリティッシュ・メタルの鋼鉄の覇者」
第4 話「開花!ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタルの新しい波」
第5 話「華激!グラム・メタルの甘い罠」
第6 話「激速!スラッシュ・メタルの破壊衝動」
第7 話「革命!グランジ・ロックの光と翳」
第8 話「新鋭!ニュー・メタルが開く未来の扉」
第9 話「戦慄!ショック・ロックの幻想と怪奇」
第10 話「猛撃!パワー・メタルと戦士の剣(ソード)」
第11 話「進化!プログレ・メタルの深遠なる世界」
ヘヴィメタルの歴史を大局的に取りまとめた一大ドキュメンタリー。WOWOWで放映されていたので録画しておいたのだが、とにかく凄い量で全部観るのに時間がかかってしまった。
このドキュメンタリーの監督はSam Dunn。以前にも「Headbangers Journey」やIron Maidenの「Flight 666」を制作した彼が、熱い情熱を持って世界中を飛び回って作り上げている。300人という世界中の物凄い数のアーティスト達がインタビューに応えており、皆そうそうたるメンツだが、これも彼の熱意の賜物だろう。
また通常こういった企画物は、単に時系列に並べてひどく客観的にまとめていくものが多い。しかしこの企画がそうしたものと大きく異なるのは、Sam監督の主観が大きく方向付けているためである。NWOBHMバンドにパンクの影響を問い詰めたり、Grungeバンドにヘヴィメタルの影響を探ったり。また毛嫌いしているヘアメタルやニューメタルを、メタルのサブジャンルとして背景を探っていく中で新たな魅力を発見していっている。
最も興味深かったのは「パワーメタル」編。Judas PriestやIron MaidenやRainbowから、ジャーマンメタルやYngwie、そして今日のヨーロピアンメタルまでの系譜を見事に描いてみせていた。また近年のヨーロッパのヘヴィメタルムーブメントの背景には、歴史や伝統を重んじる精神やクラシックの素養があるからであり、これがアメリカ人とは異なるところなのだというのも非常に納得がいった。
最近のヘヴィメタルに対する世の中の再評価の流れには目を見張るものがある。新しいバンドが登場し、新たな雑誌や番組や映画が組まれている。このドキュメンタリーはそうした流れを決定づけたものの1つであろう。