久々にバスケットボールを買ってきた。20年ほど前に中学高校でバスケをやっていたのだが、その頃の記憶が今でも時々夢に出てきて、いてもたってもいられなくなったのだった。最近週末はボールを持って家族を連れて遠くの公園まで行って遊んでいる。

私が中高生の頃は未曾有のバスケブームだった。まずその発端は例の井上雅彦氏の漫画「スラムダン ク」である。連載がスタートしたのが1990年。以降バスケ部に入部した新入部員の数は凄かった。ただ多くはキツい練習に耐えきれず辞めていったが。

またあの頃はNBAも全盛期だった。私達は衛星放送にかじりつき、いつもスタープレイヤーのプレイの話題に華を咲かせていた。オリンピックに初のドリームチームが組まれたのが1992年。 Micheal Jordan, Scottie Pippen, Majic Johnson, Charles Barcley, John Stockton, Carl Marone, Chris Mullin, Larry Bird, Patrick Ewing等々、そうそうたるメンツは正にドリームチームそのものであり、オリンピックでの強さも圧倒的だった。今思えば彼らと同じ時代にバスケをしていたことは幸運だった。

その後私は1997年にアメリカに留学した。ドリームチームのメンバーには会えなかったが、LA Lakersの試合を見る機会があり、第2のMJと言われていたKobe Bryantのプレイは拝んできた。向こうに行って気付いたのだが、アメリカにはあらゆる公園に必ずと言っていいほど屋外バスケコートがあった。しかも若者たちは、たとえボールを持っていなくてもコートにやってきて、知らないグループに気兼ねなく合流し、一緒にプレイをしているのである。この環境と国民性があれば、そりゃ上手くなるはずである。

一方日本には屋外バスケットコートのある公園は非常に少ない。1市町村に1ヶ所あればいい方だ。学校体育館以外には自治体の体育館しかなく、人数を集めて予約を取らないといけないため、いつでも気軽に行くというわけにはいかない。また日本にも一応バスケのリーグはあるが、その試合がメディアで報道されることはなく、結局いつまで経ってもマイナーな存在のままである。つまり日本のこの環境の悪さが、かつてのバスケ人気を一時期のブームだけに終わらせてしまったのだ。

個人的にバスケはスポーツの頂点だと思っている。最初のドリブルからシュートまで技術が求められ、入口の敷居は非常に高い。そして試合中常にスピードが求められ、体力と集中力がなければ厳しい。接触もある。そして絶妙なチームワークがなければ勝てない。そんなバスケの一番の魅力は、こうしたスピードと激しさの中に、時が止まる瞬間の美しさがあるところだと思っている。

私の妻も中学ではバスケ部で頑張っていた口だ。なので我が娘にも是非バスケを教えて一緒にプレイしたい。私はこれまで長いこと野球やサッカーしか報道されないスポーツニュースに、やるせない気持ちを抱き続けてきたが、もし娘がバスケを好きになってくれるなら、娘のためにもいつかバスケがもっとメジャーになる時代が来てくれることを願っている。