ア・ナイト・トゥ・リメンバー(紙ジャケット仕様)ア・ナイト・トゥ・リメンバー(紙ジャケット仕様)
シンディ・ローパー

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 2008-06-18
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1. Intro
2. I Drove All Night
3. Primitive
4. My First Night Without You
5. Like A Cat
6. Heading West
7. A Night To Remember
8. Unconditional Love
9. Insecurious
10. Dancing With A Stranger
11. I Don't Want To Be Your Friend
12. Kindred Spirit
13. Hole In My Heart (Bonus Track)

今なお現役で活躍している80年代の女性シンガーとして、次に取り上げたいのがCyndi Lauperだ。

彼女は80年代シーンの象徴的な存在だった。レインボーヴォイスと言われた彼女の歌声は、一聴して彼女と分かる強烈な個性を持っていた。Madonnaのライバルとも目され、世界的に数々のヒットを放った。ただ90年代以降は現役を続けるものの、常にシーンのトップに君臨したMadonnaと比べるとだいぶ水を空けられた印象があった。しかし2010年に発表した「Memphis Blues」で彼女は再び名声を取り戻す。自身のルーツであるブルースを唄ったのが、グラミーを始め各方面から絶賛を浴びたのだった。

彼女のアルバムで一番好きなのは、1989年の本作である。前2作に比べるとそれほど大きなヒット曲がないので、多少地味な印象が持たれがちだが、私にはこれがリアムタイムだったので一番想い出深い。前年に米歌手代表として参加した米ソ・ソングライターサミットに刺激を受けたCyndiが、制作途中だったのを一から作り直したのがこのアルバムらしい。これまでで初めて全曲ラブソングとなっており、楽曲も傑作揃いだ。

まず冒頭に、古いラジオから聴こえてくるかのように雑音混じりで歌声が聴こえてくる。古い伝承歌かと思っていたが、彼女の自作だったようだ。これは本編ラストのM12にもリプライズとして再度流れ、このアルバムを統一感のあるものとしている。そして名曲M2に雪崩れ込む。この曲の高揚感は特別で、若かりし私をいつも深夜の暴走へといざなってくれたものだ。M12から続くM13も同様のアッパーなナンバーで、この2曲がアルバムをロックな印象にしている。ただM13はもともとボーナストラックで、彼女が主演した映画「バイブス秘宝の謎」の主題歌である。

中盤はじっくりと聴かせる名曲が並んでいる。特にバラッドM4はサビの歌い上げの絶唱が素晴らしい。M6やM7も思わず聴き惚れる傑作。M8もSusanna Hoffsをはじめ多く歌い手がカヴァーしている。全体的に硬質でシリアスな雰囲気があり、それまで2作にあったポップでファンなイメージとは少し方向性が異なるかもしれない。しかし彼女が真剣にソングライティングに取り組んだ本気度の感じられる力作だと私は思う。

昨年今年と震災後に来日して日本を勇気づけてくれたことも記憶に新しい。また一昨年にはアルゼンチンの空港で、フライト欠航になり騒然となったところを、「Girl Just Wanna Have Fun」を歌い事態を収束させたというニュースもあった。彼女の歌声は本当に人の心に訴えるものがあると思う。いつまでも歌い続けて世界の人々に笑顔を届けていってほしい。

★★★★