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ベイルート Beirut

contrarede 2011-09-14
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1. A Candle's Fire
2. Santa Fe
3. East Harlem
4. Goshen
5. Payne's Bay
6. The Rip Tide
7. Vagabond
8. The Peacock
9. Port of Call

30を越えたくらいからか古い音楽ばかりを聴くようになって、最近の音楽シーンにはめっきり疎くなってしまった。音楽誌の年間ベストアルバムなんて見ても、知らないアーチストばかりだ。恐らく2000年以降にデビューした最近のアーチストで私が今ちゃんと毎リリースを追っているのは、もはやNorah JonesとこのBeirutくらいかもしれない。まぁそれはいいとして。

Beirutは元々アメリカ人Zack Condonの宅録プロジェクトから発展した楽団である。デビューは2006年、彼はまだわずか19歳であった。私がこのアーチストに惚れ込んだのは、彼が世界各国のワールドミュージックを斬新な方法論で提示していたからだ。一人であらゆる楽器を使いこなしながら、1stでは東欧バルカン半島のジプシーブラス音楽、2ndではフランス音楽、3rdではメキシコ音楽と、旅をした先々の音楽を吸収しながら独自のものとして再構築していった。その姿勢には民族音楽ファンとして大いに楽しませてもらった。

そんなBeirutの4年ぶりのニューアルバムがリリースされた。ただ今回は特にこれまでのような特定の国の趣向はないようだ。コンピレーション「Red Hot + Rio 2」にあったようなブラジル音楽に次は行ってくれることも期待していただけに少し残念。まぁ作る側にしてみれば、毎回違う国の音楽を期待されるのもプレッシャーだったのかもしれない。実際今回は゛Santa Fe ゛や゛East Harlem ゛といった曲名が並んでいることからも、自分の居場所に帰ってきたということなのだろう。

しかし音楽はやはり相変わらずいいものを作ってきている。これまでメランコリックな曲調が多かったのが、今回は全体的に享楽的な明るいトーンで統一されている。だがロマンチックでノスタルジックな高揚感は変わらない。いつの間にかメンバーも代わり、2ndの時には女性バイオリニストまでいた賑やかな大所帯だったのが、今はZack以外にアコーディオン、トランペット、トロンボーン、ドラム、ベースの6人の固定メンバーになっているようだ。そのメンバーで練り上げたようなバンドらしさも今回のアルバムにはある。Zackのピアノの弾き語りという新境地も聞かせている。全9曲33分という短さが物足りないのと、全体的にもう少し楽曲のバラエティがほしかった気もするが。しかしこの極力エレクトリック楽器を排したレトロな手法は、今でも依然最近のロックに飽きてしまった耳に新鮮に聴こえるはずだ。お互いに親交もあるArcade Fireが世界的な大成功を収めたので、Zackにも頑張ってもらいたい。

最後に嬉しい知らせで、彼らの待望の初来日が来年の1月に決定した。これまでずっと待っていたので念願であった。この良質の音楽をようやく目にできるのを楽しみにしている。

★★★☆