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バングルス

SMJ 2009-07-22
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1. In Your Room
2. Complicated Girl
3. Bell Jar
4. Something To Believe In
5. Eternal Flame
6. Be With You
7. Glitter Years
8. I'll Set You Free
9. Watching The Sky
10. Some Dreams Come True
11. Make A Play For Her Now
12. Waiting For You
13. Crash And Burn

次は私の青春のアイドルBangles。昨年末にリリースされた最新作を先日取り上げたが、今日は私の生涯の名盤である3rdアルバムを。

彼女らは80年代に一斉を風靡していた。Susannaを気に入ったかのPrinceが楽曲提供をした゛Manic Monday゛や、コミカルなPVが話題になった゛Walk Like A Egyptian゛などが大ヒットし、2nd「Different Light」で念願の成功を手にしていた。それに続くのが88年リリースのこの「Everything」。しかしこのアルバムは彼女らにとってラストアルバムとなってしまう。

彼女らは60年代、特に初級~中期のBeatlesの影響が顕著である。楽曲自体の影響ももちろんだが、それ以外にも多くの影響が見てとれる。4人全員が歌うことができ、そのためボーカルハーモニーが素晴らしいこと。そのボーカルハーモニーを活かしたメロディアスな曲作りが特徴であること。メンバー全員が曲を書くことができ、それぞれが自分の書いてきた曲でリードボーカルを取っていること、などなど。

実際このアルバムのクレジットは4人平等だ。まずSusannaの曲は、最大のヒットとなったM5。これは聴く度に幸福感に満たされる絶世の名バラード。またM1を歌うSusannaにも当時の少年達は大いにドキドキさせられたものだった。またMicheal Steele(B)も名曲を書いている。古き良き70年代に思いを馳せるM7はノスタルジーに溢れ、M4の静かなマイナーコードには胸が締め付けられる。Vicki(G)とDebbi(Ds)の姉妹も良い曲を書いており、特に綺麗なハーモニーに包まれつつ流れるような疾走感のあるM3とM6は素晴らしい。全編を通して捨て曲がないどころか傑作揃いで、前作までと比べて曲質が格段に飛躍している。また特徴的なのは、アップテンポな曲からスローな曲までどれもどこか明るくなりきれない切なさや哀愁に満ちている点である。無邪気な明るさに溢れていた前作までとはカラーが異なり、成長した大人の雰囲気が漂っている。ちょうどこれからの秋空にピッタリなアルバムである。

しかしこのアルバムからシングルカットされヒットしたのは、ほとんどがSusannaの曲だった。確かに彼女の甘い歌声は個性的であり、魅力的である。またそのルックスとも相まって、世の男性の心を鷲掴みにした。私もその中の1人である。しかしそうした露出と脚光の不公平感がバンドに不必要な緊張をもたらし、解散への道を辿ることになってしまったのだった。だが前述の通りこのバンドは決してSusanna1人のバンドではない。このアルバムを聴けばよく分かる。繰り返しになるが、またバンドとしての来日を期待したい。

★★★★★