mucha

先日、新国立美術館でミュシャ展が開催されていたので観に行って来ました。アルフォンス・ミュシャ(Alfons Mucha, 1860-1939)はパリで活躍したチェコの画家で、アール・ヌーヴォーの巨匠と呼ばれています。

今回の目玉は「スラブ叙事詩」。ミュシャが母国チェコの独立を願って後期に16年の歳月をかけて描き上げた20点の大作で、チェコ国外で公開されたのはこれが世界初です。

今回のミュシャ展は3月から開催されていたので、終わり頃に行けば空いているだろうと思っていたら、甘かった。日曜に行ったこともあって物凄い人の行列。この時は90分待ちでしたが、時間によっては120分という時もありました。

ひたすら並んでようやく場内に入ると、いきなり目の前にそびえるのが、「スラブ叙事詩」の1枚目「原故郷のスラブ民族」。3~6世紀にスラブ民族の祖先が他民族からの侵略に身を潜めている様子が描かれているのですが、驚くのはその縦6m、横8mというキャンバスの巨大さ。怯えるスラブ人の目も印象的でした。

そんな見応えのある巨大な作品が場内に20枚も。その大きさにも関わらず非常に緻密で描かれており、決して派手ではない繊細な色遣いも見応えがあります。その1つ1つに圧倒されながら、また場内の物凄い人混みを掻き分けながら見入りました。もう1つ驚きなのは、一部のコーナーでは撮影が認められていたこと。通常の展覧会ではあり得ません。私が最も好きな最終作「スラブ民族の賛歌」も有難く撮影させてもらいました。

さらに今回はこのスラブ叙事詩だけでなく、彼の全キャリアの作品も集められていました。彼は元々アール・ヌーヴォーの女性画を得意としており、彼の名を一躍有名にした女優サラ・ベルナールを描いた「ジスモンダ」を始めとする諸作や、パリ万国博覧会やプラハ市民会館の壁画なども多く展示されており、見応えがありました。

いつも写真展ばかり観ていますが、たまにこうした絵画展を観るのも面白いものです。