半年前に黒ビールについての記事を書いたが、あれからまた黒ビール市場の状況が一変した。いまやどこもコンビニにも、黒が置いてある状況となっている。これは黒好きにとって非常に喜ばしい変化である。この半年に起こったことを振り返りたい。



まず最大の事件は、「スーパードライ・ブラック」である。これはアサヒがスーパードライの黒ビール版として4月3日に販売開始したものである。これまでのスーパードライの人気に当てこみ、メジャーリーグに移籍したばかりのダルビッシュをCMに起用し、大々的に売り出された。スーパードライ特有の非常にスッキリしたのど越しを、初めて黒ビールというジャンルで実現したわけだが、これが上手くヒットした。この新しさが、元々の黒ビールファンではなく、これまで黒ビールを飲まなかった人に受けたことで、市場の拡大につながった形だ。

しかし個人的な意見を言わせてもらうなら、これはビールではあるが、黒ビールではない気がする。やはり黒というのは濃いコクがあってこそのものであり、ドライのスッキリ感というのはそれと全く相反していると思ってしまうのだ。それでもこの商品が市場に果たした功績は歓迎すべきものである。



これに対する対抗馬となっているのが、「麦とホップ黒」である。これは昨年の秋に、サッポロが20万本の数量限定で販売していたものである。当時これは大人気となり、わずか1ヶ月のうちに店頭から売り切れてしまった。その後復活を望む声が多かったらしく、遂に3月28日に今度は限定ではなく通年販売として売り出したのだ。私も好きだった1人なので、これは非常に嬉しい復活だった。スーパードライブラックの販売開始よりも前に持ってきたのは、恐らくサッポロのアサヒへの対抗心だろう。第3のビールというジャンルではあるが、このジャンルにしてはなかなかのコクを実現しており、何よりもわずか100円ちょっとという低価格が素晴らしい。このまま販売継続してくれることを期待する。



さらに5月からもう1つ新商品がこの市場に投入された。「プレミアムアルコールフリー・ブラック」である。これもサッポロだが、ノンアルコールというジャンルに初めて黒で勝負をかけた意欲作である。これも今あちこちの店頭で見かけるので売れているのだろうか。ただ普段ノンアルコールを飲んだことがなかった私にとって、これは黒ビールとは全くの別物な気がした。

このように新商品が販売されていくことにより、今よりも黒ビールファンが増え市場拡大し、どこの居酒屋に行っても黒を置いているような時代が来てくれたら最高だ。