The Rolling Stonesの来日公演に行ってきた。前回から8年振りの6回目となる。私は25年ほど前から彼らの楽曲には親しんではいたが、実際ちゃんと聴くようになったのは実はここ10年位。なので今回が初参戦だが、手遅れにならなくて良かったと思っていた。今回は東京が3回のみ。その間もかなり日が空いていたが、大阪などの他地域は結局決まらなかったようだ。

最終日の東京ドーム。私の席は3塁側1階席の2列目。下手なアリーナ席よりもよほど良く見える良席だった。場内は満席。年齢層は20代から60代までと幅広く、いかにこのバンドが新しいファンを巻き込みながら転がり続けてきたかを物語っていた。ちなみにこの日は安倍首相も観に来ていたらしい。

開演30分押しの19時頃に暗転。スクリーンが赤く染まり、激しいトライバルビートが鳴り響く。それが鳴り止んだ時にメンバーはステージにいた。ステージ中央には青いYシャツに黒光りするジャケットを着たMick Jagger、右手には青いスカジャンのKeith Richards、左手には赤いTシャツに黒いジャケットのRonnie Wood、バックには赤いTシャツのCharlie Watts。みんなお洒落だ。ベースのDarryl JonesとキーボードのChuck Leavellも左右にいる。

そして始まったのは何とJampin' Jack Flash。これは予想外だったが、最高のオープニングである。その後You Got Me Rocking、It's Only Rock‘n’ Rollと立て続けに勢いのある曲が続く。Mickが花道の先端まで来て歌うと、KeithとRonnieはステージの両端へ行きギターを掻き鳴らす。Ronnieがスライドを弾いているのも見えた。場内は見渡す限り既に総立ち。観客の年齢層が比較的若いこともあるのだろうが、この年代のアーティストでオープニングからこの光景は初めて見た。やはりStonesのファンは他とは違うようだ。

「カエッテキタゾ、トウキョウ!」に大歓声。これ以外にもかなりの日本語MCを話してくれていた。これまで色んなアーティストを観てきたがここまで日本語を話せる人は見たことがなかった。またMickのパワフルな声量、終始ステージで踊り走り煽り続けるスタミナも、70という歳を考えると驚異的であり、もはや常識レベルを超越したモンスターだ。

4曲目のTumbling DiceでLisa FischerとBernard Fowlerのコーラス隊と、Bobby KeysとTim Riesのホーンセクションも登場。ChuckはHonky Tonk Womanのピアノソロでは足まで使って弾いてみせていた。「ツギハシンキョク」と言ってMickがKeithと同じような黄色のテレキャスを抱えながらDoom & Gloomも披露。

リクエスト曲で私はLive With Meに投票していたが、この日決まったのはRespectableだった。そしてMickが「キョウノスペシャルゲストハ、ホテイ!」と言うと登場してきたのはなんと布袋寅泰。場内驚きのどよめきと歓声。布袋さんがRonnieやKeithと並んでソロを回したり、Mickと1本マイクで歌っている姿は全くの予想外だった。これは布袋さんのロンドン公演を見たStones関係者がオファーを出して実現したものらしかった。

その後Mickがメンバー紹介をした。一旦後ろに下がったメンバーが1人1人紹介され前に出てくる。Charlieは背中を押されて少し花道を歩かされていた。最後に紹介されたKeithが笑顔でマイクに立ち、Mick Taylorを呼ぶ。Mick Taylorはかつてに比べるとだいぶ丸くなっていた。KeithのボーカルでSlipping AwayとBefore They Make Me Runを演ってくれた。

Midnight RamblerとMiss Youでは、Mickが花道の先端で観客とコール&レスポンスをして盛り上がる。MickのハーモニカとTaylorのギターの掛け合いや、Darrylのベースソロも良かった。私の最も好きなPaint It Blackはもうカッコいいの一言。

Gimme ShelterはLisaの出番。サビでLisaが歌いながら花道を先端まで歩いてきて、驚異的な声量を見せつける。そこへ後ろからMickが合流し、2人で掛け合い。ふくよかなLisaな細いMickが対照的。

トライバルビートが聴こえてくると、スクリーンには真っ赤に燃え盛る森の映像が映し出される。悪魔のような赤いマントをまとったMickがマイクに立ち、Sympathy For The Devilを歌った。

アンコールでは、まず日本人の合唱隊がステージ左右に立つ。そして美しい合唱を聞かせると、You Can't Always Get What You Wantへ。Timのホルンが荘厳な雰囲気に華を添えている。

最後はテンポアップし、その勢いのままラストのSatisfactionへ。Taylorも最後に再登場しアコギを弾いている。私が中学生の時に初めて聴いた彼らの曲。この反抗心溢れる名曲は、半世紀の間時代を超えてRock & Rollの精神を伝え続けてきた。半世紀前と同じ勢いで駆け抜けていくように演奏している彼らを、私は感慨深く観て聴いていた。

メンバー全員が並んで挨拶。その後Taylorを入れた5人だけで再度挨拶し、ステージを後にした。これでこの日のセットが終了した。約2時間、めぼしい曲はほとんど聴けたと思う。欲を言えばStreet Fighting ManとWild Horsesも聴いてみたかったが。今回彼らは最後などということは一言も言っておらず、Mickは「マタアオウ」とさえ言っていた。本当にまた来てくれそうな気がする。

01.Jumpin' Jack Flash
02.You Got Me Rockin'
03.It's Only Rock'n' Roll
04.Tumbling Dice
05.Ruby Tuesday
06.Doom And Gloom
07.Respectable
08.Honky Tonk Women
09.Slipping Away
10.Before They Make Me Run
11.Midnight Rambler
12.Miss You
13.Paint It Black
14.Gimme Shelter
15.Start Me Up
16.Sympathy For The Devil
17.Brown Sugar
encore
18.You Can't Always Get What You Want
19.Satisfaction