ウー・ラ・ラウー・ラ・ラ
フェイセズ

ワーナーミュージック・ジャパン 2013-07-23
売り上げランキング : 55827

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


1. Silicone Grown
2. Cindy Incidentally
3. Flags And Banners
4. My Fault
5. Borstal Boys
6. Fly In The Ointment
7. If I'm On The Late Side
8. Glad & Sorry
9. Just Another Honky
10. Ooh La La

さて今月は1990年周辺のルーツ系Rock & Rollバンドたちを特集してきたわけだが、締めはこれにしようと思う。当時のこうした若いバンドたちが皆こぞってお手本にしていたのが、The Rolling Stonesと、このFacesである。

ボーカルRod StewartとギターRon Woodという二枚看板を要し、最高にカッコいいRock & Rollバンド。元々2人は60年代末期にはJeff Beck Groupにいたのたが、Steve Mariottを失ったRonnie LaneがSmall Facesの立て直しに2人を誘ったことがきっかけ。そうしてFacesが誕生する。

このバンドの魅力は沢山あるのだが、そのうちの1つにはやはりRodのボーカルが挙げられる。華のあるハスキーボイスに豊かな表現力、加えてあの甘いルックスである。文句ないそのスター性をもって並行していたソロが大成功するのも納得である。

しかしこの当時Rodはバンドよりも完全にソロとしての活動の方が中心となっていた。そのためRodは今作のレコーディングにも、自分の歌入れの時しか顔を出さなかったらしい。M8ではRonnieが、M10ではRonがボーカルを取っていることや、M6がインスト、M3が中途半端で終わってしまっていることも、恐らくこうした状況が影響しているのだろうと思われる。

では今作は駄作かというと、それが全く逆なのがスゴいところだ。まず前半は彼らの得意とするゴキゲンなRock & Rollが展開される。Ronの絶妙なギター、Ian McLaganの弾むようなピアノなど、バンドが渾然一体となった演奏がグルーヴしている。こんな聴く者を踊りたくさせるようなR&Rは最高の証だ。

そして後半は、前述の結果非常にバラエティ豊かな展開を見せるのだが、ここでの主役は影のリーダーRonnieである。彼は本来持っていたアメリカ南部趣向を全面に打ち出し、カントリー/フォーク色が強く出ている。これがまた牧歌的で暖かみがありつつも、どこかもの寂しさも漂い心を打つ。とにかくアルバム全編素晴らしいのだが、最も好きなのはM2とM9である。

しかしリリース直後にRonnieはツアー生活に対する嫌気から、遂にバンドを脱退してしまい本場のアメリカ南部へ渡ってしまう。Facesはその後間もなく解散。Rodはソロに専念し、RonはRolling Stonesに加入する。こうして「Ooh La La」は彼らのラストアルバムとなるのだが、それはまるでThe Beatlesの「Abbey Road」のように末期のバンドが生んだ奇跡の名盤だったと思っている。

★★★★★