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パンテラ

ワーナーミュージック・ジャパン 2012-07-10
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1. Mouth For War
2. A New Level
3. Walk
4. Fucking Hostile
5. This Love
6. Rise
7. No Good (Attack The Radical)
8. Live In A Hole
9. Regular People (Conceit)
10. By Demons Be Driven
11. Hollow

先週のBlack Albumと同様に90年代のヘヴィロックシーンに大きな影響を与えたのが、Panteraのこのアルバムである。

彼らも出自はヘヴィメタルだ。ギターのDiamond DarrellとドラムのVinnie Paulの兄弟によって結成された当初は、いわゆる正統派HMを標榜していた。しかしボーカルのPhil Anselmoに交替し、前作「Cowboys From Hell」から彼らはサウンドを大きく転換する。

今作はその方向性をより強化している。ソロもほとんどなくアグレッシヴに切り刻むDarrellの乾いたギターリフと、その上に乗る怒りの猛を吐き捨てるPhilのボーカル。それらが重くグルーヴィなリズムと渾然一体となって突進していく。このサウンドが鬱積していた当時のアメリカの若者達を大いに刺激したのだった。

そしてHM界に与えた影響も大きかった。触発されたRob HalfordはJudas Priestから脱退してしまい、多くのHMバンドも皆こぞってダーク&ヘヴィに方向転換した。変わらなかったバンドは急速に時代遅れのレッテルを貼られ過去のものとされた。

当時BURRN!の表紙にも柔道着を着たPhilが掲載されたが、これに反対していた酒井康氏は編集長を辞任した。坊主に短パンで俺たちはヘヴィメタルだと答えていたインタヴューには私も違和感を感じていた。その違和感は的中し、結果的に彼らは図らずも自らの手でヘヴィメタルを叩き壊してしまったのだった。

彼らは次作「Far Beyond Driven」で全米初登場No.1となり時代の頂点に君臨する。しかし2003年に解散。DarrellはDimebag Darrellと名前を変え、VinnieとDamage Planを組んで活動していたが、2004年に盲信ファンにステージ上で射殺されて他界してしまった。

★★★★