Heartbreak Station + LiveHeartbreak Station + Live
Cinderella

Bad Reputation 2011-08-07
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1. The More Things Change
2. Love's Got Me Doin' Time
3. Shelter Me
4. Heartbreak Station
5. Sick For The Cure
6. One For Rock & Roll
7. Dead Man's Road
8. Maker Your Own Way
9. Electric Love
10. Love Gone Bad
11. Winds Of Change

先週のTom Keiferの全盛期を聴きたくなって取り出したCinderellaの1990年の3rdアルバム。Tomもこれが一番のお気に入りだと言っていたが、それも納得の名盤である。88年の前作「Long Cold Winter」でTomのブルース志向は開花した。冒頭からドブロで渋いデルタブルースを鳴らしたのを始め、ブルースのルーツを大胆に表明した。これをきっかけにブルージーという言葉が流行になるほど、彼らの音楽性は話題となった。

その後に続いたこのアルバムも同様のブルース路線と捉えられがちだが、実はTomはここでさらに音楽性を深化させている。スライドギターやドブロギターを始め、ホンキートンクピアノやホーンセクション、そしてマンドリンにペダルスティール、女性コーラスまでが随所に散りばめられている。ブルースだけでなくカントリーやゴスペルに至るまであらゆる南部音楽を見事に消化しているのである。これはもはやブルースロックではなくスワンプロックと呼んで差し支えないだろう。またTomの持つソングライティングの巧さによる楽曲の質の高さが、この作品をさらなる高みへと押し上げている。

この当時のライブDVDを見ると、実際にサックス奏者や黒人女性コーラス隊もステージに登場し、かなり本格的にその音楽性を再現させている。また例のしゃがれたボーカルで歌いながら、スライドやペダルスティール、ドブロを含めたほとんどのギターソロを一人でやってしまうTomのワンマンショーっぷりも堪能できる。

結局彼らは前時代的なLAメタルバンド勢の1つとしてレッテルを貼られてしまっていたために、この後過去のものとして葬り去られてしまう。しかし彼らの音楽性は全くもってLAメタルでもハードロックでもなく、歌詞にしても当時他のLAメタルバンドが女の子やパーティーのことばかり歌っていたのとは対照的に、Tomはブルース等の影響もありむしろグランジ勢と同様に生活や人生など非常に地に足をつけた題材ばかりを歌っていた。もっと彼らの本質が理解されていればと残念に思うほどに、この作品は時代を超える名盤だったと思うのだ。

★★★★☆