スメタナ「わが祖国」-『ミュシャ展』開催記念盤-
ベルグルンド(パーヴォ)
ワーナーミュージック・ジャパン
2017-03-08


1. 第1曲:ヴィシェフラド(高い城)
2. 第2曲:モルダウ
3. 第3曲:シャールカ
4. 第4曲:ボヘミアの森と草原より
5. 第5曲:ターボル
6. 第6曲:ブラニーク

先日の「スラブ叙事詩」は、ミュシャがスラブ国家としてチェコの独立を願って描き上げた大作でした。そのミュシャを大いにインスパイアしたのが、スメタナの交響詩「わが祖国」であったのは有名な話です。これは先日の会場でも販売されていた「わが祖国」のミュシャ展開催記念盤で、ジャケットにある「スラブ民族の賛歌」をはじめとする「スラブ叙事詩」の全作品がインナーに描かれています。

ベドルジハ・スメタナ(Bedrich Smetana, 1824-1884)はチェコの作曲家です。彼が「わが祖国」を作曲したのもミュシャと同じ理由でした。チェコは他国に侵略され続けた不遇な歴史を持ち、当時もオーストリア=ハンガリー帝国の支配下にありました。そんな祖国に対するスメタナの想いが全6曲の交響詩に込められています。

前半ではチェコ・ボヘミアの情景が壮大に描かれます。最も有名なのが②。モルダウとはドイツ語らしく、最近はチェコ語でヴルタヴァと呼ばれます。源流から下流までゆるやかに、でもどこか悲哀を湛えながら流れていきます。軽快な中間部も好きです。勇壮な①や牧歌的な④も、祖国の美しい古城や田園風景を叙景的に描写しています。

一方、後半では今度は祖国の歴史を表現しています。⑤のターボルと⑥のブラニークとは、それぞれチェコ南部にある町と山の名前で、どちらも中世チェコの宗教革命家ヤン・フスと彼の支持軍フス派のゆかりの地。彼らの闘いと栄光が最後に感動的に奏でられます。ヤン・フスはミュシャの「スラブ叙事詩」にも描かれていましたが、それだけチェコ人にとって重要な英雄なのでしょう。

ちなみにスメタナは晩年聴力を失いながらもこの交響詩を完成させたと言われていますが、それがとても信じ難い一大傑作です。